カリン「プリンと言えば?」
ヤマト「辛いもの!」
カリン「カレーと言えば?」
ヤマト「すっぱいもの!」
カリン「コーヒーと言えば?」
ヤマト「苦いもの!」
カリン「ケーキと言えば?」
ヤマト「それも苦いもの!」
カリン「あなたの味覚ってどうなってるのよ......しかもたまに私の感覚と同じものがあるから余計に分からなくなる......」
ヤマト「そんなにおかしくはないと思うんだけどなぁ」
スター、というものはどこにでも存在する。
それはみんなからの憧れの対象であり、また、多くの希望を背負っているものでもある。
ヒール、というものはどこにでも存在する。
それはみんなから蔑みの視線を向けられ、また、多くの負の感情を受けているものである。
そんな対極に位置する二つの存在は、唯一共通するものがある。
それはみんなから注目されるということだ。
他人に憧れを向けられるか、負の感情を向けられるか、ある意味においてこの二つの存在は特性としては非常に似かよったものがあるといえるだろう。
だが、ここで一つ問題が発生する。
誰かに注目されることなんて嫌で嫌で仕方のない少年が、もしも突然回りから注目されるようになったら?
その場合、注目の理由が憧れの方だったとしても、少年からすれば負の感情の方となにも大差がない。ただ嫌なだけだ。
そして目立ちたくないその少年の意思に反比例するように、少年の注目がうなぎ登りになっていけば当然ーーーー
「......もう、ダメです......」
「見事なぐらいに憔悴しきってるわね......」
ーーこうなってしまうわけだ。
ヤマトとカリンは、32層主街区《コパス》のフードコートにいた。
この街は十字にクロスするような構造になっていて少し変わっている。
そのクロスはちょうど東西南北に延びていて、攻略の時は方位が分かりやすいと重宝されていた。名前の由来もコンパスから来ていると言われている。
各方位に延びた街は、方位ごとに扱っている店の分野が違い、ヤマトたちが今いるのは食品関連が豊富な南側だ。
そのヤマトは今、最早トレードマークになりつつある自分の藍髪を隠すようにローブを纏っている。ちなみに目の前の情報屋少女から借りたものである。
ヤマトはテーブルに突っ伏しながら小さく唸る。
「うぅ......だって、毎日毎日朝も昼も晩も付きまとわれて......そういうのは美少女さんのお仕事でしょ......カリン、代わってよー」
「はいはい、そうですね」
完全に沈んでていつも以上にヤマトのことがめんどくさいが、今回ばかりは仕方がないか、とカリンは小さくため息をつく。
実際、無理もないのだ。
例のオレンジの集団との戦闘後から、今まで溜めていたものが一気に爆発したかのように攻略組にヤマトの名前は知れ渡った。正しくは、攻略ギルドに。
それからヤマトは、先ほどの言葉通り全く比喩なしに攻略ギルドのメンバーに付きまとわれて、勧誘された。
ただの夢見る前線のプレイヤーなら泣いて喜びそうな話だが、ヤマトのような目立ちたくないギルドにも全く興味ないプレイヤーからすれば嫌がらせと大差ないだろう。
「というか、カリン。僕の情報拡散しないようにしてくれるんじゃなかったのー」
うっ、とカリンは息を詰まらせる。
確かに、それを言い出したのはカリンだ。
いくら珍しい情報と言ってもたかが一つの情報。そこまで話題にもならずに自然鎮火するだろう、せいぜい《神体》スキルのことを上手く伏せることを頑張れば良いか。最初はそう考えていた。
だが、ヤマトの情報はカリンの想像よりも早く、そして広い規模で一気に広まっていった。
まるで誰かが意図的に情報をばらまき、最大効率で情報を広めているかのように。
そんな中でカリンにできたのは、ヤマトがすごく強いプレイヤーで特別なスキル等とは無関係、と情報を少し曲げることぐらいだった。
爆発的に広まっていく情報のなかで、それだけのことができれば十分と言えるが、カリンからすれば承諾した仕事をこなせなかったのだ。
理由はなんであれ、非は自分にある。
「ごめん......」
だから、素直に、いや誠意を込めて謝った。
その言動に、ヤマトが虚を突かれたように一度まばたきする。
「もう、カリーン。そこは『私が動いたからこの程度の騒ぎですんでるのよ? もっと感謝しなさいよ』とか言うところでしょ? こっちがペース崩れる」
「悪かったわね......ご期待に添えなくて」
「そういう意味じゃないけど......でも、実際ありがとね。カリンのお陰でこの程度ですんでるのは分かってるから」
「はぁ......まぁ、どういたしまして」
