死んだ目になったのは僕なのですが…。
この間同僚に言われました。
「お前、目ぇ死んどるぞ」
働きたくないなぁ。
雪ノ下先輩と結衣先輩とせんぱいは3人で、どこかへ行ってしまった。
私と小町ちゃんは暗くなった道をとほとほ歩く。
やっぱり私は奉仕部ではないんだ。
私の気持ちがあの時から変わっても、学年が上がっても、結局それは変わらない。
唐突に小町ちゃんが口を開く。
「いろは先輩、小町たちもどこかでちょっとだけお話しません?」
私を気遣ってくれているのだろうか。
それとも小町ちゃんもどこか似た想いがあるのだろうか。
「じゃあ私のお気に入りのお店でしよう。ここから割と近いんだ」
お店に入り紅茶を注文する。
ふたりで窓際の席に座っている。
窓からは、月明かりに照らされたアザレアが咲いている。
「お兄ちゃんね、奉仕部に入ってから変わったんですよ。昔は今よりもずっと、腐っててバカでした」
アザレアを眺める小町ちゃんはなんだか色っぽい。
小町ちゃんも、小町ちゃんなりの立ち位置でせんぱいをずっと見てきたのだろう。
「小町ちゃん、ブラコンだね」
「そうかもしれませんね。…」
紅茶を手に取りブラコンを認める小町ちゃん。
やっぱり兄妹だなぁ。
「小町ちゃん、せんぱいのこと好き?」
なんで、私はそんなことを聞いているのだろう。
自分でもよくわかっていない。
「好きですよ。…いろは先輩はどうですか?」
「好きだよ。目と根性は腐ってるし、鈍感だし、露骨に嫌そうな顔するし、たまににやにやするしキモいけど、好きだな」
こんなことをせんぱいの妹に話すことになるとは。
けど、誰にも言わなかった気持ち。
誰にも言えなかった気持ち。
どうしてだろうか。胸の奥からせり上がってくるこの気持ち。
泣きたいけど、泣きたくない。
やっぱりどこか、ずっと苦しかったのかな。
「いろは先輩、お兄ちゃんのことが好きなら、もっと頑張らないといけません。
…お兄ちゃんは、大切ものの掴み方はわからないけど、離し方は知ってるんだよ。なぜか」
紅茶の入っていたカップには、薄い三日月が浮かんでいた。
翌日は生徒会の仕事溜まっていて、奉仕部へは行けなかった。
副会長さんも書記ちゃんももう帰ってしまって私ひとり。
小町ちゃんは今日いないし。
私もせんぱいと同じぼっちですね。
さっき買ったはずのマックスコーヒーからは雫が垂れていて、冷たくなくなってしまった。
唐突にドアが開く。
「失礼するぞ」
「平塚先生、ノック出来ないと男の子にモテないですよ」
くわえ煙草で登場って男子的にどうなんですかね?
「そんなことはどうでも…どうでも…すまん直すよう精進する」
なんかちょっと落ち込んでる…
やばい、地雷踏んだ。
いつもはちょっと怒るくらいなのに。
またなんかあったんだろうな。
「今日来たのは奉仕部についてだ」
さっきとは打って変わって真剣な表情。
「昨日雪ノ下と話したんだが、奉仕部は今学期をもって活動を終了しようという話になっている。もちろん、まだ決定ではない」
多分昨日3人で話したことはそれだったんだろうな。
「どうしてそれを私にするんですか?」
私は奉仕部ではないのに。
「…どうしてかな。ただ君にとっても大事なものだろうと思ったのでな」
「…先生は一番長くあの3人を見てきたんですよね」
私が奉仕部を知る前から。
「ああ。雪ノ下も比企谷も、だいぶ変わった。初めはふたりとも馴れ合いを嫌っていた」
せんぱいに関しては嫌われていたんだと思いますけどね。
「君が初めて依頼したときは一番大変だったな」
「まあちょっと空気はよくなかったですよね」
なんか懐かしいな。まだ1年も経ってないんですけどね。
「いつか比企谷にも言ったが、私はいつまでもお前たちを見てやれん。だから、私が見ていられるうちに、自分の足で立って歩けるようになってほしい。無論君もだ、一色」
先生、こういう時はカッコいいんですけどね。
先生が男なら私惚れちゃってたかもしれないまであります。
「先生、生徒会長一色いろはを舐めないで下さい」
平塚先生やせんぱいに手を引かれなくたって歩きます。
まあせんぱいには手を引かれたいですけどね♪
「…頼もしいな」
平塚先生の顔は、巣立ち行く我が子を見送る親のような顔をしていた。
最近不調です。
話が浮かばないし、なんか噛み合ってない文章とかあるし。
すみません。今回はちょっと少なめです。