力無き少年のソードアート・オンライン   作:Aruki

56 / 81
47話目です!!

ヨウト「今回はなんと、イラストが届いだぞ!! テーマはミウちゃん!」

コウキ「ミウは2枚目だな」

ミウ「えへへ......ありがとうございます」

コウキ「しかも今回のは作者の粗末な絵じゃなくて、作者の友人が大部分を描いてくれたやつだからかなり上手い。全身絵だしな」

ヨウト「作者も頑張ってるんだけどなぁ、中々難しいみたいで」

コウキ「今後もたまにイラストが届くかもしれないだと」

ミウ「作中のキャラならリクエストがあったら描くかもだって」

ヨウト「じゃあ、作品はこちらになりまーす!」



【挿絵表示】



ヨウト「.......なんというかアレだよな」

コウキ「アレ?」

ヨウト「俺はともかく主人公のお前すらも描かれないっていうのが、作者の趣味とかその辺が出てるなぁって」

コウキ「虚しくなるからやめれ」


SAO 光闇の狭間の中で
47話目 敗者はうつむくな


 

「と、いうことで、私たちを鍛えてください!!」

 

「お願いします!!」

 

「.......あなたたち、意外と図々しいわね......」

 

 ヨウトの家からミウと出発して約2時間。ようやく目的の人物ーーーーニックに出会えた。

 ここまでの道のり、意外と長かった。

 

 まず、今回のことでヨウトには本当に助けられた。だから恩返しとしてミウの手料理をプレゼントさせてもらった。

 俺の恩返しなのだから俺がなにかすべき、と思ったのだが、ミウが「私にやらせて、お願いっ!!」と言って引かなかったこともあり、結局またもミウに頼ることになった。

 ......最近、ミウに甘えることが多くなってる気がする。それは良いことなのか悪いことなのか微妙なところだけど。

 

 次にリリ。リリにも負担をかけてしまった。俺の話をいきなり聞かされたせいなのか、あの話の最中少し顔色が悪かった。

 だからリリにもなにかーーと思ったのだが、俺たちが出る時間になっても、リリは自分の部屋から出てこなかった。

 どうやら昨日の夜寝るのが遅かったせいでまだ寝ているらしい。俺のせいだとすれば、本当に悪いことをしてしまったと思う。

 今日はもうどうしようもないから、今度会ったときになにかお礼をしよう。

 

 そしてニックに出会うまで。これが中々出会えなかった。

 フレンド登録はしているからフレンド追跡でどこにいるのかは大体分かるが、なのに中々会えない。ニックはかなり気まぐれで行動しているらしい。

 そして最終的に、同じ街にはいるのだからフィールドに出る門の前で待っていれば会えるんじゃ!? ということで待つこと1時間、やっと会えた。

 長かった、本当にここまで長かった.......

 

「それで、回想シーンが続くのなら私もう行くけど?」

 

「ごめんなさい」

 

 いつも思うんだけど、なんでミウもニックもたまに俺の考えてること当てるんだろう? 俺そこまで表情に出てる?

 ニックに会ってもっと強くなるためにも俺たちを鍛えてくださいと頭を下げたのがさっきです、はい回想終わり!!

 ニックは呆れたようにため息をつく。

 

「えと......やっぱり、強くなるのに誰かを頼るのは......ニックさんとしてはダメですか?」

 

「別に、方法そのものに興味はないわよ。なにをしても、どんな方法で強くなろうとも、強者であることに変わりはないもの」

 

「じゃあ!!」

 

「ただ」

 

 ミウが上げた声を遮るようにニックは言う。

 そして、この日初めてニックは俺に視線を向けてきた。

 その目は、今まで見たことがないほどに、冷たい。

 

「ーー一度負けた人に構ってるほど、私は暇ではないわ」

 

「.......」

 

「え、ニックさん、その話どこで......」

 

「あなたたちの表情を見れば分かるわよ。それに、私もあの情報屋とは仲良くさせてもらってるの」

 

 情報屋......アルゴか。

 アルゴには俺たちのことを報告してあるから、確かにニックさんが知っていてもおかしくはない。

 ニックは冷めた口調で続ける。

 

「ただ一度負けた。それだけなら誰しもあることだからそこまで気にはしない、けれど、あなたは自分の信念に負けた。違う?」

 

「それは.......」

 

「私はね、あなたの実力を見込んで今まで買っていた訳じゃない。あなたの愚直なまでの信念を見込んでいたの」

 

