Be mine   作:翔和

1 / 10
初めまして、翔和です。初投稿なので温かい目で見守ってくださるとうれしいです。


第一章 沖縄編
第1話 始まり


 魔法。

 それが伝説や御伽噺の産物ではなく、現実の技術となってから一世紀。

 世界中の国々が揃って〝魔法師〟の育成に邁進していた。

 それは日本も例外ではなかった。

 

 ここ、旧長野県との境に近い旧山梨県の山々に囲まれた村でも魔法の研究、開発、そして魔法師の育成は行われていた。

 四葉家、日本で最強の魔法師の家系の一つである。

 そこにはある兄妹と少年がいた。ある欠陥を抱えた兄である『司波 達也』、その妹である『司波 深雪』。そしてもう一人の少年『四葉 悠真』だ。

 

 そしてこれはそんな従兄弟を持つ『四葉 悠真』の物語である。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 四葉本家に達也のように特異ではない普通の男子の魔法師が生まれたため、俺は四葉家の最有力次期当主候補に選ばれた。

 そして次期当主候補として幼いころから英才教育を施された。

 それは通常の教育、算数や国語のようなものもしたが、重点を置かれたのは魔法の教育だった。

 その結果他の系統魔法も一般の魔法師よりは断然使えるが、『精神干渉魔法』、『加重魔法』が一番得意ということが分かった。

 四葉家の最先端魔法教育に加え、俺自身が常に魔法を使うようにしていたため、14歳にして既に一般の魔法師の水準を大きく超えていた。そしてそれは俺と一緒に魔法を使っていた深雪も然りだ。

 

 そして俺には一つ四葉家に対して秘密にしていることがあった。

 それは達也と同じで戦略級魔法が使えるということ。誰にも話してはいないが達也にはすぐにばれてしまった。(もしかしたら本家にもばれているかもしれないが)

 その達也はと言えば深雪のガーディアンをしている。

 30年ほど前の大漢の誘拐事件以来、女性の候補者にはガーディアンがつくようになった。

 最有力次期当主候補である俺にガーディアンがつかないのはいても意味がないからである。逃げることすらできず死ぬような傷を負う相手となれば十師族や戦略級魔法師レベルである。そもそもの話だが俺に害意ある攻撃は通じない。そんな相手にガーディアンがいても文字通り肉の壁としかならないというわけだ。

 

 そして俺はガーディアンとして鍛えている達也から体術を教えてもらい偶に組手をしてもらっている。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 そして俺は今、達也の部屋でCADを調整して貰っている。

 明日からは司波家が家族旅行で沖縄に行くことになっている。そこに一緒に同行することになったのだ。向こうでは何が起きるかは分からないので念のためにということで特化型は兄さんに汎用型は四葉の研究所で見て貰っている。ちなみにこれはいつものことだ。

 特化型の方は四葉に知られないようにしている。

 

 「いよいよ明日からだね。達也は楽しみ?」

 

 「どうだろうな。でも悠真がいるなら退屈することはないだろ。」

 

 俺と話しながらも達也の手は休むことなく動いている。キーボードオンリーでの操作は慣れれば楽だがそれまでが難しい。自分でも同じようにすることは出来るが、これに関しては達也に任せたほうが正確だと分かっているので任すことにしている。

 

 そしてそれは三十分ほどで終えた。

 

 「相変わらず早いね。汎用型も頼もうか?」

 

 俺が冗談を交えて言うと、達也も笑った。

 

 「それは流石に怪しまれるぞ。それに速いと言ってもそれは悠真のだからで他の奴らのだったら一時間は掛かる。」

 

 「それもそうか。達也にはずっとやって貰ってるからね。」

 

 達也からCADを受け取ると立ち上がった。

 そしてそれと同時に屋敷の鐘が鳴る。夕食の時間だ。

 深雪や桜井さんも食堂に集まっているだろう。俺たちは二人を待たせないようになるべく急いで食堂に向かった。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 食堂に入る前には達也はガーディアンの顔になり、俺の後ろから使用人のようについてきていた。

 深雪以外に対する激情がないとはいえ13歳でこの在り方は異常だ。

 けれどもそんなことは口に出さない。

 達也の事情を知っている俺としてはこの状況は辛いがそれでもミストレスとガーディアンの関係に首を突っ込むことは出来ない。

 達也が深雪に話すまでは我慢するしかない。

 

 「あ、来ましたね、それでは食事にしましょう。」

 

 配膳をしていた桜井さんがこちらを振り向いていった。

 机の上には4人分の食事が置かれてある。今日も深夜さんは部屋で食事をするらしい。

 上座の席には誰も座らずその向かって右側から奥に俺、達也。左側に深雪、桜井さんの順番で座った。

 

 今日の夕飯もいつも通り桜井さんの手作りだ。

 HARに任せても構わないのだが、桜井さんの作ったものの方が断然おいしいのだ。

 深雪も最近は作るようになったのだが深雪に比べるとまだまだだ。

 けれどもそれは基準になる桜井さんが上手すぎるだけであって深雪の料理も普通においしい。

 俺もたまに料理をすることがあるが昔のトラウマからあまり作らなくなった。

 

 「悠真、明日からの準備は終わったのですか?」

 

 「ほとんどは終わったよ。そう言えば桜井さんはこの後すぐに沖縄に向かうんですよね?」

 

 「えぇ、先に行って向こうの準備をしないといけないので。達也さん、悠真さん、後はお願いしますね。」

 

 桜井さんは食べ終わった食器を台所に運びながら答えた。

 お願いします、とは深夜さんと深雪のことだろう。

 食器の片づけはHARに任せ、4人はそれぞれ食堂を出て部屋に戻った。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。