Be mine   作:翔和

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第6話 再生

 

 

 「お兄様!」

 

 駆け込んできた達也の前には悠真が倒れていた。

 悠真の傍では深雪が泣いていた。

 

 「お兄様!悠真兄さんが!!」

 

 「っ!」

 

 達也は左手のCADを悠真に向けると引き金を引く。

 それと同時に達也に痛みが襲うが、達也はそれを気にすることなく続ける。

 悠真の身体からナイフで刺された傷が消え刺される前と同じ状態に戻った。いや、刺されたこと自体が無かったことになった。

 

 「悠真兄さん!!」

 

 何度も何度も呼びかける。

 

 「・・・深雪。」

 

 体を起こして自分の状態を見た。

 そしてこちらを見ている達也がいて全てを理解した。

 

 「・・・ごめん、達也。・・・ごめん。」

 

 魔法を使わせてしまったことそれ自体に罪悪感が生まれた。

 まず助けて貰って感謝するべきなのに罪悪感が大きくて言葉が出てこない。

 

 「謝らなくていい。悠真が無事でよかった。それに深雪を助けてくれてありがとう。」

 

 達也が悠真に手を差し出し、立たせる。

 深雪にしか向いていないはずの感情が少しだけでも家族ではない自分に向いていたことが嬉しかった。

 

 「すまない。反逆者を出してしまったのはこちらの落ち度だ。望むことがあれば何なりと言ってくれ。でき得る限りの便宜を図らせてもらう。」

 

 達也は風間大尉と向き合っていた。

 反乱兵のターゲットはここにいた一般人の男の人でそれ以外は人質にするつもりだったらしい。

 達也は今の状況を聞き、深夜さんと深雪、桜井さんそれに悠真を安全な場所に保護するように頼んだ。

 

 「達也、俺も出る。」

 

 達也は俺の目を見て肩を落とした。

 

 「では3人の保護とアーマースーツと歩兵装備を二式貸してください。」

 

 「・・・何故だ。」

 

 「彼らは深雪と悠真に手を出しました。その報いを受けさせなければいけません。」

 

 「・・・大切な物を奪おうとした。それを許せるほど俺は大人じゃない。」

 

 達也の瞳には激怒と言うのも生温い、蒼白の業火が荒れ狂っていた。

 家族と言う大切な物が奪われる、それは想像するだけでも怖かった。

 それならば奪われる前に奪ってしまえばいい。

 大切な物を守るためならば他のいくつもの命を奪っても構わない。

 それが四葉の次期当主として育てられるうちに身に着けた考えだった。

 

 「非戦闘員や投降者の虐殺などを認めるわけにはいかないが、そんなつもりはないのだろう?」

 

 「投降の暇などあたえるつもりはありません。」

 

 達也の言葉に静かに頷く。

 

 「司波達也君、悠真君。君たちを、我々の戦列に加えよう。」

 

 「軍の指揮に従うつもりはありませんが、侵攻軍と言う敵が同じで殲滅と言う目的が同じであるならば肩を並べて戦いましょう。」

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 廊下に出て暫くすると後ろから追いかけてきた姉さんに呼びとめられた。

 

 「お兄様、悠真兄さん!!」

 

 悠真たちは足を止め真田さんたちに言ってから深雪の方に振り返った。

 

 「深雪、どうした?」

 

 「・・・い、行かないでください。お兄様や悠真兄さんがそんな危険を冒す必要はないと思います。」

 

 深雪の顔には言い切ったことへの安堵が浮かんでいる。

 達也が首を横に振るっとは考えていないのだろう。

 

 「確かに必要はない。が、俺は、お前に手を向けられた報復に行くんだ。自分の感情の為に。」

 

 「家族を守るのは俺の役目だよ。俺は結局、四葉だから。」

 

 家族を守るための力の使い方しか知らない。

 達也も守るから安心して、と深雪の頭を撫でて深雪から離れた。

 その後は達也が言った、本当に大切に思える者と言う言葉に深雪が気付き、達也は深夜さんに聞くように言った。

 

 「大丈夫、俺を本当に意味で傷つけることが出来るのは悠真ぐらいだ。悠真以外には存在しない。」

 

 「達也が俺に敵意を向けない限りそんなことは起こりえないから、安心して。」

 

 深雪が不安そうに見てきたので苦笑しながらそう答えるのと同時に達也が安心させるように深雪の頭を撫でた。

 そして悠真たちは後ろを振り返ることなく戦場へと足を進めた。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 戦場へと赴いた二人はここにいる誰よりも戦果を挙げていた。

 

 達也が右手を向けると、そのものは跡形もなく消え去り、左手を向けられたものは怪我がなかったかのように立ち上がり戦いだす。

 

 そして悠真はと言えば、敵味方溢れる戦場を散歩をするようにゆっくりと歩いていた。

 周りに敵がいないわけではない。

 悠真に気づいた者もいれば攻撃しているものもいるが届かないのだ。

 銃弾は届く前に方向をかえ地面に着弾し、爆弾や敵兵は何かに押しつぶされたように潰れていく。

 それは戦車や戦艦であっても同じである。

 これは加重魔法で対象にかかる重力を上げるのと同時に下からもそれに反発する力を加えているのである。

 そして悠真自身が生まれ持った固有の魔法から悠真は空間完全把握能力を持っていた。

 重力が働くのは質量があれば時間と空間が曲がるため、その歪みを読みとっているのである。

 それに加え〔鷹の眼(ホーク・アイ)〕を使い島全体を見ていた。

 それらによって座標を指定しているので死角がない。

 悠真の一定範囲には既に敵兵はいなかった。

 

 そしてあらかた片が付いてきた頃、今までよりも強い悪意を感じた。

 急いでそれを確認するように〔鷹の眼(ホーク・アイ)〕で見てみたが異変はない。

 島の外と言う可能性もあるので範囲を海上へと広げていくといくつかの敵艦隊が見えた。

 それに気づいてからの悠真の対応は早かった。

 一人戦線を離れ、敵を迎撃しやすい場所に走って向かう。

 〔鷹の眼(ホーク・アイ)〕の使用による情報量は膨大だ。

 それを魔法を使うことで難なく処理していた。

 

 系統外精神干渉魔法〔神速〕

 

 これもまた悠真だけの魔法である。

 この魔法を使うことによって思考や無意識領域にある魔法演算領域の処理速度を桁外れにあげることが出来る。

 けれども使いすぎると負荷が大きいのであまり使わないようにしている。

 

 

 

 

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