ヤマトのこっ恥ずかしい台詞にはもう慣れたという風に適当にあしらうカリンだが、その頬は仄かに赤い。
非は自分にある、等と言ってもやはりお礼を言われたら嬉しいのだ。
カリンはそんな自分の表情を隠そうとして左手で髪をかきあげると、ヤマトが小さく声をあげた。
「なによ? 自分の状況を打開できる良い方法でも思い付いたの?」
「カリン、その指輪着けてくれてるんだ」
「..............................っっっ!!!!??」
数瞬間を置き、言われたことを自覚したカリンはすごい勢いで左手を下げた。
その様子を見て、ヤマトはニヤーっと嫌な笑みを浮かべる。
「いや、違うわよ! 別に貰えたのが嬉しくて着けてるんじゃないんだからね!? ただこの指輪、ハイディングにも結構補正かかるからそのためにってーー」
「ん? 僕まだなにも言ってないよ?」
「じゃあ今すぐそのにやけ顔しまいなさいよ!!」
「ほっ、真『拳』白刃取り......わっ!? やばい、ほんとにできた!!?」
「なんであなたが一番驚いてるのよ!?」
いつも通り迫ってきた拳を真剣白刃取りの要領で掴もうとしたら本当に拳掴めちゃって驚いているヤマト。
いつもこんなことばかりしているから無駄に目立ってしまうことに、本人は未だ気づかない。
そしていつも通りヤマトの珍行動に一つ一つ反応してしまっているカリン。
いつもそんなことばかりしているからヤマトとラブラブしているなんてエギルやシリカに誤解されていることを、本人は未だ気づかない。
二人が落ち着いて。
ようやく話が本題に戻る。
「まぁ、現実的な話、あなたの人気を下げるなんて無理だと思うわよ?」
カリンが乱れてしまった自分の髪を直しながら言う。
「攻略組の最大目標と言えば、そりゃあやっぱりアインクラッド攻略。そのための人員が圧倒的に足りてないんだから、人員確保に走るのは当然よ」
「......まぁ、そうなんだけどね」
「なら、もう諦めたら? 依頼された私が言うのもなんだけどね」
カリンの言葉を聞いたヤマトは、むぅ、と口をすぼめて唸り始めた。
それを見て、カリンはこれまでずっと感じていた疑問をヤマトにぶつけてみることにした。
「そもそも、ヤマトは攻略組じゃいけないの?」
「僕が、攻略組?」
「えぇ」
カリンは、ヤマトの言動の根幹、行動理念のようなものが未だによく分からない。
ヤマトが根っからの善人で、誰かを助けることに損得なんか思考の外の、本当のヒーローみたいな人物だということは分かっている。
だが、どうしてそういう行動に出るのかは分からない。
何か過去にそういう行動に出るようになる経験があったのか、受動的に行動しているのか。
どちらにせよ、それらは攻略組になってもできるのではないか? カリンは何度もそう思った。
こんな多くの人に正体を隠して、誰かを助けても一切見返りも求めないでも。攻略組になっても誰かを助けることはできるし、そもそも攻略を積極的に行うこと自体、それはもう人助けとも言える。
誰かと関わっていくのが面倒、という理由以外に、ヤマトが表に出ないのにはなにか理由があるのでは?
カリンはそう考えていた。
するとヤマトは、どこか優しげに笑った。
「それじゃあ、ダメなんだよ」
「ダメ......?」
「うん、ダメ。攻略......というより、表で活躍するっていうのは、割とどんな分野でも簡単なことなんだと思うんだ」
もちろん、能力とか才能っていうのは付きまとうけど。そう付け加えながらヤマトは手元にあったジュースを一口飲む。
「でもニュースとかで大々的に発表されてるような事件以外にも、確実に事件は起こってるし、泣いたり、悲しんでる人はいる。僕らじゃ思い付かないような考えを形にしても表に出てこれないようなものもある。僕はさ、そういう人たちの力になりたいんだ。誰も気づかない人に気づくことができるような、そんな人でありたい。だから、攻略組じゃダメなんだよ」
ヤマトの言葉を正面から受け止めたカリンは、正直共感した。
カリンも中層や下層と呼ばれる、いわば裏で生きているプレイヤーを相手に仕事をしている。
そこに攻略組メンバーのような攻略への情熱も、なにが起こるか分からない非日常さもないが、それでもそこで生きている人たちは、みんな頑張っている。
みんな必死に、生きている。それをカリンは知っている。
そんな人たちが、まるで攻略組に負けているかのような扱いを受けることがたまにあるが、それがカリンにはとても嫌だったのだ。
だから、分かる。ヤマトの言ったことが。ヤマトが攻略組ではダメなことが。
つい、舌打ちを打ちたくなった。
(はぁ、こいつは、本当にどこまでヒーローするつもりなのよ......)
