巻き込まれた図書委員   作:名前はまだ無い♪

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今話は鍵のすけさんが執筆されている「ラブライブ!〜オタク女子と九人の女神の奮闘記〜」とのコラボ回です。

この作品と鍵のすけさん作品、両方読めばより一層楽しく読む事が出来るはずです。

こちらと鍵のすけさん、両作品をぜひ読み比べてみてください。

それではどうぞ!


図書委員とオタク女子

「絵里先輩! いや、希先輩でも良いんですけどー!!」

 

 生徒会室で本を読んでいると、扉が勢い良く音と共に見知らぬ女生徒が入って来た。

 え……ホント誰?

 

「あの、どちら様でしょうか……?」

 

 取り敢えず対外用の仮面を付けて対応しよう、そうしよう。

 

「……ん? って、ええ!? 音ノ木三大美女の一人が何故ここにぃ!?」

「なぜ、と言われましても私も生徒会役員ですし」

 

 女生徒が私を見た途端に驚いた様に聞いてくる。と言うより生徒会室にいる時点で役員でない可能性は低いんじゃないかな?

 一人内心で首を傾げていると、目の前の女生徒も同じく首を傾げていた。

 

「生徒会? ……あれ? 確か、図書室でも見たことがあるんですけど……もしかして兼業的な何かですか?」

「ええ。図書委員会では副委員長を、生徒会では書記をやらせて頂いてます」

「あ、なるほどなるほど……。図書室でたまに見かけるからもしや! と思ったけどやっぱり正解だったんですね!」

 

 ふむ。図書室をよく使ってくれてるらしいのだが……見覚えない……あれ? 茶髪にハーフアップな髪型は音ノ木じゃ珍しいから知ってるはずなんだけどなぁ…ゴメンね! ハーフアップちゃん!

 

「それは、良いんだけど生徒会ではあまり見かけたことがあるようなないような……?」

「まあ図書委員長が一般業務を疎かにする為、そちらのフォローで忙しくてあまりこちらに来れないんですよ」

 

 遥さんももう少し働いてくれたら下の私達の負担も減るだろうに……主に私の

 

「な、なるほど……それにしても絵里先輩も言ってくれれば良かったのに! 音ノ木三大美女が勢ぞろいしている時に生徒会業務を手伝いに来たいんですよ私はぁ!」

「ま、まぁ落ち着いて下さい。えと……お名前を伺ってもよろしいですか?」

 

 なぜか膝をつき床を叩きそうな勢いだったので、取り敢えず止めようと思い名前を聞く。生徒会室でそんな事されたら変な噂が立ちかねない。それだけは勘弁して欲しい。

 

「な、何と! 私としたことが名乗り忘れるなんて! えっと、私は片桐思穂って言います! 二年生で文化研究部の部長なんかをやってたりしてます!」

「では片桐さん。もうご存じの様子ですが改めて自己紹介させて頂きます。東野友実と申します。

それにしても二年生で部長とは凄いですね」

「当然! 知っていますよ! クレオパトラ七世、楊貴妃、小野小町と肩を並べる、音ノ木三大美女の名前は! ……だけど会ったことなかったんですよね……」

 

 知ってるのが当然なんだ……下級生のコミュニティって恐ろしいなおい! まぁそれは置いとこう。うん。でもさ

 

「そんな世界三大美女と一緒にされましても……それに私は絢瀬さんみたくスタイル良くないですし、東條さんみたく包容力もないですよ」

「何を言っているんですか友実先輩! その有り余るオーラが三大美女たる所以じゃないですか!」

 

 有り余る、オーラ……私にそんなものがあるのだろうか……?

 

「あ、ちなみに文研部は私一人しかいない感じだからまあ、当然の昇格ですね!」

「って文化研究部は片桐さん一人なのですか。色々と大変じゃありません?」

 

 アイドル研究部を一人で支えてきたにこの事を思い出し、つい聞いてしまった。下手したら片桐さんを怒らせてしまう。

 そんな思いとは反対に片桐さんは明るく笑って答えてくれた。

 

「あ、でも私一人で何とかやっていけているんでまあ、問題ないかなぁって!」

「部活動の事で何かありましたら声をかけてください。微力ながらもお力になりたいと思いますので」

 

 にこの事を知ってるから一人の辛さはなんとなく分かってるつもりだ。だから差し支えなかったら出来る範囲でなら手伝える事を手伝おう。

 もっとも、私に出来る事は本当に少ないけどね。

 

「ですが、私にはオーラなんてありませんよ。それに多分私よりもあなたの方が素敵なものを持ってると思いますよ」

「何をおっしゃっているんですか! その海未ちゃ、えと私の知っている友達以上の大和撫子臭! これはアニメやラノベでもそうはお目にかかれない! それに私の事を気に掛けてくれる感じが素晴らしい! これはまさに天使の風格!」

 

 天使!? 今片桐さん天使って言わなかった!?

