誤字脱字が今回多いかもしれません。報告して頂ければ幸いです。
前回の続きです。でわでわどうそ。
「せんぱい!なんで私立文系が第一志望じゃないんですか?せんぱいは私立文系行って、編集者になるんですよ。そしたらぼっちなせんぱいと私が結婚してあげるのに」
先ほど平塚先生に見せた進路調査票をみんなに見せるなり一色がそんなことを言い出した。
一色怖いわ〜。お金さえあれば俺みたいなのとでも結婚するって言ってるんだから。
それが本気ではないことを祈る。
まあ一色は可愛いし、それはそれでいいかもしれない。
まあそんなわけはないのでどうでもいいのだが。
「第三志望がバリスタ専門学校…専業主夫よりは全然まともね」
「ヒッキーがバリスタかぁ。
…ちょっとかっこいいかも」
そんなに専業主夫はダメなのだろうか?むしろ何がダメなのかわからない。
そもそも、男が専業主夫になるということをゴミと考えるのは間違っていると思う。
「まあ小町的にも専業主夫よりはいいですよね。少なくともダメ男ではなくなりますし。あとは結婚相手が見つかってくれれば小町はもう安心だよ。お兄ちゃん」
「せんぱい、バリスタでもいいところで働いていれば結婚してあげてもいいですよ」
「お兄ちゃん!結婚相手が決まったね!小町はもう、思い残すことはないよ。うん」
いつから小町はお母さんみたいになったんだろうな。
そんなに心配なんですかね?別に俺はぼっちのままでも良いんだけど。
「なあ、専業主夫はダメなのか?」
「「「「絶対ない!」」」」
4人がシンクロする程だめらしい。
そうですよね。はぁ…。
「比企谷君、私的には私立文系に行って、編集者になる方がいいとは思うのだけど」
「ですよね雪ノ下先輩!ほらほら、編集者どうですか?今なら可愛い一色いろはもつけちゃいます☆」
「なんだよその『今なら更にプリンターもお付けします!』みたいな言い方は。しかもなんかあざといし」
ちょっと可愛かったけどさ。
その特典いいな。思わず編集者になるとか言いそうになっちゃうじゃんか。
「でもヒッキーがカウンターに立ってたらみんなお店からいなくなっちゃいそうだよね」
「そうね。比企谷君の目があまりにも腐っているから、出した珈琲が美味しくなさそうだもの」
酷すぎるでしょう。別に目が腐っても珈琲は美味しいでしょ、多分。
しかも由比ヶ浜もさらっと酷いし。
目が腐ってるだけで客に逃げられるって辛すぎるだろ。
そんなに俺の目はヤバイのか?
「まああれだな、お店では猫を飼って俺の腐った目をカバーしてもらおう」
「それなら安心ね。比企谷君」
雪ノ下は簡単だな。しかも小さく「猫…」って呟いてるし。今日も猫ノ下さんは健在ですね。
「ヒッキー、それじゃあたしがお店に入れないじゃん!」
「じゃあ犬…」
「比企谷君」
なんで由比ヶ浜からも雪ノ下からも睨まれないといけないんだ…。
なんか、こいつらに話したらなにかわかるかもしれないとか思ってた俺はなんなんだろうな。
まあ、こいつらとこんなやりとりをするのも悪くはないのだが。
「平塚先生はさっき、なんて言っていたのかしら?この調査票を見て」
「君が淹れる珈琲を飲んでみたいとは思う…みたいなことは言ってた」
「…そう。私も、比企谷君の淹れる珈琲なら飲んでも構わないとは思うわ。あまり珈琲は得意ではないけれど」
雪ノ下も、平塚先生と同じ顔をしている。
そんな顔を見ていると、なんだか俺もそれでいいのかもしれないと思ってしまう。
「あたしもヒッキーの淹れた珈琲飲みたいな。あ、あたし砂糖とミルク多めでね」
「せんぱいのことだからMAXコーヒー並みに甘いの出しそうですけど、飲んでみたいかもです」
「だってさ、お兄ちゃん」
前に読んだ小説の主人公の気持ちがなんとなくわかった気がした。
誰かのために淹れる一杯。それに込める気持ち。
ひとりだった俺にはその気持ちはよくわからなかったが、今ならわかる。
「そろそろ今日は活動を終わりにしましょうか。陽も落ちてきたことだし」
「そうだな。まあもうちょっと考えてみるわ。まあ今日はその、なんだ。ありがとな。お前らのおかげで少しだけ、すっきりしたわ」
まあ実際は編集者とバリスタの天秤が同じくらいの重さになっただけなのだが。
「またいつでもお話は聞きますよ。せんぱい」
「一色の場合は編集者になれっていう説得だろ」
廊下に出て歩くだけで少し汗ばんでくる。
いよいよ夏が来て、この部活も終わりを告げてしまう。
残り一ヶ月。大切に過ごそうと改めて思う。
感想などお待ちしております。