救世主の帰還   作:kisaragi

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story 2

極東に帰還した翌日、ユウはリンドウを探していた。

というのも帰還した目的の一つである、「情報の交換」を午前中にクレイドル全体で行う予定だったのだが、リンドウだけが報告書を出していないという。

そこで逃げているリンドウをクレイドル全員で探している最中だ。

 

(いろんなところ探したけれど全く見つからない・・・。リンドウさん本当に逃げるの早いな。)

 

エントランスで悩んでいると、昨日軽く挨拶をしたエミールがこちらに気付いたようでやってきた。

 

「やぁユウ殿。昨日はエリナが不躾な態度を取ってしまって済まない。あれから何度エリナに挨拶するよう促しても『行かない。』の一点張りで──」

「いいよ別に。少し聞きたいんだけど、リンドウさんを見なかった?」

「リンドウ殿?フム、僕は見てはいないが。探しているのか?」

「うん、ちょっとね。」

「なら、僕も探すのを手伝おう。なに、気にする事はない。これも騎士の務め、ノブレスオブリージュの一つと受け取ってくれ。」

「あぁうん。ありがとう。」

「では見つけたら連絡をする。さらばだ!」

 

エミールと別れどうしようかと思ったとき、後ろから声をかけられた。

 

「噂になっていたが本当に帰っていたとはねぇ。久しぶりじゃないの。」

「ハルさん、ご無沙汰しています。」

 

声をかけてきたのは現在第4部隊に配属しているハルオミだった。

クレイドル設立前に極東支部に転属、それからというものリンドウと一緒にユウやソーマ、コウタを誘い一杯飲む仲になっている。

 

「いや~、元気そうで何よりだ。それよりさっきの話、リンドウを探しているって?大変そうだね~。」

「そうなんです・・・。見かけませんでした?」

「今日はまだ見てないな。・・・いるとしたら多分あそこだな。」

「どこにいるかわかるんですか!?」

「あ~多分な、多分。教えてやってもいいが・・・。」

「・・・分かりました。今度おごらせてもらいます。」

「話が分かやつはモテるぜ。」

 

 

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(言われて来たけど・・・ここはもう誰かが探したと思うんだよなー。)

 

ハルオミに言われてやってきたのは雨宮サクヤ(旧姓:橘)の部屋だった。

 

「サクヤさんお久しぶりです。」

「あらおかえり。珍しいわね、今日はどうしたの?」

「えっと、レンに会いにきました。」

「あらそうなの。今寝ているところだから静かにね。」

「はい、お邪魔します。」

 

サクヤの部屋に入ったユウは、ハルオミから聞いた『作戦』を実行してみる。

──いいか。サクヤさんに会ったらまずレンに会いに来たというんだ。サクヤさんもリンドウに言われて匿っているとはいえ、迷惑しているはずだ。──

──そんなに簡単にうまくいきますか?というか本当にいるんですか?──

 

「リンドウー。ユウくんが来たわよー。」

「なに?ユウが?」

 

部屋に入るとサクヤさんが奥に行ってしまったが、どうやらリンドウさんと話しているようだ。

 

(ハルさん・・・疑っててすいませんでした。)

 

すぐにクレイドルのみんな宛にメールを送る、すると警戒しているのか辺りを見回しながらリンドウが出てきた。

 

「よう、あのロシアっ娘を送って以来だな。」

「無事送り届けましたよ。」

「で・・・お前一人だけか?」

「はいそうですけど・・・」

「そうかそうか、いやー実は報告書出し忘れててさ。皆怒ってるんだよ。」

「まったく、出さない方が悪いんでしょ。早く出せるようにならないとレンの教育に悪いじゃない。」

 

サクヤが奥から困ったような顔して出てくる。

 

「レ、レンの教育って・・・まだそこまでじゃないだろー。」

「何事も早めにしないと直せないわよ。」

「なんだか・・・楽しそうですね。」

「ハハ・・・まぁなー。」

 

頭を掻きながらタバコに火を点け、リンドウは話を続ける。

 

「実際、こうやって軽口叩き合いながらのんびり生活できるなんて思ってなかったからなー。」

「すみませんけど──」

「のんびりしている時間は──」

「たった今無くなった。」

 

