力無き少年のソードアート・オンライン   作:Aruki

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初めまして。アルキです!
長い間ずっと自作小説を投稿したいと思っていたところ、遂に投稿となりました。
いきなり言うのもなんですが、他の作者の方々の作品に比べたら勝負にならないほど下手だと思います。
それでも少しずつ上手くなっていきたいと思いますので、末長く読んでもらえれば幸いです。
それではどうぞ!


SAO プロローグ
1話目 終わりの始まり


「諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される」

 

 

 その時、(コウキ)は現状を正しく理解できないでいた。いや、違う。あまりの非現実さに理解することを拒んでしまっているというのが正しい。

 脳が破壊される? 脳というのはこのアバターの? 等と、この残酷すぎる現実を拒んでいる間にも、全身を漆黒のローブで包んだ、亡霊のような姿をしているこの世界の想像主による宣言は進む。

 

「諸君がこのゲームから脱出する方法は唯一つ、このアインクラッドの最上部、第百層に待つボスを倒してゲームクリアするだけだ」

 

 こんな状況でも人間としての危機管理能力は死んでいないのか、俺は緩慢とした動きではあるものの周りを見渡す。俺の目に映る情景、それすらも非現実。誰も彼もがまるで物語の主人公のような勇ましい様相をしているのに、その誰も彼もが全員動揺しているのだから。このまま時間が経てば辺りは阿鼻叫喚に包まれることは間違いない。だが、世界の『悪意』としか言えないようなこの現状を確認したおかげで逆に頭が冴えた。

 ーーーーこれは紛れもない、現実だ。

 何かの間違いでも、方便でも、夢でもない......現実。

 その事実を理解すると共に、背筋に冷たい何が走り、体はすさまじい勢いで強張っていく。まるで頭が冴えていくのに反比例するように、体の自由が奪われていくようだ。

 

「最後に、君たちに素敵な贈り物をしておこう。アイテムストレージを見てみたまえ」

 

 この場にいる各々が言われるがままに、この数時間で慣れたメニューウィンドウを開くーー右手人差し指と中指をまっすぐに伸ばして降り下ろすーー動作をして、アイテム画面を開くとそこには、

 

「......手鏡?」

 

 収納した覚えのないアイテムがあった。これが奴の言った、贈り物、なのだろう。

 怪訝に思いながら《手鏡》のタグをタッチすると、小さく軽快な効果音と共になんの変哲もない手鏡が出てきた。

 これにいったい何が......? と、手鏡の裏や側面を確認していると手鏡が急に光り出した。

 

「う、うわぁっ!?」

 

 慌てて手鏡を手放すが、そんな動作はなんの意味も持たない。手鏡が放ち続ける光は既に俺の体を全て覆い尽くすほどになっていた。

 いや、俺だけではない。周りでも同じことが起きているらしく、そこら中で悲鳴が上がり、同時に広場全体を包み込んでいくように光りはその光度を上げていく。その光景は場所や時が違えばとても神聖なものに感じたかもしれない。しかし今この場ではただの恐怖を感じる対象でしかない。

 俺は何が起こるか分からないことへの恐怖と、あまりの光によって目が眩み、思わず目を閉じた。

 

「......っ?」

 

 数秒経つと、鼓膜へ響いてくる周りの音が先程までと変わってきていることに気がついた。

 いつの間にか、発せられていた光も止んでいた。それを瞼の明るさから感じ取った俺はゆっくりと目を開け、周りの状況を確認する。

 

 周りは何も変わっていなかった。だが、何か違和感がある。違和感の正体を探ろうと見渡していると、それはすぐに見つかった。

 プレイヤーだ。

 正しくはプレイヤーの顔だ。光が発生する前はどのプレイヤーも歴戦の猛者、もしくは伝説の勇者のような顔つきをしていたが、今は街のどこにでもいるような......言ってしまえば平凡な顔つきに変わっている。

 まさか、と嫌な予感に導かれるままに俺は先ほど落とした手鏡を拾い上げ恐る恐ると自分の顔を映してみると、そこには、

 

「俺の......顔?」

 

 そこには、もう何年も見てきた『自分の顔』が映っていた。

 このゲームの中で製作した顔ではなく、文字通り現実世界の俺の顔だ。

 ここは仮想空間だと言うのに、何でこんなことを......? いや、そもそも(黒ローブ)は何が目的でこんな大事件を起こしているんだ......?