 私が天使なら純真無垢な亜里沙ちゃんを片桐さんにみせたら何て言うのかな。天使の上だと……女神? ってそうじゃなくて今片桐さん海未ちゃんって言い掛けなかったか?それに……

 

「海未? そう言えば入って来る時も絢瀬さんと東條さんの名前をおっしゃっていましたが、三人とお知り合いで……?」

「スクールアイドルなるコンテンツが世の中にはありまして、不肖片桐思穂はその音ノ木のスクールアイドルグループのマネージャーもやらせてもらってるんですよ!」

「確かグループ名は「μ's」でしたよね。そうですか、片桐さんがマネージャーを……。あの、高坂さんは何かご迷惑をお掛けになってはいませんか?」

 

 成る程。確かにμ'sのマネージャーをやってるなら三人と面識があるのは納得がいくね。

 一人納得していると、片桐さんは嬉しそうに目を光らせて喜んでいた。

 

「おお! 既に知名度は相当なものだった! 穂乃果ちゃん? ……ま、まあとても良い人生経験をさせてもらってますね……。ところで、友実先輩は穂乃果ちゃんと知り合いなんですか? “高坂”って言い方に優しさを感じたんですが」

 

 気付かなかった……まさか皆気付いてたりするのかな? 希辺りは気付いてそうだな。まぁこればかりは変えようと思って変わるものじゃないから諦めよう。

 それにしてもこの子って意外と洞察力とかあるんだなぁ。キャラ作りバレなきゃ良いけど……

 

「そうですね。高坂さんとは家もお隣同士ですし、昔からよく遊ぶいわば幼馴染み、といった所ですね」

「な、何ですと!? 全然知らなかった私! ……とまあ、それはさておいて。だから妙に声色が優しかったんですね。納得です。そう言えば、その友実さんが読んでいる本、もしかして太宰治ですか?」

「はい「女生徒」です。1939年7月20日に出版された作品集です」

「ですよね! 表紙を見てもしやとは思ったんですが、やはりでしたか! 『女生徒』は私も一度目を通したことがあります! 男性が書いたとは思えない程、『女子』と言う目線にリアリティが感じられたから印象に残っているんですよね!」

 

 おぉ、まさか「女生徒」を読んだ事がある人がいるなんて! 図書委員でもこの本の話題はそう聞かないんだよね。皆読まないのだろうか?

 

「片桐さんは他にどんな作品を読まれるんですか?」

「私ですか? そうですねぇ……ライトノベルやら漫画やら色々読みますけど、そう言う感じで行くなら、宮部みゆきさんですかね!」

「宮部さんは冒険ものからシリアス系まで書けて素晴らしいですよね」

「そうなんですよね! 特にファンタジーがすんばらしく好きで! ……さっすが友実先輩ですね、すさまじく話せますね……」

 

 それはこっちの台詞だよ片桐さん。ここまで話が合うなんて、ぜひ図書委員にスカウトしたいね!

 ただ話について行けないとするとマンガなんだよね。

 

「マンガは妹の領分なので偶に話について行けませんけどね」

「おお! 妹さんがいるのですか! それはぜひにお会いしたい……! ところで友実先輩は生徒会では書記でしたっけ? あれ? それなら多分、私も書類作成とかで色々やっているから知っているはずなんだけどなぁ……」

「タイミングが上手く合わなかったみたいですね。私も絢瀬さん達から片桐さんの事を聞かされた事はありませんし」

 

 言われてみて確かに思った。絵里や希はなぜ片桐さんの事を話してくれなかったのだろうか? 片桐さんの言い方からして多分私が図書委員の方で忙しかったりしてる時に手伝って貰ってるみたいなのに。

 

「な、何と! そっか……でもまあ、私どっちかと言うと、罰則的な扱いなんで知らないのも無理ないかもです」

「罰則って……一体何をしでかしたんですか?」

「うっ! ……た、度重なる居眠り及び授業への態度の悪さ……で、す」

 

 絵里達が私に話さなかった理由はそれか……確かに「あなたが忙しそうだったから授業中態度の悪い子に手伝って貰ってたわ」なんて絵里達は言わないだろう。

 それにしても授業中に居眠りに態度の悪さか……どのくらい悪いのかはそんなに噂として聞かないから酷いものではないのだろう。それよりも

 

「ちゃんと授業を受けましょう? まぁ成績が上の下の私が言えた立場ではないですが……」

「じょ、上の下とかやはり凄まじい立場だったんですね! 何だか趣味に明け暮れていたらいつの間にか睡眠時間を犠牲にする生活になってまして……」

「片桐さんは成績どのくらいなんですか?」

 

 上の下で驚かれたので少し気になり聞いてみると、片桐さんは照れた様に笑い頭を掻く。

 

「そんなに自慢するようなレベルじゃないんですよね~。ま、まあ極短の時間に集中して勉強しているんで悪くは……ないですね!」

「そう言えば高坂さんから勉強する時怖い知り合いがいると聞いたのですが、まさか……」

「な、何の事でしょうか!? あっはっは! やだなぁ友実先輩! それは恐らく何者かの悪質な情報操作ですよ!」

 

 一体どこの誰がそんな情報操作して得をするのか分からないが、突っ込んで話して欲しくないみたいだからいいか。それに勉強法なんて人それぞれ。他人の勉強法にケチを付ける事はしたくないしね。

 

「そ、そうですよね。それはそうと、絢瀬さん達に何か用事があったのでは無いのですか?」

「あ、そうだった! バレーボール部と新聞部の決算なんですけど、数字が微妙に合わないんですよね。全部洗ってみたら『もしかしたら……』って部分見つけたんで、リストアップしたんですよ。確認してもらえないかなーって」

「そうなんですか。では私の方で預かって絢瀬さんに渡しておきましょうか?」

 

 会計担当の子は今年が初。ミスをしてしまうのは仕方ない事だ。私は書記だから今この場でどうこうする権限は持ち合わせていない為、一度預かり絵里に渡そうと思い提案する。

 片桐さんは少し迷う素振りを見せた後に首を横に振って答える。

 

「う~ん……いや、友実先輩にやらせる訳にはいかないんでちょっと待たせてもらいますかねぇ……。その間は友実先輩と熱いトーク!」

「そうですね。私もそんなに後輩達と交流を持っていないので、お話しましょうか」

「そうなんですか? 図書委員という特権を活かして、女の子達と無料でお話しできる素敵役職だと言うのに!?」

 

 ちょっと待とうか! 私は別に後輩と話したいから図書委員になったわけじゃないよ!? この子そういった委員会に何か偏見でも持ってるのか……?

