英雄になるのを望むのは間違っているだろうか   作:シルヴィ

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手を取り合って

 薄暗く照らされた道。

 いつの間にかどれだけ降りてきたのだろう。気づけばとても深いところにまで来ていたと、何となく理解した。

 「――……ァ、ハァ、ハァ……!」

 息が荒い。心臓の鼓動がどんどん速くなって、全身に疲労が溜まっていく。けれど、足を止めれば待つのは『死』だ

 やっと曲がり角が見えた。一気にカーブして、すぐに壁に張り付く。

 ――1、2の、3!

 タイミングを合わせて壁から飛び出し、来た道を戻る。

 「セヤァ!」

 目の前にいた影そのものを一息に斬り捨てる。ここで手間取ってはいけない。最低限動けない状況にまで持って行けなければ、負けだ。

 振り切った刃が胸に食い込み、真っ二つに裂かれる。上下に裂けた影は、その勢いを保持したままどこかに転がっていく。

 それを見つめる事無く、残る二体に目を向ける。

 「……!」

 歯を食いしばって、攻め込む。地力で負けているのに相手が来るのを待っていては、押しつぶされてしまうだけだ。

 ――せめて、一対一なら……。

 その状況なら、まず負けない。

 こんな影程度、フィンやガレスに比べたら。シオンを相手にしていた時に比べたら。

 ――弱すぎるの!

 フィンやガレスは、ただ『強い』としか言えない。だがシオンは、同じ武器を使ってくれていたからよくわかる。その気になればシオンは、一息で自分を殺せるくらいに腕はあると。

 手加減してくれていた事なんて、すぐにわかった。

 どうして『ダンジョンに行くな』なんて言っていたのかも、本当は、わかっていたのに。お母さんに会いたくて、シオンに酷いことを言った。

 「ごめんなさい……」

 そう呟いて、アイズは剣を握る手に再度力を込めなおす。

 伸ばされた鋭利な爪を軽く頭を下げて躱す。回り込んできたもう一体が後ろから迫るのを感じたが、気にせず目の前にいる影の横を通り過ぎて攻撃そのものを通らなくする。良いのか悪いのか、身長の小ささ故にこういう小回りはしやすい。

 だが、横合いから伸びた脚が、アイズの体を掠めた。服を引っ掛けられて体勢を崩してしまう。お返しに伸ばされた脚に思い切り剣を突き刺す。

 こういった状況での対応の仕方は無理矢理覚えさせられた。嫌がっても転がされたのが、今となってはやってよかった、そう思えてしまうのだから苦笑いしかでない。

 アイズと影が倒れる。その隙に最後の一体が、仲間を踏み潰してでも殺しに来る。立ち上がる暇は無い。ゴロゴロと地面を転がって壁まで行き、上体だけを跳ね起こして剣を構える。

 後ろは、壁。この状況なら目の前の一体は回り込みができない。

 横一閃に振るわれた攻撃を受け取め、逸らす。まともに受ければ剣の耐久力が完全に許容限界を超えてしまう。酷使しすぎたのだ。

 ガン! ガァン!! と火花が散る。

 情け容赦のない連撃に、しかしアイズは対応する。

 ――どうして、なのかな。

 先ほどの状況も、今の状況も。

 ――全部、シオンが教えてくれてた。

 アイズが対応できるのは、シオンが指導していた内容だからだ。剣の型だけを教えたら、後はもう実戦と変わらない内容で攻めに来る。

 だからきっと、ここまで戦えた。

 いつしか呼吸は落ち着いて、目の前の敵をどうやれば殺せるのかという思考に切り替わる。自分で気づかぬ間に、アイズの瞳は鋭くなっていた。

 そしてその瞬間、敵の動きが鈍る。

 ――そこ。

 ほとんど反射で、アイズはその喉に剣を突き刺していた。喉を貫かれて身悶える影に、アイズは楽にしてやると剣を横に引いた。

 ドサッと首が落ち、体が倒れる。その様子を見ながら、ふと二体目はどうなったのだろうと目を向ける。

 二体目の影は、死んでいた。

 踏み潰されたのが体の中心だったせいで、そのまま絶命したのだ。

 「……ふぅ」

 そっと息を吐いて、上を向く。とにかくここから戻らなければならない。これ以上この場所に留まり続ければ、本当に死んでしまう。

 そう、思った時だった。

 ――ビキッ。

 「う、そ」

 ()()()()()聞こえた音に、アイズの顔が引きつる。立ち上がって壁から離れ、剣を構える。しかしダンジョンは、アイズを更なる絶望へと追いやる。

 ――ビキッ、ビキキ。

 すぐ近くの壁が、何度も異音を奏でていく。

 一つ、二つ、三つ、四つ――。

 どんどん、どんどん、増えていく。

 「に、逃げなきゃ……!」

 形振り構っていられないと、アイズは駆け出す。三体ならどうにかなっても、まだまだ増えていく異音を聞いてしまえば戦う意思すら無くなる。

 けれど、アイズは忘れている。

 ここはダンジョンで、ダンジョンであるのなら、もう既に産み落とされたモンスターがいたとしても不思議じゃない。

 「なんで、こんな時に!?」

 前から歩み寄る、新たな影。

 アイズの道を塞ぐようにのろのろとした動きで迫るモンスターを、これ程憎んだことはかつてあっただろうか。

 そして、何かが地面に降り立つ音が届く。

 ――無理、だよ。

 この時、本当の意味でアイズは理解した。

 ――私、死んじゃうの?

