俺とアタシのヒーローアカデミア   作:BEBE

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お久しぶりです( ̄▽ ̄;)
ホント更新遅くてごめんなさい。
今回ようやく入学です。


俺とアタシの次なる1歩

さて、雄英入試試験から少し時間が経ち春がやって来た。

始まりの季節であるこの四月、阿久津家にも新たなスタートを踏み出す少年がいた。

 

 

「まさかアンタが雄英に行くことになるなんてねぇ・・・・・」

 

「本当に。母さんもビックリよ。」

 

 

玄関先で竜太の見送りをしているのは、彼の姉の千治〈ちはる〉と、母の鱗子〈りんこ〉である。

 

 

「合格してからずっとそれだな。俺だってやるときゃやるんだよ。姉さんと違ってな。」

 

「言うようになったじゃないこの愚弟が~。」

 

 

そう言い千治は竜太に歩み寄り・・・・・・ガッチリとヘッドロックを決めた。

 

 

「ああそうよ!!こちとら留年してるわよ!!クソこのやろうこのまま首いったろか!!」

 

 

千治は大学を留年し、二周目の二回生ライフをこの春からエンジョイすることになっている。

 

 

「ギブギブギブギブ!!ちょ、姉さん!未来ある弟の命が・・・・・・」

 

「姉より優秀な弟など要らん。」

 

「最低だこの人!!・・・・・あああ、マジで・・・落ちる・・・・・・」

 

 

そして竜太が本気で意識を手放しそうになったその時、千治はヘッドロックを解き・・・・・・今度は、しっかりと竜太を抱き締めた。

 

 

「ふえ?姉さん!?」

 

 

いきなり姉に抱き締められ、竜太は顔を赤くした。

 

 

「ホント生意気なこと言うようになって・・・・・・・安心したよ。・・・・・・・“あれ”以来アンタさ、随分卑屈になっちゃったじゃん?あんなに好きだったヒーローも毛嫌いしちゃって・・・・・・自分の個性にもトラウマ抱えてさ。私らともあんまり話さなくなって・・・・・・姉さんこれでも心配してたんだよ?」

 

「・・・・・・」

 

 

竜太はただ黙って姉の話に聞き入る。

 

 

「それがいきなりヴィラン倒して雄英受験するって言うじゃん?正直応援すべきなのかどうなのか最初は分かんなかった。・・・・・・・・・でもね、アンタ凄い一生懸命だったじゃん。勉強もそうだけど、あんなに嫌ってた個性にもちゃんと向き合えるようになってて・・・・・・だからさ、姉さんアンタを全力で応援するって決めたの。こんなダメな姉貴だけど・・・・・弟の背中押すぐらいさせてちょうだい。」

 

 

そうして、千治は竜太に背中を向けさせ・・・・・・・・思いっきり竜太の背中を叩いた。

 

 

「イッッッッテエ!!!何すんだ姉さん!!」

 

「そいつが私からの餞別だ。胸張って行ってきな!」

 

 

一言文句を言おうとした竜太であったが、千治の快活な笑顔を見てその気は失せた。

 

 

「たまには姉らしいことするじゃない。」

 

 

そして二人を見守っていた鱗子も竜太に歩み寄ってきた。

 

 

「竜太、言いたいことはほとんど千治に取られちゃったけど、とにかくその斥亜ちゃんって子は一度連れてきなさい。息子に発破かけてくれたお礼を言いたいから。」

 

「了解、今度連れてくるよ。」

 

「よろしい。それじゃ、父さんからの伝言・・・・・・『健闘を祈る』・・・・だって。」

 

 

父親、直治からの伝言を聞いた竜太は思わず吹き出した。

 

 

「クク・・・・ハハハハ!10文字以内に納めるとか!父さんらしいな。」

 

 

そしてひとしきり笑い終えた竜太は鞄を背負い直し、今日から着ていく制服の襟を正した。

 

 

「それじゃあ、行ってきます!」

 

「「行ってらっしゃい。」」

 

 

今日、阿久津竜太は新たな一歩を踏み出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だあああああああヤバイヤバイヤバイヤバイ遅刻遅刻遅刻遅刻ううううう!!」

 

「入学初日に寝坊するとかどういう神経してんのかしらね?」

 

 

