~暮羽side~
翌日、俺は聖祥大附属小学校を下見に来ていた
それにしても……
「でかいな……」
これだけデカイとあいつ、迷ったりとかしないか?
まぁ、流石に無いとは思うが
無いと信じたい
よし、下見も出来たし、色々とブラブラして帰るか
古墳時代じゃ甘いものなんて殆ど無かったし、甘いものを食べてみるか
あ、海が近いな
これだと海釣りで色々な魚が釣れる
食料に困ったら釣りに来るか
「ねぇねぇ、翠屋のケーキ、食べました?」
「えぇ。いつもあそこケーキは美味しいですよね」
……ん?主婦の会話が…………
翠屋……ね
ケーキは確か甘い食べ物だった筈
じゃあ、翠屋って所を見つけるまでブラブラしてるか
あ、水姫の羽、隠しておかないとな
何かと言われてあいつが妖精だと暴露したら大変だ
髪の色は……まぁいいか
何とかなるだろう
……ん?
「喫茶翠屋……ここか?」
確かに美味しそうな香りがするな
……よし、財布もあるし、その中に金もある
よし、突入!
「あ、いらっしゃいませ~、お一人てすか?」
栗色の髪の人が出迎えてくれた
あ、大体この人は大学生辺りか?
物凄く若いな
「はい」
「じゃあ、あそこの席で待っててね」
しっかし、どれも美味しそうだ
全部お持ち帰りは……大変だから止めよう
美味しそうなものを数個お持ち帰りするか
「はい、メニューよ」
「あ、ありがとうございます」
ん?今度は黒髪の眼鏡を掛けた三つ編みの人か
「じゃあ、決まったら呼んでね」
「はい」
えっと……シュークリームにショートケーキにチョコケーキに……ヤバイ、迷う
当店おすすめは……シュークリームか
よし、じゃあシュークリーム三つとオレンジジュースでいいかな
「すいませ~ん」
「あ、は~い」
あ、さっきの大学生位の人か
「このシュークリーム三つとオレンジジュースを一つください」
「はい、分かりました。ちょっと待っててね」
さて、お持ち帰りは……ショートケーキ辺りでいいな
普通にどれも旨そうだが……よし、通うか
毎日一種類ずつ買ってパクパクと食べていくか
「はい、お待たせ。シュークリーム三つにオレンジジュースね」
「ありがとうございます」
「ふむ……」
……見られてる
「どうかしましたか?」
「いや、なのはと同い年くらいかなって」
「なのは?」
「うん。4月から小学一年生の子なの」
「妹さんですか?」
「ううん。娘よ」
……はい?
娘!?
いやいやいや、明らかに若すぎる……ん?だけど、一児の母なら……って、まさか
「あそこの眼鏡の人とかも……」
「そうよ。あの子の上に一人男の子ってところね」
うぉう……
完全に三児の母には見えん
せめて大学生位だ
「何?私が物凄く若く見えちゃったとか?」
「はい。その通りです」
「うふふ、ありがと」
いやぁ、不思議不思議
こんな若い人が三児の母って……
今まで見たこと無いぞ……
あ、シュークリーム滅茶苦茶うまい!!
うん、通う。通い詰める
毎日来る
「あら?気に入った?」
「はい!」
「ふふふ、嬉しいわぁ。なのはがここに居たらあの子も楽しかったでしょうに」
なのは……名前からして女の子か?
よっぽど愛されてるんだな
「ただいま~」
「お、噂をすれば」
カランカランと音がして、栗色の髪をツインテールにした子が入ってきた
「あれ?お客さん?」
「えぇ、そうよ。お話してくる?」
「うん!」
シュークリームうめー
中毒になる。これは止められない止まらない
「ねぇねぇ、ちょっと座っていい?」
「んぐ?……いいぞ」
「ありがと!」
なのはという子が俺の前に座る
「わたしは高町なのは。君の名前は?」
「桜庭暮羽だ。まぁ、呼びやすいように呼んでくれ。高町」
「うん!暮羽くん!」
そんな笑顔で話しかけないでくれ……浄化されるから……
……って、はい!?
この子、かなりの魔力持ってるじゃねぇか!!
高町、魔法の才能があるのか?