 ここまではまだ『何とかなる』と考えられていたのに、心がポッキリと折れてしまった。シオンに言われた『死ぬ』という言葉が、リフレインされる。

 ジリジリと下がって、壁に背をつけた。構えた剣が弱々しく揺れる。

 「ぁ……ぅ……」

 ――助けて。

 気持ちが下を向き、弱気になる。それでもシオン達から叩き込まれた『想い』がアイズを動かし剣を構えさせる。

 けれど、このままならアイズは死ぬだろう。

 真正面から戦っては気づかない、()()()()()()()()()()()()()()()を理解した瞬間、その命を散らす事になる。

 産み落とされたモンスターを、見る。

 アイズは、願った。

 

 

 

 ――助けて、シオンッ!!

 

 

 

 「――ッ!!」

 ほとんど無意識に転がっていた。

 背後から何かとてつもなく巨大な物体が落ちてきたかのような轟音。それを気にする暇もなく前回りで受身を取って立ち上がり、ガクッと膝が崩れる。

 ――ガリッ。

 「……ッ!?」

 口内を、噛んだ。血の味が広がり、代わりに痛みが意識を現実に引き戻す。笑っていた膝に活を込めて、目の前の敵を睨む。

 ダンジョンに大きなクレーターを作ったその男を、やっとまともに見る。

 やっとできた間で、シオンは頭を回す。

 先ほど吹き飛ばされた時の『力』は恐らくLv.4といったところ。他はまだわからない。

 ――だけど、アイツは思い切り手加減してた。Lv.4じゃない。

 『敵の力量の把握のため』とか言われてフィンにとことんいじめられたせいか、こういった目利きは得意になった気がする、なんて考えながら。

 Lv.4じゃないなら一体何なのか、という、誰でもわかる答えを思う。

 ――Lv.5、いや6? だけど、そんな人早々いないはずだ。

 なのに、何故だろう。

 一年以上も前に、聞いた覚えがあるのは。

 『――単純な強さなら【フレイヤ・ファミリア】が――』

 『――あそこには都市最強の冒険者いる――』

 リヴェリアと、フィンの言葉。

 オラリオにいれば、嫌でも耳にする、その名前。

 「……そうか」

 やっと、わかった。目の前にいる男の名が。

 「お前は、【猛者】オッタルかッ!!」

 ――第一級冒険者(フィン達と同じ奴)が、何でここに!?

 驚愕を覚えながらも、睨みつける事はやめない。そんなシオンに、オッタルは何故か笑みを返してきた。

 「今ここで引き返すのなら、逃がしてやろう」

 「……。は?」

 その言葉に、シオンの思考は完全に停止した。

 最強の人物が言った言葉の意味が、理解できなかったのだ。

 ――単なるストレス解消とか、何となくとか、そういう理由じゃない?

 たまたま居合わせて、たまたま剣を振るったんじゃない。

 そうでなければ、一度として会話したことのないオッタルが狙ってくる理由が思いつかない。知らず逆鱗に触れた可能性はあるが、そもそも一年の間そうホームから出たことのないシオンが、恨みを買う可能性は少ないのだ。

 ――コイツの目的は、おれ、なのか?