攻略組メンバーは全プレイヤーの生還を掲げている者が多いが、実際は自分が生還するために戦っている者がほとんどだ。
別にそれを否定しようとはカリンは思わない。現実に帰りたい、それは誰もが思うことだから。
だがだからこそ、攻略組のメンバーは、私利私欲で動いているということになる。
それに対して、ヤマトは、本当に誰かを助けるためだけに動いているのだ。
これじゃあ本当に、正真正銘のヒーローじゃないか。
「......じゃあ、それを言えばいいんじゃない?」
「え?」
「だから、今度誰かに勧誘されても、その今の言葉をそのまま言えばいいんじゃないってことよ。攻略組じゃ助けられないプレイヤーを助ける......うん、皮肉がきいてていいんじゃない?」
「いや、そんなつもりはないんだけど......」
「分かってるわよ」
はぁ、とため息をついてカリンはコップに入っているジュースを煽る。
今日カリンは、かなりイライラしていた。
自分がヤマトに頼まれた仕事を完遂できなかったことに対してもそうだが、ヤマトと仲がいいと噂になっているカリンは、ヤマトの所在や情報を散々攻略組に聞かれていたのだ。
当たり障りのない情報をいくつか言っていくという作業をずっと何度も何度も何度も何度も.......
しかもしつこいプレイヤーなんて一度言ってもまだなにか情報はないか? なにかまだ持っているだろう? と聞いてくるし......
あー、あとあれだ《血盟騎士団》あそこの《閃光》さまはまだよかったけど、その取り巻きがまたしつこくてしつこくて......
..............................ブチッ。
「前言撤回。やっぱり私すごい。よく頑張った。ヤマト、もっと私に感謝しなさい」
「カリン結構横暴なとこあるよね」
「そんなことはどうでもいいのよもうこの際!! ヤマト、今から《Kob》に行くわよ!」
「えぇ......なんであんな攻略組の総本山みたいなところに......」
「決まってるじゃない」
カリンは勢いよく立ち上がると、バン!! とテーブルを叩いた。
「ーーーー殴り込みよ」
攻略組ギルドは、当然ながらギルドハウスを持っている。
巨大ギルドともなれば、複数の層に支部を持っていることもあり、《Kob》はある程度攻略が進むごとに攻略本部を前線のものに更新することで有名だ。
今の到達階層は43。そんななか、《Kob》が攻略ギルド本部としているのは40層の《シックル》だ。
《シックル》にある《Kob》の攻略ギルド本部。その団長室をヤマトとカリンは訪れていた。
ヤマトがこれから《Kob》を訪れるということをカリンがヒースクリフにメッセを送るとーーーー仕事でフレンド登録したらしいーーーーすぐさまこの場を準備してくれたらしい。
今この場にいるのは、社長とかが座ってそうな高価な椅子に座っているヒースクリフと、その隣に静かに立っている《Kob》副団長、《閃光》ことアスナ、そして二人とテーブルを挟んで正面から向かい合うようにして立っているヤマトとカリンの4人だ。
ヒースクリフと、アスナ。ヤマトは初めて会ったが、こうして相対するだけでも、この二人が強いことが分かった。
隙がない、という表現がこの二人には恐ろしくピッタリくる。
ヒースクリフの護衛が一人だけなんて、セキリュティとして大丈夫なのかなぁ? とヤマトは最初考えたりもしたが、この世界でもトップクラスの人物の護衛を、これまたトップクラスの人物が行っているのだから、そんなものは不要か、と考え直す。
そして、ヤマトがそんなことを考えている間にも、カリンはヒースクリフと話を進めていた。
「......ふむ。つまり君たちの言いたいことは」
「はい。ヤマトは攻略組には入りません。理由はより多くのプレイヤーの危険に対応するためです。そして、《Kob》メンバーによる私への過剰な質問行為をやめさせてください」
「まず、君、カリン君についてだが、君のことは副団長からも聞いていてね。私のギルドの者が、出すぎた行為に走ってしまった。本当に申し訳ない」
ヒースクリフが頭を下げると、一緒になってアスナも腰を折った。
この行動にはカリンも驚いたのか、少したじろいでいた。
だがそれもそうだろう。なにせこの世界でトップのギルド《Kob》の団長と副団長が同時に自分に頭を下げているのだから。
その妙なプレッシャーに耐えかねたのか、カリンは二人に頭を上げるように言った。
「では、本題の方なんですが。ヤマトのことはどうですか?」
「そうだな......ヤマト君、ずっと黙っているが、君の意見はどうかね?」
「へ? あー、はい。そうですね。大体そんな感じですはい」
「すいませんヒースクリフさん、ちょっと時間もらえますか?」
構わないよ。ヒースクリフにそう言われた瞬間、ヤマトはカリンの首根っこを掴んで部屋のすみに移動させた。
そしてカリンは小声でヤマトに話しかける。
「ちょっとあなた、今完全にボーッとしてたでしょう!?」
「だって、話長くって......」
「あなたの話してるんでしょうが!!」
「僕無理矢理つれてこられただけなんだけど......あ、帰りに食べ物屋寄ってもいい? この街ってまだそんなに調べてなかったから」
「あーはいはいそうですね。じゃあまず現状をなんとかしないとねぇ!?」
「なにイライラしてるの? ちゃんとカリンの分も買ってくるから」
「だからなんであなたの中で私は食いしん坊キャラになってるのよぉぉおお!?」
「......はぁ、なんでミウさんのところもこの人たちも、こんなに賑やかなのかしら......」
二人が完全に噛み合っていない会話をしている間、アスナが密かに愚痴ったりしていたが、それに答えるものは誰もいなかった。
というか、ヤマトからすればこの話し合いはあまり喜ばしいものではない。
下手にヒースクリフたちと話して、それでさらに興味を持たれれでもすれば、本当に面倒なことになってしまうからだ。
