ターン05:ダークマター
「俺のターン、ドロー!!」
アランレイヴから回った、おそらくこの勝負のキーポイントとなるターン。
このターンで相手のライフをゼロにしなければ、自分は確実に負けるだろう。
「来い、ダークマター!私がお前を受け止め、救うために、お前の全力を私にぶつけろ!!」
「次こそは、壊れてくれるなよ!『貪欲な壺』を発動!墓地の幻水龍、バルバロス、タキオンドラゴン、FA、俺をデッキに戻し、デッキから2枚ドローする!」
ここでチャンスカード。
デッキに必要なパーツを戻し、新たな2枚のカードで希望を紡ぐ。
「……よし、俺は『ローンファイア・ブロッサム』を召喚する!」
ローンファイア・ブロッサム ☆3 ATK500
「ロンファの効果を発動、このカードをリリースして、デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。ロンファを特殊召喚、そしてそのロンファをリリースし『紅姫チルビメ』特殊召喚!」
紅姫チルビメ ☆8 DFF2800
「さらに、相手フィールドに攻撃力2000以上のモンスターが存在する場合『限界竜 シュヴァルツシルト』を特殊召喚する」
限界竜 シュヴァルツシルト ☆8 ATK2000
「レベル8のモンスターが2体……!」
「もう一度、もう一度だ!レベル8のチルビメと、シュヴァルツシルトでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!今一度現れろ、No.107 銀河眼の時空竜!!」
No.107 銀河眼の時空竜 ★8 ATK3000
「そして、もう一度、タキオンドラゴンを素材として、ギャラクシーアイズ・FA・フォトンドラゴンをエクシーズ召喚!
ギャラクシーアイズ・FA・フォトン・ドラゴン ★8 ATK4000
「FA・フォトンの効果を発動!素材を一つ取り除き、相手フィールドのカード1枚を破壊する!破壊するのは……」
前に使用したモンスターの効果で、またもアランレイヴのフィールドのカードの破壊を狙う。
リバースカードの破壊か、または戦闘を無効にする効果を持つホープの破壊か。
「俺が選ぶのはその伏せカードだフォトン・サイドワインダー!」
「くっ……!なぜこうもミラフォは仕事しないんだ……!?」
アランレイヴが仕掛けていた罠は、攻撃反応型罠の元祖、聖なるバリア-ミラーフォースだ。
だが、悲しいかな。使う前にほとんど破壊されてしまう。
「いいカードを割れた。いくぜ……俺の、本気だ……!!手札より、魔法、発動……!『RUM-虚実氾濫』!!」
「……!」
「ぐっ……お、おぉ……!!虚実氾濫は、自分フィールドのエクシーズモンスターを選択し、選択したモンスターを同じ種族でランクが一つ上の『CNo.』か、『CX』にランクアップさせる。選択するのは……タキオンドラゴン!!」
禍々しい気配を感じたカード、それは、過去にアランレイヴ自身を蝕んだ力そのもの。
そうだ、これを受け止めてこそ、自分は過去の清算ができる。
「我が身を焦がすは銀河の鼓動
闇より出でし果てなき怒り
遍く宙を貫きて、永遠を超える竜の星
時を逆巻き、眼前の敵を殲滅せよ
ランクアップ、エクシーズチェンジ!!
エクシーズ召喚!!CNo.107」
タキオンドラゴンが身に着けた鎧がボロボロと剥がれ落ち、元の外表が現れていく。
しかし、そこにカードから与えられた力が吸い込まれると、紫色の身体が輝き始める。
深い夜に射す月輪のような紫から、蒼天の中でもなお輝く太陽の金色へ。
そして、眩い光と共にその身体も変化する。
押さえつけた力を開放するように、より力強く、荘厳な三つ首の竜へと進化を遂げた。
「現れろ!超銀河眼の時空竜!!!」
CNo.107 超銀河眼の時空竜 ★9 ATK4500
「そして、虚実氾濫の効果で、相手フィールドのエクシーズモンスターの素材を一つ吸収する!ホープの素材であるサウザンド・ブレードをネオ・タキオンドラゴンへ!」
CNo.107 超銀河眼の時空竜 ORU:3→4
「ネオ・タキオンドラゴンの一つ目の効果、エクシーズ素材を一つ取り除くことにより、このカード以外のフィールドのカード効果を全て無効にし、発動も封じる!タイム・タイラント!!」
「なっ……!?」
金色の竜が咆哮すると共に、周囲の時が『取り込まれた』
フィールドのモンスターの鼓動も、力強さも、一体の暴君に奪われてしまった。
「続けて、墓地の炎属性のロンファ2枚を除外し、ブラスターを特殊召喚!」
焔征竜 ブラスター ☆7 ATK2800
「まだまだ行くぜ、ブラスターを除外、手札より、レダメを特殊召喚、レダメの効果により墓地からシュヴァルツシルトを特殊召喚する!」
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ☆10 ATK2800
限界竜 シュヴァルツシルト ☆8 ATK2000
「準備は整った!ネオ・タキオンドラゴンの効果を発動!このカードがタキオンドラゴンをエクシーズ素材にしている時、自分フィールドのモンスター2体をリリースすることで、このモンスターは、モンスター相手に3回の攻撃が可能となる!カイエントークンとシュヴァルツシルトをリリース!」
冥府の使者と、竜の力がネオ・タキオンに宿る。
これにより、攻撃力4500の3回攻撃が可能となった。
アランレイヴのフィールドのモンスターは3体。
攻撃を防ぐ効果を持つホープはすでに効果を失い、格好の餌食となってしまう。
「この勝負、俺が貰ったぁっ!バトル、ネオ・タキオンドラゴンで、3体のモンスターに連続攻撃!降り注げ、アルティメット・タキオン・スパイラル!!!」