 そこまで思い至って戦慄するシオンに、オッタルはもう一度言う。

 「この先に行かず、オラリオに戻るのなら、追わん。だが、もし進むと言うのであれば」

 無言で剣をシオンに向ける。

 ――待つのは、死だ。

 そう言われた気がした。

 粉々に壊れてしまった剣を見る。こんな剣では、もう相手の攻撃に耐えられない。そもそも一度保ってくれただけで奇跡だったのだ。

 今更気づいたが、剣を握る腕に力が入らない。

 当たり前か。腕から伝った衝撃だけで体中ズタボロなのだ。衝撃の通り道である腕が動かないのはむしろ必然。

 「……ふぅ」

 状況は最悪。

 武器はなく、体は満足に動かせず、敵は最強。

 こんなので一体どうしろと言うのか、よりにもよってこんな時に。そう思って、つい笑ってしまった。

 戻れないのだ、シオンは。

 6層から先は本当に危険になる。今から戻って、フィン達に話しをしてまたダンジョンに来るまでアイズが生き残っている姿が想像できない。

 だからシオンは行かなきゃいけない。

 自分で蒔いた種は、自分で回収しろ。

 「アイズを、助ける」

 口にしてしまえば、思いのほかあっさりと覚悟が決まった。

 「あのさ」

 熱い。

 「おれはどうしても、そこを通らなきゃいけないんだ」

 いつか感じた熱が、額を灼く。

 「だから」

 風が生じ、破片となった鉄を集めだす。

 「そこを、どけ」

 風に後押しされて、シオンは剣をオッタルに向ける。風に包まれただけのツギハギだらけの剣は不格好で、ボロボロの体には相応しい武器だ。

 全身から迸る風がシオンを包み、オッタルに敵意を向ける。

 「……そうか」

 どうしてか、オッタルは笑っていた。

 ――合格だ。

 「……?」

 その声になっていない声が耳に届いて、訝しむ。自分は一体何に合格したのか。もしかすると最初に浮かべた笑みのときも、同じ言葉を言っていたのかもしれない。

 けれどその真意を考える時間は残されていない。身を焦がす熱がアイズの危機を知らせてくるようで、悠長にしていられないと思ってしまう。

 「……ッ!!」

 だから、足を前に出す。

 たったそれだけでギシギシと悲鳴を上げる骨と筋肉に不安を感じつつ、それでもオッタルを前に隙を見せられないと意地で耐える。

 小細工はしない。というより、しても意味が無い。どうせ受け止められるのだから、どこまで通じるのかという意図で剣を横に振るう。

 「……ふ」

 薄い笑みを維持したままオッタルは合わせるように剣を返してくる。『力』は依然Lv.4のままだった。

 剣が合わさる、その寸前シオンの体を支えていた風が吹き荒れオッタルの剣を減速させ、逆にシオンの腕は押して加速させる。

 ガギャリリリィ! と歪な音と火花が鳴り散る。

 「重、いな……!」

 歯を噛み締めすぎて形相が凄まじい状態になってるのを自覚しながら、シオンはただ耐える事しかできない。

 けれど、ボロボロの腕はシオンの命令を聞き入れず、ガクンと力が抜ける。拮抗していた力が崩れる前に剣を斜めにして逸らす。

 オッタルは即座に腕に力を入れて剣を止め、返す刀で下からシオンを襲う。咄嗟にバック転で回避し、着地した瞬間足に突きを入れるが、大剣で防御される。

 パキッ、と何かが割れた音がしたのに気づきつつ、それを無視してオッタルにまた剣を振るう。

 けれど、その剣が届くことはなかった。

 ドスン! とシオンの腹にオッタルの蹴りが叩き込まれる。

 「……ッ……!!」

 悲鳴を堪えながら吹き飛ばされ、風のおかげで無様ながら着地。痛みを訴える腹を押さえ、オッタルを見る。

 ――大き、すぎる。

 少し離れたからこそ気づいた。彼はインファント・ドラゴンよりも確かに小さいが、そういうことではない。

 ――巨人を相手にしてるみたいだ。

 オッタルから生じる圧倒的な闘気のような物が、彼を大きく見せている。それに呑まれないようにするだけで、シオンは全力で耐えなければならなかった。

 ふと剣を見下ろす。

 ――やっぱり、欠けるよな。

 あの時感じた異音、それは剣という体裁を保っていた破片の一部が粉々に割れた音だ。そこからシオンの剣はどんどん小さくなっていくことがわかる。

 ――まともに打ち合う事さえできない、か。

 オッタルは、動かない。

 この時点でシオンはオッタルの目的がわかっていた。

 彼の目的は、どうしてか知らないがシオンを測ること。知らずシオンは『知恵』を見せ、オッタルの問いで『勇気』を示し。

 そして今、『力』をぶつけに行っている。

 だからオッタルは殺しに来ない。だが事故で死ねば仕方ないと言うだけだろう。つまり、彼が満足するに足る力量を出さねば、いつまで経ってもアイズのところへは行けない。

 その事実を認識した途端、シオンの心が重くなる。

 ――おれ、は。

 シオンの【ステイタス】も、持っている『スキル』も、今は役に立たないだろう。どうすればいいと悩み、いつしか俯きかけていた顔に、

 「わぷっ!?」

 風が、思い切り叩きつけられた。

 「……」

 キョトン、とするシオンに、風がシオンの背中を押してくる。困惑するシオンに、意思を持っているかのように風を使って励ましてくる。

 よくは、わからない。

 でもなんでか、口元に笑みが浮かんでいた。

 本当なら『戦い』という様体さえ整わなかったのを、この風は支えてくれた。

 風の剣で、武器を授けた。

 風の衣で、盾と鎧を纏わせた。

 ――これでおれが諦めたら、怒られるよな!

 オッタルの重圧を跳ね除けて、シオンは笑う。絶望的な状況、その中でなお笑っていれば、本当に絶望して諦めないで済むと、そう教えられたから。

 だから、笑え。

 そして、行け!