だがここまで来てしまえば、もう仕方がない。ヤマトは小さくため息をついた。
そんなこんなで話し合い再開。
最初に切り出したのは、ヤマトだ。
「攻略組になってしまえば、視界に入るのは前線のことだけ。それじゃあ中層や下層のプレイヤーを助けることはできません」
「確かに。だがそれは今のままでもそうではないかね? 現状なら、危険な目にあっているプレイヤー全員を助けられると?」
「それは......難しいと思います。それでも、それを諦めてしまったら本末転倒です」
ヤマトとヒースクリフの視線が数秒、交差する。
そんななか、先に視線を逸らしたのはヒースクリフだった。
「カリン君は、ヤマト君の意見についてどう思っているのかね?」
「......そうですね。正直、荒唐無稽な話、という感はあります。それでも、ヤマトなら誰よりもその理想に近づける。そうとも思っています」
カリンの言葉を聞いて、ヤマトは声をあげそうになった。
いつもいつも会うたびにヤマトのことを、キザだの夢の見すぎだの言ってくるカリンが、今ヤマトの目標を認めたのだ。
そのことに嬉しくなり、つい頬を緩めてしまう。
だが。
「......そうだな。ヤマト君に助けられた君ならそう言うかもしれないね」
ヒースクリフの言葉によって、その緩みもすぐに引き締められることになった。
瞬間、場の空気が一気に冷たいものへと変わる。
ヒースクリフの言葉の標的になったカリンが口を震わせながら言葉を紡ぐ。
「私のこと......調べたのかしら?」
「調べる、というほどではないがね。私の耳にはこの世界の『事件』は大体入ってくる」
カリンの顔色が悪くなっていく。
人の話を聞くということが苦手なヤマトにもこの二人の会話は分かった。
ヒースクリフが言っている『事件』というのは、カリンが前に行っていた偽の情報を売る行為のことだろう。
ヒースクリフは、あの時の事件の顛末を知っている。
知っていて。
その言葉を口にするのか?
知っていて、カリンにその言葉を向けるのか?
未だに、あの時のことを思い出すと恐怖が襲ってくる、カリンに。
......ふざけるな。
ヤマトは、暴れだしそうになった拳をあらんかぎりの力で握る。
「取り消してもらってもいい?」
「.......?」
「カリンに今言った言葉、取り消せって言ってるんだ」
ヤマトは、一歩強く踏み込んだ。
「今議論しているのは、僕の立ち位置の話でしょ? カリンを侮辱するような言葉を言う必要はないよね?」
「......失礼に当たったかもしれない。が、事実ではあるだろう? 彼女が過去に褒められたものではない行為を働いたのは」
確かに、カリンは前にそういう行為を働いていた。それは事実。
そればかりはヤマトが何を言おうと覆らない事実だ。
でも、それは事実であって、本質ではない。
カリンは自分の行いを反省して、もうカリンなりの決着をつけている。
その上でカリンは今、誠心誠意、情報屋として生きている。今さらそんな過去の罪をとやかく言われなければいけない理由なんてどこにもない。
それどころか、全力で頑張っているカリンに対して失礼ですらある。
そのことが、ヤマトには許せない。
さらにヤマトは歩を進め、ダンッ! とテーブルを叩いた。
「今カリンは、他の誰かがそう簡単にできることじゃない、すごいことをしているんだ。それを侮辱するようなことを言うのはやめて」
「では......話を戻すが、君は彼女が言ったことを実現可能なほどの力を持っていると言うのかね?」
「ちょっと、ヤマト......!」
カリンがヤマトを引き止めようとするが、ヤマトは止まらない。
止まれるはずがないのだ。今のヤマトは、もう自分の問題など頭のすみにも残っていないのだから。
「僕が誰でもかれでも救える力を持っているかは分からない。それでも、そう言ってくれるカリンを信じる」
「.......」
しばしの沈黙の後、室内に響いたのはヒースクリフが細く息をはく音だった。
その音によって、室内の空気が一度途切れる。
そしてヒースクリフが顔をあげ、「なら、こうしよう」と口を切った。
「そこまで君たちが言うヤマト君の力。それを私も見たくなった」
「力を見る......?」
「彼女と戦ってもらおうかと思ってね」
言ってヒースクリフはアスナを指差した。
指差された本人は「えぇ!?」とひどく驚いているようだが。
「もちろん、ただでとは言わない。彼女に勝てば、君への勧誘行為は一切止めよう。私の力が及ぶ範囲であれば、他ギルドへも声をかけておく。だがもしも負けたら、その時はーーーー」
「僕に《Kob》に入れ、とかそういう話はどうでもいい、好きに決めていいよ。僕からの条件はただ一つ、僕が勝ったらーーーーカリンに謝れ」
《シックル》の《Kob》攻略本部。その中庭。
そこには先ほど団長室にいた4人が、先ほどと同じような立ち位置で離れて立っていた。
ヤマトの右手には薙刀が。アスナの右手にはレイピアが静かに握られている。
そんな二人の様子を見て、カリンは頭を抱えたくなった。
「ヤマト、あなたなんでこんな勝負受けたのよ。この勝負、実際はあなたにメリットなんてーーーー」
「
ヤマトはカリンの言葉を遮るようにして言った。
そう、この勝負は完全にヒースクリフに仕組まれている。
この勝負、仮にヤマトが勝ったとしても、ヤマトの実力はヒースクリフの知るところになる。こうして思い出してみるとヒースクリフは最初からヤマトの勧誘よりも、ヤマトの実力に焦点を合わせていたようにも思える。
ヤマトが負けたときは、そのままヤマトが《Kob》に入ることになり、ヤマトはヒースクリフに行動を制限されるようになってしまう。
つまり、ヒースクリフにしてみればどっちに転がっても得な勝負なのだ。
だがヤマトは、それも分かった上で勝負に乗った。
自分がヒースクリフに乗せられたことも分かった上で。
それはなぜか?