「ねぇ、年はいくつ?」
「ん?」
えっと……小学一年生辺りだから
「6歳だ」
「あ、わたしと同い年なの!」
ありゃ、そうだったのか
高町のお母さん、見た目で歳を当てるなんて凄いな
……って、
「なぁ、高町?」
「ん?」
「あそこで殺気を送ってきてるガタイの良いお兄さんは誰?」
「う~ん……じゃあ、わたしを名前で呼んでくれたら教えてあげるの!」
「はいはい。で、なのは?」
「何?」
ツインテールをピョコピョコさせながら笑いかけてくる
前からは笑顔、横からは殺気って……何か滅多に味わえないぞ……
「あそこの人は誰?」
「わたしのお兄ちゃんなの!高町恭也って名前なの!」
恭也さんね
って、そろそろ胃の中の物をリバースしそうだから浮く程度の能力で殺気から浮いておこう
ふむ、あの人、剣術をやってるな?
「あ、暮羽くん、その棒は?」
「ん?木刀代わりの物だよ。剣には多少心得があるからね」
「へぇ~」
「そうか……」
いや、恭也さん、怖いっす
そんでもって殺気全開のままこっちに来ないでください
やめてください死んでしまいます
「なぁ、暮羽君だったか?」
「はい」
「ちょっと、一試合付き合ってもらえないか?」
一死合ですね。分かります
まぁ、いいんだけど……
「その殺気、どうにかしてもらえませんか?」
「ぐっ……そんなに出てるか?」
「その殺気を保って町中に行ってみてください。捕まりますよ?」
「わ、分かった……」
殺気が引いた……
この人、未熟なのか未熟じゃないのか……
「では、何処でやりますか?」
「家に道場がある。そこでやろう」
「分かりました」
「あ、お兄ちゃんと暮羽くん、試合するの?」
「あぁ。どうだ?一緒に来るか?」
「うん!」
~少年等移動中~
「ここだ」
おぉ、随分と立派な道場だ
しかも、かなり綺麗に整備されているな
「得物は何だ?」
「じゃあ、木刀を」
「ほら」
「ありがとうございます」
中々良い感じに整備された木刀だ
よし、いっちょ本気をだしますか!
「行くぞ!!」
「来てください」
それと同時に恭也さんが斬りかかってくる
「ハッ!!」
「よっと」
上段振りを紙一重でかわす
「ハッ!デリャ!!」
連続して木刀を振ってくる
俺はそれを全て紙一重で避ける
「なのはは渡さん!!!」
「いや!お付き合いする気はありませんよ!!?」
それが理由!!?
「何だと?それはなのはに魅力が無いって事か!!!」
「それ、どれを答えれば正解なんですか!!?」
そう言いながらも全ての攻撃を紙一重で避ける
「どうした!!打ってこい!!!」
「なら、お言葉に甘えて」
恭也さんの攻撃を避けた瞬間に後ろに回り込む
「早い!?」
「弧月!!!」
木刀を居合いの要領で一気に振り抜く
「チッ!!」
カン!!という音と共に木刀で防がれる
俺はそれを確認してからすぐに上段に振りかぶる
「朧!!」
それを休む暇無く振り落とす
「なんの!!!」
それすらも避けられる
おいおい、普通なら朧でノックダウンだぞ?
「暮羽く~ん!!頑張って~!!」
なのはめ……楽しげに応援しやがって……
「なのはが見てる以上、無様な負け方は出来ない。悪いが、片付けさせてもらう。神速!!!」
その瞬間、恭也さんが視界から消える
って、はやっ!!!?
「後ろ!?」
しゃがんだ所を木刀が過ぎる
あ、危ない……
って、
「今度は右っ!!」
木刀で防ぐものの、木刀はその一撃で折れた
「嘘っ!!?」
その一撃は俺の脇腹に突き刺さった
「ぐっ!!?」
木刀を折った一撃がそのまま俺を吹き飛ばす
体重が軽いからか、足が地面から離れる
「くっそ!!」
だが、何とかして地面に着地する
「ったく、化けもんですか?あんたは」
「それを耐える君もどうかと思うがね」
まぁ、鬼と戦っていますから
「大丈夫なの?暮羽くん」
「まぁな。これ以上の拳を顔面からもらったこともあったしな」
真っ二つに折れた木刀を両手で持って双剣のように構える
「そんな木刀で何が出来る?」
「あんたに勝つことが出来る」
「ほざくな!!」
恭也さんがこっちに突っ込んでくる
よし!それを待っていた!!
