最近、戦闘シーンが書けていなくて少しストレス溜まりぎみです。
やっぱりSAOといえば戦闘なのですぐに書きたいのですが、どうも中々戦闘シーンが入れられなくて。
そういう今回も戦闘シーンはあまりないです。ちくしょうです。
そのぶんできる限りそれ以外のところで面白うできるようにしたので。
それではどうぞ!
「《体術》スキル?」
「うん、アルゴから聞いたんだけど」
聞きなれない言葉に首を傾げる俺に対して頷くミウ。
俺たちはいつものごとく、絶賛朝ご飯中だ。
「体術って......武器で戦うソードアート・オンラインを真っ向から否定するようなスキルだな」
『ソード』のほぼ正反対なんじゃないだろうか?
「うーん、そうでもないんじゃないかな? 剣術って源流を辿ると拳法とからしいし」
「あ、なるほど」
確かに足の運びとか似たものがあるのかもしれない。
ミウの話によると、昨日攻略に行った森のどこかにある小屋があり、そこにいるNPCが出すクエストをクリアすると会得できるようになるスキルらしい。
それはかなり破格な報酬だと思ったが、アルゴの情報らしいし正確さは間違いない。
「行ってみようよ! せっかくスキルスロットも1つ空いているんだし」
スキルスロットとはスキルをセットできる枠のことだ。
スキルをこれにセットしていないと、ソードスキルや、ステータスアップといった恩恵が受けられなくなる。
初期レベル時はスキルスロットは2つ空いており、一定レベルに達する度にスロットの枠が1つ増えるのだ。
そして1層ボス、昨日のミウのmob殲滅、それらによって俺もミウもレベルが上がって、スロットが1つ空いているのだ。
......昨日、ミウが不機嫌なときに俺のレベルが上がってもなにも反応が返ってこなかったのは辛かったなぁ。
これ以上思い出しても、ただ精神衛生上悪いだけなので閑話休題。
俺は今、《片手剣》と《肉体強化》と《武器防御》のスキルを、ミウは《片手剣》と《回避》と《技巧》のスキルをセットしている。
確かにミウの言うとおり、せっかく空いてるスキルスロットを無駄にしないためにも行ってみてもいいかもしれない。
「行ってみるか。昨日はミウが進めまくってくれたし、1日ぐらい攻略に戻らなくても大丈夫だろ」
「うー、ごめんってば!」
ミウが拗ねたように言ってくる。
昨日、俺が買い出しから帰ってくるとミウの機嫌が完全に直っていて謝りまくってきたのだ。
終いには涙目になって、あやすのが大変だった。
でも、結局原因がなんだったのか聞いても教えてくれなかったんだよなぁ......
アルゴ曰く、「女の子は秘密があった方が可愛くも綺麗にもなれる」だそうだ。意味が分からない。
俺たちは朝食を食べ終わるとすぐにその小屋に向かった。
「場所はアルゴに聞いてるんだよな?」
「うん、聞いてるよ......あっ」
「どうした?」
「えーっと、大したことじゃないんだけど、アルゴがこのクエストの説明してるときに、面白いものが見れると思うぞ、とか言ってたな~と思って。あれどういう意味だったんだろう?」
ほうほう、なるほど。アルゴがねぇ......
「帰ろう」
「えっ!? 急にどうしたの!?」
いや、だって!! アルゴがそんなこと言ってて、勘のいいミウがこのタイミングでそんなこと思い出すなんて完全に危険フラグだよ!?
しかもアルゴのことだから、命には全然危険がないけど思い出すだけでキツいレベル、かつ、俺にしか危害がないみたいなやつだって!!