 風の出力が上がる。シオンの体を気にしないその風圧によって更に体が痛むが、それを気にする余裕はない。

 ざっくばらんに纏まっていた風を収束させ、一つに束ねる。細く、鋭く。細剣(レイピア)のように、ただ突きだけに特化した武器に。

 ――オッタルには、勝てない。

 ――だから、あの武器を壊す!!

 「セィ、ヤアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァッッ!!」

 オッタルは、片手で迎え撃つ。

 彼がシオンを相対するときに決めていた制限、それは使うのは片手片足のみ、その場から動かず動くとしても歩くのみ。

 だから彼は、本当の意味で全力を出さない。

 それでもシオンが勝てるかと言われれば――『ありえない』だった。

 一太刀。

 上段から振るわれた最速の一閃が風の剣と衣を切り裂く。シオンに刀身がほとんど届かなかったのは、奇跡と言っていい。それでも掠めた切っ先がシオンの肩から血を噴出させた。

 ――ここで、止まれるかっ!

 剣が無くなったのなら、拳そのものに風を纏わせればいい。攻撃に使う風は鋭く、そんな事をすれば腕がズタズタになるとわかっていても、引けなかった。

 だけど、シオンは一度としてオッタルに触れられない。

 逆手に持たれた大剣の柄頭がシオンの頭部を強打する。一瞬意識が飛んだシオンは、気づけば吹っ飛ばされているのに気づいた。

 そのまま壁に衝突し――そして今度こそ、耐えられなかった。

 ――骨、が……!?

 蹴りを入れられた時に、骨が折れていたらしい。幸い内蔵に突き刺さる事はなかったが、代わりに肉を貫き抉っていた。

 動けない。

 ……対抗する手段が、無い。

 …………もう、何も、できない。

 シオンの視界に影が差す。緩慢とした動作で見上げると、シオンを見下ろすオッタルがいた。

 見上げる者と、見下ろす者。

 わかりやすい勝者と敗者。

 ――死ぬ、のかな。

 ふと、心に落ちたその言葉に、涙が出そうになった。

 せめてアイズを助けたかった。無駄に命を落として、その上彼女まで助けられないなんて、後悔してもしきれない。

 死にかけた心にもう一度だけ喝を入れて、壁にもたれかかりながらも立ち上がろうとする。

 足掻くシオンに、オッタルは剣を振り上げる。避ける事は、できないだろう。もう一度攻撃されれば体は真っ二つになる。

 苦痛に歪む顔が別の意味で歪んだ時。

 オッタルは振り上げた剣を、背中に帯刀した。

 「……行け」

 「……え?」

 口元に浮かべられた笑みを、呆然と見る。同時に走った激痛にすぐに顔がしかめられたが、オッタルはもう背を向けていた。

 「止める理由はなくなった。行け。……あの少女を、助けに行くのだろう?」

 その言葉を飲み込むのに、シオンは数秒の時間を必要とした。

 文句があった。

 理不尽だと叫びたかった。

 その全てを『無駄な体力の消耗だ』と割り切るのに、更に時間をかけた。

 風に体を支えられて、シオンは走る。

 それを感知しながら、オッタルはなお笑っていた。

 「……『最強()』を前にして、あの気概か」

 彼からしてみればほとんどの冒険者は『たかが』という枕詞がついてしまう。故に、彼からしてみれば『たかが』Lv.2でしかないシオンが見せた想いは新鮮だった。

 何故なら、ほとんどの人間は彼を知った瞬間戦おうとさえ思わなくなるからだ。

 気づけばオッタルは、シオンに届かないとわかっていながら口にしていた。

 「悔しければいつか俺の前に来い。この身に刃を届かせるまでになって」

 

 

 

 

 

 「……ソッ」

 フラフラの体をほとんど執念だけで動かしていた。

 風の手助けもあって一撃でモンスターを切り捨てているため負担も少ない。このまま行ければアイズのところまで十分保てる。

 それを冷静なままの理性で計算しながら。

 シオンは自分の視界がボヤけているのもまた、理解していた。

 「クソッ、クソッ、クッソォ……!」

 負けた。

 何もできないまま遊ばれて、そして負けた。見逃されて、生き延びた。

 無様だった。

 足掻く姿はどれほど醜かったか。

 ……悔し、かった。

 理性では助かったと判断できても、感情は耐え切れず爆発する。

 「クッソオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ――――ッッ!!」

 叫んだ。

 あまりの悔しさに耐え切れなくて、本当に久しぶりに叫んでいた。

 勝てないなんてわかっていた。負けるのが必然なんて決まりきっていた。誰がどう見てもそう言うだろうとわかっていた。

 ――でも、諦めたくなんてなかったっ! 負けたく……無かった!

 最初から諦めて、負けるからと迂回して。

 いつまでそれができる?