 プレイヤー全員が、なぜ自分達がこんな目に、そもそもあいつは何を考えているんだと思っているときに、奴は言った。

 

「私の目的は唯一つ。このゲーム、SAOの世界を創り出し、鑑賞すること。つまり、私の目的は現在進行形で達成されているのだ」

 

 鑑賞........そんなことのために?

 つまり、奴は何か巨大な目的のためなどではなく、ただこのゲームが進んでいくことを『見る』ためだけにこんな、1万人全てを人質に取るような暴挙に出たというのか? それだけのために、俺たち1万人の命は崖っぷちギリギリにさらされているというのか?

 ......ふざけるな。

 ふつふつと、冷めた頭に怒りが湧いてくる。それは俺だけではないようだ。

 

「ふざけんなぁ!!」

「ここから出してよっ!!」

「死にたくない......っ!!」

 

 この広場にいる、おそらく全員が一斉に声を上げる。

 怒りをぶつける、命乞いをする、絶望する、反応は人それぞれだが、全員精神的に参っているのは明らかだ。当然だろう、今の今までただ楽しくて人気のゲームをプレイしようと盛り上がっていた、誰も命を懸けようなんて人間はいなかったのだから。

 かくいう俺も混乱に包まれているその一人だった。冷静にいようとはしているが、内心は完全に身がすくんでしまっている。

 

「......以上で『ソードアート・オンライン』正式サービスチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君のーーーー健闘を祈る」

 

 何が健闘を祈る、だ。

 だが、こちらの感情など歯牙にもかけずに奴ーーこのゲーム及びナーヴギアの製作者、茅場晶彦は姿を消す。

 その直後、周りにいたプレイヤー達は一気に騒然とした。遅れていた理解が今到達したのだろう。辺りを飛び交う怒声、悲鳴、奇声。そして俺は体感時間で十分ほどーー実際は一分も経っていなかったーー唖然としていると、突如頭に浮かんだことがあった。

 

「そうだ、探さないと......」

 

 そう言って、俺は全く力が入らない足をなんとか動かして、友人の佐藤陽ーーヨウトを探し始めた。

 何でこんなことに......俺はもう何度も自問自答していることを呟きながら、少しでも頭を落ち着かせようと思い今回の事件の発端を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2022年11月3日 木曜日

 

「は......?」

 

 俺、高崎光輝(たかさきこうき)は電話口の向こうの友人が言っていることを理解できないでいた。

 というか、理解したくなかった。

 

「ごめん、俺耳遠くなったかも。もう一回言ってくれるか?」

 

 現在時刻は午後の五時半。俺は学校から帰ってきたばかりで、帰ってきた当初は宿題をさっさと終わらせてしまおうと考えていたはずだ。

 十一月なこともあり、空ももうほとんどが暗く濃い色に染まりつつある。暗さと寒さから近所の子供たちも家に帰る時間が早くなってくる時期だ。かくいう我が家も今夜の晩ご飯は温かな鍋の予定である。

 そんないつもと何も変わらない日常......のはずだった。友人ーーー佐藤陽(さとうひなた)がわざわざ電話で変なことをのたまってくるまでは。

 そして、陽は俺の要望通り、しかし俺の希望とは違って先ほどと一字一句同じ台詞を言ってくる。

 

「徹夜してゲーム買いに行こうぜっ!」

「寝言は寝て言え」

 

 と、一応友人である俺は助言して躊躇なく電話を切った。

 あいつは前からたまに頭のおかしいこと言うときがあったけど、今回はまた別格だな。頭はいいはずなんだけどなぁ......等と、軽く現実逃避しているとテーブルに置いていた携帯から軽やかなSNSのメッセージ着信音が聞こえた。

 

「......」

 

 嫌な予感を感じつつ、携帯に手を伸ばしSNSを開く。

 

[いいじゃん、行こうぜ~]

 

 あいつは......

