唯依ちゃん好きのIS学園記   作:ニーベルングの指輪

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束ちゃん、参上!

「……………」

 

俺と弟くんは更衣室のある別館へ向かう途中で箒ちゃんとばったりと出くわした。それはいいんだが、問題は目の前にある珍妙な物体である。

道ばたにウサ耳が生えている。そう、バニーさんがしているアレだ。しかも『引っ張ってください』という張り紙付きだ。

「なあ、これって──」

「知らん。私に訊くな。関係ない」

「いや、間違いないと思う……」

 

十中八九これは、天才という名の天災。自称一日を三五時間生きる女。俺と同じISの開発者。そして、箒ちゃんの実姉。我らが篠ノ之束ちゃんに違いない。

「とりあえず、抜く?」

「好きにしろ。私には関係ない」

 

そう言ってすたすたと歩き去ってしまう。束ちゃんとは仲良くして欲しいなぁ。

「のわっ!?」

 

なんて考えていると弟くんがウサ耳を抜いたと同時にすっころぶ。

「いてて……」

「何してんの?」

「何をしていますの?」

「お、セシリアか。いや、今このウサミミを──あ」

 

どうしてこいつばかりラッキースケベに遭遇するんだ。顔か!?やっぱり顔なのか!?ええい、忌々しいイケメンフェイスめっ!

「!?い、一夏さんっ!」

「す、すまん。その、だな。ウサミミが生えていて、それで……」

「は、はい?」

 

そんな言い訳が通じるものかっ!ちーちゃんに言いつけてやるからな!

「いや、束さんが──」

 

キィィィィン……。

なんだ、この、何かが高速移動してる音は──って、なに!?

ドカーーーーン!

デフォルメにんじんが落ちてきた。

「に、にんじん……」

「はぁ……」

「あっはっはっ!引っかかったね、ふーくんにいっくん!」

 

ばかっと真っ二つに割れたにんじんの中から笑い声とともに登場したのは件の天災・篠ノ之束ちゃんだった。相変わらずだね。

「やー、前はほら、ミサイルで飛んでたら危うくどこかの偵察機に撃墜されそうになったからね。私は学習する生き物なんだよ。ぶいぶい」

 

それはそれとして今のファッションテーマは一人Alice in Wonderlandかな?相変わらずよくわからないけど似合ってるからまあいいか。

「久しぶりだね、束ちゃん」

「お、お久しぶりです、束さん」

「うんうん。おひさだね。本当に久しいねー。ところでふーくん。箒ちゃんはどこかな?さっきまで一緒だったよね?トイレ?」

「箒ちゃんは……」

 

束ちゃんを避けてどこかに行きましたとは、言えないよな。どう答えよう……。

「まあ、この私が開発した箒ちゃん探知機ですぐ見つかるよ。じゃあねいっくんにふーくん。また後でね!」

 

すったったーと走り去ってしまう。てか箒ちゃん探知機ってまた、変なもの作ったね。

「い、一夏さん、冬夜さん?今の方は一体……」

「束ちゃん。箒ちゃんのお姉さんだよ」

「え……?ええええっ!?い、今の方が、あの篠ノ之博士ですか!?現在、行方不明で各国が探し続けている、あの!?」

「Yes.その篠ノ之束ちゃん」

 

ちなみにこの臨海学校では『ISの非限定空間における稼働試験』というのが主題である。そのため、各国から代表候補生宛に新型装備が山ほど送られてくる。しかし、一応部外者は参加できない決まりになっているため、揚陸艇で装備だけがどかっと運ばれてくるらしい。

しかし、そこは我らが束ちゃん。思いっきり規則無視するだろう。ってか目的はなんだろう。

「まあ、いいか。今のところ大丈夫でしょ。オルコットさんはおりむーに用事があったんでしょ?僕は先に行ってるね」

「そういや、気になってたんだけど、冬夜兄ぃってなんでセシリアのこと名字で呼んでんだ?」

「え?だって、名前で呼んでいいって言われてないし」

「別に構いませんわよ?お互い知らぬ仲ではないのですし、セシリアで構いませんわ」

「そう?じゃあ、これからセシリアさんって呼ぶよ」

 

弟くんたちを置いて先に別館の男子更衣室へと向かう。そして手早く着替えて、いざ海へ。

「あ、白崎君だ!」

「う、うそっ!わ、私の水着変じゃないよね!?大丈夫だよね!?」

「わ、わ〜。体すごい〜。鍛えられた体って感じ〜」

「白崎くーん、あとでビーチバレーしようね〜」

「うん、いいよ」

 

更衣室から出てすぐ、隣の更衣室から出てきた女子数人と出会う。各人、可愛い水着を身につけていて、その露出度にやや照れる。

さて、唯依ちゃんはどこかな?

