遊戯王 Spirit Code   作:久那月

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10 精霊休日誌 PM

 

「でさぁ、ウィンがまたドジして……。あの部屋にいた女の子のスカートがみんな風で捲れちゃってね」

「ふーん。俺もその場に居合わせたかったなぁ」

 

治療が終わった後、ダルクとライナはファミレスで食事を取っていた。

 

ダルクは社会人、ライナは学生、立場が違うからこそ日常の話のタネは中々に多い。

 

「でもダルクとアバンスはいい時期に就職したよね。私らは就職難しいかも……」

「難易度だけで考えるなよ。結局は落ち着くべきところに落ち着くさ」

「そうは言うけどさぁ、正確な未来なんて見える訳が無し……。占いなら得意なんだけどねぇ」

「先行き不安もまた生のうち。適度に動けば、ちゃんと窪みに収まるよ」

「達観してるなぁ」

 

フライドポテトを齧りながら、悟った風にダルクは言う。

 

ライナはダルクの人生哲学というものは、それなりに正解だと思っている。

この幼馴染みは存外タフで強かなのだ。

 

 

「そういえばさ、ダルクってA・O・Jのどこの部署で仕事してるの?」

「ッ!?」

 

別段深い意味もなくライナはダルクに尋ねる。

 

もちろん、ダルクは特務部の『ゼロ』に所属している。

 

所属しているのだが……実は、『ゼロ』という組織自体、表向きには存在しないはずの組織なのだ。

 

やっていることは、ギャングの抗争の調停や取り締まり、そしてお伽話扱いされている『No.』の回収。

 

あまり表に出せない仕事内容の上に、構成メンバーもいつどこで恨みを買っているかわからない。その関係者に危険が及ぶ可能性を加味し、構成員の身元は厳重に保護され、守秘義務もある。

 

……が。

 

(こいつめっちゃ勘がいいんだよなぁ)

 

女の勘は鋭い。

ダルクも仕事の上で何人もの女性と知り合ったが、下手な誤魔化しがきいた試しがない、下手に誤魔化せば、疑われるだろう。

 

「……あー、と、ちょっと言えないとこ」

「え?言っちゃダメなとこ!?」

 

言えないことを正直に話す。

100点とは言えないが、悪くない回答だろう。

 

「ひょっとして、去年ほとんど帰って来なかったのも……。なんか危ないコトとかしてない?」

 

危ないコトだらけです、と言いそうになるが、ダルクは気合いで変な汗と口を止める。

 

「まぁ荒事なんて滅多にないし、大丈夫さ。残業多いだけ」

「……ふぅん……」

 

一応は納得してくれたようなのか、ライナは紅茶を煽ると、小さく相槌を打つ。

 

「さて、仕事の話は終わり。ライナ、服買いに行こう。いつものお礼にプレゼントさせてくれ」

「いいの?遠慮しないよ?」

「今更遠慮なんかする間柄じゃないだろ?この前ウチで酔っ払った時もベッドの上で……」

「はいストーップ。やめて、恥ずかしいからやめて」

「ぎゃああああああ!やめて!グリグリは痛いからやめて!」

 

言わすまいと光の速さでダルクの後ろに回り込み、ギリギリと締め上げる。

 

ライナが恥ずかしさで頬を染めているところを見ると、微笑ましい関係だ。

 

 

 

 

 

「ありがとね、ダルク。こんなに買ってもらっちゃって」

「いいんだよ、日頃のお礼さ」

 

ブティックで買い物を済ませ、ダルクは大きめの紙袋を抱える。

 

収入は多くても、支出はそう多くないため、身の丈に合わない金額を使ういい機会だ。

 

「さて……映画でも観て帰ろうか。ライナ、なんか観たいのあるか?」

「うーん……あ、DVDが観たい。ちょっと前のやつなんだけど」

「はいよ、じゃあウチで観るか。酒も肴も用意してあるし」

 

二人は、ブティックから車で数分のDVDショップに移動する。

それなりに大きな店舗なので、余程マイナーな作品でない限り、品切れということは無いだろう。

 

「じゃ、観たいの探しといてくれ。俺もなんか見繕ってくる」

「はーい」

 

 

ライナと別れ、ダルクは輸入DVDのコーナーに向かう。

 

……ダルクは、こう思う。

何回観ても、ラ◯ュタはいい、と。

子供の頃から、人間界の有名映画であるラピ◯タは、年1回はテレビで上映されていた。

血と硝酸に汚れた手でも、ラピュタを観れば童心に帰れる気がする。

 

そう、◯ピュタが観たい。

ダルクはジ◯リ映画のコーナーからラピュ◯を発見し、手を伸ばした。

 

 

だが、その手の先には、鱗肌の感触があった。

 

「……あんさん、手ェ離し。そのDVDはワシが先に取ったんや」

 

鱗肌の持ち主は特徴的な言葉でそう言い放つと、乱雑にDVDケースを抜き取る。

 

「アァン?テメェ何乱暴に扱ってんだゴラァ」

「あっ……」

 

だが、ダルクはその扱いに言いがかりをつけ、DVDを丁寧にスり取る。

 

「「…………」」

 

……互いにやってしまったら、もう謝るという選択肢は無い。

 

DVDを手に持ったまま、ガンのつけあいに入る。

 

鱗肌の持ち主は竜人種、トカゲから進化し、産まれ持った鋭い眼光がダルクを睨む。

 

対して、人間種のダルクも負けてはいない。仕事で培った凄味を効かせた視線が竜人を突き刺す。

 

どちらもガンのつけあい程度では引かないと見るや、拳に力を込める。

 

…………だが、お忘れでは無いだろうが、ここは精霊界。

拳より、カードの方が決定力が強い世界だ。

 

当然、2人が取り出すのはディスクとデッキ。

 

さぁ、決闘を始めよう。

 

「「決闘!!」」

 

 




イグナイトは安くて強いなぁ(ユニコーン使いながら)
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