ところかわってここは広井家。ここにも今日新たな一歩を踏み出す少女がいるのだが・・・・・・まあ見てわかる通り、斥亜が寝坊し慌てて準備をしている。

 

 

「ってか普通起こさない!?娘の入学式だよ!?」

 

「親のモーニングコール当てするようなやつがヒーロー目指すなんて・・・・片腹痛いわね。」

 

「クッソ!スパルタだけど正論なだけに反論できん!!」

 

 

猛スピードで着替えを終えた斥亜を背負い、そのまま玄関に向かう。

 

 

「ちょっと、パン忘れてるわよ。」

 

「食べてる時間ない!」

 

「いや、遅刻と言えばパンくわえて登校しないと。」

 

「マジかこの親!?この窮地で遊んでやがる!!」

 

 

結局、斥亜はパンをくわえさせられた。

 

 

「いっふぇふぃふぁふ(行ってきます)!」

 

「あ、父さんからの伝言・・・・・・・・って行っちゃったか。」

 

 

飛鳥が夫からの伝言を思い出した時には既に斥亜は出ていってしまっていた。

 

 

「ホント慌ただしい子ねぇ。」

 

 

そう言いながらも、飛鳥は優しげに笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1-A ・・・・・この先か。」

 

 

竜太は一年間自身が身を置くクラスを探し廊下を歩いていた。そこに、

 

 

「モゴモガモグモゴ!!(竜ちゃーん!お早う!)」

 

 

口にパンパンにパンを詰め込んだ斥亜が合流した。

 

 

「・・・・・・いや何食ってんのお前?」

 

「モゴ!(パン!)」

 

「取り合えず食ってから喋れ。」

 

 

竜太にそう言われ、斥亜は口に詰めていたパンを急いで飲み込む。

 

 

「ふ~。さて改めて、お早う竜太ちゃん♪」

 

「おう。」

 

 

そうして、二人はいつものように並んで歩く。

 

 

「こっちってことはお前もA組か?」

 

「お、竜ちゃんも?よろしくね♪」

 

 

斥亜はニカッと笑顔を輝かせ、

 

 

「ハイハイよろしく。」

 

「アタシの悩殺スマイルをあしらった!?」

 

 

竜太に軽く流された。

 

 

「ああそうだ、斥亜お前入試何位だった?」

 

 

竜太の質問に、斥亜はニヤリと笑み浮かべ、大袈裟にポーズを取る。

 

 

「フッフッフッフ、よくぞ聞いてくれました・・・・・聞いて驚きな!アタシの入試成績は・・・・・何と1位だぁぁぁああ!!」

 

「ああやっぱりか。」

 

「あれアッサリ!?」

 

 

斥亜は自分の順位を聞いたら竜太が目を丸くして驚く様を嘲笑う予定だったのだが、竜太の淡々とした返しに逆に面食らった。

 

 

「何!?まさか知ってたの!?」

 

「まあ予想はついたよ。だって・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺1位タイだからな。」

 

 

竜太が発した衝撃の事実に斥亜は、

 

 

「えぇぇえぇぇぇええええ!!??」

 

「うるせぇ廊下で叫ぶな。」

 

「いやいやいやいや!え!?じゃあ何!?1位って二人いたの!?」

 

「いや、あと一人いるから合計三人だ。」

 

「三人!?前代未聞だよそれ!?」

 

「まあ確かにな・・・・・てか何で知らねえんだよお前。」

 

 

竜太の呆れたような視線に、斥亜はばつが悪そうに目を反らした。

 

 

「あ、アハハハ、アタシ自分が1位だっての知って舞い上がってたからさ、人数とか気にしてなかった・・・・・」

 

「成る程、お前らしいな。」

 

「てかもう一人の一位って誰かね?」

 

「それは知らん。それよかさっさと行かねぇと、初日に遅刻とか洒落になんね・・・・・」

 

 

竜太が言い切る前に、彼の横から斥亜の姿が消えていた。

 

 

「マジかアイツ!?見捨てて行きやがった!!」

 

 

薄情なパートナーに驚愕しつつ、竜太も全速力で教室へと走り去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギリ・・・・・ギリ・・・・・セーフ・・・・・」

 

 