「でも! コウキは私をーー」

 

「ミウ、いい」

 

 守りたい人を、守りたいものを守る。

 俺はその信念を、シバに叩き折られた。

 自分の身丈を、いるべき場所を突き付けられた。

 お前には、誰かを守るなんてできやしない。

 シバにそんな考えはなかったとは思うが、それでも俺がシバに負け、ミウを守りきることができなかったということは、そういうことだ。

 奥歯を噛み締める俺に、ニックが抜いた剣を静かに真っ直ぐと向けてくる。

 

「自分の信念に負けたあなたは、もう一度あの言葉を吠えることはできる? 叫び、誓うことはできる? 自分や、自分の回りのことが完全に見えてしまったあなたに、それができる?」

 

「.......」

 

 言うだけなら、簡単だ。

 ただ、言えばいい。また俺が望んでいるような綺麗事を並べて、できるかできないかじゃない、やるかやらないかだ、とでも言って叫べばいい。

 簡単なことだ。

 でも。

 できない。

 知ってしまったから。

 自分が成し遂げようとしていることの難しさを。

 自分ががどれだけ甘いことを考えて、どれだけ現状を甘く見ていたのかを。

 言葉に対して、実力がどれだけ無責任だったのかを。

 ......俺じゃあ、大切な人を、ミウを、ヨウトを、リリを、守ることは、できない。

 それはーー分かってる(、、、、、)

 だから(、、、)

 

「じゃあ」

 

 俺は、挑戦しよう。

 自分の可能性に。

 目の前の壁に。

 そしてーー自分の信念に。

 

「1ヶ月後、俺とデュエルしてくれ」

 

 ピクリ、とニックの眉間がわずかに動く。

 これも、身丈に合わない頼みだということは分かっている。

 それでも、俺は言う。

 俺が俺であるために。

 

「これから1ヶ月。とにかく特訓しまくって、あの信念を今度こそ本当の意味で言えるぐらいに強くなってみせる。だから......頼む」

 

「コウキ......」

 

 ミウの心配そうな声が聞こえたが、それでも俺は頭を下げる。

 ここは譲れない。ニックに承諾してもらえなければ、俺はこれ以上進めなくなってしまう。

 そして。

 

「......好きにすればいいんじゃない?」

 

 ニックは、冷めた口調のまま言った。

 

「デュエルならいつでも受けるわよ。それであなたの信念が今度こそ完全に壊れても、知らないけどね」

 

「......ありがとうっ、ニック!!」

 

 ニックは俺の言葉を聞いた後目をつむった。これ以上話すことはない、ということなのだろう。

 それでも、俺からすればこれ以上ない待遇だ。

 こうしてはいられない、早くなにか強くなる方法を見つけないと!!

 俺がすぐにでもミウを連れて走り出そうとした時、ニックが

 

「そうだ、ミウ」

 

「え、なんですか......?」

 

「あなたはここに残りなさい。1ヶ月の間、相手してあげる」

 

「......っ! いいん、ですか?」

 

「えぇ、あなたは折れてないみたいだから」

 

 ミウは嬉しそうに表情を明るくしたが、すぐに俺のことを見てくる。

 どうしよう、そんな考えがすごく出ている表情だ。

 俺はミウに笑って返す。

 

「いいじゃん。ミウはニックに鍛えてもらえよ。いつも俺相手じゃ物足りなかっただろ?」

 

「そんなこと......」

 

「ないとしても、俺がそう思っちゃうんだよ。ミウはもっと強い相手でも通用するって」

 

 ミウは良くて俺はダメ。

 その事実は、正直かなり悔しい。

 でも、それでいいんだ。

 この距離が、今の俺とミウの距離。

 この距離を、なんとかして埋めなくちゃいけない。

 

「だからミウにも頼むよ。俺が強くなるの、ちょっとだけ待ってくれないか?」

 

「ーーうん。分かった。私待つよ。コウキのことなら、いくらでも待つ」

 

 ミウが強く笑う。

 ......この笑顔に追い付かなくてはいけない、そう考えるとかなりきついが、上等だ。

 きついぐらいがちょうどいい。

 俺はもっと、強くなってみせる。

 

「じゃあ、ミウ!」

 

「うん、またね!!」

 

 俺は走り出す。

 

 

 残り1ヶ月。

 ミウやニックが立っている場所まで追い付くまでの残り時間は、決して多くはない。

 それでも。

 