 失敗しない人生で、一体何が得られる?

 だから、今は。

 今はただ、負けた悔しさを呑み込んで。無様に生き延びて。醜く足掻いて、その上で、いつか。いつかあの男に、会いに行く。

 「そのスカしたツラ、ぶん殴ってやるッッ!!」

 叫び、そして、思考を切り替える。

 オッタルの事に頭を使うな。アイズの事だけ考えろ。

 6層に辿りつき、風の示すルートに従い道を行く。

 疑いはしない。

 かつてアイズは、あのオラリオにおいてピンポイントでシオンを見つけた。風が、シオンに彼女を運んできた。

 なら、その逆だってありえる。

 シオンをアイズの元へ連れて行ってくれると、信じる。

 そして、遂に。

 「――見つけたっ!?」

 いた。

 自分と同じくボロボロで、傷だらけになりながら剣を振るう、アイズの姿。必死の形相でモンスターの猛攻を凌いでいる。それだってもう限界だろう。証拠にアイズは一切反撃ができず、防御だけで精一杯だった。

 「伏せろ、アイズ!」

 「誰!?」

 叫びつつも本当に頭を下げるのだから、素直だと思う。

 シオンは剣を握り、彼女の死角から迫っていたウォーシャドウの爪を防ぐ。

 パリィィィ――ン、と完全に剣が砕け散る。オッタルの攻撃によって限界を超えかけていた剣が完全に散った。

 ギリギリ鍔の先に残っていた刀身、それを利用してウォーシャドウの喉元へ投げる。うまく当たれば喉を裂かれるし、最悪牽制程度にはなってくれるだろう。

 顔をあげたアイズが、シオンを見る。驚きに見開かれた目が、彼女の心情を表していた。

 「さっさと立て。じゃないと死ぬぞ」

 「は、はい!?」

 聞いたことのないシオンの鋭い声に反射的に返したアイズが立つ。

 そこでやっと、アイズは気づいた。自分以上に血塗れで、ボロボロで、立つのもやっとという風体のシオンに。

 アイズはシオンの強さを知っている。それなのにどうしてここまで、と思ってから、一つしかないと考え直す。

 ――アイズのためでしかない。

 邪魔者と、嘘つきと言い放ったアイズを助けるためだけに、シオンはこんなになってまで助けに来た。

 感謝と、申し訳なさと、喜びと、悲しみと、理不尽な怒りと、ごちゃまぜになった感情が、アイズの動きを封じる。

 モンスターはいきなり現れたシオンを警戒してか、動きを止めている。

 「シ、シオン、なんで来たの!?」

 出てきた言葉は、そんなだった。

 「私は、自分の意思でダンジョンに潜ったのに、どうしてついてくるの? 私の邪魔でもしたかったの!?」

 もっと別に言いたい言葉があったのに、アイズはシオンを責めていた。剣が壊れてしまってまで助けに来てくれた相手に言う言葉ではないとわかっていても、アイズは素直になれない。

 素直になるには、シオンに言った『嘘つき』が、アイズの心に刺さりすぎていた。

 シオンは答えず、腰に帯刀していた短剣二本を取り出し、構える。

 「口を動かす前に手を動かせ。死にたくないんだったらな」

 言ってから、シオンは自己嫌悪した。

 意固地になっている相手に言うような言葉じゃない。だけど『生きてて良かった』と言うには、アイズの言った『邪魔者』がシオンの心を縛りすぎていた。

 だけど、アイズは聞いてきたのだから、せめて、これだけは。

 「……死んで欲しくないから……助けに来ただけだ」

 聞こえたかどうかすら確認せず、シオンはモンスターの掃討に行く。

 ――アイズの記憶では、シオンは剣しか使っていなかったはずだ。

 なのに今のシオンは、剣程ではないにしろ短剣を器用に振るっている。短い刀身で敵の攻撃を受け止め反撃している。時折アイズが攻撃しやすいように敢えて敵の動きを逸らしているから、やりやすかった。

