バン バン バン
パリーン!ガッシャーン!!
ぐあぁっ!!
怯むな、殺せぇっ!!
月明かりに照らされる廃墟街。
そこには静寂など訪れず、銃声と何かの破壊音、悲鳴に溢れていた。
……そして、寂れた廃工場のコンテナの裏に一人、タブレットを触っている影が一つ。
「かーっ、やってらんねーわ。なぁ、何この紛争地帯、バカなの?死ぬの?あの不定形」
独り言、ではなくタブレットの画面越しに通話しているらしく、少しでもノイズを減らそうと周波数やらを調節しているらしい。
もちろん、紛争地帯と皮肉られるようにコンテナの周辺には銃弾が飛び交っている。
一方、別の場所
「ぶっ殺しても即座に起き上がるだろうよあの上司!「ぐはっ!」つーか、お前もさっさと状況演算終わらせろ!「げはっ!」戦況が不利になる一方だろうが!「ごはぁっ!」……うっわぁ……また来た……」
先程の通話に返答しながら、手に携えた刀を振るい、襲い来る敵を斬り伏せる男が一人。
先程の場所
「オッケー、最短ルートの演算は終了だ。合流次第、突っ切る」
『了解ッ!』
影がコンテナから飛び出し
……伸びた
『なっ!?』
『げぇっ……』
「眠っててくれよ、みなさん」
_____咲き喰らう茨
そう、まさにその表現がとても正しい。
影から伸びた影の正体、『茨』が開花するように銃を乱射していた者を絡め取り、喰らい、引き裂いた。
「出るぞ、アバンス!」
廃工場から飛び出した黒髪の青年が声を上げる。
「了解だ、ダルク!」
廃工場に走り来る柴髪の青年が声に応じる。
そして、柴髪の青年、アバンスと呼ばれた影が変化し始める。
「異界の徒よ、わが身を捧げる。わが身と一つとなれ!」
アバンスの額に角が生え、顎を開き、翼が広がる。
竜のような姿へと変貌を遂げたアバンスは、赤と柴色の鬣をたなびかせながらダルクを背に乗せ飛翔する。
「北北西、距離3km程。飛ばしていいぞ!」
「振り落とされんなよ!」
「ボス、取引は終わりました。今のうちに……」
「うむ……」
馬のようなフォルムの下半身と、人型に似た上半身。青い体色、威厳を持った体躯の『カイザーシーホース』がボスと呼ばれた人物に進言する。
ボスと呼ばれた人物、『天界王 シナト』は取引で得たトランクを抱えて、扉へと歩く。
……だが、遅かった。
ザクッ!
「ッ!!?」
扉を突き破り、眼前に刃が突きつけられた。
本能か、はたまた経験による危機察知能力からか、シナトを傷つけるには至らなかった。
そして、少しの間を置いて扉に亀裂が走り細切れとなる。
その後に浮かんだのは2つの影。
「夜分遅くにすいません♫いつもニコニコ、あなたの隣に、寄り添う平和、A・O・Jです。天界王シナト、貴方に武器、魔道書の密売その他諸々の余罪で逮捕状が出ています。ご同行願いましょうか」
そしてダルクが薄ら笑いを浮かびながら、逮捕状と書かれたコピー紙を突きつけていた。
「チィッ!イヌ共が!シーホース、トランクを持って逃げろ!」
「承知っ!!」
シナトは即座に錫杖を振るい、カイザーシーホースにトランクを投げ渡す。錫杖はアバンスに防がれたものの、カイザーシーホースはトランクを抱え、壁を突き破り逃げ出した。
「アバンス、奴を追ってくれ!こっちは俺が止める」
「おうよ!」
続き、アバンスも壁から飛び出す。
部屋に残ったのはダルクとシナトの2人のみ。
「天界王シナト、貴様を」
武力か、否、ダルクの戦闘能力では天界王を名乗るシナトには及ばないだろう。
説得か、否、先に剣を突きつけたのはダルクである以上、言葉は届かない。
ならば、残る道は一つしかない。
ここは、『精霊界』
命のやり取りさえも『決闘』で行える世界。
「決闘で、拘束する!」
初めまして、久那月と申します。
すぴばるでは別名義で別作品を投降しておりますが、こちらではこの名前で『遊戯王 Spirit Code』を連載していきたいと思います