3つの首から同時に放たれる、螺旋状のエネルギーがアランレイヴのモンスターを貫いた。
やはり、その攻撃の威力は凄まじい。
「ぐぅっ……!!これは、流石に……!!」LP6600→1100
「トドメだぁっ!レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンでダイレクトアタック!!」
黒い鋼に身を包んだ竜が、炎を吐く。
アランレイヴのライフポイントは1100、これを受ければアランレイヴの敗北となる。
「____っ!ダイレクトアタック時、手札の『バトルフェーダー』の効果を発動!このカードを特殊召喚し、バトルフェイズを終了する!!」
「何ぃっ!?」
バトルフェーダー ☆1 DFF100
戦闘を止める鐘が突如として鳴り響き、その音波によって炎の球がかき消された。
「ダークマター……私は、死なんよ。友との、約束がある」
「っ……!!あと一歩のところでぇッ……!!なんだよ、約束が、そんなに大事か!」
「ああ……。今お前に負けたら、私も、友も、そしてお前も、戻れなくなってしまう。だから、私はここでは死ねん」
「……。ターンエンド」
LP1900
モンスター 超銀河眼の時空竜 ATK4500 ORU:2 レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ATK2800
魔法、罠 無し
手札 無し
ターン06:アランレイヴ
「私のターン、ドロー!……ダークマター、宣言した通り、これが最後のターンだ」
「……そうかよ。なら、さっさと手番を進めやがれ」
ダークマターの声には、最早怒気は無い。
いや、むしろ清々しくあるかのように、目を閉じている。
「メインフェイズ、墓地の光属性と闇属性を1枚ずつ、ライデンとシロッコを除外することで、手札より私自身、混沌帝龍を特殊召喚する」
混沌帝龍 ☆8 ATK3000
「さらに、もう一度、光属性と闇属性のルミナスとダーク・グレファーを除外して『カオス・ソルジャー-開闢の使者-』を特殊召喚」
カオス・ソルジャー-開闢の使者- ☆8 ATK3000
「開闢の使者の効果を発動、このターンの攻撃を放棄し、フィールドのモンスター1体を除外する!対象はネオ・タキオンだ」
「っ……!!」
フィールドに降り立った騎士が振るう剣が、時空ごと金色の竜を切り裂き、打ち倒した。
「そして、2体のレベル8モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!
生命と終焉の間より
破滅の使徒を穿つ者
神秘と繁栄、想像と破壊
光の刻印をここに解放せよ
エクシーズ召喚!『聖刻神龍-エネアード』!!」
聖刻神龍-エネアード ★8 ATK3000
「エネアードの効果発動!エクシーズ素材を一つ取り除き、自分の手札、フィールドのモンスターをリリースしてその数だけフィールドのカードを破壊する。バトルフェーダーをリリース、レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを選択だ!ヘリオポリス・ノヴァ!!」
解放された刻印の力が、ダークマターのフィールドに残った最後の1体を破壊する。
「ダークマター、もう一度、聞きたい。今度こそ、私と、私達と共に歩んでくれないか?」
「くどい。敗者が勝者には従うほか無いんだ。なら、堂々として俺に命令しろ。勝者はお前だ、アランレイヴ」
「……あぁ。バトルだ、エネアードでダイレクトアタック!ディヴァイン・バースト!!」
(……悔いは無い、一度死んで、生き返って、それで……。ああ、でも、やっぱ……)
最後の一撃。
九つに分かれた光の矢が、ダークマターを貫いた。
そう、これで……。
「ああ、クッソ、勝ちたかったなぁ!!」LP1900→0
二人の、長い時間を置きすぎた喧嘩に終止符が打たれた。
〜数日後〜
遺跡から戻ったアランレイヴは、傷を負っていようが、やるべき事は変わらない。
ただ、いつものようにA・O・Jの理念『世界の恒久平和』に従い、仕事をこなす。
……だが、今日は一人、客人がいた。
「入るぞ、アランレイヴ」
「ああ、おはよう、ハストル」
精霊世界の旧き神であり、アランレイヴの親代わりでもあるハストルだ。
彼は先日の戦いの後、気を失い倒れていたナイアルラとアランレイヴを遺跡から引っ張り出した本人である。
「で、ようやく仲直りが出来たのか?」
「……ああ。随分長い時間をかけたがね」
そう語るアランレイヴは、憑き物が落ちたような表情を見せる。
「……そうか。それだけ聞けたなら、もういい。邪魔をしたな」
ハストルはそれだけ言うと、自らの姿を歪ませ、消えてしまう。
相変わらず、あまり喋らない奴だ。
アランレイヴは独りごちる。
……いや、今は一人でも、一人では無いんだったか。
『はん、あのジジイはさぞかしテメェを心配して来たんだろうよ。……血の繋がりが無くても、似るもんだな』
「誰と誰がだ、ダークマター」
『テメェとあのジジイが、だよ。口数が足りねぇ所なんかそっくりだ』
そう、あの日以来、精神のみの状態だったダークマターは、アランレイヴの身体を依代としている。
一言多い性格にイラつかされることも度々あるが……。
まぁ、何千年も放置したんだ。同じくらいの年月は我慢してやろう、とアランレイヴは思っている。
「……。甚だ遺憾だが、奴も上司としては上手くやっていられるようだ。近い内に見に行こう。……さて、ダークマター」
『あん?』
「今日も、世界を作るぞ」
『……フン』