 まぁ後輩とは全く話さないってわけじゃないけどね。

 

「まあ浅田さんとはよく話しますが、他の役員の子達とは大体が業務ですよ」

「浅田さん……って浅田夏帆ちゃんの事ですか? 熱い図書トークをしていたりするんですよねあの子とは!」

「そうなんですか? 浅田さん、始業式の日にほむまんを持って来て、遥さんと三人で美味しく頂いたんですよ」

 

あの時のほむまんも美味しかったなぁ。出来立てでも、少し時間が経っても、冷やしてても美味しいほむまんは素晴らしいまんじゅうだと思うよ。

 

「始業式の日に何て事を……! 始業式か……爆睡していて絵里先輩に呼び出された記憶しかないですね……」

「始業式から寝ていたんですか……そう言えば寝ていた生徒がいましたね。片桐さんだったんですか、あれ」

 

 生徒会書記のはずなのになぜか司会を任される事の多い私は、壇上から全校生徒をよく見る。その時何人かはコックリと船を漕いでいたが、一人完全に俯いて微動だにしなかった子がいたけど、まさか片桐さんだったなんて……

 ジーっと片桐さんを見つめる。多分この時の私は呆れたような目をしていただろう。その証拠に片桐さんが少し気まずそうに誤魔化す。

 

「……ま、まあそういう平行世界もある気がしますね……。でも! 最近はそんな事はしてませんからね!」

「最近、ですか……?」

「そ、そうですよ! テストだって文句無いように結果叩き付けてますし!」

「……先日職員室に伺ったら先生が項垂れてましたけど、あれって片桐さんの仕業だったんですね」

 

 あの時は何があったのか不思議で他の先生にも聞いたが、全員揃って口を噤むんだよね。まぁこうして犯人(?)が分かって良かった良かった。

 

「げっ……! ところで友実先輩は図書の方行かなくて良いんですか?」

「今日は当番じゃないので大丈夫ですよ?」

 

 このまま何事もなければね! あ、なんかフラグっぽいな今の。

 私がここに残れる事を知って片桐さんは嬉しそうに笑う。

 

「ならオッケーですね! 素晴らしい! ついでにその友実先輩の脚をもっと見せてくれる最高なんですけどね!」

 

 その言葉に思わず背中に変な汗が流れるのを感じた。通りで先程から視線がチラチラと下に行ってると思ったよ。

 音ノ木坂が女子高だからってこういう人本当にいるんだ……いや、別に私は問題ないと思うよ? 自分に害がなければね! だからここはハッキリと断るよ!

 

「え……あの、えと、すいません! 私そう言う趣味じゃないので!」

「あ、あれぇ!? 何か変な誤解をされた気がする!? ち、違いますよ! 私だってそういう趣味無いですって! ただ女の子の脚が好きなだけですよ!」

「それはそれでおかしい! まさか穂乃果達の脚は既に思穂ちゃんの魔の手に!?」

「そうですねぇ……とりあえずは海未ちゃんの脚は堪能しました!」

 

 凄い爽やかな笑顔で返されてしまった…あぁ海未、君は知らない間に遠くへ行ってしまったんだね……お姉さん悲しいよ。

 

「――ところで、その“穂乃果達”~って呼び方が素の呼び方って感じですか?」

 

 さっきまでのオフザケ雰囲気はどこへやら、急に目を細めてこちらを見て来る片桐さん。ヤバい、やらかしたね! 取り敢えず誤魔化してみよう。

 

「…………な、ナンノコトデショウカ〜」

 

 片言? なんのこっちゃ!

 そんな誤魔化しも何のその、片桐さんはビシィッと人差し指指すとニヤリと笑っている。

 関係ないかもだけど、これアニメとかの探偵を思い浮かべるよね!

 

「あっはっは。友実先輩、私はこれでも『演技』と言うカテゴリにおいては一家言持つ女片桐思穂なんですよね! 表情とか言い方とか、完全にリラックスした友実先輩の『さっき』のが本当の友実先輩なのかなぁって。愚かモノの私なりのなんちゃって考察なんですがね」

 

 ハァ。そこまでバレちゃったなら仕方ないか。仮面を外そう。あ、今の台詞中二っぽいな。

 

「……初対面でバラしたのはにこに続いて思穂ちゃんが2人目だよ。バレちゃあしょうがないね〜こっちが素の口調なんだよ……騙しててゴメンね?」

「……ほっほぉ。それが友実先輩の素でしたか! にこちゃ、先輩に次とは光栄の極みですね! むしろありがとうございますとでも言っておきましょうか!」

「まぁね〜。家や素の口調を知ってる人達だけの空間ではこっちで話してるよ」

「なるほどしかし……そっちの方が魅力的ですね! 何というか、にこ先輩を見ている気がして良い感じです!」

 

 にこを見てる気がする、か。確かににこも二面性があるもんな〜

 

「にこはアイドルモードと弄られモードの差が激しくて見てても楽しいよね!」

「そうですね! にこちゃんは本当に一生ついて行きたい先輩ですよ!」

「やっぱり思穂ちゃんってそっちの趣味が……?」

 

 さっき否定してたけど、私の中でその可能性はまだ捨て切れてないからね!