「冬夜」

 

唯依ちゃんの声で振り返ると──

「ッ!?」

 

やはり、あの水着を選んだ俺に間違いはなかった!

「そ、その、日焼けは困るのでサンオイルを塗ってくれませんか?」

 

しかも、体に触れる許可がっ!

「もちろん!」

「「「え!?」」」

 

あっ、まずった。

「私サンオイル取ってくる!」

「私はシートを!」

「私はパラソルを!」

「じゃあ私はサンオイルを落としてくる!」

 

こうなったら致し方あるまい。許せ、弟くん。

「あとで弟くんがやってくれるらしいよ?ちなみに弟くんの初物です」

「「「じゅりる」」」

 

おい、じゅりるなんて効果音初めて聞いたぞ。さて、そろそろ始めようか。

「まずは背中、次にお尻、最後に前だよね」

「背中だけお願いします」

 

そこはもう少し恥ずかしがって『と、冬夜がしたいなら……』って言って欲しかった……。

「じゃあ紐解くね」

 

しゅるりと唯依ちゃんの水着の紐を解く。いかん、これだけで鼻血が出そう。

「優しくお願いします」

「お、おう」

 

シミひとつない白い肌。正直、たまらん!

「ん……。いい感じです。相変わらず上手いですね」

「お褒めにあずかり光栄の極み」

 

背中を塗り終えた俺は、弟くんが来るまでパラソルの下でゆっくりとすごす。

「最近は何かと騒がしかったからなぁ。今だけでもこうしてのんびり過ごすのはいい」

 

束ちゃんがいるということは一悶着ありそうだし。

 

 

そん感じでのんびり過ごしていると弟くんがやって来てさっきた。そして弟くんの選んだせくすぃービキニを着たちーちゃんと女子たちとの一試合終えたとき

「冬夜兄ぃ、久しぶりに勝負しないか?」

 

などと、言い出したせいで弟くんと1on1のガチ勝負することになった。

「冬夜兄ぃ、さっきの恨みここで晴らす!」

「やってみるがいい。埋まらぬ差というものを教えやろう」

 

お互いの背中にゴゴゴゴッという効果音が現れる。

「くらえっ!」

 

いきなりのジャンピングサーブ!だが、甘い!

「なにぃ!?」

 

それを軽く打ち返す。

「ふふふ、俺はそんなに甘くはないよ」

 

 

 

「「はあはあ……」」

 

お互いの点数は九点。十点先取なのであと一点だ。

「「お前には負けないっ!」」

 

久しぶりに楽しい勝負だ。だが、勝つのは俺だ!

「死して拝せよ、極東の魔弾と言われた我がスパイクを!」

「こいっ!」

 

 

時間はあっというまに過ぎ、現在七時半。大広間三つを繋げた大宴会場で、俺たちは夕食を取っていた。

「昼も夜も刺身が出るなんて豪勢だなぁ。しかもカワハギとは」

「ええ、この羽振りの良さには少々驚かされますね」

 

そう返してくれたのは俺の右隣に座っている唯依ちゃん。

今は全員が浴衣姿だ。よく知らないけど『お食事中は浴衣着用』らしい。

「いやー、こんなに豪勢なのは久しぶりだよ。おっ、本わさじゃん」

「ええ、すごいと思います。京都の方でもこれだけのものとなるとなかなか」

「素晴らしきかな、特殊国立」

 

唯依ちゃんと楽しく会話しながらの夕食はかなり楽しく、満腹になるまで食べていた。

 

 

 

「〜〜〜〜」

 

食後に温泉。なんという贅沢か。

海を一望できる露天風呂を弟くんと楽しんだ後、少し体を冷やすためベランダでゆっくりと過ごす。

「束ちゃんもいるならこっちに来なよ」

「ありゃりゃ、バレちゃったか〜」

 

シュバッと目の前に束ちゃんが降りてくる。

「今回来たのってやっぱり箒ちゃんの?」

「うん、そうだよ。いやー、箒ちゃんから頼まれるなんて束さん嬉しいなぁ」

 

子供のようにくねくねと体を揺らす。こういうところは変わりないね。

「束ちゃんの作った特別機か。どんなのか見せてよ」

「えへへ、ふーくんにならいいよ!」

「なんとまあ……」

「どう!すごい?すごいでしょ!」

 

そうして見せてもらったデータに俺は驚きを隠せなかった。

 

 

 

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