「絶対、強くなってやる......!!」

 

 俺のためにも。

 大切な人たちのためにも!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 SIDE Nick

 

 コウキが走っていくのを見送る。

 その姿にはまだなにも感じない。ただ上を見上げている少年、それだけだ。

 ......さて。

 コウキから視線をはずし、改めてミウと向き直る。

 そしてミウは......なんだか不機嫌顔だった。

 

「なにも、あそこまで厳しく言わなくてもいいじゃないですか。コウキも悩んで悩んで、ずっと頑張ってるんです」

 

「......あなたもコウキにベタ惚れねぇ」

 

「うっ......わ、悪いですか?」

 

 全面的にコウキの味方をしようとするミウに呆れる。

 そこまで誰か特定の男性を好きになる、という経験を私はしたことがないせいで分からないのかもしれないが、そこまで誰かを信頼し、大切にできるというのはどうしても陳腐なものに感じてしまう。

 

「ふぅん? コウキのこと素直に認めるようになったわね」

 

「.......だって、大好きですもん。嘘でもこの気持ちを否定したくないです」

 

「......あっそ」

 

 甘い。

 無性にコーヒーが飲みたくなってきた。

 ただ今手持ちは紅茶しかないので諦める。

 だからコウキのこと思い出して顔を赤らめるのはやめなさい。あと落ち着かないように体を小さく揺らすのも。余計にコーヒーが恋しくなるから。

 それにしても......

 

「厳しい、ねぇ。私にしては、大分『甘く』してしまったと思ったのだけれど.......」

 

 元々、コウキは私やミウのような、『力ある者』とは違う人間だ。

 だから私と無理に戦ってもコウキは私のように強くはなれないだろう。

 だが、『強さ』は一種類ではない。

 コウキが手に入れるべき『強さ』は、私とはまったく別の、コウキにあったものがあるはずだ。

 なら私と鍛えるのはコウキにとって逆効果になりかねない。

 それに、コウキには先程の会話の中でいくつかヒントを与えた。あの様子では、多分気付いていないようだけど。

 このまま終わるのならそこまでの人物、なにか新しい一歩を踏み出させたのならそれもまたよし。

 ......はぁ、私のキャラじゃないわね。どうしてあの子にはこんなに育てるような目線で見てしまうのかーー

 

「そうですね。ニックさんコウキのことすごく気にかけてますし」

 

 ーーっ。

 

「......あら? さっきまでの私を見てどうしてそう思うのかしら?」

 

「だってニックさん、コウキのことアルゴに聞いた、って言ってましたよね? アルゴは誰か特定の一個人の情報は売りません。それなのにニックさんはアルゴから聞くことができたっていうことは、アルゴも納得するような理由があったってことです。それこそ.......なにか、コウキの『ため』になることとか」

 

「.......」

 

 この子は、やはり苦手だ。

 私が意識していないことや、察してほしくないこと、それらを全て拾ってみせる。

 天性の勘ってやつなのかしら? まったく厄介な。

 小さく息をつき、剣を構える。

 

「そんなこと気にしている余裕、あなたにあるのかしら? これから私と戦うんでしょう?」

 

「えっ、いや、確かに鍛えてほしいとは言いましたけど、そんな戦いたいってことは......」

 

「私はなにかを教えることは苦手よ、見て、戦って感じなさい」

 

「でも場所は選びましょうよ! ここフィールドの目の前ですよ!?」

 

 なにをそこまで気にしているのかしら?

 戦うのなんて邪魔さえ入らなければどこでも一緒じゃない。

 

「野次馬なら放っておきなさい、それに.......あなたも、私が飽きたらそこでメチャクチャにするわよ?」

 

 少し、言葉に殺気を乗せてみる。

 するとミウからは先程までの慌てようを完全に消え失せ、次に出てきたのは存在感。

 強者が持っているそれ。

 ......ふふ、1ヶ月、そこそこ楽しめそうね。

 

「それじゃあ、いくわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 SIDE Kouki

 

「.......さて、どうしようか」

 

 どこぞの打ちきり少年漫画よろしくの勢いで駆け出した俺はその後、なにをどうすれば良いのか具体的に思い付かず、結局ヨウトの家に戻ってきてしまった。

 しかもあの後ミウからメッセ来たんだけど、ニックの特訓は午後の2時ぐらいまでで、その後は俺と合流するらしいですよ?

