力無き少年のソードアート・オンライン   作:Aruki

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16話目です!

今回は少し短めです。
前回からも書いていた、戦闘が書けないというあれ。ストレスが一周、回って逆に話そのものが砂糖風味になってしまいました。どうしてこうなった...
それでも良いと言ってくださる方はそのままスクロールをどうぞ!



16話目 有力な少女は寂しがり屋で甘え下手

「はー、今日はなんか疲れたねぇ」

 

 攻略から帰ってきてすぐにミウが言う。

 今のミウの服装は攻略中に着けている防具などはほとんど外して、白のインナーの上に水色長袖のカーディガ、その上に厚手の白の上着を羽織っている。下は紺色のハーフパンツとニーソ。そして背中にミウ愛用の片手剣があるだけだ。

 普通のプレイヤーは自分の部屋などに帰るまでは防具を着けているものなのだが、ミウは、

 

 ーー防具は肩が凝ってやだ。

 

 と言って、最近は圏内では防具は外すのだ。

 そのせいかミウはかなり周りからの視線を集める。

 まぁ、ミウの服装って見ようによっては男にも女にも見えるからなぁ......その上ミウ本人は中性的な美人(美少年)ときた。そのせいで男女問わず視線を集めまくってるわけだけど。

 そしてその副次効果として俺にも視線が少なからず集まってくる訳だが......

 慣れって怖いよなぁ、一週間程度で慣れてしまいました。

 

「まぁ、さすがにmobを100匹倒せっていうクエストはないよなぁ......」

 

 せめてもの救いはパーティー1つで100匹倒すっていう内容だったことだけど、あれって間違いなく6人以上を想定して作られてるよなぁ。

 しかもクエスト中は倒しても倒してもリポップするんだから、mobを探す手間は省けたが、わらわらと沸いてくるmobを次から次へと相手しないといけない状況は精神的にかなりキツかった。

 

「ヨッ!」

 

「ん?」

 

 急に後ろから肩を叩かれたので振り返る。

 そこにはここ最近本当によく見かける灰色のフードが。

 

「アルゴ!」

 

「ミーちゃんまた私服だナ、恐れ入るヨ」

 

「へ? なんで?」

 

「......コー坊も大変だナ」

 

「その言葉だけでもありがたいよ......」

 

 俺も服装だとかその辺は結構気にしないが、ミウの場合は無自覚に無頓着というか...

 とにかく、色々と釣り合わない俺は大変である。

 俺とアルゴの会話がいまいち分かっていないミウは少しつまらなさそうだったが、そこは我慢してほしい。

 

「二人は攻略の帰りカ?」

 

「うん、そうだよ。アルゴは?」

 

「お姉さんハ......まァ、仕事帰りカナ」

 

 アルゴが適当に流すように言う。

 仕事って言うと《鼠》のほうか。

 アルゴはどうもミウに対しては完全に友人として付き合いたいらしく、《鼠》のことに関してはあまりミウには言わない。

 というより、言いたがらないといった感じか。

 その理由は何となくとだが分かる。

 ミウは俺やアルゴとは違って『醜さ』や『汚れ』というのとは正反対に位置している。

 それは知らない、ということではなく、知ってなお真っ直ぐに生きているということだ。

 そしてアルゴが行っている情報屋というのは、場合によってはそういう『醜い部分』というのも出てくる。それをミウに見せたくないのかもしれない。

 ...でも、アルゴってかなりの量の情報を持っているけど、いったいいくつ仕事抱えてるんだろ?

 夜中も仕事しているって前に聞いたような気がするし、休む時間とかあるんだろうか?

 あ、そういうことを心配されるからミウに言わないってのもあるのか。

 等と考えていると、それが伝わったのかアルゴは俺を見てニヤーっと含みのある笑顔になった。

 げっ、ヤバイ、地雷踏んだ。

 

「へー、コー坊。お姉さんのこと心配してくれるのカ?」

 

 アルゴが近づいてきて、俺を下から覗きこむように言う。

 こいつはなんで、こう...素直には言えないんだろう?

