今日は日曜日。待ちに待った唯依ちゃんとの
「服よし、髪型よし、笑顔よし」
もう何度目かわからない身だしなみのチェックをして、時間を確認する。
「6:30か。後、一時間半だな」
唯依ちゃんたっての希望で現地集合となったので遅刻しないように二時間前からスタンバイ中だ。
「折角のチャンスだ。頑張らないとな」
さらに三十分が経ったころ見る者全てを惹きつけるような女の子が歩いてくる。
「は、早かったですね」
「ううん、そんなこと────」
あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!『唯依ちゃんとの待ち合わせ場所で待ってたら天使がやってきた』な……何を言ってるのかわからねーと思うが(以下略
「そ、その、最近はこういう服が流行ってると聞きまして……似合ってますか?」
いかんですよ!けしからんですよ!いわゆるNO.● PROJEC●さんの童貞を殺す服なんて!あっ。ちなみに童貞を殺すっていっても女性経験のない男子のハートを撃ち抜く的な意味は間違いらしい。
「そんなに見つめられるとさすがに恥ずかしいです……」
「あっ。いや、うん。すごく可愛いです」
「ほ、本当ですか!」
「う、うん」
あまりの破壊力に理性が保てるか心配だ。
「じゃ、じゃあ、少し早いけど行こうか」
「は、はい」
とりあえず、いろんなお店を見て回ることにする。その間にも道行く人のほんとんどが唯依ちゃんに見惚れている。そして、俺には男性陣からの恨みの視線が降り注ぐ。でも悪くないかも。
「冬夜、見てください。このネックレスすごく可愛いですよ」
「どれどれ……本当だね。すごく可愛い」
「あっ、こっちの猫も可愛いです。はわぁ〜」
そんな感じでウィンドウショッピングを楽しみ、ちょうどいい時間になっていたので少しオシャレなお店でお昼を食べる。メニューは俺が『海の幸といくらのクリームソース 〜ビスクソース仕立て〜』で唯依ちゃんが『明太子と海苔としめじの青じそ風味パスタ』だ。
「たまには、こういうのも良いね」
「ええ、すごく美味しいです」
幸せそうに食べてる唯依ちゃんってすごく可愛い。
「お客様、よろしいでしょうか」
食べ終わってデザートを頼もうとしているとタイミング良く店員が現れる。どことなくにやけてるのはなぜだろう。
「本日、当店ではカップルのお客様限定のスペシャルデザートを用意しております。いかがですか?」
「「か、かっぷる!?」」
「はい」
お互いに真っ赤になった顔を見合わせる。
「ど、どしよっか」
「と、冬夜にお任せします」
「じゃあ、頼んじゃおうか」
「は、はい、お願しましゅ」
「カップル様限定デザートをお一つですね。かしこまりました」
この後二人でおいしく頂きました。
ところ変わって夕暮れの城址公園。唯依ちゃんにベンチで待っててもらって俺はクレープを買いに来てる。
「クレープ二つちょうだい。イチゴとブルーベリーで」
「はい」
無精ヒゲにバンダナという風体からは想像できない人懐っこい顔だな。
クレープは受け取ったし早く戻らないと唯依ちゃんがナンパされかねないもんね。そんなことになったら大変なことになるし。
「あの子、すごいわね……」
「ほんとほんと」
「相手の男も馬鹿よね」
クレープを持って唯依ちゃんが待つベンチへと向かっているとなにやら人混みが出来ている。
「まさか……」
人混みをかき分けて騒ぎの元を見ると案の定、大変なことになっていた。
「もう終わりか?立て!それでも、日本男児のつもりか!?情けなさすぎるぞ!私が鍛え直してやる!」
「す、すいませんでした!もう勘弁してください〜」
男三人相手に唯依ちゃんが圧勝していた。
「はぁ〜、やっぱり」
何を隠そう唯依ちゃんは剣術に始まり合気道に空手、その他様々な武術を習得している武術系美少女なのだ。って!そんな解説してる場合じゃない!
「ゆ、唯依ちゃん、相手も反省してることだし許してあげなよ」
「と、冬夜!?あっ、いえ、これは、その……。あちらの方々が私を強引に!」
「わかってる。わかってるからちょっと落ち着いて、ね?それと、君たちもこれに懲りたら強引なナンパなんてやめときなよ。さもないと……」
「ひ、ひぃっ!?すいませんでした!!」
全力で逃げていくナンパ三人組と反対方向に唯依ちゃんの手を引っ張ていきベンチへ座らせる。
「ふぅ、この辺なら大丈夫かな」
「……すいませんでした。私のせいでこんな」
「気にしなくていいって。それよりも、ほら。イチゴと
「……では、イチゴを」
「はい。いやー、お互いに体に染み付いた技術は止めらんないよね〜」
「……」
「あっ。そうそう、唯依ちゃんこの公園のクレープ屋の噂知ってる?」
「ミックスベリーを食べると幸せになれるという噂ですか?」
「イエス。でも、実はこの公園のクレープ屋にミックスベリーはないだよ」
「え?」
「さっき確認してきたよ」
「それでは、噂は噂だったということですか?」
唯依ちゃんが少し残念そうに肩を落とす。やっぱり、女の子はそういうのが気になるんだね。
「話はまだ終わってないよ。あっ。こっちのクレープすごくおいしよ。一口食べてみて?」
「いいんですか?」
「うん」
「では、失礼します」
はむっと唯依ちゃんがブドウのクレープを食べたのを確認する。
「それじゃ、僕ももらおうかな」
「どうぞ」
唯依ちゃんがかじったところとは別の場所を食べる。
「うん、おいしい。ここで問題です。ででん、唯依ちゃんと俺は今ミックスベリーを食べました。なぜでしょうか?」
「?」
頭に?マークを浮かべていたが何かに気付いたみたい。
「イチゴとブドウ………ブドウ?……っは!ブルーベリーですか!?」
「せいかーい。これが『いつも売り切れのミックスベリー』の正体でした」
「……ブドウはブルーベリーとは違いますよ?」
「ブルーベリーって言うとすぐに気付いてつまらないんじゃん」
「しかし、そういうことだったんですか」
「そっ。お互いに食べ合いっこするってこと」
「よく知ってましたね、こんなこと」
「唯依ちゃんが喜びそうなことならなんでも知ってるさ」
「そ、そうですか」
「唯依ちゃん、楽しかったね」
「はい」
「また、二人で出かけようね」
「そうですね」
こうして、俺と唯依ちゃんの楽しい休日は終わっていった。