「っし、これでDVDは俺のもんだ」
ダルクは改めて賭けられていたDVDケースを手に取る。
「……成る程、実力は噂以上やな……」
「あー?噂?なんだそりゃ。勝ったついでだ、答えな」
キールの呟きに反応するように、ダルクは向き直る。
先程の『猟犬』という一言から何かが引っかかっていたのだ。
もしかしたらこいつは、意図的に自分と争ったのだろうか?
「さぁ?なんの事やら。……目当ての物が手に入らんかったんや。引き揚げさせてもらうで」
とぼけたような口調でキールはそう言うと、キールは去っていった。
……どうにも釈然としないが、奴の態度はダルクの疑問に無言の肯定をしているように思えた。
(立場を知られるってのはどうも気持ちのいいモンじゃねぇな……)
どこからか情報が漏れていたのか、または、奴自身がなんらかの形で『ゼロ』に関わっているのか。
最も、考えても不毛なだけなので今は置いておく事にするのだが。
「ダルク〜、選び終わった?」
「ん、ああ。待たせちまったか?」
目当てのDVDを探し終えたのか、ライナが小走りで駆け寄ってくる。
「ううん、探し終えたのついさっきだから。ちょっと時間かかっちゃって……」
「なら良かった。早くレジ行くか、疲れた」
「そだね」
〜A・O・J本部、長官室〜
上品な装飾の部屋に人影が一つ。
シルバーブラウンの髪に、銀色の瞳、A・O・J長官、混沌帝龍だ。
「『ゼロ』が集めたカードが11枚」
壁の11個の数字が点灯する。
「京東で、新しい収穫が一枚」
『No.12 機甲忍者 クリムゾン・シャドー』がテーブルに置かれると、壁の『No.12』が点灯する。
「そして……私の手持ちのカードが4枚」
『No.17 リバイス・ドラゴン』
『No.39 希望皇 ホープ』
『No.62 銀河眼の光子竜皇』
『No.107 銀河眼の時空竜』
その4枚の数字が点灯する。
「これで、『No.』は16枚。4年間という短い期間でよく集まったものだ」
自らが記憶している時間だけでも1万と3千年。
世界は幾度となく滅びかけ、その度に再生を繰り返した。
……だが、次の終焉を迎えた先には再生があるのか?
理不尽な破壊でこの世界が終わり、息絶える。例えそれがいつか来る運命だとしても、世界を護る者としてそれだけは防がなければ。
永遠に続く命の営みと、世界の終焉。
秤に乗せてどちらに傾くかなどは想像に難くないだろう。
「終わりに終わりを告げる。私には、終焉の支配者としての義務がある」
書き換えるのだ、真理を。
世界は、神の我儘では動かない。
「……勝負だ、神よ。この世界は貴様らに壊させん」
アランレイヴはそう呟くと、部屋の照明を落とし、背中に顕現させた翼で窓から飛び出した。
〜一方その頃〜
「……なぁ、ライナ?」
「んー?」
「(ぽりぽり)」
ダルクの家ではクソ映画鑑賞会が開かれていた。
アバンスはピーナッツ食ってる。
「俺、ラピュタ見たいんだけど……。つか、この映画すっごい面白くないんですが……。雑だし、演技棒だし、安っぽいし」
「そこがいいじゃん。こう、変な方向への努力の結晶みたいで」
「やだよ!?キラートマトが襲ってくる努力なんてやめちまえ!残りの映画もなんだよクソ映画ばっかじゃねぇか!」
「(ぽりぽり)」
「アバンスもピーナッツばっか食ってんじゃねぇよ!落花生の割り方無駄に上手いの腹立つんだよ!」
「……ん、いや、この映画俺は好きだぞ」
「でしょでしょ?」
「……襲われたら、斬りたくなる。それを想像できて楽しい」
「親友が辻斬り的思考です。どうしましょう」
「笑えば、いいと思うよ?」
昨日と同じ今日。
今日と同じ明日。
世界は繰り返し時を刻む。
願わくは、平穏な日々が崩れ去らんことを。