唯依ちゃん好きのIS学園記   作:ニーベルングの指輪

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転校生

「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」

「え?そう?ハヅキのってデザインだけって感じしない?」

「そのデザインがいいの!」

「私は性能的に見てミューレイのがいいかなぁ。特にスムーズモデル」

「あー、あれねー。モノはいいけど、高いじゃん」

 

月曜日の朝。クラス中の女子がわいわいと賑やかに談笑をしていた。みんな手にカタログを持って、あれやこれやと意見を交換している。

「そういえば織斑君と白崎君のISスーツってどこのやつなの?見たことない型だけど」

「あー。特注品だって。男のスーツがないから、どっかのラボが作ったらしいよ。えーと、もとはイングリッド社のストレートアームモデルって聞いてる」

「俺のは二つとも俺のオリジナル」

 

ちなみにISスーツというのは文字通りIS展開時に体に着ている特殊なフィットスーツのこと。このスーツなしでもISを動かすこと自体は可能なんだが、反応速度がどうしても鈍る。そして、何よりフィットスーツ故に体のラインがはっきりとでる。そう、唯依ちゃんの成長中の体のラインが!ちなみに昨日、唯依ちゃんにISスーツについて聞かれた時にそう答えたら、冷たい目で見られた。解せん。

「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知することによって、操縦者の動きをダイレクトに各部位へと伝達、ISはそこで必要な動きをおこないます。また、このスーツは耐久性にも優れ、一般的な小口径拳銃の銃弾程度なら完全に受け止めることができます。あ、衝撃は消えませんのであしからず」

 

例外として、俺の強化装備は耐Gスーツ機能、耐衝撃性能に優れ、防刃性から耐熱耐寒、抗化学物質だけでなく、バイタルモニターから体温・湿度調節機能、カウンターショック等といった生命維持機能をも備えている。内蔵バッテリーでフル稼働十二時間の優れもの。

「山ちゃん詳しい!」

「一応先生ですから。……って、や、山ちゃん?」

「山ぴー見直した!」

「今日が皆さんのスーツ申し込み開始日ですからね。ちゃんと予習してきてあるんです。えへん。……って、や、山ぴー?」

 

入学から大体二ヶ月。山田先生には8つくらい愛称がついていた。慕われている証拠だ。これも人徳のなせる業か。

「あのー、教師をあだ名で呼ぶのはちょっと……」

「えー、いいじゃんいいじゃん」

「まーやんは真面目っ子だなぁ」

「ま、まーやんって……」

「あれ?マヤマヤの方が良かった?マヤマヤ」

「そ、それもちょっと……」

「もー、じゃあ前のヤマヤに戻す?」

「あ、あれはやめてください!」

 

珍しく語尾を強くして山田先生が拒絶の意思を示す。なんだろう、前の時もこんな感じだったけど、何かトラウマでもあるんだろうか。ヤマヤってあだ名に。

「と、とにかくですね。ちゃんと先生とつけてください。わかりましたか?わかりましたね?」

はーいとクラス中から返事が来るが、ぶっちゃけ言ってるだけの返事なのは間違いない。今後もあだ名は増えようだね、山やん先生。

「諸君、おはよう」

「お、おはようございます!」

 

それまでざわざわしていた教室が一瞬でぴっと礼儀正しい軍隊整列(あっ、例えね)に変わる。一組担任ちーちゃん軍曹の登場だ。

あれ?スーツが夏用に変わってる。見た目はあんまり変わらないけど、生地が薄手で涼しいやつだ。そういえば学年別トーナメントが今月下旬で、それが終わると生徒もそこから夏服に替わるらしい。唯依ちゃんの夏服か、楽しみだなぁ。

「今日から本格的な実機訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないようにな。忘れたものは代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着でも構わんだろう」

 

いや、構うよ!弟くんが唯依ちゃんの下着姿を見るなんて、お兄さん許しません!てか、見たら殺す。

ちなみにIS学園の指定水着はスクール水着である。紺色のアレ。絶滅したと思ってたけどまさかこんなところで生き延びていたとは思わなかった。そして、なんと体操服はブルマーだ。唯依ちゃんとのコンビがまた殺人的でヤヴァイ。感謝状は理事長に出せばいいかな?

ちなみに何で学校指定のものがあるのに各人で用意するかというとISは十人十色の仕様へに変化するので自分のスタイルを確立するのは早い方がいい。

「では山田先生、ホームルームを」

「は、はいっ」

 

連絡事項が言い終えたちーちゃんが山田先生にバトンタッチする。ちょうど眼鏡を拭いていたらしく、慌ててかけ直す姿が子犬みたいだった。

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します!しかも二名です!」

「え……」

「「「えええええっ!?」」」

 

いきなりの転校生紹介にクラス中がいっきにざわつく。そりゃそうだ。この三度の飯より噂好きな十代乙女、その情報網(その情報収集力はCIAを凌ぐ。知らんけど)をかいくぐっていきなり転校生が現れたんだから驚きもする。しかもふたり。

(てか、なんでふたりともうちのクラス……?普通分散させるんじゃ?スク水、ブルマー趣味の理事長だからかな?)

 

そんなことを考えていたら、教室のドアが開いた。

「失礼します」

「……………」

 

クラスに入ってきたふたりの転校生を見て、ざわめきがぴたりと止まる。

そりゃそうだ。

だって、そのうちのひとりが──男子だったんだから。

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