 もしシオンの動きをティオナ達が見たら、こう言っていただろう。

 ベートみたいだ、と。

 体はボロボロではあるが、元々【ステイタス】だけで言えばこの階層は皆雑魚だ。シオンの気力が続く限り、負けはありえない。

 その事実を認識して、アイズは気を抜いてしまった。

 「ッ、アイズ!!?」

 その瞬間、いくつかの出来事が一瞬で起こった。

 まず、シオンがアイズのところに戻って抱きしめてきた。

 次に、真っ黒な影が視界の端に入ってきて。

 最後に、視界が真っ赤に染まっていた。

 「……え?」

 「ぃ、ってぇなクソったれがぁ!」

 肩甲骨辺りに刺さった爪を強引に引き抜くと、シオンはいつの間に接近していたウォーシャドウを斬り捨てる。しかし受けた傷は大きく、右手が全く動かせなくなった。

 「おい、おれの代わりにトドメを刺せ!」

 まだ数体残っているモンスターを片手で捌き、アイズは呆然としたままシオンの腕となってモンスターを屠る。

 驚くべきことに、シオンは使えない腕すら体の捻りを利用して無理矢理動かしている。痛みは当然あるはずなのに、顔をしかめるだけで妥協すらしない。

 ――全然、違う。私と、全然。

 そんな事を、思ってしまった。

 何とか全滅させたのを確認すると、シオンはアイズの腕を引っ張って走り出す。

 「い、痛い、痛いよシオン! 自分で走れるから放して!」

 「うっさいバカ! ダンジョンで気を抜くとかありえないんだよ! そんな事もわからないからダンジョンには行かせられなかったんだ!」

 反論しようとして、できなかった。

 事実、アイズは油断したせいでシオンを傷つけた。結局助けられて、シオンの言う通り、あのままだったら死んでいた。

 落ち込むアイズに、シオンは滔々と告げる。

 「……ウォーシャドウは、全身が影で構成されていて、あの爪と素早さで襲いかかってくる。だけどアレの恐ろしさは、そんなところにあるんじゃない」

 「……?」

 「『戦いの影』……名は体を表す。アレの真価は、()()にある」

 伝え聞く華々しい戦果と栄光の裏にある影。奇襲と暗殺という汚れ仕事。ウォーシャドウはそこから名付けられた。

 顔の丸いパーツと爪を除けば影という漆黒に染められたあのモンスターは、迷宮のそこかしこに点在する影の中でうまく丸まっていれば視認する事は難しい。特に先ほどのような、モンスターと冒険者の乱戦状態ではなおさらだ。

 そして初心者の段階にある冒険者は乱戦から生き残れた時に、ほぼ必ず一息吐く。

 それは、どうしようもない油断だ。

 そこをウォーシャドウは奇襲する。わかっていても避けられない致死の一撃によって命を落とした冒険者は、多い。

 まさしくダンジョンに潜む暗殺者。今のシオンならバレバレな隠密だが、アイズはそうじゃなかった。

 「知識も覚悟も足りてない。力だけで生き残れるほど、ダンジョンは甘くないんだ」

 「そ、れは……わかった、けど」

 今日この時、アイズは身を持って知った。

 どうしてフィン達が『シオンの許可が出たら』と口を揃えて言っていたのかを。

 それは、シオンが最もアイズの身近な存在だったからだ。

 才覚があり、その上でアイズよりも小さい頃にダンジョンへ潜り、その身を危機に晒し続けた人間だからこその、あの言葉。

 後ろから迫ってきたはずのモンスターを振り返らず逆手の短剣で斬り伏す。今までのアイズとの鍛錬はお遊びかと思えるほどその一撃は鋭かった。

 いつもの穏やかな瞳とは違う刃物のような眼を頼もしく思ってしまう自分に自己嫌悪した。あんな言葉を言っておきながら、舌の根が乾かぬ内にもう頼っている。最低もいいところだった。

 シオンはここまでの道中を覚えているのか、迷いがない。どんどん来た道を戻っていく度に恐怖心がアイズを蝕んでいく。

 周囲の警戒に注意を払っていたシオンはその様子に気づかず、そのままバベルの外へ出る。かなり傾き始めた太陽から、相応の時間ダンジョンに潜っていたのだとわかった。

 「それじゃ帰るぞ。その後で――アイズ!?」

 『帰る』、その単語にピクリと反応したアイズが走り出す。シオンをほったらかして、全力で、どこかへ向けて。

 「アイ――ッ、こんな時に!!」

 ズグン、と腹部が激痛を訴える。痛みを堪えた隙にアイズの姿はもう消えていて、追いかける事ができなかった。

 どうすれば――そう、思った時だった。

 また、風が小さくシオンを撫でる。落ち着かせるように。示すように。

 ふぅ、と一度息を吐き出して。

 それから、どこかへ消えたアイズを探しに行った。

 

 

 

 

 

 どうして――どうして、私は――逃げてるの――?