決まっている。
「大事な友達を傷つけられてへらへら笑ってられるほど、僕はバカじゃないよ」
「......でも、あれは、元々私が悪いんだから、仕方がないじゃない」
「違うよ。これは、『仕方がない』で流していい話じゃない」
ヤマトは見た。ヒースクリフの言葉で顔をひきつらせるほどに傷ついていた、カリンの表情を。
ヒースクリフは、ヤマトを乗せる。そんなことのためだけにカリンを傷つけて、カリンの努力を踏みにじった。
ヒースクリフが本気でそんなことをしたわけではないにしろなんにしろ、ヤマトにはそこが許せない。
誰かの頑張りを、勝手な考えで否定されることが、許せない。
カリンはヤマトの言葉を聞いて、なおも食い下がろうと口を開くが、すぐに顔をうつむかせた。
そして、顔を幾分紅潮させながらそっぽを向き、
「......ありがと」
と、風の音にも負けそうな小さな声で呟いた。
ただ残念なことに、今この場には風なんぞ全く吹いてないし、それどころかヒースクリフが気を利かせて観客などもいないからヤマトには普通に聞こえていた。
そしてヤマトは。
「......うーん、カリンは素直にしてたら男の人とかすごい寄ってきそうだよねぇ。ツンデレありがとう」
「う、うるさい! さっさと行ってきなさいよバカ!!」
ツンデレってとこは否定しないんだ、とヤマトがさらに弄ったら猫パンチが飛んできた。相変わらず自分から地雷を踏み抜きにいく藍髪少年である。
これ以上構って本気で殴られるのも嫌なのでヤマトはカリンとヒースクリフたちとのちょうど中央に移動した。それに合わせるようにしてアスナも前に出てくる。
「今回のことやカリンさんのことはごめんなさい。団長、あなたにすごく興味あるみたいだから」
「ま、別に君が何か悪いことしたわけじゃないしね」
君もあんなやつに振り回されて大変だね。とヤマトが言うと、アスナは苦笑いを返してきた。ヤマトも軽口のつもりで言った言葉だったのだが、思いの外アスナもヒースクリフの行動には困っているらしい。
しかし気の抜けた会話はここまで。ヤマトが自分の目の前に浮かんだデュエル受諾ウィンドウのOKボタンを押すと、互いの間に60のカウントが現れ、二人とも静かに己の武器を構えた。
空間が、ゆっくりと引き締められていくのをヤマトは感じた。
今回のデュエルは最もポピュラーな初撃決着モード。言わずもがな、初撃が勝負を決すると言っていいデュエルだ。
ヤマトが構えた薙刀を見て、アスナが眉根を動かす。
「確か......聞いた話だとあなた、刀使いじゃなかった?」
「ん? うーん、まぁ、その時々で変えてるけど......自分から無闇に情報漏らすのもバカらしいしね」
「それは......私相手には刀を使わなくても勝てると?」
「さぁ? それはやってみないことには」
ピリッ。アスナから殺気のようなものが発せられる。
いやそれは殺気というよりは剣気と言った方が正しいのかもしれない。
その昔、熟練の剣士や武士のみが放つことができたというそれに、ヤマトは薄く汗をかく。
(すごい気迫......)
