唯依ちゃん好きのIS学園記   作:ニーベルングの指輪

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みんなでお昼

「では、午前の実習はここまでだ。午後は今日使った訓練機の整備を行うので、各人格納庫で班別に集合すること。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散!」

 

なんとか時間内に全員の起動テストを終えた俺たち白崎班は格納庫にISスーツを移してから再びグラウンドへ。いや〜、間に合ってよかった。遅れようものなら鬼教官に何を言われるかわかったもんじゃないしな。

そして、ちーちゃんは連絡事項を伝えると山田先生と一緒にさっさと引き上げる。

「午後からは整備か。まあ、それなら楽できるかな」

 

何せ、一から作るのに比べて出来上がったものの整備なんて簡単すぎるし。

「あ、冬夜兄ぃ。昼って何か用事ある?」

「昼?唯依ちゃんと食べる以外ないけど」

「じゃあさ、俺たちと一緒に食べないか?箒やセシリア、鈴達と食べようって話てたんだ」

 

一夏ハーレムの中で食べろと?いや、待て。そのメンツだともしかしたら面白いものが見れるかもしれないな。

「唯依ちゃんもいるけどいいよな?」

「おう。それじゃ、屋上に集合な」

「了解。また後で」

 

 

 

「……どういうことだ」

「ん?」

 

昼休み、弟くんとの約束どおり唯依ちゃんと一緒に屋上からにきている。なんと、貸切状態である。やったね☆

「天気がいいから屋上で食べるって話だっただろう?」

「そうではなくてだな……」

 

聞かなくても二つのお弁当と箒ちゃんの顔を見ればわかる。この唐変木、二人で食べようという約束をどうも履き違えたらしい。

「せっかくの昼飯だし、大勢で食った方がうまいだろ。それにシャルルは転校したばっかりで右も左もわからないだろうし」

「そ、それはそうだが……」

 

わかる。わかるよ、箒ちゃんの言いたいことが。でもね?この唐変木にはそれが通じないんだよ。

「はい一夏。アンタの分」

 

そう言ってタッパーを放る鈴ちゃん。こら、食べ物は大事にしなさい。

「おお、酢豚だ!」

「そ、今朝作ったのよ。アンタ前に食べたいって言ってたでしょ」

 

ご飯なしの酢豚とは中々に大胆なご発想。

「コホンコホン。──一夏さん、わたくしも今朝はたまたま偶然何かの因果か早く目が覚めまして、こういうものを用意してみましたの。よろしければおひつどうぞ」

 

バスケットを開くオルコッさん。そこには見た目だけはしっかりとしたサンドイッチが並んでいる。そう、見た目だけの。

「お、おう。あとでもらうよ」

 

弟くんは若干引き気味だが、自分の蒔いた種だ。頑張ってもらおう。

「?どうかしまして?」

「いや!どうもしてない!」

 

どうもしてないことないだろう。まあ、俺もあれだけは食べたくない。なにせ、「本と同じになればいい」と思っているらしく色合いを合わせるために適当に調味料を入れたりしている。なので、味はお察しである。

「はっきり言わないからずるずるいっちゃうのよ。バーカ」

 

まさしくバカである。ちなみに唯依ちゃんも初めての料理はお世辞にも美味しいとは言えなかったが、本人の努力もあり高級料亭顔負けの味にまで成長した。こんな料理を食べせてもらってるんだから俺は幸せ者だな。

「ええと、本当に僕が同席してまよかったのかな?」

 

その気持ちはわからないでもないけどもう少し待ってれば絶対面白いことになるって。

「気にしなくていいんじゃない?同席してまずいんならそこのバ……弟くんも誘ったりしないでしょ」

「そうそう、男同士仲良くしようぜ。色々不便もあるだろうが、まあ協力してやっていこう。わからないことがあったらなんでも聞いてくれ。──IS以外で。ISは冬夜兄ぃに任せた」

「いや、そこで任すなよ」

「そうよ。アンタはもうちょっと勉強しなさいよ」

「してるって。多すぎるんだよ、覚えることが。お前らは入学前から予習してるからわかるだけだろ」

「君たちは教科書に書いてあるの内容を学んでるだけ。俺たちは自分たちで一から考え、創り上げた。それに比べれば楽なものだろう?」

「楽だと思えるのはあなた方だけだと思いますわ……。まあなんにせよ、適性試験を受けた時期にもよりますが、遅くてもみんなジュニアスクールのうちに専門の学習をはじめますわね」

 

その辺は俺にはよくわからないな。今度、唯依ちゃんに聞いてみよう。

「ありがとう。一夏って優しいね」

「い、いや、まあ、これからルームメイトになるだろうし……ついでだよ、ついで」

「一夏さん、部屋割りがもう決まったのかしら?」

「いや、普通に考えたら俺の部屋だろ。男だし。そういや、冬夜兄ぃはどうなんだ?」

「俺?俺は唯依ちゃん一緒だよ」

「そうなのか?でも、俺は問題があるから箒とは別部屋になったのになんでだ?」

「私から織斑先生にお願いしたからですよ、織斑くん。織斑先生からも問題が起きない限りは許可を得ています」

 