 片桐さんは私の言葉が衝撃だったのか、ショックを受けた表情をしている。

 

「うわっ! 何か話せば話すほどドツボにハマる系の奴だこれ!? でもまあ、色々合点がいきましたよ。穂乃果ちゃん達がたまに話題にする先輩って友実先輩だったんですね。印象が繋がりましたよ」

「ち、因みにどんな話を……?」

「厳しいけど優しい。あと何かたまに投げやりな態度になる素晴らしいお姉ちゃんって! ……あと、たまに適当な態度になるとか」

「うっ……そのままな私だ……よく見られてる事に喜ぶべきか、その正当な評価に今後を改めるべきか……」

 

 恐る恐る聞いてみると意外とそのまんまでしたよ。て言うか穂乃果達って偶に私の事話してるの!? 他にも話題あるでしょーに!

 

「それだけ良く見てくれている穂乃果ちゃん達ってことですよ! さっすが仲が良い! でも私もそう思ってしまってしまったのは心の中に留めておきます!」

「おーい声に出てるぞ〜?」

「し、しまった! 私、心の中を読ませないことに定評があったのに!」

 

 片桐さんは天然の毛でもあるのだろうか、指摘すると額に手を当てる俗に言う「やっちった」ポーズを取るも、すぐに持ち直す。

 

「あ、ところで大和撫子的な口調ってもしかして海未ちゃんの真似した感じですか?」

「そうだよ。身近にいたいい感じの子が海未だったからね。そのせいで三大美女とか言われて、ね」

「攻守万能の海未ちゃんがやはり凄まじいことが分かりますね! それは三大美女待ったなしですよ……むしろ演技出来ていた友実先輩がすごいんですよねきっと」

「そ、そうかな? って攻守万能ってどういう事!? 何があったのさ!」

「海未ちゃんって……割と恥ずかしがり屋じゃないですか」

 

 いや、そこは分かるけどさ。て言うか目を逸らして言うって事は片桐さん……ええい、もう思穂ちゃんで良いや! 向こうは初めから友実先輩って言ってくれてるし。

 思穂ちゃん一体海未に何したんだ? まさか本当に脚を……?

 

「まぁそうだけど……攻め……?」

「チョップが痛い!!」

「あー。海未は怒らせると怖いからね〜」

 

 特に寝起きが一番怖いんだよね。次点で説教の時。このランキングは不動だね。

 

「ホントですよ! 私、常に怒られているんですよ! 酷くないですか!?」

「いや、海未はそんな理不尽に怒るようなマネは……あー授業中寝てるからか……」

 

 海未、結構真面目だからなぁ。偶に穂乃果の居眠りに対する愚痴とか聞かされるし。

 思穂ちゃんも言い返せないのか、言葉に詰まってるよ。

 

「そ、それは何とも言い返せないことを……! でもまあ、スクールアイドル絡みでちょっと反省することがありまして……。奇跡的に絵里先輩か、希先輩から聞いたことあったりします?」

 

 反省する事…?あー前にチラッと聞いた様な……あの時はその日の新刊が楽しみで話し聞き流してたんだよな……薄情? ちょっとよく分からないね。

 

「あー確か一時期穂乃果達を避けてたんだっけ?」

「そうですそうです。ファーストライブの時に授業態度で先生にテストやらされてしまって……。穂乃果ちゃん達に迷惑掛けたくないって思ったらいつの間にか止めてましたねぇ……あのテスト、意地悪だったなぁ」

「それでも解けちゃう思穂ちゃんは頭良いんだね」

 

 ちょっと思穂ちゃんが解いた問題に興味が湧いてきたな。いつか職員室に行って見せてもらおう。

 

「ん? そこまででもないですよ? 冷静に読み解けば何とかいけましたしね! そういう友実先輩も上の下って中々凄まじいと思うんですけどその辺はいかにお考えで?」

「それは調子が良くて上の下なんだよ。普通は大体真ん中ら辺。だから大学受験が心配でね〜」

 

 高校受験の時は受験勉強なんて碌にやってなかったからな〜。良く考えてみればあの時既に定員割れ起こして生徒減少の兆しがあったんだよな

 

「ほっほー……。私もにこちゃんに勉強教えたくて、何かもう大学入試の勉強してますね~……」

「もうそこまで行くとにこの保護者か家庭教師だよね。思穂ちゃん」

「いやいや! 私は永遠ににこちゃんの後輩ですよ!」

 

 絵里と希も成績は私より上。困った時はこの三人に頼もう。あと友香の勉強も見て貰おうかな。や、別に面倒くさがってる訳じゃないよ? 私でも教えられない所あるし。うん。ユミサンウソツカナイ。

 