 気にくわないが、まぁ、確かにアルゴの言う通りではある。が、なんかこのまま認めるのも癪だ。

 

「......はぁ、別に」

 

「アレー? コー坊はお姉さんのことなんかどうだっていいのカ? ひどいなァ」

 

「そうだよコウキ、アルゴは毎日頑張ってるんだし」

 

 あれ!? 俺が悪者になってるし!!

 アルゴを見るとニヒヒといった風に笑っている。

 

「はいはい! 少し心配しましたよ! これでいいですか!?」

 

「少しダケ?」

 

「鬼か!?」

 

「鼠ダヨ」

 

「知っとるわ!」

 

 なに!? アルゴは俺に何を求めているんだ!?

 ていうかなにこの羞恥プレイ!?

 

「ニャハハハ、冗談ダヨ。いヤー、でもコー坊は優しいなァ、なぁミーちゃン?」

 

「そうだよね。コウキいっつも優しいもん」

 

 だからなにこの状況!?

 なんだ、アルゴが絡んでこんな俺を誉めるだけ、なじるだけで終わるだけなんてありえない。

 そもそも俺はまだ《体術》スキルの件を忘れてはいない。

 小さい男? 知らんがなそんなこと。

 一体、今回は何が目的なんだ......?

 

「コー坊もそんなに身構えなくてもいいダロー。ちょっと心配ついでに晩御飯をあやかろうとしただけサ」

 

「......ものすごく高価なとこでってこと?」

 

「......なんカ、自分の信用のなさに少し悲しくなったヨ」

 

 そう思うんだったら日頃の自分の行動を見直せ。今言った台詞を笑顔で言うな。

 

「別にいいんじゃない? アルゴにはいっつもお世話になってるんだし、コウキも話したいこととかあるんでしょ?」

 

 俺がひねくれたことを考えているとミウが言ってくる。

 うぅ、ミウの純粋さが目に染みる。でもミウ、そろそろアルゴのことを少しは警戒してもいいと思うんだ。

 けど、ミウの言うことも事実だ。

 この前もミウのことで世話になっているし、それ以外でも借りが色々ある。

 ......まぁ、百歩譲って......晩ごはんぐらいなら......うん。

 

「......店はこっちで指定してもいいんだよな?」

 

「あァ、美味いとこならどこでもいいゾ」

 

 なんか上手く出来すぎな気もするけど......ま、いいか。

 

「じゃア、早く行こウ?」

 

 ーーなっ!?

 アルゴは言うと同時、俺の右腕に抱きついてきた。

 こいつ、本当に今日はなに考えてるんだ!?

 なんか一瞬温かくて柔らかい感触がーーいやいや。

 

「アルゴ、歩きづらい、邪魔、離れろ」

 

「アレレー? コー坊、お姉さんに抱きつかれてドキドキしてるのカ?」

 

「違うし」

 

 確かに一瞬緊張はしたが、どっちかといえば、食われる!! とか思っただけだし。いやマジで。

 大体、俺はアルゴみたいに自分のことを会うたびに弄ってくるようなS女に対してトキメキを覚えるほど人として終わってはいない。

 ......いや、だから本当だって。実は女の子に抱きつかれてヒャッホイとか思ってないから。

 はぁ......まぁ、今回は実害がある訳じゃないし、いつもに比べればマシか。

 さっさと店に行ってこの妙の状況をすぐさま終わらせようと思い、ミウに声をかけようとしたのだが、

 

「あれ、ミウ?」

 

 ミウがいつのまにか移動していて、俺たちの前をすでに歩き始めていた。

 そしてミウは俺たちの方を振り返ると、

 

「ねぇ、早く行かないの?」

 

「あぁ、ごめん。行くよ」

 

 ......気のせいか?

 ミウの雰囲気に一瞬違和感があったんだけど......

 俺は首を捻りつつ、ミウの隣までーーアルゴを引っ張りながらーー歩いていく。

 

「......コウキのバカ」

 

「へ?」

 

 ミウの方を見ても、ミウは俺とは逆方向を見ている。なんか聞こえた気がしたんだけどな......

 それにさっきの違和感もあるし......

 こういうときこそアルゴの出番だと思い、アルゴを見ても何かニヤニヤしているだけ。

 ......どうなってんのこれ?