問題が起きたら即部屋変えってことですか……。ちーちゃんにどこまでが問題じゃないか、放課後にでも聞きに行こう。

「へぇ。アンタって見かけによらず大胆なのね」

「冬夜に他の女の子に変なことをさせない為の防護策です。他意はありません」

「まあ、そういうことにしておきましょうか」

「どんな理由でも俺は唯依ちゃんと同室ならいいけどね」

「私も冬夜と同じ部屋がいいので問題は起こさないでくださいね」

 

そんな話をしながら昼食が進む。俺と唯依ちゃんは唯依ちゃん手作りお弁当、弟くんと鈴ちゃんは酢豚、デュノアさんは購買のパン、オルコッさんは自分の食べる分はしっかり購買で買ってきたようであのサンドイッチは弟くんの腹に収まることだろう。

「…………」

 

そして、問題は箒ちゃん。さっきからお弁当の包みも広げず黙ったままなのである。

「どうした?腹でも痛いのか?」

「違う……」

「そうか。ところで箒、そろそろ俺の分の弁当をくれるとありがたいんだが──」

「…………」

 

無言でお弁当を差し出す箒ちゃん。

「じゃあ、早速。……おお!」

 

弟くんの声につられて覗いてみると、鮭の塩焼きに鶏肉の唐揚げ、こんにゃくとゴボウの唐辛子炒め、ほうれん草のゴマ和えというなんともバランスのとれた献立の数々がそこにはあった。

「これはすごいな!どれも手が込んでそうだ」

「確かに。唯依ちゃんのお弁当にも引けを取らないレベルだ」

「つ、ついでだついで。あくまでわたしが自分で食べるために時間をかけただけだ」

「そうだとしても嬉しいぜ。箒、ありがとう」

「ふ、ふん……」

 

愛しの弟くんに褒められて箒ちゃんは嬉しそうな顔で自分のお弁当を開ける。

「箒、なんでそっちに唐揚げがないんだ?」

「!こ、これは、だな。ええと……」

 

そこは突っ込んであげるなよ。

「……うまくできたのがそれだけなのだから仕方ないだろう……」

「え?」

 

女の子は好きな男にはできるだけいい風に見られたいんだよ。

「わ、私はダイエット中なのだ!だから、一品減らしたのだ。文句があるか?」

「文句はないが……別に太ってないだろう」

 

はあ、その発言はまずいだろ。別に太ってるからダイエットするわけじゃないんだぜ?

「あー、男ってなんでダイエット=太っているの構図なのからしらね」

「まったくですわ。デリカシーに欠けますわね」

「ほんとほんと。弟くんのせいで男全員がそんな風に見られちゃうじゃん」

「いやでも、実際ダイエットなんか必要ないように見え──」

 

そう言って弟くんは箒ちゃんの方を向くが手で思いっきり押し返される。

「ど、どこを見ている、どこを!」

「どこって……体だろ」

 

うわっ!変態だ。

「なに堂々と女子の胸を見てんのよ。ア・ン・タ・は!」

 

胸は許してほしい。そうじゃないと唯依ちゃんの胸を見て和めないじゃないか。ちなみに正確ではないが唯依ちゃんの体重は平均よりほんのちょっとだけ多いくらい。なんで、知ってるかって?さっきの実習の時のお姫様だっこで確認済みさ。さらに付け加えるならちょっと多いのはおっぱいのせいだ。

「なにを考えるかわかりませんが、失礼かついやらしいことを考えているのはわかりますよ?」

 

唯依ちゃんの少し怒った声が聞こえる。なぜ、バレたんだ……。

「一夏さんには紳士として不足しているものがあまりに多いようですわね」

 

弟くんのあの顔はまたくだらないこと考えてるな。

「「一夏!」」

 

さすがは幼なじみ。弟くんの考えはお見通しだね。

「?」

 

デュノアさんは状況が飲み込めず困った顔をしている。

「一夏……どうしたの?なんだか、不思議な顔をしてるけど」

「不思議?ほう、どんな感じかね?」

「口調まで不思議に……。ええと、孫夫婦の一家団らんを眺めているおじいさんのような顔かな」

「コーヒーと歴史を深く愛する知的な老学者ではなくて?」

「弟くんにはそもそも知的な部分はないと思うよ?」

「ひでぇ……」

「コホン。さて与太話はこれくらいにして昼食にしよう。いつまでも談笑していられるほど昼休みは長くはない」

 

それもそうだな。早く唯依ちゃんのお弁当食べたいし。

「じゃあまあ、いただきます」

「いただきます」

 

うん、美味しい。今日も唯依ちゃんの料理は絶品です。

「おお、うまい!」

 