何とか遅刻ギリギリで教室に辿り着いた竜太は、1ーAとかかれた巨大なドアの前に立っていた。個性により身体が大きくなってしまう生徒もいるため、バリアフリーな構造をしているのだ。

そしてそのドアを開けた竜太が目にしたのは・・・・・・ピンク色の肌の少女と抱き合う彼のパートナーの姿だった。

 

 

「やったー!三奈ちゃんもA組だったんだね!」

 

「私も嬉しいよ!ちゃんとお礼も言えてなかったし!」

 

 

竜太は再開を喜ぶ二人の少女を微笑ましく見守ったあと、

 

 

「『やったー!』じゃねえだろこの紫野郎。」

 

 

斥亜の頭にアイアンクローをかました。

 

 

「あだだだだだだだだだだ!!ちょ、待っ、竜ちゃん!これダメなやつ!!」

 

「あ、阿久津もA組だったんだ!」

 

「おー、よろしくな。」

 

「私も竜ちゃんって呼んでいい?私のことも三奈でいいから。」

 

「俺のあだ名はそれしかねぇのか・・・・・ま、いいよ。よろしくな三奈。」

 

「ウン!よろしくね竜ちゃん。」

 

「人の頭握りながらのほほんと挨拶するなああああ!!」

 

 

 

そうして、ようやく斥亜は竜太のアイアンクローから開放された。

 

 

「ああ・・・・・多分頭の形変わった・・・・・・」

 

「自業自得だ。」

 

 

頭を押さえる斥亜を竜太はクズを見るような冷たい目で見下す。

 

 

「ヒーロー足る者、時には仲間を犠牲にしてでも自身が生き残らねばならんのだよ・・・・・・」

 

「お前の名言レパートリーに“仲間見捨てた時点でヒーローじゃない”って加えとけ。」

 

「綺麗事だけで世界は収まらないのさ。」

 

「ヒーローがそれ言ったら終いだな。」

 

 

相も変わらず下らない論争に耽る二人であったが、

 

 

「イチャイチャしたいなら他所へ行け。」

 

「「!?」」

 

 

突如か後ろから声をかけられた。

 

そして二人が振り替えるとそこには・・・・・・

 

 

「ここは・・・・・・・・ヒーロー科だぞ。」

 

 

そう言いながらウォーターオンゼリー(10秒飯)を一瞬で飲みほすくたびれた男が寝袋の中で倒れていた。

 

・・・・・・書いていてよく分からない説明だが事実なので仕方ない。

 

 

((((((なんか!!!いるぅぅ!!))))))

 

「ハイ静かになるまでに8秒かかりました。時間は有限、君たちはこう理性に欠くね。」

 

「いたね~、黙るまでの時間計る先生。」

 

「なんか勝手にタイムアタックしてるよな。」

 

 

教室の全員が唖然とするなか、斥亜と竜太は平常運転であった。

 

 

「流石入試1位の二人だ。図太い神経だな。」

 

「「「「「入試1位!?」」」」」

 

「いや~、そんなに誉められても・・・・・・」

 

「いや今の皮肉だろ気づけ。」

 

 

そして照れ笑いを浮かべる斥亜に竜太かまツッコミを入れたその時、

 

 

「テメェェらかぁぁぁあ1位被りぃぃい!!!」

 

 

爆発的に目付きの悪い少年が鬼の形相で二人に歩み寄ってきた。

 

 

「デクの野郎のせいで狂った俺の将来がさらに狂っちまったじゃねぇか!!!俺が唯一の1位じゃなきゃ「おお!!君が残りの一人!?凄いよ竜ちゃん!このクラスに入試1位3人が終結してた!!」

 

「おいコラ話聞「どういうクラス分けだよ・・・・・あ、俺は阿久津竜太だ。よろしくな。」

 

「テメェらいい加減に「アタシは広井斥亜!よろしくね!」

 

「俺の話を聞けぇぇえええええ!!!!」

 

 

キレる少年はお構いなしに話しかけてくる竜太と斥亜に翻弄され、

 

 

「いや俺の話を聞けよ。」

 

 

寝袋の男は寂しげに呟いた。

 

 

 

 

 




というわけで個性把握テストは次回となります。
たぶんまたしばらくかかるとは思いますが、気長にお待ちください(  ̄▽ ̄)

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