《閃光》のアスナ。その名前は情報に疎いヤマトでも聞いたことがある名前だ。
その美しい見た目とは裏腹に、いや、その見た目にふさわしき美しくも強烈な攻撃の数々。
レイピアを持たせればまさに二つ名通りの光速の攻撃。その攻撃を完全にかわすことができるプレイヤーは、この世界には存在しないと言われるほどだ。
薙刀装備のヤマトは懐に潜られると辛い。だからアスナとの勝負は常に距離を取り、近づかせないよう戦うべきだ。
ジリ、とアスナが足に力を込めるのが伝わってくる。
そして。
カウントが0になる。
「「なっ!?」」
直後、響いてきたのはアスナとカリンの声。
そしてこの場で最初に動いたのは、突撃体勢に入っていたアスナとーーーーヤマトだ。
てっきりヤマトは受けに回るだろうと考えていたアスナは、近づいてきたヤマトに対して攻撃の姿勢が崩れる。
だがさすがは《閃光》のアスナ。動揺した精神、崩れた姿勢を一瞬で立て直し、ヤマトへ最高の一撃を放てる体勢をとる。
だが、それよりもヤマトが薙刀を振るうのが一瞬早かった。
ヤマトが横一閃に薙刀を振るう。
「くっ!!」
アスナは腰を落としてヤマトの攻撃を回避、そこから反撃に繋ごうとするが、ヤマトは攻撃をかわした直後のアスナにさらに接近し体当たりの要領でアスナの体勢を崩した。
超接近戦。一見、長物武器を扱っているヤマトに不利な距離に見えるが、相手が非力なフェンサーとなれば話は別だ。
相手のスピードを殺しつつ、パワーでのごり押しができる利点があるぶん、この距離はむしろヤマトの距離だ。
ヤマトは薙刀の持ち手でアスナを叩くようにして攻撃を続ける。
「あまり調子に.......乗らないで!」
アスナは右手を後ろに持っていくようにしてヤマトに対して半身を取った。
レイピアの本領である突きを放つため、右腕とヤマトとの距離を空けたのだ。
しかし、ヤマトはそのタイミングに合わせて体を回転させ、半身になったアスナの背中側に移動する。
相手の背中。戦闘中最も攻撃が通りやすい、絶好のポイント。
アスナが必死に背中を守ろうとするが、もう遅い。
ヤマトは薙刀を振り絞り、アスナの背中目掛けて振った。
ヤマトとアスナから10メートルほど距離を取った場所で、カリンは二人のデュエルを観戦していた。
カリンはちょくちょくヤマトと共に行動するが、こうしてヤマトが誰かプレイヤーと戦闘をしている姿を見るのは、ヤマトと出会ったあの日以来だ。
こうして見ると、改めて実感させられるが......ヤマトは強い。
誰もが一度はその名前を聞いたことがあるほどのプレイヤー、《閃光》のアスナ。そんなプレイヤーとの戦闘ならば少しぐらい気負いしてもいいものを、ヤマトはいつも通りその実力を発揮している。まったく、可愛いげのない。
だが、その理由はカリンは分かっていた。
「まさか、アスナ君があそこまで苦戦するとはね」
二人のデュエルをなんとなくぼんやりと見ていたせいか、カリンはヒースクリフが隣に来てようやくその存在に気がついた。
自分の腹心が押されているというのに、その表情はどこか楽しげだ。
「特に先ほどの一撃はよかった。ああも簡単にアスナ君の背中を取れるプレイヤーはそうはいない」
「......これって、初撃決着モードですよね? どうしてさっきの背中への一撃で勝負がつかないんですか?」
「あぁ。初撃決着と言っても一定以上のダメージ量がなければ、『初撃』にはカウントされないのだろう」
「なるほど、勉強になります」
アスナがヤマトを振り切って突きを放つが、至近距離からの攻撃をヤマトは体を掠めるだけにとどめた。
(おーすごい。わっ、ヤマトあれをかわしたよ。二人とも強いなぁ)
「すまなかったね」
「へ? 何がですか?」
「君のことだよ。私の勝手な欲のために、君を侮辱するようなことを言って、すまない」
そこでカリンは初めてヒースクリフの顔を見た。
伸長差から見上げるような形になってしまったが、ヒースクリフの表情は、どこか無機質で、謎めいている印象をカリンは受けた。
自分から謝ってきているのに変な人。と思いつつ、カリンは視線を戦っている二人に戻す。
「いいですよ。他人の思惑で誰かが傷つくなんて、よくある話です」
この世界での話ではなく、リアルでもどこでもよくある話だ。
どんな世界でも、誰か一人だけを中心に回っているわけではないのだから。
それでも。
