やはり比企谷八幡は捻くれている。   作:秋乃樹涼悟

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すみません。デート編、3話にもなってしまって。
今回は映画です。

でわでわ



一色いろはの想いは降り積もる

「せんぱい、何をお願いしたんですか?あっ。もしかして可愛い後輩と一緒にいられますように、とかですか?せんぱいも可愛いところありますね」

 

せんぱいと食事をして、せんぱいおすすめのエスプレッソを飲み終えて私とせんぱいは今、映画館へ向かっている途中。

 

「そんなんじゃねーよ。大体は願ったって叶わないし、そもそも願い事がない」

「だったらせんぱいはなんでそんなおまじないなんて知ってるんですか?興味ないこととか覚えないくせに」

 

この人最初、結衣先輩とか戸塚先輩の名前とかも知らなかったらしいんですよ。クラスメイトなのに。

 

「おまじないとか、そういうの女子は好きだろ?だから小町に教えてやろうと思ったんだよ」

 

やっぱりシスコンですね。

小町ちゃんが羨ましいです。

 

「まだちょっと時間あるな。…なぁ、ちょっと本屋寄っていいか?」

「そうですね。暇つぶしにはちょうどいいかもしれませんし。せんぱいのわがままを聞いてあげましょう」

「なんで上からなんですかね。いつも俺が一色のわがままに振り回されてるですけど」

「細かいことを言わない。ほらせんぱい、行きますよ」

 

本読んでるときのせんぱいは知的な感じがしてちょっとかっこいいんですよね。

 

にやにやしてない時は。

 

「せんぱい普段はどんなの読んでるんですか?」

「まあ割となんでも。ラノベとかもよく読むし。…今日見る映画の原作も読んだな」

「今日見るものって?」

「『陽だまりにいる彼女』だ」

「ああー。テレビでCMやってましたね」

 

確か恋愛ものだった気がしますけど。

せんぱい恋愛ものとかも読むんですね。意外です。

 

「意外ですねーって顔してるな」

「まあ意外でしたから」

 

どうしよう。映画見終わった後にいい感じの雰囲気になったら。

 

手とか繋いだり出来ちゃうかな。

ギリギリぽっぺにチューくらいいけますかね。

いつもみたいにあざとくやれば…

 

ああ!無理です。耐えられません。

絶対無理です。

 

てかそもそもせんぱいが雰囲気なんてすぐに壊しちゃいますし。

 

私が考え事している間にせんぱいはレジで会計を済ませていた。

なにを買っていたんですかね。

 

「せんぱい、何を買ったんですか?」

「漫画だ。やっとエセコイの19巻が発売されたからな。一色は見なくていいのか?だったらもう映画行くけど」

「私はとくにないので。でわでわ映画行きましょう」

 

せんぱいと映画。

楽しみです。

 

 

 

本屋さんからちょっと歩いて映画館へ。

チケットを買い、せんぱいと席に座って上映を待っている。

 

「せんぱい、始まるまで寝てていいですか?」

「いいぞ」

 

そう言って目を閉じる。

 

フフフッ。

せんぱい、私が寝るわけないじゃないですか。

 

まずは寝たふり。

ちょっとしてからせんぱいにもたれ掛かる。

 

せんぱいはあったかいですね。

せんぱいの枕が欲しいまであります。

 

「こいつ寝るの早くないか…」

 

聞こえてない聞こえてない。

 

「なんか、恥ずかしいな…」

 

せんぱい、もっと恥ずかしんでください。

もっと私を意識してください。

せんぱいがいつも勘違いで済ませるから悪いんですよ。

 

「こいつ、あざとくなかったら可愛いんだけどな…」

 

やばいやばいやばい。

顔が熱い。

せんぱい卑怯です。ずるいです。

せんぱいがあざといです。

 

さっきまで私が優位に立っていたはずが…

 

「そろそろか…一色、起きろ」

 

なんとなく一回では起きない。

ちょっとせんぱいを困らせてやります。

 

「一色、お前、もしかしてさっきから起きてる?」

 

え、なんでばれたの?

いや、まだなんとかなる。

まだ疑問形でしたし。

 

「起きてるな。あくまで寝たふりをするならこっちにも考えがある」

 

せんぱい、なにをする気ですか、あんなことやこんなことですか。

 

まあせんぱいにならいいかな。

 

私、重症ですね。

 

「ベー。マジやばいでしょー。寝たふりとか、いろはすマジやばいからー。ベー。無視とかそれないわー」

 

なんでそこで戸部先輩のマネ?

