入学式
高校の入学式、それは誰もが心踊るイベントである。無論、俺も心踊っている。それが例え、クラスに男子が2人しかいなくてもだ。『IS学園』、我が幼馴染みである
「今更、何を学べと?」
「お前の場合、常識だろ」
「わお、ちーちゃんの言葉で泣きそうだぜ☆」
それは、高校で学ぶものではないのでは?という疑問はあえて無視して目の前を歩く世界最強の幼馴染みである『織斑 千冬』、通称ちーちゃんの後に続く。
「ここでは、織斑先生だ。それと、お前のクラスには
彼女だと?
「織斑先生、何故それを先に言わないんですか!あの子が居ると聞いては待てません!adiós amigo」
「あっ!おい、待て!」
全力で聞いていた教室へと向かい、勢いよく教室へと飛び込む。
「ゆーいーちゃーん!!」
「なっ!?」
教室で椅子に座ってる超絶美少女に抱きつき、髪の匂いを嗅ぐ。誰かが変な挨拶してたけどまあ、大丈夫だろ。
「うん、やっぱり唯依ちゃんの髪は良い香りだね。この香りは椿油かな?それにサラサラで最高!」
「と、冬夜!?や、やめっ」
「もう少っへぶ!?」
「目に余る行動は控えろと言ったはずだが?」
悪鬼だ。出席簿を持った悪鬼が居る。
「ほう?」
「わぁ〜、美人な先生だなぁ〜、嬉しいなぁ〜」
ポカンとしているクラスメイトを余所に久しぶりの会話を楽しむ。てか、今さらっと、心を読んだよね!?
「それは、そうと織斑」
パアンッ!と音がなりちーちゃんの弟くんが叩かれる。あれは痛そうだな……。
「いっ──!?………げぇっ、関羽!?」
ふむ、あいつ的にはちーちゃんは関羽か。てか、ちーちゃん。音がえげついから女子が若干名引いてますよ?
「誰が、三国志の英雄だ?」
「あ、織斑先生。もう用事は終わられたんですか?」
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押しつけてすまなかったな」
久しく聞いてないちーちゃんの優しい声だ。悪鬼はどこへ行った?童子切りで退治されたのか?
「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと……」
ヘェ〜、あの人副担任だったんだ。中々の物をお持ちのようだ。唯依ちゃんには劣るけど。
「………」
ちーちゃんの鋭い視線が刺さる。
「……控えます」
「それでいい。さて諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才にまで鍛えぬくことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
なんという暴力宣言。さすがは世界最強。だがしかし、教室には困惑どころか黄色い声援が響く。
「キャ────!千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、千冬様のためなら死ねます!」
うっとしそうなちーちゃんを余所に女子達はきゃいきゃいと騒ぐ。
「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」
これが演技じゃなくて本当にうっとしがってるのがちーちゃんだ。ちーちゃん、人気は買えないんだよ?もうちょっと優しくしよう?と思った俺が甘かった。唯依ちゃんの汗くらい甘かった。まあ、舐めたことないんだけど。
「きゃあああああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけあがらないように躾をして〜!」
うん。クラスメイトが変態的でも俺は気にしないよ?だって紳士だもん。変態紳士じゃないのかって?ハハハ、何をバカな。
「大分、逸れてしまったが挨拶も満足にできんのか、お前は」
「いや、千冬姉、俺は──」
パアンッ!再び響く音。ちーちゃん、弟くんの脳細胞がどんどん死んでいってるよ?
「織斑先生と呼べ」
「……はい、織斑先生」
と、このやり取りのせいでちーちゃんと弟くんが兄弟なのがバレた。
「え……?織斑くんって、あの千冬様の弟……?」
「それじゃあ、世界で二人だけの『IS』を使えるっていうのも、それが関係して……」
「ああ、いいなぁっ。姉弟の禁断の愛!」
一人、危ない子がいる!?それは置いとくとして、弟くんと俺は世界で二人だけの『IS』を使える男としてここ、公立IS学園にいる。簡単に言うと『てめー、
「大分、時間を取ってしまったな。冬夜、挨拶しろ」
「はいはい。えーと、そこにいる弟くん、もとい織斑一夏くんと同じでISを使える男兼、ニュースで知ってる人もいるかも知れませんが篠ノ之博士以外で
我ながら、いい挨拶だな。唯依ちゃんが真っ赤で俯いてるけど照れてるのかな?
「ええええ───────!?」
「うるさいぞ、女子。さあ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染みこませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ、私の言葉には返事をしろ」
なんという鬼教官。更にタチが悪いことになまじ人間性能の限界を知っていることかな?
「席に着け、馬鹿者共」
幼馴染みに馬鹿はないんじゃない?
そんなこんなで俺のIS学園での生活が始まった。