俺が踵を返して帰ろうとするのをミウが俺の服を引っ張って食い止める。
「絶対ヤバイってミウ! ここは帰るべきだって!!」
「大丈夫だよ! アルゴ、今まで私たちが損する情報は言ったことないでしょ?」
確かに、それは本当だ。
ただし、今のミウの言葉の『私たち』の部分が『私』になればだが。
とても残念なことに、俺は精神的被害をアルゴから受けまくっているのだ。
未だに俺たちが綱引きみたいなことを続けていると、急にミウが力を緩めた。
俺を引っ張っていた力が急になくなり、体が前につんのめる。
「うわっ、っとっと......どうしたミウ?」
「......私、また押し付けた?」
ミウが顔を少し下げて言った言葉に息を飲む。
昨日、アルゴが別れ際に言ってきたのだ。
ーーミーちゃン、結構溜め込みやすい性格しているカラ、普段の態度に騙されんなヨー。
......このことか。
そういえば、前にもミウ一人で抱え込んでたな。俺に迷惑がかかるから言えない、ということだろうか?
そんなこと、気にしなくてもいいんだけどな。
「......どこにあるんだっけ? その小屋」
「えっ?」
「やっぱり《体術》スキル、なんてちょっと気になるしな」
「っ! うん!!」
俺が言うとミウは弾いたように顔を上げ、すぐに頷いた。
まぁ、いっか。ミウの言うとおり、なにも死ぬ訳じゃないんだし。
受けるかどうかは置いておいても、少なくともどういうクエストか、もしくは《体術》スキルがどういうスキルか知っておいて悪いことはない。
......あ、でもこれだけは言っておかないと。
「ミウ、これから『押し付けた』って単語禁止な」
「えっ!? な、なんで?」
うっ......正直に言うと恥ずかしいよな、これ。
でも大事なことだし、何よりミウのためでもある。
俺はミウから少し顔を背けて、理由を言った。
「......ミウにそんな風に思ってほしくないから」
「え?」
「だから! ......ミウの気持ちを押し付けだなんて思ってほしくないから。俺もミウの思ってること無視したくないし」
顔がものすごく赤くなってる気がする。この森って熱帯エリアなのか?
でも実際、ミウがなにか提案したり、思い付いたりした時というのは、基本誰かのためを思ってのことだ。
今回なら俺のことを思ってのこと。
そんな誰かのことを思っての考えを押し付けなんて言葉で片付けてほしくはないと思ったのだ。
それに...まぁ、俺らって『家族』みたいなものだし? ミウ曰く。
家族同士で押し付けもくそもないだろう。
数秒の間、ミウはポカンとしていたが、段々と俺が言ったことが分かったらしく、
「......うん」
すごく安心したように頷いた。
......うー。
「さ、さぁ! さっさと行こう!」
「あ、待ってよー!」
なんとなくそれ以上はミウの顔を見ていられなくなり、俺は森の奥へと進んでいった。
その後、ミウに案内してもらっていると、いつものごとく迷子になりかけたので俺がアルゴに連絡を取り、なんとか小屋の近くまでこれた。
「ここか」
そこは森のなかの少し開いた場所で、その中央にポツンと小屋が建っていた。
なんか、ちょっとした避暑地みたいだな。
「あの中にいるNPCがクエストを出すんだよな?」
「うん、でも条件があるらしくて」
その『条件』とやらをミウから聞く。
「......マジ?」
「うん、らしいよ」
さすがアルゴ、また絶妙な......
再び逃げ出したくなったが、ここまで来てしまっては仕方がない。
「じゃあ、行ってくる......」
「頑張ってね」
ミウが笑顔で送り出してくる。
いつも通りの笑顔のはずなのに、今回はなぜか背後にアルゴのニヤついた顔が透けて見えた。
...少し、覚悟しないとな。
俺は歩いて小屋の前まで来る。
そこで大きく息を吸いーー
「たのもーーーーーーーーーーー!!!!」
腹のそこから声を出した。
これがミウが言っていた『条件』だ。
茂みの方でミウが笑いを堪えているのが気配で伝わってくる。
すげぇ、恥ずかしい......
