まあ奉仕部が終わっても俺ガイルが終わるわけではないのですが、やはりどう書いていいのかわからなくなります。
執筆中にある方からメッセージを頂きました。
一色いろはのどこがいいのか全くわからない、そのようなメッセージでした。
まあ確かに、リアルで一色みたいな女子がいたら僕も無理ですけど。
僕としてはこの作品を読んで一色いろはのことも少しは好きになってもらえたらいいなと思います。
といっても今回は雪ノ下の回なのですが。
「比企谷、君は面接は落ち着いていてよかったが、やはりどこか捻くれている発言や態度がある。そこをどうにかすればいけると私は思うのだが…」
「それはどうしようもないので諦めてください、平塚先生」
夏休みになり、早くも一週間が過ぎようとしている。なんだかんだ進路を決め、今は平塚先生と面接の練習を終えた。
にしても、捻くれている発言や態度を直せって無理だろ。それができたら俺はおそらくぼっちになっていない。
「まあいい。君の成績なら多分なんとかなるだろう。…ところで、最近は由比ヶ浜と雪ノ下とはどうなのだ?」
「いえ、特には…。まあ今の時期ですから、お互い色々大変でしょうし」
今のところ、奉仕部を解散してからは会っていない。由比ヶ浜と雪ノ下が会っているのかはわからないが、多分由比ヶ浜が構ってくるだろから会ってはいるのだろう。ゆるゆりだからな。
「君も頑張っているし、少しは羽目を外してもいいと私は思う。…この時期の子たちは、一生懸命過ぎて心に余裕がない。…雪ノ下のことも心配ではあるしな」
「まあ雪ノ下なら大丈夫でしょう。由比ヶ浜がいますし」
由比ヶ浜ならちゃんと見てくれる。由比ヶ浜がいれば特に心配することはない。
「…雪ノ下にも、君は必要だと思うがね」
そう言うと平塚先生は懐からタバコを取り出し、火を付けて去っていった。
辺りには仄かな甘みのある匂いが残っていた。
とりあえず、マッカンでも買って帰りますかね。
自販機に向かう途中、ケータイが震えた。歩きながらケータイを開き、立ち止まって小銭を入れる。
メールが一件来ていた。相手は雪ノ下からだった。
購入したマッカンを一口飲んでから雪ノ下からのメールを開いた。
『突然なのだけど、今から付き合ってくれないかしら?』
…なんかすごい言葉が足りないんだけど。
まああれだな。まず交際の申し込みじゃないのは確かだな。前にも似たような感じで由比ヶ浜の誕生日プレゼントを買いに行った覚えがあるから多分買い物かなにかなのだろう。
『どこへだ?』
とりあえず返信し、マッカンを飲みながら駐輪場へ向かう。途中で再びケータイは震えた。
『とりあえず学校近くの駅まで来てもらえるかしら?』
『今学校だからすぐ着くぞ』
『わかったわ。私もすぐに行くから、駅前で待っていてもらえるかしら?』
『あいよ』
結局、なにをするのかはわからない。
まあ雪ノ下がメールしてくるのは珍しいし、なにかしらあるのだろう。
一色からのメールは嫌な予感しかしないが、雪ノ下からだと心配になるまである。
いつだったか、雪ノ下は俺に言った。
「いつか、私を助けてね」
俺も雪ノ下も、誰の力も借りずひとりでやってきた。
助けてくれる人なんて周りにはいないから、だからひとりでやってきた。
そんな雪ノ下が、そんなことを言ったのだ、俺に。
俺はいつか、雪ノ下を助けることができるだろうか。
少なくとも、前の俺のやり方では雪ノ下や由比ヶ浜、一色を助けることは出来ないだろう。
それは平塚先生にも言われたことだ。
「ごめんなさいね、急に呼び出してしまって」
いつの間にか雪ノ下は俺の前に来ていた。
夏休みのため、雪ノ下は私服姿だ。
雪ノ下にしては珍しくミニスカートだ。服はTシャツなのだが、胸(があるであろう場所)とお腹のちょうど真ん中を通るようにして英文があった。
アイラブドッグ♥︎
俺が雪ノ下の服装をじろじろと見ていたため、雪ノ下はすくに視線に気づいた。
「こ、この間、由比ヶ浜さんとお買い物に行って買ったのよ。似合うと言ってくれたから…」
なぜか雪ノ下は頬を赤く染め、恥ずかしがっている。
恥ずかしがる雪ノ下は新鮮で、可愛いと思ってしまった。
しょうがないよね。美少女の雪ノ下が恥ずかしがってたらどうしようもなく可愛いじゃん。
これだから美少女は困る。そんなのは小町だけにしてほしい。
「まああれだな、新鮮で似合ってるんじゃないか?」
なぜか疑問形になってしまった。
「そ、そう。ありがとう」
そしてお互い無言。
…なんでこんな空気になってるの?とりあえず呼び出された理由を聞く。
「で…あれだ。今日はなんの用なんだ?」
「そ、そうだったわね。今日はその、息抜きをしたいと思って」
まあ雪ノ下も色々と忙しいだろうし、たまには息抜きもしたくなるのだろう。
だが、息抜きなら俺ではなくて由比ヶ浜を呼べばいいんじゃないか?どうして俺のなんだ?