「……そういえば、図書委員ってことは、もしかして図書購入もやっている感じですか……? もしくは教育委員会に購入依頼しているとか……?」

「それは生徒達の要望を私達が松田先生に通して、松田先生が購入依頼を出してるんだよ」

 

 あまりこういった裏事情は話しちゃダメなんだけど、まぁ音ノ木坂に限ってはとても高い壁があるから良いかな。

 

「なるほど……ならば、一般生徒たる私もリクエストを出せば買ってもらえるパターンですね……! これはチャンスが来た!!」

「もちろん松田先生に通す場合にこういう時しか真面目に仕事しない遥さんが動くよ。だから変な物は通らないんだよね」

 

 本当遥さんはこういう時にちゃんと働くんだよね。しかも公私をキチンと分けて。

 一度私がそれとなーく個人的なお願いした時もバッサリと切り捨てられたしね! さすが遥さん、こういう時は有能!

 

「な、何と……例えばこんなライトノベルのタイトルリストをずらっと並べた上で、こんな恐ろしく真面目なリクエスト理由があるとどういう感じなんですかね?」

 

 思穂ちゃんがどこからともなく、作品名とリクエスト理由が大量に書かれた紙を取り出す。ザッと目を通すもリクエスト理由が恐ろしく真面目だった。これが私だったら迷う事なくGOサインを出しかねないよ。でもね

 

「……と、取り敢えず遥さんに渡しておくよ。でもさすがに買えたとしてもこんな量は無理……かな?」

「なぁっ!? ……ま、まあ五百万歩妥協して半分程度の量でも我慢しましょう……! 珍しく本気出したのにぃー!」

「本気の出し所が違うのはつっこまないよ!」

 

 なぜだろう、思穂ちゃんと話してるとボケよりもツッコミに走ってしまう気がする。まぁ私は明確にどっちって決まってないから良いんだけどね。

 

「私は私の為になることなら本気を出しますからね! 何だってやりますよ!」

「ん?今何でもって言ったよね?」

 

 ここ数日、絵里や希が忙しく溜まってた書類が軽く山になりつつある。別に二人を責める事はしない。μ'sに入って楽しそうにしてるからね。うん、思穂ちゃんは仕事やり慣れてるみたいだからお願いしてみよう。

 チラリと思穂ちゃんを見ると既にやる気で満ち溢れている。だって腕捲りまでしてるもん!

 

「ん?これやれば良いんですか?そうしたら、そうだな……十分貰ってもいいですかね?」

 

 その言葉を最後に思穂ちゃんは十分間何も話さずに集中していた。そしてキッカリ十分後

 

「ほ、本当に終わってる……」

 

 書類の量が量だけに全部に目を通す事は出来ないまでも、パラパラと流すだけでもちゃんと終わってるのが分かる。本当に図書委員に欲しいな……いや、これ以上ボケ要因が増えても困るからやっぱりいいや。

 集中が切れた思穂ちゃんは得意げに笑っている。

 

「ふっふっふ! 伊達に生徒会業務を手伝ってないですよ!」

「まぁだからと言ってラノベが通るとは限らないけどね」

「ほわっちゃ!? まさかの大どんでん返し!?」

「いや、図書委員会と生徒会は別だし」

 

 これは私のモットーだからね。例えことりにお願いされても譲る気はないよ。図書委員の時は図書委員として、生徒会の時は生徒会として、プライベートはプライベートでちゃんと分別をつける。これ大事ね。

 などと一人内心で熱演していると思穂ちゃんが少し涙目になりつつ立ち上がる。

 

「と、図書委員長はどこですかぁ!? 直談判だー!」

「遥さんはそういうの面倒がって受け付けないんだよね……だから私の方にそういうのが回ってくるんだよ……ハァ…」

「よぅし、友実先輩。ちょっと有意義なお話をしましょうか」

「思穂ちゃんの場合は言葉の後に「意味深」が付きそうだから遠慮しておくよ」

 

 さっきまでの涙目が嘘かの様に真剣な表情で正面に座る思穂ちゃん。でも今までのセクハラ発言にイマイチ信用性が欠けてる気がしないでもないんだよねぇ。不思議だね。

 

「意味深じゃないですよ! もう直球で良いお話ですよ! これは文化研究部としても重要な話だったりするんです!」

「今は生徒会業務中だから後でね〜」

「なぁっ!? ……ふ、ふふふ。ならばその業務が無くなれば話を聞いてくれると、そういう解釈でよろしいか!」

 

 何やら黒に近い灰色の笑顔で凄い真剣に言う思穂ちゃん。あ、ここで「お前本読んでるだけじゃん!」てツッコミは無しね? 私の分の仕事はもう終わってる訳だし、今は絵里と希の帰りを待ってるだけだよ。

 

「いや、終わったら帰って本読むからどっちみち無理」

「更に畳み掛けられる試練!? いや、ほんと聞いてくださいマジで……。土下座なら得意なので……」

 

 そう言うと思穂ちゃんは流れる様な体捌きで生徒会室の床に額を付け……てちょい待とう。この光景赤の他人に見られたら終わるんじゃない? 色々と。

 

「土下座されても困るんだけど……う〜んどうしたものか」

「……とまあ、流石に友実先輩をそこまで困らせるほど自分を高い位置には置いていないので、とりあえずは引き下がります。文研部の予算を上手く回せば余裕ですし!」

「そう?でも無駄遣いしちゃダメだよ? 最近はラノベも高くなってきてるんだし」

 