うぅ、アルゴめ、覚えてろよっ! 倍......はアルゴ相手には絶対無理だから、せめて半分ぐらいにはして返してやる!
アルゴへの復讐(?)を誓っていると、小屋の中から足音が聞こえ、扉が開いた。
「なんだ?」
中から出てきたのは、いかにも達人です、というなりをしている40代前後の男性だった。
すげぇ筋肉......
そして頭にはお馴染みのクエストマークが。
「俺はあなたに弟子入りに来たんだ」
「ふむ、俺の試練は厳しいぞ。それでもやるか?」
「もちろん」
俺がそう言うと、クエスト受注の電子音が鳴った。これでクエスト開始だ。
「ならばついてこい」
男性ーー師匠?ーーは小屋から出て、そのまま小屋の裏に行った。
あり? てっきりこの開いた場所を使ってなにか秘密の特訓! みたいなことをすると思ってたんだけど......
とりあえず言われたとおりに師匠についていく。
すると小屋の裏にもう一つ建物が見えた。
ちょうど前の小屋に隠れて見えなかったようだ。
師匠はその小屋に入り、少しすると中から出てきた。
「これを割ってもらう」
ーー右手に巨大な岩を携えて。
......えーっと?
まさかとは思うけど。
「す、素手で?」
「そうだ」
あっははっははー。ふーざけーるなっ。
いやいやいや、さすがに無理でしょうこれは。だって俺よりも大きいもん、高さだけで2倍ぐらいあるもん。
どうしよう、クエスト開始1分で止めたくなってきたんだけど......
師匠にクエスト辞退伝えようとしたところ、
「さっさとやらんか」
「はい」
無理!!
とてもじゃないけど辞退できるような雰囲気じゃない!
師匠の背中から1層のボスから感じた10倍以上の威圧感を感じる。
さすがだなぁ、達人にもなるとこんなこともできるんだ......
はっ!? 待てよ! もしかしてこのゲームの中なら岩を割る、なんてことも不可能じゃないんじゃ!?
意外と簡単に割れるかも!!
......よし。
俺は足を肩幅程度に広げ、右の拳を大きく引く。
「はぁぁぁっぁあああ!!」
バキ。そんな中途半端な鈍い音が鳴った。
......そんなわけないですよね。
そして直後から右拳から体中に走るなんとも言えない不快感。
おぉぉぉぉぉぉ......
「不合格だ」
俺がこれ以上の不快感があるのか、という感覚に悶絶していると、師匠はどこから取り出したのか右手に筆を持っており、それで俺の顔になにか書くと前の小屋に戻っていった。
羽子板で負けたみたいだな......
「コウキー、だいじょうーーぶふぅ!!」
ずっと悶絶している俺を心配してきたのであろうミウは、俺の近くまで来ると急に吹き出した。
それに対して俺が疑問に思っていると、ミウが手鏡を取りだし俺に向けてきた。
するとそこにはーー
「なっ!?」
アルゴのような、髭を描かれた俺の顔があった。
「なんじゃこりゃーーーー!?」
それを見た瞬間に叫ぶ。
それと同時にアルゴの本当の狙いが分かった。
こういうことかよアルゴ!! 二段構えとは凝った真似を!!
なるほど、これはめちゃくちゃ恥ずかしい!!
「ちくしょう! こうなったら意地でもクリアしてやる!!」
そんなこんなで俺のチャレンジが始まった。
次の日、師匠の小屋に寝泊まりした甲斐もあってか、見事岩は割れてくれた。
おかげでアルゴを一生恨まずにすんだ。
よかったよかった。
......よかったのか?
SIDE Miu
コウキの修行(?)1日目
「おぉぉぉぉぉぉ......」
これで9度目。
これまでコウキが岩を殴った回数だ。
悶絶するコウキを苦笑いしながら見る。
ここまでくると、さすがに心配になってくるなぁ......