 どうやら先ほどの妄言は寝言ではなかったらしい......まこと残念だが。

 だが、ここで諦めるようではあいつの相手はできない。

 メッセージを見てしまった事実など記憶の彼方へと投げ捨て携帯をそのまま放置することを決心し、マナーモードにしてテーブルに置く。そしてそのままソファに座り漫画を読み始める。いくらなんでも今の心境で宿題をする気分にはなれなかった。

 

 しかし数分すると、ブー、ブー、と携帯がまた鳴いた。それを鬱陶しく思いつつ無視を決め込むが変わらず携帯は、ブー、ブー、と。

 どうやら相手は一分ごとにメッセージを送ってくるつもりのようだ。少し、いや、ものすごく鬱陶しいが、ここで負けるわけにはいかない。ここで負けることはすなわち、俺の心の平穏が消え去ることを意味する。いやまぁ今のこの状況も心の平穏からはほど遠いけど。

 さらに、ブー、ブー、ブー、ブー、ブー、とペースは上がり、遂に一分間に二十通のペースを越えたところで。

 キレた。

 決して俺の沸点が低いわけじゃない。もしそうなら最初の数分でキレているはずだ。だから俺は悪くない俺頑張った。と適当に頭のなかで言い訳をしながら未だ鳴り続ける携帯を掴みとり、陽の番号に電話をかけた。

 

「どんだけ送ってくんだよ!? お前はストーカーか何かか!?」

「だって無視すんだもん」

 

 不満そうに言ってくる陽。えっ、何これ、俺が悪いの?

 再び頭に血が上りそうになるのをなんとか抑え、俺は一度ため息をつく。

 

「不満なのはこっちなんだけど......」

「そんなものは知らんっ!」

 

 ....そう、ここで怒っちゃダメなんだ。いつも同じパターンにはまるから俺が割り食う羽目になっているんだ。

 なんかもう遅いような気もするけど。

 

「で、用件は?」

 

 このまま放っておくといつまで経っても話が進まないと思い、先を促す。

 すると、陽はフフン、と間違いなく胸を張っているのだろうと確信できる笑いを向けてきた。

 うわぁ、めんどくさそうな臭いがプンプンする。だってこいつ今きっと電話の向こうでにんまりしてるもん。すっげぇ楽しそうにしてるもん。

 

「SAOって知ってるか?」

「そりゃ、あんだけお前から聞かされたらな」

 

 SAOーーソードアート・オンラインの略ーーは今日本で最も話題になっているVRMMO(仮想大規模ロールプレイングゲーム)だ。

 ナーヴギアというフルダイブゲームのハードが世に出回ってからいくつものフルダイブゲームのソフトが販売されたが、どれも期待はずれと言われていた。理由は多々あるが、一番の問題はクオリティの低さだ。

 世間の人々がVRMMOというジャンルそのものに失望しかけていたときに、件のSAOの話が出てきた。

 ナーヴギアの製作にも関わっていた天才、茅場晶彦により作られたゲームだ。あらゆる機能、操作性、グラフィックが既存のソフトの追随を許さず、瞬く間に世間にその名を轟かせた......と、いうのを俺は陽から何度も聞いたせいで内容を完全に覚えてしまった。

 

「それがどうかしたのか?」

 

 なんとなく先の答えが分かりつつ聞く。

 

「交差点のゲームショップで大量入荷するんだって! だから一緒に買いに行こうぜ!!」

「だーかーらっ、何で俺が、一緒に行かなきゃなんないんだよっ!?」

「......ほら、俺たち友達だろ?」

「おいちょっと待てやコラ。何だよ今の間は」

 

 言ってもう一度ため息をつく。我慢我慢。

 

「で、本音は?」

「だから、親友であるお前と一緒にゲームを「言わないとついていってやんないからな」一人だと親に怒られるからです」

 

 理由を聞いて呆れたのと同時に納得もできた。俺の家と陽の家は俺たちが幼い頃からの付き合いだ、それこそ互いの家に泊まりに行こうものなら親がついてきて家族全員での泊まりになるくらいには。

 まぁ、先ほどの親友発言は辞退させていただくとしても、確かに互いの家を遠慮なしに行き来できる仲ではあるので俺が抜擢された理由も分かる。

 だが。

 

「さすがに中二ふたりじゃ親は納得しないだろ」

 

 常識的に考えて子供ふたりで深夜店に並ぶのは無理だ。

 どれだけ開放的な親でも反対するレベルだ。

 

「親がお前となら良いって」

「......マジ?」

「マジマジ」

 

 この子供にしてこの親あり、というべきか(実際は逆だが)さすがは陽の親だった。

 これは俺が評価されたと思って喜ぶべきなのか、それとも陽の親が俺の常識を覆すほどの人たちだったのか......