「それ!!」
木刀の柄だった部分を恭也さんの目に向けて投げる
それと同時に俺は恭也さんに向けて走り出す
「甘い!!」
木刀の柄だった部分が弾かれる
だが、
「もらった!!」
弾かれると同時にがら空きになっている後ろに回り込む
「なっ!?」
「木刀に気を奪われすぎだ!!」
そして、少し跳躍し、
「ほいっと」
「うっ……」
首に手刀を当てて気絶させる
勝った!!第三部完ッ!!
いや、終わらないけどね?
「ふぇぇ~……」
「あ、すまないな。お兄さんを気絶させて」
「ううん。別にいいの」
なら良かった
しかし、神速だったか?
あれをもう一回使われたらヤバかった
軽く鬼以上のスピードがあったし、恭也さん自身の力もすごいからマジで危なかった
「いやぁ、お見事」
道場の入り口から男の人の声がする
「誰ですか?」
「高町士郎。恭也となのはの父だよ」
「あ、すいません。気絶させちゃいました」
「いや、いいんだ。それにしても、恭也の攻撃を受けて無事とはね」
「いや、無事って言える程でもありませんよ。かなり痛いです」
「そうか。なら、次は……」
「全力で遠慮させていただきます」
「いいじゃないか」
「やめてください死んでしまいます」
「分かった。なら、気が向いたときにやってくれるかい?」
「分かりました。なら、それで」
恭也さんも滅茶苦茶強いのに、そのお父さんと戦えって言われたら、流石に隙を突いて気絶すら出来るかどうか……
ってか、この人たち、戦闘民族とかじゃないか?
なんだよ、神速って
早すぎるし強すぎるし……
まぁ、気が向いたら戦ってもらおう
俺も実践経験が上がるし士郎さんは楽しめるし
「じゃあ、俺は帰らせてもらいます」
「えぇ~暮羽くん、帰っちゃうの?」
「あぁ。まぁ、明日も来るよ」
「ほんと!?じゃあ、楽しみにしてるの!!」
人当たりのいい子だな
ん?他の友達はいないのか?
他にいるんならわざわざ俺に会わなくても別の友達と遊べばいいだろ
こんなに人当たりのいい子なんだ。親友の一人や二人はいるだろうし
って、士郎さんと恭也さん、いつのまにか蒸発してるし……
「なのは、他の友達はいないのか?」
「…………うん」
あ゛…………
嘘だろ?
「……すまない」
「ううん。だけど、今は暮羽くんが友達だから!」
「…………そうか。俺で良ければいつでも遊んでやるさ」
「うん!!!」
確かに、翠屋に来たとき、何故か少し暗い顔だった気が……
いや、こんなに人当たりのいい子が人の輪に入れない訳がない
だとすると……家庭か?
何か家庭で問題があったのか?
「なぁ、なのは」
「何?」
「昔、なのはの家で何かあったのか?」
「うん……お父さんが大きな事故で入院しちゃって……それで皆わたしに構ってくれなくて……」
……なるほどね
そういうことか
恐らく、お母さんやお姉さんは翠屋で仕事、恭也さんは自分が父親の代わりにならないといけないってプレッシャーがあったんだろう……
それで、なのはの世話に手が回らなかったって所か
俺の見てきた家庭でも度々そんな家庭があった
大抵、そこの子供は友達が出来ず、一人寂しく幼少期をすごいている
今のなのははまさしくそれだ
……と、なると少しお母さん方とお話してみるか
……だけど、もうなのはは一人じゃないし……
ん?ちょっと待てよ?
お母さんは普通になのはに話し掛けてるし見るからに愛されてるとしたら……
いや、愛されてるだろ。愛されてる
あんなシスコンがいるんだ
これはなのはと家庭の二つに問題があるのか?
「なぁ、なのは?」
「ん?」
「お前、家族にわがままを言ったことあるか?」
「……ううん。皆、忙しいから…………いい子にしてれば、皆わたしと一緒にいてくれるから」
……なるほどな
「なのは。子供ってのは親にわがままを言うもんだ」
「ふぇ?」
「つまり……お前、少しはわがままを言ってみろ」
「だ、だって……」
「確かに度を過ぎた物は駄目だ。だが、遊んでくれだとか、これが食べたいとか、そんくらいは言っておきな。それで家族に嫌われるんなら、俺が殴り込みに行ってやるさ」
「……うん!」
まぁ、これで家庭のことは万事解決ってとこか?
後はなのはが友達を作れるかだ
まぁ、その心配はないけどな
よし!!シュークとかを買いに来るか!!
作者に文才がないからに……