このゲームの中では、明確な痛みは存在しない。
だがその代わりに、なんとも言えない不快感が襲ってくるのだ。
コウキもキツいだろうなぁ、相手からの攻撃ならともかく、自分からあの不快感を浴びに行ってるようなものだし。
HPが減らないことが唯一の救いと言えばそうだけど......
「っと、私も頑張らないと」
検討の結果、私は《体術》スキルは会得せずに《疾走》スキルを取ることにした。
......いや、別にあの岩を見て怖じ気づいたわけでも、髭を見て止めようとか思ったわけじゃないよ?
単純な話、タイプの問題だ。
《疾走》スキルは移動スピードの上限アップなど、名前通り早く動けるようになるスキルだ。
《肉体強化》と少し悩んだのだが、私は間違いなく技巧派タイプだ。取っ組み合いをするタイプではない。それならということで《疾走》スキルを取ったわけだ。
「まずは......片手剣からかな?」
コウキがクエストをしている間、ただボーッとしているのも勿体無いので、私はスキル熟練度を上げることにしたのだ。
熟練度は、例えば片手剣ならば片手剣で攻撃して、ダメージを与えれば自然と上がっていく。
これはmobでなくともその辺にある木でもいい。
《疾走》スキルなら、ひたすら走るなどだ。
私は辺りを軽く見回し、少し太めのちょうどいい木を見つけ、それで練習することにした。
そこからは、私もコウキもただ黙々と動作を行った。(コウキは定期的に悶絶していたが)
そして3時間ほどしてお昼時。
「腹減ったーーーーー!!」
コウキの叫びにより、昼食となった。
「はい、どうぞ」
ということでランチタイム。
私は街を出る前に買っておいたサンドイッチをコウキに手渡した。
私たちは草の上にシートを敷き、座っている。
「ありがと、ミウってこういうところ意外とマメだよな」
「意外とって......私のことどう思ってたの?」
聞くと、コウキは途端に目を泳がせる。
「いやー、女の子らしいとは思ってるよ? うん」
「どうだか......」
コウキって、未だに私のこと男扱いしてる節があるんだよなぁ......
等と言っている私だが、実はアルゴにクエストが長引くことを聞いていたとは今さら言えない。
えっ、なんでコウキに言ってないかって?
......うぅ~、言い忘れてたんだよー。
なのにわたしだけちゃっかり買っちゃってるし。多めに買っておいてよかった。
「うん、美味い!」
コウキが両手にサンドイッチを持って幸せそうに頬張っている。
最近、いくつか分かったことがある。
例えばコウキは食べ物のことになると幸せそうに表情が柔らかくなったり。(私が言えたことじゃないけど)
味の好みが意外と子供っぽかったりとか。(私が言えたことじゃないけど)
普段は、大人しい訳ではないが落ち着いている雰囲気のコウキだが、この食事の時間だけは年相応な感じになるんだ。
色々なしがらみとか、思いとか、そういったもの全部他のところに置いておいて、ただこの時を楽しめているのが分かる。私自身もコウキも。
......なんか、いいなぁ。こういう時間。
静かだけど、耳を澄ませば鳥のさえずり、風で草木がこすれる音が聞こえてきて、仄かに草のかおりもする。コウキも幸せそうだ。
こんな空間、SAOやらなかったらずっと縁がなかったよ。
こんな時間、こんな空間が、コウキと一緒にこれからもずっと......
ーーっ。
......あれ?
今、私......
「どうしたミウ?」
「ひゃいっ!?」
感傷にひたっているとコウキが声をかけてきた。
び、ビックリしたぁ......
どうやらひたりすぎて手が止まっていたらしい。
「ははっ。『ひゃいっ!?』だって」
「も、もう!!」
コウキがお腹を手で押さえて笑う。
うぅ、恥ずかしい......
顔が熱い。
コウキが未だに笑っている。ツボにでも入ったのかもしれない。
「あんまりしつこいとサンドイッチあげないよ?」
「あぁ、ごめんごめん......」
コウキがようやく笑いを止める。
でも、本当に申し訳ないと思ってるのかな? まだ顔笑ってるし......