 というかおじさん、おばさん、それで本当にいいんですか......?

 

「じゃあ、明後日の夜十一時にゲームショップな」

 

 勝ち誇ったように言ってくる陽に俺は、

 

「はいはい......」

 

 としか返せなかった。

 

 

 

 

 

 さて、俺は陽とは違いあまりゲームはしたことがなかった。プレイ経験はせいぜい某ポケットじゃなくて大体ホルダーみたいなやつにボールを着けてるモンスターのゲームや某Mのおっさんが相手を踏みキノコを食うだけで体が突然変異を起こすゲームぐらいだ。しかもそれだって特別熱心に取り組んでいたわけでも無く、気が向いたらやってみようというくらいの、いわゆるエンジョイプレイだ。

つまり、何が言いたいかというと......俺はSAOというコンテンツを甘く見ていた。

 

 

 

 

 

「すげぇ......」

 

 陽からの電話から二日後、約束の日。店の前まで行くと既に行列ができていた。およそ三十人程度だろうか?

 映像としてこういった行列は見たことがあったが、実際にその場を見せられると、かなり威圧感がある。

 その列の最後尾に陽がいたので合流して列に並んだ。

 

「人気とは聞いてたけどここまですごいんだ.....」

 

 確かに、近頃はテレビをつければどこかのチャンネルではSAOの話をしているほどだったし、学校では陽以外にもSAOの話をしている人はいた。

 だが、どこか別の世界の話だと思っていたからか妙に現実離れした感覚だ。

 俺が軽く放心していると、陽が隣で声を上げる。

 

「当たり前だろ! 今まで出てきたゲームの中で最っ高の出来だって言われてるし。だから俺もこんなに欲しいんだし」

「お前夜中だってのにテンション高いな.....」

 

 俺調べではいつもより倍近く高い。しかもいつもテンション高いぶん、今の高さははっきり言ってちょっとうざい。

 しかも陽の語りはまだ続く。

 

「だって待ちに待ったあのSAOがこの手にはいるんだぞ!? 落ち着いてなんかいられないって!!」

 

 と、さらにテンションを上げてきたので、周りに迷惑をかけていないかと不安になり少し見回してみると、陽の言葉を迷惑そうにするどころか、共感して頷いていた。

 あれ、この場にいる人たちだと陽みたいな考えの方が普通なのか....?

 等と思いつつ気になっていたことを陽に聞いてみることにした。

 

「そういえば俺らの前にも結構人いるけど、ちゃんと買えるのか?」

 

 陽の話だと全国に一万本しか出回らないらしく(正直何本だと少ないとかという話はいまいちよく分からなかったが)、この店にもそれほど多くは入荷しないと思ったのだ。

 

「うーん、正直ギリギリだな」

 

 と、列の前の方を見つつ陽は言う。携帯の時計を見ると現在7時半。開店が朝の10時なのでまだ先は長そうだ。

 俺はため息をつきつつ、無意識のうちにSAOというゲームに思いを馳せていた。

 なんだかんだ言っても、他人がこれほど楽しみにしているゲームを俺も楽しみにしていた。

 

 

 

 

 結論から言うとSAOは買えた。待ち時間の長さや暇さに何度かキレそうになったが、何とか堪えた。

 そしてこの日から、最悪の現実が始まる。

 

 




....いやー、1話目書き終わりましたねー。
まず一言を言わせてもらえれば....他の作者の方々、文才ヤバすぎでしょう!
いえ、自虐は前書きの方でもうやったので止めておきます。
でも、この話で戦闘をもうやる予定だったのに、なぜかゲームの中にすら入っていないという、おかしいな。
次の話はもっと面白く.....出来たらいいなぁ、と思います!!
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