その瞬間リンドウの顔にあった笑顔は消え、冷や汗が流れ始めた。

ユウからの情報を受け、クレイドルの残り二人と捜索を手伝っていたコウタがやってきたからだ。

 

「悪かったなユウ、わざわざ探してもらって。」

「別に大丈夫だよ。久しぶりソーマ、アリサ。」

「ユウ!!お前!!騙したのか!!」

「報告書出さない方が悪いんですよ。久しぶりですね、ユウ。」

「それにしてもユウ、よく見つけたなー。どうやって見つけたんだ?」

「ハルさんに聞いたら、ここにいるんじゃないかって言われて。」

「悪いが、このおっさんに報告書書いてもらわなきゃならないんでな。積もる話は後でだ。」

「待て、ソーマ!ユウが帰ってきたってことは、今研究室に行ったら・・・」

「リンドウさんのお姉さんであるツバキ教官もちゃんといますよ。」

 

みるみる青ざめていくリンドウの顔。

そのリンドウの顔を見て笑うレン。

 

「じゃあなユウ、助かった。おっさん暴れるな、コウタ足の方を持て。」

「よし分かった。サクヤさんもありがとうございました。ほらリンドウさん行きますよー。」

「いいのよ、こっちも困っていたし。リンドウのことよろしくね。」

「や、やめろ・・・!姉上の説教だけは・・・・!」

「つべこべ言わずに行きますよ。ユウもまた後で。」

「うん、じゃあね。」

 

 

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サバイバルミッション中、一つのミッションが終わるとベースキャンプで神機の準備や整備をしたりするなど、各々好きなことをして次のミッションに向けて英気を養っている。

 

「ヒロ隊長、サカキ支部長からメールが届きました。確認の方お願いします。」

「支部長から?分かった、確認しておく。」

「サバイバルミッション中にとは珍しいですね。」

「ま~た支部長の無茶振りでもあるのかな~。」

「無茶振りって・・・もう少しオブラートに包んでやれよ。」

「おお!ロミオ先輩が知的なことを!」

「おい!それどういう意味だよ!」

「どうせ隊長の血の力に関係してるんだろ。」

「実際は違うのかもしれないがな。」

 

そうこうしているうちにブラッドの隊長である神威ヒロが戻ってきた。

 

「隊長、メールの内容は?」

「うん、ブラッドアーツを習得させるのを手伝って欲しいんだって。」

「あ?極東支部でブラッドアーツ覚えていないやつ、いないだろ。」

「それが、欧州遠征していたクレイドルの人だって。神薙ユウって名前なんだけど、知ってる?」

 

その質問に対して、反応したのは一番神機使いとして古株のギルだった。

 

「グラスゴー支部では少し噂になってたな。とんでもない新型の神機使い、つまり第二世代型の神機使いがいるって。」

「なんだよ、めっちゃアバウトじゃねーか。」

「シユウ三十体倒したとか、一人でスサノオを何体も同時討伐したとかで情報が曖昧なんだよ。」

 

ギルのその言葉に対して驚きや疑念の顔しか出せないブラッド一同。

 

「うえ・・・なんだそれ。」

「そうだ、ヒバリさ~ん。神薙ユウさんの事知ってます?」

 

いきなりナナに話を振られて慌てるヒバリ。

 

「わ、私ですか?」

「だってここにいる中でヒバリさんだけ本人に会っているんですから、ギルの言った噂も含めてお願いしますよ~。」

「そうですね、ギルバートさんの噂の件はすいません覚えてないです。けどそういうミッションを受けていたような記憶はあります。」

「うっそ、マジで!?今俺の頭の中ゴリラのようなイメージしかない・・・。」

「背格好や体系はコウタ隊長と同じ位ですよ?」

「・・・・ますますイメージがつかなくなった・・・。」

「会えば分かるって、どんな人かな~。楽しみだね。」

「お前達、おしゃべりもいいが・・・。」

「ああ、そろそろ時間だ。最後のミッションに行くぞ。」

「ですね、では隊長そろそろ出発しましょう。」

「それじゃあ今日もみんなで帰ろう。作戦開始。」

「「「「「「了解!」」」」」」

 

 

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