 そう自問自答していたけれど、本当はわかっていた。目を逸らすことさえできないほど、それはアイズの中心に巣食っていた。

 怖かったのだ。

 散々シオンに迷惑をかけた。あんな傷まで負わせる事になった。嫌われた、疎まれて当然だと思ってしまうほどに。

 そして、そこでやっと気づいた。

 自分は、アイズ・ヴァレンシュタインという人間は、シオンに甘えきっていたのだと。甘えるのが最早当たり前となっていて、だから気付かなかったのだ。

 それを失うのが、恐ろしくてたまらない。

 お母さんが自分の前から消えた時と同じ心の中にある大事な物がポッカリと無くなって、例えようのない消失感に、泣き叫びたくなってしまうほどに。

 アイズが我を取り戻した時には、とても高いところにいた。

 オラリオの一番端っこ。迷宮都市(オラリオ)を囲む市壁だ。その外縁部からは都市の大部分を見渡せるために、アイズは場違いにも目を奪われた。

 今の自分には全く似合わぬ、その美しさに。

 何となく、オラリオの外を見る。こことは違う大自然が遠くに広がっているのが見えて、アイズはふと呟いた。

 「……ここから出たら、外には何があるんだろう」

 「――少なくともアイズ一人では行かせられないな」

 その言葉と共に、全力で抱きしめられた。

 なっ!? と驚きと羞恥で顔を赤くするアイズに、しかしシオンは体を苛む痛みで息を荒げないようにするだけで限界だった。

 プルプルとか弱く揺れる腕には全く力が入っていない。一瞬力を入れるだけが限度で、これではもう一度逃げられればもう追いかけられない。

 「なんで、ここがわかって」

 「最初に会った時、あの大勢の中からおれだけを見ただろう。それと同じだ」

 つまり、理由はわからない、と。

 ただ何となく、あっちに行けばいいというよくわからない予感に背中を押されて、そしてシオンに出会った時の事を思い出す。

 たった一ヶ月前。

 それなのに、初めて会ったのはもう何年も前に思えてしまう。それこそ物心ついたときから一緒にいたと錯覚するくらいに。

 少しだけ俯くアイズを見て、シオンは体を離す。さすがに血塗れの服と体で抱きつくのは無遠慮すぎる。

 振り向いたアイズはシオンと目を合わせようとしない。どうにも気まずくなって、シオンも話しかけづらい。

 だが、こういう状況で気を遣うのはいつだって男だと相場が決まっている。

 「アイズは、さ。どうしてダンジョンに行きたいって言ってたんだ?」

 「……え?」

 てっきり怒られると思っていたアイズはパッと顔をあげる。バツの悪そうな顔で、それでもシオンは頭を下げた。

 「悪かった」

 「あ、頭あげてよ! そんな、シオンが謝る必要なんて」

 「それでも、おれは知らなきゃいけなかった。手伝うのなら、おれはアイズの気持ちもわからなきゃいけなかったんだ。……自分本位にやってたせいで、こんな事になったんだから」

 薄く笑う。けれどそれは後悔から滲んだ自嘲によるものだ。

 違う、そうじゃないと言いたかった。

 だけどアイズの感情は、その理屈を撥ね退け、別の行動を起こさせた。

 「――!」

 ドン、とシオンの体にぶつかる。たったそれだけでもよろけて崩れ落ちそうになる体に喝を入れて堪えるのにかなりの労力を必要としたが、ふとアイズの体が震えているのに気づいた。

 「寂しい、の……」

 その一言に、アイズの想いがこめられていた。

 「夜寝る時に、ベッドが広すぎて、寒くなるの」

 いつも母は自分を抱きしめながら眠っていた。アイズも母を抱きしめるのが大好きだった。それが無くなってから、いつもいつも寒くて仕方が無かったのだ。

 「夢でお母さんが傷ついてるのが見えて、悲しくなるの」

 いつからか見るようになった悪夢は、アイズの恐怖心を煽った。

 「お母さん、会いたいよぉ……!」

 シオンはただ、聞いていた。けれどそれは、彼女の本心を吐き出させたかったからではないと、彼女の言葉に気づかされる。

 「シオンもわかるでしょ? 今すぐ会いに行きたいって気持ち」

 ドクンと、心臓が跳ねた。

 「どうしようもなく不安になって、お父さんとお母さんのところに行きたいって気持ちが」

 ――あ、れ?

 アイズの言葉は、どうしてかシオンの心に突き刺さり、

 ――……わからない。

 そんな答えが出て、シオンは反射的にアイズに叫んでいた。

 「わっかんないよ、そんなの!?」

 目を丸くして体を離すアイズに、シオンは心の奥底から噴出した想いを言い放つ。今までずっとずっと封じ込めていた、真意を。

 「知らない、覚えてない! おれはいつも『待たされた』人間だった。『置いてかれた』人間だったんだ!」

 ――なんで、こんな。

 「言ってたのに! 『いい子にして待ってて』って! なのに、父さんも母さんも帰ってこなかった、そのまま死んだ!」

 ――両親の事なんて、顔さえ覚えてないのに。

 「義姉さんだってそうだった! 『ずっと一緒に、傍にいるから』って言ってくれたくせに! おれだけ置いて死んじゃった! ……どうして」

 ――どうして皆、おれだけ置いてどこかに行っちゃうの!?

