Be mine   作:翔和

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第9話 開発第3課

  

 風間少佐が帰り、達也と別れた後自分の部屋へと戻った。

 そして部屋にあるディスプレイを操作して通話回線を開く。

 画面に映ったのは、初老の執事、葉山さんだ。

 

 「悠真様、風間殿との話し合いはどうなられましたか?」

 

 「達也は特尉として風間さんの独立魔装大隊に入ることを決めました。その際の条件としてガーディアンの仕事を優先させること、偽名を使ったうえで国家機密として厳重にセキュリティロックをかけること、を出しました。」

 

 先ほどの話し合いで決まったことを漏らすことなく一つずつ伝える。

 

 「分かりました。奥様には私から伝えておきます。」

 

 「お願いします。それと、情報統制の方も一応ですがお願いしてもいいですか?」

 

 「承知しました、悠真様。」

 

 葉山さんは恭しく頭を下げ、そこで通話は終わった。

 電源が切れたのを確認し息を吐き出した。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 それから達也は深雪のガーディアンをしつつ、独立魔装大隊の訓練にも参加を始めた。

 勿論、四葉での訓練も昔ほどきつくはないが続けられている。

 そんなある日、俺は達也の部屋に来ていた。

 

 「少しついて来て欲しいところがあるんだけど良い?」

 

 「構わないが、何処に行くんだ?」

 

 「ついてからのお楽しみと言いたいとこだけど、何も言わずに連れて行くのも悪いから行きながら話す。」

 

 それだけ伝えて歩き出すと、達也は黙って後ろをついてきた。

 四葉の屋敷を出て、運転手に駅まで送って貰う。

 その間は二人とも何も話さなかった。

 駅に着き、コミュータに乗り込むと話を始めた。

 

 「今日行くのは、あの人の所属する会社だよ。」

 

 達也が微かに動揺したのが分かった。

 FLT、フォア・リーブス・テクノロジー、四葉が秘密裏に出資し設立した企業であり、達也たち兄妹の生物学的な父親である司波龍郎が働く会社だ。

 

 「安心して、これから行くのはあの人の居る本社じゃなくて開発第三課だよ。そこなら本部長とはいえあの人はあまり来ないし、達也の好きなようにCADを作れる。」

 

 「どうして俺を連れて行くんだ?」

 

 「達也に自由に出来る居場所を作りたいのと、作って欲しいものがあるから。」

 

 そうこう言っているうちに研究所に着いた。

 コミュータから降りると研究所の中へと進んでいく。

 ここは技術力を売りにする企業の研究中枢であり、心臓部だ。

 警備も機械による監視だけでなく人手を使った監視も厳重に行われている。

 そんな中を受付すら通さずに悠真は歩いていき、その後に達也も続いている。

 時折感じる視線は悠真に向けた物であり、それに慣れている悠真は何も反応しない。

 そしてついたのは壁一面ガラス張りとなった部屋で、その対面には観測室があった。

 悠真は迷うことなくその観測室へと足を踏み入れた。

 

 「あっ、悠真様!。」

 

 忙しく働いているにもかかわらず、悠真が入った瞬間、すぐに声をかけられ囲まれた。

 

 「様、は止めてって言ってるのに。・・・それより、牛山さんはいる?」

 

 どうしてかは分からないが、ここに来るようになってから女性の研究員に様をつけて呼ばれるようになった。

 何回かは直すように言ったが結局治らなかったので好きに呼ぶようにさせている。

 

 「呼びましたか、悠真さん。」

 

 人の壁を通り抜けて灰色の作業着を着た技術者が姿を現した。

 

 「お久しぶりです、牛山さん。お忙しい中、呼び立ててしまってすみません。」

 

 「おっと、いけませんな。腰が低いのも結構ですが、ここにいるのは皆あんたを慕って集まっている奴らばかりですぜ。それにここにいるのはあんたの部下だ、部下に謙り過ぎちゃあ、示しがつきません。」

 

 「皆さんは俺の部下という訳ではありませんよ。雇っているのはあの人ですから。」

 

 技術部のはみ出し者だった人たちを悠真が集めて作ったのがここ、開発第三課だ。

 悠真はそんな人たちに居場所となる場所を与え、資金やアイデアを与えてきた。

 

 「それより悠真さん、今日の用件の話をしましょうや。まさか、俺たちの顔を見に来ただけじゃねぇでしょう?」

 

 「えぇ、前回話していた技術についてです。その前に紹介したい人がいます。」

 

 後ろで立っていた達也の横に立ち、紹介を始める。

 

 「俺の従兄弟、司波達也です。本部長の息子ですが、そこは気にしないでください。ソフト面に関しては天才的な技術力を持っているので今日は来てもらいました。」

 

 「つまりループ・キャストを作るために動き出すんですかい?」

 

 「はい。理論上は可能とされているループ・キャストを俺がアイデアをだし達也がソフトを担当し、牛山さんにハード面を頼もうと思うのですが構いませんか?」

 

 「わかりやした。」

 

 「達也も頼んでいい?達也にとってもいい物が出来るはずだから。」

 

 「あぁ、悠真の頼みだ。引き受けよう。」

 

 まずは、達也に自分の考えているループ・キャストの説明をした。

 通常の起動式が魔法発動の都度消去するところを起動式の最終段階に同じ起動式を魔法演算領域内に複写する処理を付け加えることで二度目以降の起動式の展開工程を省略し、反復発動を高速化するというアイデアを伝えた。

 

 達也は少し考えていたが、すぐに顔を上げ可能だと首を縦に振った。

 

 そしてそれと共にループ・キャストに特化したCADも作ってはどうかと提案した。

 

 

 

 

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