 なんかミウとは当分別行動、みたいな勢いだったからかなり拍子抜けしてしまった。

 いやぁ......勢いはよかったと思うんだけどなぁ。

 

 でも、これは改めて考えるとかなり大きな問題だ。

 俺は今まで、ミウを追いかけて強くなってきた。

 ミウの技術も、盗んだ、というよりはもう自分の一部にするぐらいまでに身に付けてきた。

 俺の先にはいつも、ミウがいた。

 でも、今日からは違う。

 ミウと同じことをしていたんじゃ、いつまで経っても俺はミウの後ろにいることしかできない。

 俺は、ミウを守れるぐらいに強くならないといけないんだ。それじゃあダメだ。

 ミウよりも速い速度で強くなる。そのためにはどうすれば良い?

 ニックは俺にとって強さの象徴みたいな人だ。だから今回鍛えてもらいに行った(断られたけど)

 

 他に強い人と言えば......やっぱりキリトだ。

 最近はレベリング異常なほど入れ込んでいて、攻略組の中でももうレベルで追い付ける者はいないんじゃあ? とまで言われている。その上本人の実力もニックと同等。

 だからキリトに鍛えてもらうというのも考えた、というか頼んでみたが、断られてしまった。

 断られたことを抜きに考えても、最近のキリトは危ういというか、すごくギリギリなところに立っているような印象がある。

 何度も理由を聞いてみたり、悩みはないかと聞いてみたりもした、でもダメだった。

 キリトほどに強いプレイヤーなら、何かあっても対処はできると思うが......今のキリトはなにかとんでもないことをしてしまいそうで怖い。

 

 とにかく、そんな理由でキリトにはこれ以上は頼めない。

 そうなると次に俺に必要なのは、俺にはない考えや強さだ。

 だから、俺にはない考えや強さを多く持っている、『こいつ』に頼る。

 

「ヨウト、昨日の今日で悪いけど、手伝ってくれないか?」

 

「おう、いいぞ」

 

 ヨウトの即答に、俺の方が一瞬固まる。

 

「え、あのさ、なんか条件反射で答えてないか? もっと悩んでくれても......」

 

「んなことねぇっつの」

 

 いやでもだって、なぁ?

 俺の訓練期間はニックとのデュエルまで、つまりは1ヶ月。

 その間午前は俺に付きっきりになってくれって言って、それにノータイムで返答されたらなぁ。

 またこいつは俺に対して過保護を発動しているんじゃないかとどうしても勘ぐってしまう。

 だが、ヨウトは俺の考えに反してため息をつく。

 

「ま、お前のことを心配して、っていうのは確かにあるよ? でもそれだけじゃないってこと」

 

「......つまり?」

 

「お前とミウちゃんがやられかけたって聞いてさ、やっぱ攻略って危険だなって再認識したんだよ。だから俺ももっと鍛えなきゃなって。コウキの訓練に付き合えば俺も今よりは強くなれるしな」

 

「......じゃあ、悪いけど、1ヶ月頼めるか?」

 

「だからいいって言ってんじゃん。レベリングの方も気にすんな。俺はソロだし時間の都合はつけやすい」

 

 ......たく。なんでそこまで、良いやつなんだよ。

 ついお礼を言いそうになったが、それは口に出さない。

 ヨウトは礼なんか望んじゃいない。こいつはそんなものよりも、実際に行動で示した方が喜ぶから。

 だから、ヨウトへの最高の礼は俺が強くなることだ。

 ......また強くなる理由が増えてしまったが、それでいい。

 それぐらい、大事なことだから。

 ヨウトは俺のことをジッと見ると、微笑みながら言う。

 

「でも、やっぱコウキ変わったよ」

 

「は? なにが?」

 

「なんていうか......前までのお前はさ、自分が抱えた問題は自分の中だけで必死になんとかしようとして、無理してる雰囲気あったから。こうやって誰かを頼ることを覚えたのは、やっぱり変わったってことなんだろうなって」

 

「......」

 

 そう、かもしれない。

 いろんな人に支えてもらって生きている。この世界ではそのことを本当に強く実感する。

 特に、仲間、というか、友達、というか。そんな人たちに自分を支えてもらっているから、俺は今こうして生きてる。

 そんな当たり前のことが、最近やっと分かってきた。

 それが分かったのは、多分ーーーー

 

「本当、誰のお陰でそれをお前は分かったのやら」

 