 最近じゃお小遣いじゃキツくなってきてるんだよね。バイト始めようかな。友実さんバイト始めるってよ。あ、なぜか映像化しそう。

 思穂ちゃんも同じ思いなのか深く頷いている。やっぱりこの子とは話が合うな〜

 

「そうなんですよね……おかげで予算作成は非常に上手くやらなければならないハメに……」

「まぁ低予算はアイドル研究部も同じだからね〜。私からは頑張って、としか言いようがないけど、頑張ってね」

「そうなんですよね! だから特別会計……ゴホン! 何でもありませぬ頑張りまする!」

「今なんか聞き逃せない言葉が聞こえた気がしたけど、まぁ良いや」

 

 会計は私の担当じゃないしね。それに私はナニモキイテナイヨー。あぁ今日も空が青いなぁ。

 

「良いんです! それは私の有毒な音波なんで! 気にしないで良いんです!」

「有毒……やっぱり思穂ちゃんは危険な人か……!?」

「耳が腐るのでさっきの発言は何も聞こえていない、あと絵里先輩に言わない……良いですね!?」

 

 なんか鬼気迫る表情で迫られた。まぁ絵里に言っても良いけど、その後面倒事が起きそうだから言わないでおこう。決して私が面倒くさがりとかそういう理由じゃないからね!

 

「はいはい。それはともかく、仕事も終わっちゃったな……」

「絵里先輩も来ないんだよなあ……希先輩すら来ないって何事!?」

「これは事件の匂い!」

 

 その内悲鳴が聞こえてバーローな小学生かじっちゃんの名にかけた高校生が来るんかね。やめて欲しい、ぜひご遠慮願うよ。

 

「……ていうか、今日は生徒会ないとかってオチはないです、よね……?」

「いや、さすがにそれはない……んじゃないかな。一応希から頼まれた事だし……」

 

 希はこうした悪質なタイプの嫌がらせはしてこないと思穂ちゃんも分かっているのか、頷く。ちなみに良質な嫌がらせはわしわしとかが分類されます。ここテストに出ますよー。

 

「ですよねー。三ヶ月先のスケジュールは一応記憶してますけど、今日は確実にある日だしなあ……」

「三ヶ月先……さ、さすがμ'sのマネージャー……?」

「いえいえ! 大したことではないですよ! ゲームのパスワード覚えるついでだっただけですし!」

「本題とついでが逆だよ! ついでにパスワード覚えよう?」

「まさか! 私からゲームをとったら何が残るんですか!? しかもけっこう昔のゲームだから三十文字以上の超難度……!」

 

 三十文字…それはまさかあのゲームの…

 

「復活の呪文か……大丈夫、思穂ちゃんからゲーム取っても脚フェチが残るから」

「なんですと……! そういう変態臭しか感じぬと!?」

「他に何が残ると」

 

 今までの会話で他に残る要素が見当たらない。何を意外そうに返してるのだろう。

 

「友実先輩は愛と勇気が残りますよね!」

「誰がアンパンだ! しかしそう言われたらお互い碌なものが残らないね」

 

 これは意外な共通点。お互い一番重要な所を取り除いたら碌な人間にならない。あ、もちろん娯楽方面に限ってって話だよ? そこは履き違えないように注意してね。

 

「でもまあ、それが私っ! って言う感じだからなぁ……。ところで友実先輩はなかなかスレンダーな印象ですが、脱げばすごいんですかね!? ですかね!?」

「そんな立派なものじゃないよ。穂乃果以上、ことり未満と言ったところだし……思穂ちゃんはどうなの?」

 

 見た感じそれなりにあるのは分かるんだけど、音ノ木の制服って着痩せして見える人が多いんだよね。生徒会副会長とか除くけど。

 

「私……は、そうだなあ……ことりちゃんくらい、だったり?なかったり?」

「て事は私よりも……負けた」

 

 ぬぉふ、まさか僅差ですらないとは……だ、大丈夫。私はまだ成長途中、本番はこれからだ!

 

「大きくてもなあ……っていう感じだったりなかったり?」

「やっぱり大きいと大変だったりするの?」

「強いて言うなら、合わない下着付けると痛いかな、程度かな!」

「大きい故の悩みか…大変なんだね」

 

 そう考えると一概にも大きければ良い、とは限らないんだなぁ。むぅ、ベストな大きさとは一体どのくらいなのか。真姫くらいか?

 

「とまあ、そんな感じですよ! 特に面白みはないんですがね!」

 

 思穂ちゃんが笑って言うとそのタイミングで生徒会室の扉がノックされる。返事をし、入室を促すとノックの主、最初の方にチラリと話題になった海未が入ってくる。

 

「失礼します。絵里、ちょっと相談が――思穂? それに友、東野先輩」

 

ふむ。台詞からして海未は何も知らないみたいだね。ま、ここ数十分で急に仲良くなったんだから仕方ないか。よし、ここは少しからかってみるか

 

「あら園田さんこんにちは」

「その……!? 思穂、ここに一体何の用で……」

 

 なぜ、わたしからめをそらしたん……? おねえさんかなしいよ〜

 

「ん? 私も絵里ちゃんに用事! ていうかなんでそんな余所余所しいの? 友実先輩いるのに」

「おや、園田さんは片桐さんとお知り合いだったのですね」

 

 まぁ知ってるけどね! からかうなら終始やり通すよ、私は!