私がジト目で返しているとコウキもこのままではまずいと思ったのだろう。何度か咳払いする。
「で、どうしたんだ? さっき何か考えてたみたいだけど」
「んー、考えてたというか、むしろ感じてた......かな?」
「感じてた?」
「うん、ここの空気というか、雰囲気というか、なんかいいなぁって」
少し恥ずかしさはあったが別に隠すことでもないのでそのまま言う。
するとコウキは少し顔を赤くして「そ、そうか」とだけ言った。
どうしたんだろう? サンドイッチにマスタードでも入ってたのかな?
自分のものを食べてみるが、やはりマスタードは入っていない。
「?」
私はコウキの反応に首を傾げていると、あることを閃いた。
ふっふっふ、いいこと思い付いちゃったー。
でもそれを実行するためにはもう少し時間がいる。
「早くレベル上がらないかなぁ」
「レベル? なんでまた」
「ひみつー」
私はいたずらを思い付いた子供のような声音で返した。
いや、実際にこれはいたずらかもしれない。
「?」
そしてそんな私の反応に、今度はコウキが首を傾げる番だった。
それから少し談笑して、ランチタイムは終わった。
そしてまた特訓。
「おぉぉぉぉぉぉ......!」
私が木を相手に通常攻撃、ソードスキルの練習をしていると、もう何度目かも分からなくなった、コウキの悶絶声が聞こえてきた。
そちらをチラリと見ると、予想通りコウキが手を押さえて踊っていた。
「ふふっ」
つい、笑い声が出てしまう。
聞こえてくる音が小さい音ばかりなせいか、それとも風景になんの変化も起こらないせいか、時間の経過がすごく遅く感じる。
まったりとした空間。
そのせいか、先ほど気になったことかまた気になり出した。
ーーさっき私、コウキがいることが当たり前だと思ってた。
確かに私たちはパーティーなんだからそれで間違いはないのだが......
さっき私は何を想像した?
......一瞬だけど、『外』でコウキと一緒にいることを想像したような気がする。
ここをクリアしたら、私とコウキを繋ぐものはなにもなくなるのにーー
ドクンッ!!
「っ!?」
今の......何?
コウキと一緒にいないこと、それを想像するととてつもない寂寥感に襲われた。
体中が言い様のない嫌な緊張に囚われて、変な汗が出てくる。
それと同時に、
ズズン......
「あっ」
考えに夢中になりすぎても体は動いていたようだ。
目の前には剣で切られまくり、ボロボロになった挙げ句倒れている木が横たわっていた。
......あちゃ~。
「どうしたミウ、大丈夫か!?」
......さて。
心配してこれから来るコウキにどう言い訳するのか考えないと。
コウキの修行2日目
私は今、練習を一休みしてちょうどいい高さの切り株に座り、コウキの修行を眺めている。
「うぅー」
今日の私は、というより昨日の夜からずっと顔が赤い気がする。
昨日、日が暮れるまで修行を続けているとコウキの師匠が、
「泊まっていけ」
とだけ言い、私とコウキを引きずって小屋に連れ込んだのだ。
そこまではいい。
そのあと出てきた食事もビックリするほど美味しくて女としては少し悔しかったけど、まぁ、それもいい。
問題はそのあと。あの小屋はあまり大きくなく、空き部屋が一つしかなかった。
......ご察しの通り。
昨日、私たちは同じ部屋で寝たのだ。
いや、別にやましい意味合いではなく、そのままの意味で。
それでも私は錯乱してしまうし、コウキも落ち着きはなかった。
いくらなんでもこれは......と色々な他の案を考えたが、最終的に私がベッド、コウキは床で寝ることになった。
恥ずかしいが一緒にベッドで寝ることや、私が床に寝ることも提案したのだが、コウキが頑として引かなかった。
罪悪感はすごく残ったが、コウキに謝り私はベッドで寝た。
そして今朝、起きてみるとコウキの姿がどこにもなく、部屋を探してみるとなんとクローゼットのなかにいたのだ。
あれにはさすがに驚いたなぁ。
その後事情を聞いてみると、
「音が......息が......顔が......」
と、よく分からないことを呟いていた。
......うぅー、さすがに恥ずかしい。
コウキも今日はどこか落ち着きがない気がする。
さっきも何を思ったのか、修行用の岩に連続で頭突きしてたし。
「はぁ」
つい、ため息が出る。
前、《トロイ》のときは別に一緒の部屋で寝てもいいと思ったんだけどなぁ......なんで今はこうも......