それでも、そんな世界にもヤマトのような
誰かのために自分をかけてしまうような、そんな奴がいる。
それならきっと、この世界も捨てたものじゃない。カリンはそう思う。
「あ......」
「どうやら、形勢逆転したようだね」
アスナがついにヤマトから距離を取ることに成功し、アスナの距離で戦闘が行われ始めた。
そうなってしまえば、小回りの利かないヤマトが圧倒的に不利だ。
徐徐にだが、ヤマトが後退しはじめる。
「このままでは彼の負けになるが......いいのかね?」
「はい。心配ありません」
ヒースクリフの表情が、この時初めて動いた。
どうやらカリンが少しは動揺すると思っていたようだ。
だがカリンからすれば、こんな状況など心配には値しない。
いや、それ以前の話だ。
「ヤマトは、今自分のためじゃなくて、私のために、他人のために戦ってます」
視線の先では、ヤマトは苦しそうに顔をしかめている。
それを見ても、カリンの答えは変わらない。
カリンは小さく笑う。
「......誰かのピンチに戦う
ヤマトはほとんどアスナの攻撃が見えていなかった。
それでも薙刀を目の前に構えることで攻撃される範囲を削り、時には体を無理やり振り、アスナの攻撃を辛うじてかわす。
まれに訪れるアスナの攻撃の隙間をついて薙刀を上段から振り下ろしたりもするが、それだけではアスナから優位を奪うほどの打開にはならない。
そんな状況でも直撃だけは避けているのはさすがヤマトというべきか。
かわす、かわす、弾く。かわす、防ぐ。かわす、掠める、かわす、掠める、弾く。
アスナは徐徐にヤマトを追い詰めていることを実感する。
このまま追い詰め続ければ、先に攻撃がヒットするのは私の方だと。
だがここで焦ってはいけない。あくまでもこのまま追い詰めていく。今まで以上に気を引き締めて。
人間という生き物が追い詰められたときに発揮する力。それを《Kob》副団長であるアスナはよく知っていた。
(私が追い詰めている。でも逆に言えばヤマトさんはこんな状況でもまだ私の攻撃がヒットしてない。しかもヤマトさんはまだ刀だって隠し持ってる。絶対になにか仕掛けてくるはず......)
その時、何度目かのアスナの攻撃がやむ瞬間が訪れた。
ヤマトが何か仕掛けてくるのならこのタイミングだ。
攻撃をしてくるのなら、上段か横一閃のはず、とアスナは読む。
実際、ヤマトが取れる攻撃手段はそれしかないのだ。
薙刀のような長い武器では、振り上げようとすると地面にぶつける危険が出てくるし、なによりヤマトは武器を防御に回すために胸の前で構えている。そこから振り上げるために一度薙刀を下段に下ろすのはワンアクション多い。
となると残るのは上段か横一閃。だが横一閃も可能性としては少ない。
なぜなら、これもまた薙刀など長い、もしくは大きい武器の特徴だが、横に振ろうとすると体が大きく開いてしまう上に、遠心力のせいで武器を体の前に戻すのに時間がかかってしまう。アスナのようなスピードで一気に攻めるタイプの相手にそんなことをするのはリスクが大きすぎる。
ならば残るのは上段からの振り下ろし。それならシャープに振れば後の防御もしやすいし、攻撃へのタイムラグもほとんど0だ。
もちろん他の可能性だってある。だから油断はしない。あくまでも可能性を考慮して、注意する優先順位を決めるだけ。
アスナはここまで読みきった。そして、ヤマトが薙刀を上段に持ち上げる。
アスナの読み通りだ。
来る攻撃が分かっていれば、どんな攻撃だってかわすことはできる。
あとは反撃のタイミングを間違わなければいい。
さぁ、こい! 薙刀が上段に上がったのでアスナの視線も上段に上がる。
その瞬間だった。
ヤマトの姿が、アスナの視界から消えた。
なっ、とアスナの思考が一瞬止まる。
次にすさまじい勢いで視界内ヤマトの姿を探すが、やはりどこにも見当たらない。
一体どこへ? さっきまで確かに薙刀を振り上げていたはずなのに......!?
その時、チカッとアスナの視界に何かが映った。
いや、これは何かが覆ったのだ。黒い何かが、アスナの視界を覆った。
(陰......? 上!?)
アスナは慌てて空を見上げる。
そこには、上の階層の地面であるこの階層の天井とーーーーヤマトの薙刀が。
先ほどヤマトが薙刀を振り上げた動作。あれは振り上げたのではなく、上空に薙刀を放るための動作だったのだ。
まて、じゃあヤマトはどこだ?