あ、やばい。なんかじわじわ来る。

 

「ぷっ。あはははーっ。せ、せんぱい、ずるいです。じわじわきます」

 

思いっきり笑ってしまった。

あー恥ずかしい。

 

「やっぱり起きてたな。てか、静かしろ。マナーが悪いぞ」

「せんぱいのバカ…」

 

そのあとの内容はあまり入ってこなかった。

 

 

 

「やっぱ原作の方が良かったな」

「そうですかー」

 

映画と戸部先輩のマネはどうでもよかったんですけど、その前のね。

せんぱいが私のこと可愛いって。

 

あーやばい。またニヤけそう。

 

もしかして私があざとくなかったら、せんぱいは私のこと好きになってくれるのかな。

 

でも可愛いと好きは別か…。

 

「一色、もう5時だがどうする?」

「あ、もうそんな時間ですかぁ」

 

せんぱいと一緒にいると時間が経つのが早く感じるから困っちゃいます。

 

「まだなんかするなら小町に今日は飯いらないって連絡しないといけないんだが」

 

そういうところちゃんとしてるんですね。

結婚してもそういう連絡とかちゃんとしてくれるんですかね。

『いろは、今日は晩飯はいいから』

とか。

さらっと心の中でいろはって呼ばせましたけどそれでも恥ずかしい。

そしていろはって呼ばれたい。

 

「じゃあ今日はもう帰りますか」

「んじゃ送るわ」

「せんぱいにしては気が利いてますね」

「こういうのちゃんとしないと小町に怒られるからな。小町が怒ると面倒だし」

「シスコン…」

 

 

 

電車からモノレールに乗り換えて今、せんぱいとふたりっきり。

せんぱいと乗る時はなぜかいつもいないんですよね。

まあその方がせんぱいといちゃいちゃできるんでいいですけど。

 

「せんぱい、今日は楽しかったです」

「そうか、まあそれならわざわざ日曜日に外に出た甲斐はあったな」

「せんぱいも素直じゃ無いですね。素直に『今日は可愛いいろはといれてよかった』って言えばよかったのに」

 

さらっといろはと呼ばせたい願望が出てしまった。

 

「いや、言わないだろ。どんな罰ゲーム?そんなに俺を恥ずかしめたいの?」

「せんぱいが恥ずかしがっているのを見るのはとても愉快です」

「メガネをかけて愉快ですというのは俺的に不愉快だな」

 

それってメガネ関係あるんですかね?

まあいいですけど。

 

「そうだ一色…」

「なんですか?」

 

せんぱいは肩にかかったバッグからなにかを取り出した。

 

「ほれ」

「?、なんですか?」

「プレゼントだよ…昨日のとは別にな」

 

昨日のとは別に?

 

「一色のことだから今日もプレゼントないのかって言ってくると思って用意したが、なんもなかったからな」

「…やっぱりせんぱい、あざといですよ…」

 

これじゃ私だけがどんどんせんぱいのこと好きになっちゃうだけじゃないですか。

 

「せんぱい、ハグしても?」

「もちろん否だ。てかなんでそうなるんだよ」

「嬉しかったのでつい」

 

もう少しでハグしてキスとかしちゃいそうな勢いでした。

 

「開けてもいいですか?」

「開けてもいいが、しまうの面倒じゃないか?小物とかじゃないし」

「そうですか」

「まあ帰ってからのお楽しみにでもしとけ」

 

モノレールが私の降りる駅に来てしまった。

もうお別れかぁ。

もっといたかったんですけどね。残念です。

 

「じゃあせんぱい、私、ここなので」

「おう。また明日、な」

「はい。また明日、です」

 

椅子から立ち上がり、荷物を持つ。

出口に向かって歩き、やっぱり止まる。

このまま帰るのは惜しい。

 

せんぱいの元に駆け寄りせんぱいの頬にキスをした。

 

「え、」

「でわでわせんぱいまた明日で〜す!」

 

ダッシュで逃げる。

やっぱり恥ずかしい。

 

前はせんぱい、寝てましたし…

というかあれはノーカウントです。なかったことに。

卑怯ですからね。

 

 

明日、どうしよう。




疲れました。
書いている途中途中で詰まってしまい、どうしていいか考えました。

なんだかいつにもまして文章に落ち着きがない気もします。
もうこれはあれはですね、仕事が悪い。
仕事が悪いんですよ。


次回は普通に奉仕部でのお話になる予定です。
でわでわ

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