 その想いが、そのまま怒りに向いていく。

 「アイズのお母さんは、生きてるかもしれないのに! おれとは違って『死んだ』って言い切れる訳じゃないのに! 可能性に縋る事さえできないおれは、もう、両親の、義姉さんの愛を思い出す事さえ難しいんだ!」

 言外にズルいと責めているのを、言い終えてから気づいた。怯えたアイズの目を見て、シオンは胸を押さえた。

 ――おれ、は……。

 「自分の事だって、わかっちゃいなかったのか……」

 ずっと、ずっと気付かなかった。

 自分の心は、寂しいと叫び続けていたことに。アイズが言わなければ、目を逸らし続けていたままどこかで破綻していた。

 ふらふらと揺れて、市壁に寄りかかって座り込む。膝を立ててそこに額を押し付け、湧き上がってきた『寂しさ』を享受する。目の淵から涙がこぼれた。

 「……おれには、もう『家族』はいないんだ」

 その事実は、風に流れてアイズの耳へと滑り込む。硬直したアイズはシオンの悲しみに満ち満ちた声を理解し、そして、自分がどれだけシオンの心を押しつぶしていたのかを悟る。

 母親の声すら思い出せないと言うシオンに、『母に会いたい』と言い続けた私は、どれだけシオンを傷つけたのだろう。

 ――(おれ)は、シオン(アイズ)の事なんて全然(これっぽっちも)知らなかった。

 お互いがお互いを刺激し続け、爆発した。その結果は必然であって、偶然ではない。だけどシオンは、その間違いを、間違えたままでいさせたくない。

 『教えて欲しいなら、わかってあげなきゃいけない』

 全ては無理でも。

 少しくらいなら、想いは伝えられるから。

 シオンは市壁を支えに立ち上がり、頬を伝う涙をぬぐって、同じく涙を流していたアイズの頬を撫でる。

 「……?」

 シオンの動作を不思議そうに見ていたアイズに、震える声で言う。

 「おれは、アイズの事をほとんど知らない」

 当然だ。たかだか一ヶ月で相手の事を知れたなんて傲慢にすぎる。十年二十年一緒にいたって知らない事はあるのだから。

 「私も、シオンの事を全然知らない」

 その事実を、まず認める。

 「アイズの事を知りたい。溜め込まないで、我が儘を言ってほしい」

 「シオンの事が知りたいの。自分一人で考えないで、私にも伝えてほしい。じゃないと、不安になるから」

 思い返せば、この一ヶ月何のために言葉があるんだと言えるくらい話した回数は少ない。その会話自体も一言二言重ねただけで終了だ。

 シオンはアイズを撫でていた手を下ろし、彼女の前に差し出す。

 「もう一回。……やり直そう」

 「次は、間違えないでね?」

 浮かべた笑みは、とても複雑な色が宿っていた。

 それを全て押し殺して、シオンは言う。

 「()()()()()()()()、アイズ」

 改めてやり直す、そのための言葉。意図を理解したアイズは手を差し出し、握る。握手をした事はあっただろうか、と思いながら。

 2人はやっと、本当の意味でお互いの手を取り合えた。

 そしてシオンはアイズの手を引っ張って歩き出す。

 「帰ろう、アイズ。寂しいなら今日は一緒に寝るか?」

 「うん、いいよ」

 「まぁそれは流石に――え、いいの?」

 冗談で言った言葉にガチトーンで返されて逆に慌てる事となるシオンに、

 「私も、久しぶりに誰かと一緒にいたいから」

 「そ、そうか。うん、おれが言ったことだし、わかった」

 何でか背筋を凍らせてるシオンに、アイズは花開いた笑みで小さく呟いた。

 「よろしくね。……お兄ちゃん」

 最後の言葉は、自分に対しての戒めでもあった。

 無意識に甘えていた理由を明確にするための、一種の儀式。

 「アイズが呼びたいなら……別に、それでもいいぞ?」

 「え、へ!? ま、まさか聞こえたの!?」

 「Lv.2を舐めるな、とだけ」

 「それ返答になってないから! ね、ねぇ本当に聞こえちゃった!? それはちょっと恥ずかしいから――!??」

 涙目になっているアイズに、シオンは困ったように頭を掻いて、誤魔化すようにアイズの手を強く握って歩く。

 それは、お互いの孤独を埋めるための傷の舐め合いかもしれない。風によってもたらされた歪な出会いかもしれない。

 それでも今は、この心地よさに浸っていたかった。

 (いもうと)のような()の温もりを、感じていたかった。




今回はアイズが『ここまでやれる』っていうのと、シオンの強制負け戦闘をするためと、2人の関係を再認識するためのものです。

痛い目見ないと自覚しないって事ですね。痛い目見すぎですけど。

後半のシオンとアイズの言い合いがちょっと納得できてないので変更する可能性あります。その時は一応お知らせしますね。

んで、次回で一区切りつきそうと言いつつつかなかった件。長すぎてまた分割なりました。学習していませんね私。
予定していた展開にしようとしたら文字数跳ね上がったせいです。でも書きたかったんだから仕方ない、うん。

次回こそは章終わりだから。きっと終わらせますから!
……閑話も、頑張って書きます。

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