上空のどこにもヤマトの姿はなかった。
アスナの背筋を、冷たい感覚が走った。
まずい、アスナがそう考えるよりも先に、アスナの体が崩れる。
アスナは咄嗟に体を振り回したが、それもすぐに抑えられてしまう。
レイピアを持った右腕と両足を抑えられた状態で、馬乗りになられた。
そして、アスナの上に乗った
「昔の武士さんとかは、いつ襲われてもいいように柔術とかを身に付けてたんだって。まぁ、《体術》スキルとまではいかないけどさ」
「......なるほど。薙刀を上段に持っていくことで私の目線を上に持っていって、あなた自身は体を落として私の視界内から外れた、ということ」
「まぁね。最初は君のレイピアを突破しようと思ってたんだけど、さすがに無理だったよ。さすが《閃光》」
「こんな状態でそんなこと言われても、嫌みにしか聞こえないわよ......」
「それで、どうする?」
ヤマトは、空いた右手を短剣のようにして、アスナの喉元につきつけた。
「これじゃあ負けにならないのなら、まだ続けるけど?」
「......さすがに、そんなことは言わないわ。降参よ」
アスナがその言葉を口にした瞬間、二人の頭上にヤマトが勝者であるというウィンドウが盛大に現れた。
「あなたは......なんでそう無茶苦茶なのよ」
「今回の場合、無茶苦茶だったのはカリンの方だと思うんだけど」
その後。
ヤマトがアスナに勝利したことにより、ヤマトの情報規制を敷くことをヒースクリフに約束させ、そして、カリンに謝らせることができた。
その際、なぜかカリンもヒースクリフも雰囲気が柔らかく、謝罪する側とさせられる側という雰囲気でないことにヤマトは首を傾げていたが、カリンが気分が良さそうだったので良しとした。
「それで? 今後あなたはどうするの? ヒースクリフさんたちに言ったみたいに人助けの旅にでも出るの?」
「アインクラッドじゃすぐに旅終わりそうだけどね......。でも、することは変わらないよ。困ってる人がいたら手助けしたいと思うし、それまでは適当にブラブラするよ。矛盾してるかもしれないけど、誰か困ってる人を探し回るっていうのは不幸探しみたいで気分よくないしね」
「ふーん......」
そのまま二人は《シックル》の街を歩く。
ヤマトは辺りに視線を走らせ、目ぼしい食べ物がないか探し続けている。カリンも忙しなく辺りをチラチラと見ているが、その表情にはあまり余裕がない。
うー、だとか、あー、だとか小さく唸るが、ヤマトはカリンの様子に全く気づかない。
「あ、あの、さ」
「うんー? なにー?」
「もしも良かったらなんだけどさ」
「うんうん」
「いや、私は別にどちらでもいいんだけどね?」
「へー」
「良かったら、その......私と一緒にーーーー」
「あった!!!!!」
「......はい?」
カリンがヤマトを見ると、目を輝かせてある食べ物屋を見ていた。
その食べ物屋の看板には『果物汁』という文字が。
......なんだあれは?
『果物汁』そう言われれば誰でも『果物を搾って作った汁』を想像すると思うが、ヤマトが目を輝かせているものは違った。
味噌汁のようなものに、果物が投下されているのが、『果物汁』の実態だ。
「カリン! ちょっとあれ買ってくる!!」
「ちょっと待てやこの偏食野郎」
「話ならあとで聞くから!!」
人が恥ずかしいのを我慢しながら言おうとしてるんだから、黙って聞いてなさいよバカ!!
......と、いつものカリンなら言うところなのだが、今回は違った。
「......お願いだから、待って......」
普段のカリンからでは想像もできない声質に驚き、ヤマトが振り返った。
「どうしたの......?」
「いや、だからさ......」
喉が干上がる。
この世界の喉なんて、現実のものじゃないのに。からからに乾いて息をするのも辛い。
それでも、この言葉は今じゃないと言えない。
カリンは固く閉じようとしている口を、無理やり開く。
「もし気が向いたら......私と一緒に、働かない?」
「......はい?」
「いや、一緒に、というか、私の情報屋の手伝いをしないかって話よ」
「情報屋の?」
「自慢じゃないけど、私のところにも情報は多く入ってくるから、困っているプレイヤーがいれば助けに行ける機会も増えるでしょ? それに中層は前線プレイヤーの目が届きにくいから、あなたの目的にも通じるものがあるし」
今口を閉じてしまえばもう動かない。そんな妙な感覚に襲われて、カリンは矢継ぎ早に話していく。
この話は、ヤマトから攻略組に入らない理由を聞いたときから考えていたことだった。
ヤマトはカリンとは正反対に位置する人間だが、考えはとても似通っている。
だから、一緒に行動してみたくなった。
......仕事に誘うだけで、なぜこんなにも緊張して、心臓が鳴ってしまうのかは分からないけれど。
「カリンの手伝い、か......」
「どう?」
うーん。とヤマトが唸る。そんな動作にもカリンはビクビクしてしまう。
そして数秒後、ヤマトはいつもの適当な笑顔でカリンに答えた。
その後、ある店の前で藍髪少年にゲテモノ料理を奢らされている情報屋の少女が確認された。
その少女は顔を真っ赤にして怒りながらも、どこか嬉しそうだったらしい。
はい、原点回帰。ヤマトがカリンのために戦う回でした。
今回はカリンのツンデレ度が高いですね......まさかテンプレの「別に~だからね!」を使うときが来るとは思いもよりませんでした。
やっぱりこの二人の会話は楽しすぎます。書いてて何度脱線ししたことか。
あと本当なら今回ヤマトの二つ名だそうかなーと思ったりしていたんですが、いいのが思い付かず断念。なにかいいのないですかねぇ......
次回は本編。ついにあれが実現するかも!