 

「え、ええ……。そうですが……思穂、友、東野先輩に失礼なことを言ってはいないでしょうね……?」

「あ、大丈夫だよ。もう、本当の友実先輩知ってるから!」

「……っ!? 本当ですか!?」

 

 おーおー驚いてるね〜。海未の驚く顔を見ると実に面白い。

 

「ふふ、本当だよ。思穂ちゃんは面白い子だよね〜。穂乃果が気にいるのも分かるよ」

「そう、でしたか……。それにしても友実もこんなに早く晒すとは思ってもいませんでした……」

「まぁバレちゃったしね〜。変に足掻くのも私の信条じゃないし、まぁいっかなって」

 

 もし思穂ちゃんが噂大好きっ子だったら多分誤魔化し切るなり、さっさと追い返したと思う。と言うか絶対した自信があるね。

 

「そう、ですか……。思穂、今までで黙っていてすいませんでした……」

「ううん! おかげで飾らない友実先輩見れたから大丈夫!」

 

 普通黙っていられたり、騙されていたら怒るんだろうけど、思穂ちゃんは笑って許す。やっぱり私よりも凄いものを持ってるんじゃないかな。

 

「それで海未、絵里に相談って?まさか弓道部の決算に不備があったりした?」

「いえ……違――」

「あ、そしたらμ'sのこと!?」

「まさかまた穂乃果が無茶な事を言ったとか!?」

 

 海未が、と言うより穂乃果の周辺の人が困る時は十中八九穂乃果が原因なんだよね。その証拠に海未が頷いてるし

 

「え、ええ……今度のライブのことで少々……」

「へぇまたライブやるんだ。いつやるの?」

「それの相談をしに来たのですが……」

 

 日によっては友香や雪穂を連れて見に行けるんだから、日時場所は要確認なんだけど、その相談を絵里にねぇ。まぁ目的の人がいなくて残念、みたいな表情してるよ。

 

「あれ!? 何その残念そうな!?」

「私達じゃ役不足って事でしょ」

 

 正確には私なんだけどね。

 思穂ちゃんはμ'sのマネージャー。だから相談相手にはなる。けど私はそこまでμ'sに深く関わってない。多分ヒデコちゃん達の方が関わってると思う。

 そんな事を考えてると海未は慌てたように手を振って先程の言葉を否定してくれた。

 

「ち、違います! 二人とも信頼を置ける人だと思っていますから……!それよりも! どうして二人はそれほど意気投合しているのですか!?」

「はてどうしてだろうか……気付けば意気投合していたって感じ? こうビビッと来た! みたいな」

 

 こめかみの横で人差し指を立てて言う。実際自然と仲良くなったんだよね。波長が合うというか、気が合うというか、相性が良いというか。あ、全部同じ意味だった。

 

「そ、そんな簡単なものなのですか!? ……もしかした根っこのところで似ているのかもしれませんね……」

「どうだろうね。そこの辺どう思う? 思穂ちゃん」

「ん? 多分似ているなーとは思いましたね! 何せ、どうやらお互い出しゃばらないのが趣味のようだし」

 

 さすが思穂ちゃん。よく分かってるね。

 

「と、言う事であれだね。私達が出会ったのは運命と言うより、類は友を呼ぶ的なやつだね!」

「ですね! どうやら根っこのところで同じみたいだし……。となると――」

「と? 何ですか?」

 

 海未。そこまで言ったら普通分かるでしょ。純情過ぎるのも考えものってやつかな? でもね、思穂ちゃん

 

「え、結婚はしないよ? デートは……プライスレス!」

「なんと!? そのエンドはなかったのか!? くそう……イベントCGの回収がぁ……!」

「東野――友実を困らせないでください」

「わお、辛口!」

 

 海未のツッコミにおどけたように返す思穂ちゃん。私もこの波に乗るべきかな?

 

「う〜ん。じゃあ……私とのイベントCGを回収する代わりに海未で回収しよう!」

「なるほど! それは名あ――」

「無いです!! 友実も乗らないでください!!」

 

 良い案だと思ったんだけどなぁ。だってすでに思穂ちゃんって海未の脚を堪能してるんでしょ? 今更な気がするけどね。

 

「え〜だってここで乗らないでいつ乗るの?」

「ああもう! 何で二人はそんなに……!」

「結構、友実先輩もエグイよねー」

「あはは〜そうかな? 乗れる時は乗んないとじゃん?」

 

 人生一度きりなんだから楽しく、やりたいように努力はするべきだと思うよ。まぁあれだよ、勉強は別。あれはダメ。

 

「それはともかく、海未ちゃん。絵里ちゃんはともかく希ちゃんの居場所も知らない感じ?」

「え、ええ……あともう少しで練習だから来ないことはないと思うのですが」

「やっぱり事件……いや、あの二人だと思穂ちゃんの好みな関係に発展してもおかしくないな……」

「そうそう! もう、日ごろから見ていてニヤニヤが止まらな――ゴホン。なるほど、でもまあこれは真面目に推理しなきゃならんかな……?」

 

 咳払いで誤魔化したみたいだけど、バッチリ聞こえてたからね? まぁ推理しなきゃってのは正論だから突っ込まないでおこう。こっちに矛先が向いても困るし。

 

「私が最後に見たのは教室。で、その時に生徒会業務の事を聞かされて……それから会ってないな」

「私は今日、会ってないな……でも部活や生徒会をほっぽりだす人なんて有り得ないしな……」

 

 絵里も希も責任感は感じるタイプだからなぁ。急用が入ったとしたら必ず連絡を入れるし。て事はだ、今ここで話し合ってても無意味。もしバックれなら明日説教だ。

 

「まぁその内戻って来るでしょ、あの二人なら」

「ですね……来なかったら来なかったで色々手はありますし」

 

 色々の内容がかなり好奇心を掻き立てられるんだけど……?