......そういえば、なんでコウキのこと考えるとこのモヤモヤが出るのか考えろって、アルゴが言ってたっけ。
なんでだろう?
昨日もコウキがいなくなることを考えたら不安になった。
「うーん」
もう一つの、なんでコウキの力になりたいか、こっちは少し分かるんだけどな。
これはいつもコウキにお世話になっているから、恩返ししたいからだ。
でも、これをアルゴに言っても、
「もうちょっと考えてみロ」
としか返ってこなかった。
なんで恩返ししたいかってことかな?
「うーん」
結局堂々巡りになってしまう。
......そういえば。
モヤモヤが出るのはいつもコウキと何かあったときだ。
もしくは、私に何かしらの心境の変化があったとき。
日常的にモヤモヤしているわけじゃない。むしろ何もないときはモヤモヤどころか幸福感っぽいものを感じている気がする。
昨日のランチタイムのように。
「うがーーーーー!!」
コウキが何やら叫んでいるので見てみると、頭のネジがストレスやらなんやらで飛んでしまったのか、岩にキックしていた。
「おぉぉぉぉ......」
そしてまた悶絶。
......あれ、本当に割れるのかな?
それにしては未だにひび一つ入っていない。
少ししてコウキは悶絶から復活すると、
「まだまだぁ!!」
すぐにまた岩割りにチャレンジを開始した。
コウキ......
「よし」
私も負けていられない!
切り株から立ち上がり、私も特訓を再開する。
結局今回もコウキといるのはすごく楽しい、という結論しか出なかったけど、本当にそうなんだからそれでよしとしよう。
数時間後。
ビシ。
何かが欠けるような音が聞こえた気がする。
「もういっちょぉぉぉお!!」
コウキがさらに岩を殴る。
瞬間、岩全体にひびが走る。
そして、
ガァァン!! という音を立てて岩は半ばから砕けた。
私は、いや、おそらくコウキも少しの間唖然としてしまった。
頑張っていたコウキは尚更だろう。
コウキを見ると、口をわなわなと震わせていた。
「や、や......」
次の瞬間、
「やっっっっっっったぁぁぁぁぁぁ!!」
コウキは右手を上げ喜びを全身で表現していた。
「ミウー!! 俺できた、やっとできたぞーーー!!!」
「うんっ! おめでとう!!」
私はコウキに駆け寄る。
あれだけコウキが頑張っているのを知っているので、こちらまで叫びそうになる。
そしてそのままコウキの目の前まで来ると、コウキが私の両手を握ってきた。
「ふぇっ?」
そして、
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ひゃっ!? ちょっと、コウキーーーーー!?」
そのままクルクルと回り出してしまった。
目が回る~~。
それから私が目を回しているのにコウキが気づくまで、5分ほどかかった。
うぅー、喜びと苦しみが同時に~。
はい、最近恒例化しているミウさんサイドでした。
こう、少しずつ自分の思いに気づいていく、という展開はすごく好きなのですが、その描写がすごく難しくて...
そしてコウキくんは今回、半分近く悶絶しているだけという...
なんでこうもコウキくん殺しになっているんだろう? かなり好きなキャラなんだけどな。
次回は.....戦闘できないだろうなぁ。コウキくんは出番あるけど。