 

 

 

 

 

「二人ともまたナー!」

 

 その後は結果的には何も起こらなかった。

 あくまでも表面的には、だが。

 店に入ってからは、ボックス席でなぜかアルゴが俺の隣に拘ったり(誰か他の人がいるときはミウが俺の隣に来る)、それを見てミウがなんか変な拗ね方をしたり、それを見てアルゴが肌を潤わせたりなどなど......

 とにかく精神的に辛かった。

 今日のクエストよりもよっぽど疲れた。

 今回使った体力ならフルマラソン走破できそうなぐらいには。

 

「......はぁ、んじゃミウ、帰るか」

 

 そう言って、俺はまず転移門に向かうために歩き出す。

 が、

 

「......どした? ミウ?」

 

 ミウが俺の服の袖を引っ張っていた。

 どうかしたのかと思い、顔を見ようとするがミウは顔を下げていて表情がよく見えない。

 返事もないのでこちらからもう一度声をかけた方がいいか迷っていると、

 

「............ん」

 

「......へ?」

 

 ミウが何も言わずに手の平を俺の方に出してくる。

 これは......えーと?

 

「......こう?」

 

 ポン。

 色々とシミュレーションしたり迷ったりした結果、とりあえず犬よろしくお手をしてみる。

 いや、いきなり手出されても、俺の脳ではこれぐらいの発想が精一杯です。

 

「うー......バカ」

 

「なんで!?」

 

 だが残念なことに、俺の行動はおきに召さなかったらしくミウの反応は芳しくなかった。

 それどころか初めて罵倒された気がする。

 どうすりゃいいのこれ?

 しかもミウは頬を膨らましながらそっぽを向いて、もう歩き出しちゃってるし。

 だが、先ほどまで出していたミウの右手は今も不自然にそわそわしている。

 

「......まさか」

 

 そういうこと...なのか? えっ、でもマジで?

 俺の勘違いとかじゃなくて? これ選択ミスとかして突き飛ばされたりしない?

 大体、ミウが『それ』を求めてくる理由がない。仮にあったとしても見当もつかない。

 再び俺が迷っていると、ミウがまたこちらを向いて上目使いで悲しそうな目になる。

 ......はぁ、ま、『押し付け』禁止したのは俺だしな。もしもそうだったら俺にもご褒美になるーーなんつって。

 

「......間違ってたらごめんな」

 

「あっ......」

 

 俺は言って先ほどまで出されていたミウの手を握ると、やはりこれが正解だったのか、ミウは一瞬驚きつつも俺が繋いだ手を見て、

 

「えへへ」

 

 いつも以上に嬉しそうに笑った。

 うーん、ミウの気持ちが少しずつ分かるようになって嬉しい反面、あまりにも混じりっ気がないミウの笑顔に少しむず痒い。

 というか、俺なんかと手繋いで何がそんなに嬉しいんだろう? あれか、寂しいときには人肌が恋しくなるとか?

 ......余計に俺である理由がわからない。アルゴの方がいいんじゃ......

 ミウを見ると幸せの絶頂とばかりに嬉しそうだ。

 ..................。

 

「じゃあ、帰るか」

 

「うんっ!」

 

 ミウは先ほどまでの拗ね具合がなんだったのかというばかりに力強く頷くと、俺を引っ張るようにして歩いていった。

 ミウを再び見ると、何も変化なく輝くほどの笑顔だ。

 それこそ本当に、これ以上ないぐらいに。

 まるで、『昔』の俺のように。

 ......まさか、な。

 今はとにかく、ミウが嬉しそう、それだけでいいや。

 

 




はい、甘々回でした。
いえ、世の中にはもっと糖分過多な作品があることは知っているのですが、この作品の作風(現時点)から言えばかなり甘かったのではないかと。
そしてこの回、ぶっちゃけミウさんの無自覚嫉妬と甘えを書きたかっただけといえばそうです。

今回は短めになってしまいましたが、そのぶん次回はそこそこ長くなる予定+遂に!戦闘がくるーーー!....予定です。
もうテンションバリバリです! 頑張ります!
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