よほど美味しかったのか唐揚げの味付けを考えてる。

「これって結構仕込みに時間かかってないか?ええと、混ぜてるのはショウガとしょうゆと……んぐんぐ。なんだろうな。絶対食べたことのある味なんだけど」

「おろしニンニクだ。それとあらかじめコショウを少しだけ混ぜてある。隠し味には大根おろしが適量だな」

「へえ!それはいいな。今度俺もやってみよう」

 

確かになかなか美味しいそうだ。俺も今度作って唯依ちゃんと食べよう。

「いやでも、本当にうまいな。箒、食べなくてもいいのか?」

「……失敗した方は全部食べたからな……」

 

なるほど、女の子の意地だね。

「ん?」

「あ、ああ、いや、大丈夫だ。まあ、その、なんだ……。おいしかったのなら、いい」

「本当にうまいから箒も食べてみろよ。ほら」

 

そう言って弟くんは唐揚げを一口サイズに切って、箸で持ち上げる。いわゆる『はい、あーん』ってやつか。

「な、なに?」

「ほら。食べてみろって」

「い、いや、その、だな……」

 

本当はしてほしいけど恥ずかしさが勝ってる感じかな?

「…………」

「…………」

 

オルコッさん、鈴ちゃん。そんな羨ましそうに見なくてもそこの唐変木なら二人にもしてくれるよ、きっと。

「ほら。箒、食べてみろって」

「い、いや、その……だな。ううむ……ごほんごほん」

「あ、これってもしかして日本ではカップルがするっていう『はい、あーん』っていうやつなのかな?仲睦まじいね」

 

貴公子さん、そんなこと言うとそこの二人が虎仙人と戦女神に変容しちゃうじゃないか。

「だ、誰がっ!なんでこいつらが仲良いのよ!?」

「そっ、そうですわーやり直しを要求します!」

「うん。それならこうしよう。みんな、一つずつおかずを交換しようよ。食べさせあいっこならいいでしょう?」

 

なん……だと……!?唯依ちゃんのお弁当をこの女たらしに食わすだと!?

「お、落ち着いてください、冬夜。冬夜が食べたいならいつでも作ってあげますから」

 

ぐぅ……。致し方あるまい。

「じゃあ、冬夜兄ぃも納得したことだし俺はいいぞ」

「ま、まあ、一夏がいいって言うんならね。付き合ってあげてもいいけど」

「わたくしは本来ならばそのようなテーブルマナーを損ねるような行為は良しとはいたしませんが、今日は平日でここは日本、『郷に入っては郷に従え(ゴーイング・ゴウ)

ですわね」

 

唯依ちゃんのお弁当を独り占めできないのは悔しいが今回は認めよう。

「じゃ、早速もーらいっ!」

 

鈴ちゃんがそう言って弟くんの箸から唐揚げを奪う。

「あ、こら!」

「もぐもぐ……。う!な、なかなかやるわね。なかなか」

「ふっ。和の伝統を重んじればこそだ」

 

箒ちゃん、唐揚げに余程の自信がお有りの様子。

「あー……わりい箒。今ので唐揚げ、俺が口を付けたのしか無くなったわ」

「そ、そうなのか?」

「ああ。いくらなんでも男が口を付けた食べ物っていやだろ?って、でもそうなると他出せるおかずはないんだよな。唐揚げ以外は一緒だし」

「──でま、いいぞ……」

「箒?」

「べ、別に、口がついていてもいいぞ。私は気にしない」

「うん?そうなのか。じゃ、はいあーん」

 

ずいぶんと手馴れてる。一体何人の女の子をそれで落としたのやら。

「あ、あーん」

 

箒ちゃんは照れながらも満足気に唐揚げをほおばった。

「い、いいものだな……」

「だろ?うまいよな、この唐揚げ」

「唐揚げではないが……うむ。いいものだ」

 

そこは、気付いてあげろよ。弟くんとの間接キスがいいんだよ。

「じゃあ、俺も唯依ちゃんからのはいあーんを」

「どれがいいですか?どれも自信作ですよ」

「うーんと……じゃあ、その卵焼きで」

「はい、どうぞ。冬夜好みの甘さ控えめにしておきました」

 

そう言って顔を赤らめながらはいあーんをしてくれる唯依ちゃん。……うん。卵焼きも含めていいっ!

「それじゃあ、俺からもはいあーん」

「あ、あーん」

 

そして、同じように顔を赤らめながら口を開ける唯依ちゃん。なにこの天使。お持ち帰りオッケーですか?

いや、部屋一緒なんだけど。

「ほんと、篁さんの弁当うまそうだな」

「はい、織斑くんもおひつどうぞ」

「じゃ、遠慮なく」

「いや、遠慮しつつ最大級の感謝をしつつ唯依ちゃんを崇めながら味わって食え」

「何もそこましなくても……」

「あ゛?」

「……わかりました」

「はあ……」

 

弟くんが、唯依ちゃんのお弁当に箸を伸ばす。

「おお!箒のにも引けを取らないくらいうまい!」

「当たり前だ。唯依ちゃんだぞ?」

「なんで、冬夜兄ぃがそんなに自慢気なんだよ」

 

 

そんな感じでお昼の時間はすぎていった。

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