「......多分、ヨウトなんじゃないか?」

 

「ははっ、そうなら割と嬉しいんだけどな。今のコウキがいるのは、俺の力じゃないってことぐらい分かるよ」

 

 ヨウトが浮かべる笑みは、俺の思考なんて全てお見通しだとばかりに楽しげな笑みだ。

 今すぐにでもその笑みを潰してやりたいが、それをしようとするとヨウトの笑みを肯定することになってしまう。ええい、忌々しい。

 せめて表情で抗議しようと不機嫌な顔をしてみるが、ヨウトは楽しそうにケラケラ笑うだけだ。くそ。

 

「あぁ、そうそう。コウキこれからこの家の部屋使えよ。一緒に行動するのならそっちの方がしやすい」

 

「......なんか今日はえらい太っ腹だな。この後お前のわがままに振り回されそうで怖いんだけど」

 

「そこを素直に善意として受け取れるようになったら俺も安心なんだけどなぁ。コウキのツン期はまだ先が長そうだな」

 

「ツンデレじゃねぇよ」

 

 悪かったな、捻くれてて。

 あーあー。ダメだダメだ。まだ昨日の話の尾が引いてるのか微妙にテンション上がりきらない。

 ヨウトとの会話でこういうしんみりさは合わないんだよ。そりゃあ、ずっとバカな話がしたいわけじゃないけど。

 なんかこの空気壊す要素ないかなぁ。と頭を捻らせていると。

 

「すいません......! 私寝坊しちゃって、コ、コウキさんたちはもう出ちゃいましたか......!?」

 

 ダイニングと各部屋へと繋がる廊下を遮る扉が勢いよく開かれた。

 そこに立っていたのはリリ。彼女が口にした通り、どうやら今までゆっくりと眠っていたらしい。

 やはり俺のせいでそこまで気疲れさせてしまったのか、と申し訳なく思う気持ちもあったが、それどころではない。

 

「あっ、コウキさん、お、おはようございます......すいません、お見苦しいところを見せてしまって......それに、ヨウトさんも」

 

 リリが俺だけではなく、ヨウトにも言った。

 それだけでも前と比べたらすごい進歩だ。俺たち3人の努力が実ったのだ!! とメチャクチャ喜びたいが、それどころではない。

 あまりに俺とヨウトの反応がなく、徐徐に不安になってきたのかリリは不安そうに視線をあちらこちらに移す。

 まずい、このままでは気づかれてしまーーーー

 

「リリちゃん、その着崩し方メッチャエロいな!!」

 

 瞬間、時間が凍りついた。

 ーーーーおいこらバカヨウト。なんで自分から地雷を踏み抜きにいきやがった......!!!

 そう、今のリリの姿はパジャマ姿で......なんというか、その、そこそこはだけていた。

 右肩は完全に見えてしまっていて、服の前で止まっているボタンも第二まで開いてしまっている。そして寝苦しかったのか服のシワも数多くできていて......

 その姿は、俺たち男の子からすれば、ちょっとアレなことをした直後みたいな感じに見えてしまって......

 いや、寝てるときに外れちゃって、しかも慣れない他人の家での泊まりだった上に起きてみたらもうかなりの時間でテンパって着替えるのを忘れてしまった、っていうリリの気持ちはすごく分かる。だから俺は深く突っ込まなかった。

 なのに、ヨウトは......

 自分の衝動に正直なヨウトの性格がここまで厄介だと思ったことは、今までなかった。

 そして時間は再び動きだし、リリは一気に顔を赤くしていって。

 

 

 

 

 ......次の瞬間にはヨウトの家から女の子の悲鳴が聞こえるという、字面だけだとかなり危ないことになりました。

 とりあえずヨウトには《閃打(鉄拳制裁)》をしておきました。

 ......あぁ、そうそう、この感じだこの感じ。ヨウトとの空気。

 




はい、修行編開始回でした。

といってもそこまでずっと修行シーンを書くわけじゃありませんが。しかも多分次の話ぐらいからまた他の展開がきますが。

そして今回はなんといってもイラストですね!!(オイ
会話中にあった通り私の友人に描いてもらいました。上手いですよねぇ。すごいですよねぇ。憎たらしいでry
でもこんなに良いものをもらえるなんて本当に嬉しいです。なにかリクエストがあればまた描いてくれるそうなので、あったら言ってください。

次回は......修行をちょっととクエストですかね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。