まあ次回を頑張るとしましょう!
では、2話です。
「イヤー、まさか颯爽と助けに来たのに出番がないなんてねー。驚いちゃった。」
「いや、取り合えず名前名乗れよ。」
竜太は冷めた目で紫髪の少女と話している。
因みに、二人の足元には筋肉三兄弟(仮)がピクピクと痙攣して倒れているのだが・・・・・二人が救急車を呼ぶ気配はない。
そんなことよりも、竜太に名前を聞かれた少女の反応は、
「フッフッフッフ、よくぞ聞いてくれました!園辺野(そのへんの)中学三年、広井 斥亜!ヒーロー目指して活動中です、よろしく!」
「そうか、まあ頑張れ。」
竜太は斥亜の派手な自己紹介を鮮やかにスルーし、路地裏を去ろうとする。
がしかし、
「待たんかーいッ!!」
「グエッ!?」
斥亜に襟を掴まれて、首がしまる。
「ちょっとお!自分で言うのもなんだけどさ、こんな変な自己紹介するヤツ見たことないでしよ!?もっと何か聞きなさいよ!」
「何で髪その色にしたの?」
「確かに変な色なのは認めるけど今聞くべきはそこじゃない!因みにこれは地毛です!」
会って数十秒でここまで漫才が成立することも少なかろう。
「くそ、人を振り回すことで定評のあるこのアタシにツッコミをさせるなんて、君かなり変人だね。」
それより、と斥亜は話を続ける。
「人に名乗らせたんだから君も名乗るべきじゃない?」
「・・・・・・はあ、木野當野(このあたりの)中学三年、阿久津 竜太だ。」
流石に彼女の言うことに一理有ると思ったのか、竜太も嫌々自己紹介をする。
「木野當野中学?すごい近くじゃん!」
斥亜は目を輝かして竜太に詰め寄る。
どうやら竜太に興味を持ったようだ。
「ねえ!一体どんな個性でこの人達を倒したの?見たとこ異形系じゃないみたいだけど・・・・・こんな大男三人を倒しちゃうんだから戦闘系だよね!」
「・・・・・・うるせえな。」
キラキラした瞳でぐいぐい質問してくる斥亜に、竜太は冷めた目を向ける。
「・・・・・・もういいだろ?じゃあな。」
そう言い、竜太は路地裏から去っていった。
「・・・・・・行っちゃった。う~ん気難しいなぁ年頃の男子って。」
しかし、斥亜はニヤリと嬉しそうな笑みを浮かべる。
「でも面白そうなヤツ♪」
斥亜は鼻唄混じりに路地裏を去っていった。
因みに、筋肉三兄弟(仮)はこの数分後に発見され、病院送りになったらしい。
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「アタシが来た!」
「何故だ!」
さて、取り合えず状況の説明からしていこう。
まず、今日は昨日の一件の翌日、現在は放課後、ここは竜太の中学の正門前、正門から帰ろうとしていた竜太を斥亜が待ち構えていたのだ。
では、何故彼女はこんなことをしているのか?
それは・・・・
「実は君に頼みが有って来たんだ。」
斥亜はニコリと満面の笑みを浮かべ、
「阿久津竜太君、アタシと一緒にヒーロー目指さない?」
「目指さない。」
瞬殺された。
「え~、そんな速攻で断らないでよ~。いいじゃんヒーロー。」
しかし、彼女はまったくめげる様子もなく、帰ろうとしている竜太に着いていく。
「何なんだお前は!?昨日会ったばっかで何故そんなグイグイ来る?」
竜太の当然の疑問に、斥亜は悪戯っぽく笑う。
「イヤー、アタシ雄英を受験しようと思ってるんだけどね、うちの高校から受験するのアタシ一人らしいんだよね~。やっぱ一人だと寂しいし、勉強も仲間がいた方が捗るし、何より、共に切磋琢磨し合うライバル!そして共に頑張るパートナー!それがいないと燃えないわけよ。・・・・・・ということで、君に白羽の矢がぶっ刺さったのだよ。」
「・・・・・・・ で?何故昨日会ったばっかの俺がその白羽の矢で射殺された。」
「・・・・表現が物騒だなぁ。ま、いわゆる直感、シックスセンスみたいなもんかな。こう・・・・君を見たときにビビっと来たんだよね。なんだかアタシに似てる気がするな~って。」
「気のせいだろ。」
竜太のツッコミを無視して、斥亜は額に人差し指を当てるポーズを取る。
「さて、それを踏まえた上で改めて君の答えを「NO!」・・・・・・一応、もう少し考えようよ。」
「無理だ。俺はヒーローに何てなれない。」
竜太の返答に斥亜は呆れたような目を向ける。
「まったく、最近の若者は、そうやって試してもないのにすぐ決めつけて諦める。嘆かわしいぞ少年。」
「どこの年寄りだお前は!」
すると、竜太のツッコミをもらった斥亜は、今までと打って変わり、真面目な顔になり、竜太の目を見る。
「んで?そんだけ力強く否定する根拠は何なのかね?」
「・・・・・・・・・」
竜太は斥亜の真っ直ぐで綺麗な瞳に吸い込まれそうになる。
「・・・・・・俺の個性はヒーローに向いてない・・・・・そんだけだ。」
「不良三人を無傷で倒せるくらいにの力はあるのに?」
斥亜は首を傾げる。
「・・・・・・強い力が、必ずしもヒーローに適してるとは限らねえんだよ。」
竜太は少し遠い目をしていた。
「へぇ、それっぽいこと言うじゃん。そんじゃアタシからもそれっぽいことを・・・・・・誰かを守るのに向いてる向いてないはないんじゃない?」
「・・・・・・・チッ。」
何か思うところもあったのか、竜太は反論することもなく、舌打ちをしただけで、斥亜を置いて足早に去っていった。
「・・・・・・それに、気付いてないのかな?君はヒーローに『なりたくない』じゃなくて、『なれない』、『向いてない』って言った・・・・・・・ヒーローになりたいってのを否定はしなかったんだよ。」
斥亜はもう声が聞こえるはずのない距離まで離れた竜太の背中に向けて呟いた。