「では、さっそく行きましょうか」
そう言うと雪ノ下はテンポ良く歩いていった。心なしかウキウキしているように見えた。
「にぁぁ。にぁ?にぁにぁぁ」
「…」
「にぁぁ。にぁにぁ。にぁ♡」
アイラブドッグのTシャツを着た女の子が猫カフェで猫たちとお話している。
なんだこの状況は。
まあ息抜きにと連れて来られたからまあいいのだが、猫ノ下さんやばすぎるでしょ。もはやちょっと猫より可愛いなって思っちゃったし。
この喫茶店、前は普通の喫茶店だったらしいのだが、近くの犬カフェに対抗して猫カフェにしたらしい。
ちなみにその犬カフェは俺と一色が一度行ったことのあるお店だ。
「…。なぁ猫ノ下」
「なにかしら?」
急にいつもの態度に戻りましたよこの子、怖い。
さっきまでは猫を愛でるただの女の子だったのに…
しかも猫ノ下できっちり反応してるし。
「お前、前はそんなに人前とかでデレてなかっただろ」
「別にここはいいのよ。むしろこの方が自然だわ。…それに比企谷君にならもう、見られても大丈夫だもの」
なぜか猫をさわさわしながらもじもじしている猫ノ下。
「猫ノ下、写真撮るか?」
「いいのかしら?…でも私も一緒に写るのは少し、恥ずかしいのだけれど」
そう言えば猫ノ下もあんまり写真は好きではなかった気がする。
ディスティニーのときも由比ヶ浜に撮られてちょっと怒ってたし。
「まあ別にいいんじゃないか?誰に見せるわけでもないんだろ?」
「それはそうだけど。…では比企谷君も一緒どうかしら?私だけではやはり恥ずかしいし」
「いや、俺は…」
断ろうとすると猫ノ下さんは自分の膝に猫を乗せ、猫の両手(前脚)を掴み寂しそうにこちらを見る。
にぁぁ、と捨てられた子猫のようにか弱い声を出す猫ノ下。
いやいや猫ノ下、キャラ崩壊し過ぎでしょ。
ここまでは初めて見たぞ俺。
名残惜しそうに見つめる猫と猫ノ下。
やめろ、そんな目で見るな!ドキドキしちゃうだろ!
まあ俺がそんな手にかかるわけがないがな。
「仕方ないな…」
思いっきりかかりましたね。
だってしょうがないじゃん。捨てられた子猫を見つけてしまってそのままにできるかよ⁉︎出来ないよ俺は。
「店員さん、写真を撮って頂けるかしら?ほら比企谷君、あなたもこっちへ来て」
猫ノ下は自分のケータイを店員さんに渡し、俺に近くに来るように促した。
猫ノ下さんは既にお気に入りの猫を抱えて準備オッケーだ。
「はい、では撮りますよー。男性のお客様、目が死んでますよー。笑って笑って」
この店員失礼じゃないですかね?
しかも猫ノ下は隣で笑いを堪えているし。
不意に当たる肩が雪ノ下との距離が短くなったと感じた。
前は、こんなに近くには居なかった気がする。
それは雪ノ下が少しずつ近くに来ているのか、それとも俺の勘違いか。まあ多分勘違いだろうが。
写真を撮り終えた後、3時間後にその店を出た。
次回は猫カフェを出た後の話を書こうと思っています。
でわでわ。