 

「ところで思穂、今日、穂乃果から勉強教えるよう頼まれていませんでしたか?」

「え? まあ、小テストの関係でちょっと――」

「絶対教えては駄目ですからね!」

「海未は相変わらず穂乃果に厳しいね〜」

 

 私なら読書中じゃなかったら教えるよ。家にいる時は大体読書中だけど。

 

「そうです! 特に思穂! 貴方は穂乃果に甘いんですからことり以上に教えては駄目な人なんですよ!?」

「私が!? それは意外!」

「思穂ちゃんは脚を触らせたらイエスウーマンになりそうだもんね」

「うっ!? 否定できない私がいる……!」

 

 そこは否定して欲しかった! でもこれから思穂ちゃんに勉強教えて貰う時は海未か穂乃果の脚を生贄に捧げよう。私やことり? 論外だね!

 

「仮にも学年首席なんですから、節度ある対応をですね――」

「うわああ! 海未ちゃんそれは言いっこなし!!」

 

 海未、今なんて? はは聞き間違いだよね?

 

「学年……主席……?」

「そうです……。思穂は私達と同じステージで比べるのはむしろ失礼と言うレベルで……」

「ぬぅ……さっき自慢する程でもないって言ってたのに……まぁ鼻にかけてないから良いけど」

 

 確かに去年入試全教科満点で受かった子がいるって遥さんが騒いでたな。一体誰なのか気になっていたが、思穂ちゃんだったとは……まぁ本人はあまり知られたくないみたいだし、文句は特にないかな。

 

「ち、ちっがーう! それはただオタクライフを円滑にするための過程でしかないんですよ! だからそんなの気にするレベルじゃないんです!!」

「海未さん海未さん。もしかしたら三年陣を含めてアイドル研究部で成績トップなんじゃないかしら? あの娘」

「え、ええ……。既に卒業までの勉強は終えているとか……」

 

 即興で近所の奥さん風な演技をしてみたが、やはり海未。着いてこれなかったか……いや、演技してるのを分かってない可能性もあるな。

 海未の洞察力について考えてると思穂ちゃんが狼狽えてる。そっか、そう言えば卒業までの勉強は終わらせてるんだっけ?それなら私が出来る事なんで一つしかないじゃん。

 

「ちょっ!? 何でそんなこと言うのー!?」

「そっか。じゃあ思穂ちゃんこれから卒業まで来なくても平気だね」

 

 そう笑顔で言ってあげましたよ。もち皮肉付きでね!

 

「まあ、そんなのはあくまでオタクライフを円滑にするためのツールでしかないんで……。それに、妹のほうが何倍も……」

「思穂ちゃんにも妹がいるんだ? て言うか何倍って……」

「確か、世界の難関校という番組に乗るくらいには有名だったような……」

 

 そう言えばなんか友香がこの前そんなような番組見てたな…ん?

 

「世界の難関校……片桐……? もしかして妹の名前、片桐麻歩って言わない……よね?」

「あ、そうですそうです。良く知ってましたね!」

「友香、あぁ私の妹ね、が見ててね。私が見た時ちょうど映ってて印象に残ってたんだよ」

 

それにしても世界は狭いと言うのは本当みたいだ。狭過ぎて笑えてくるレベルだよ。

 

「なんと! これは妹繋がりで私にチャンス!? あ、ちなみにこれ、その麻歩から渡されたテストです。たぶん小テストかなんかだと思うんですけどね。よく読めば暗算でやれる感じですよ?」

「……これって」

 

 思穂ちゃんから渡されたプリントに目を向けるとそこには英文と何やら数式らしきものがビッシリと……

 ……ヤバい分からない……いやいや落ち着け私。そもそも数学はわりと不得意な方なんだ。だから分からなくても仕方ない。うん仕方ないんだこれは。そうだ海未、海未なら!

 淡い期待を持ち海未に視線を送る。

 

「海未は分かる?」

「私も見せてもらったことがありますが、全く……。穂乃果に至っては少し見ただけで目を回していましたし……確か、思穂は麻歩に勉強も教えているんでしたよね?」

「ん? まあ、取っ掛かりだけね」

「ダメだ……サッパリ分からない。こうなったら、ググってやる!」

 

 何やら二人が話してるけどもう聞こえない。てか聞きたくない! 取り敢えずこの問題を解かないと先輩としての威厳が……あ、元からあんまりないや。

 

 結果から言おう。調べてもサッパリでした。もう何も出て来ないのね。情報は0。まるでどこかのツインテール部長の胸みたいに。

 項垂れてる私を見て思穂ちゃんは首を傾げる。

 

「あれ? これ、そんな難しいかな? 英文も易しいし、読んでいけば分かるよ?」

「そんな簡単に分かったら堪らないよ!」

「麻歩が勝てないと言った理由がよく分かります……」

「え、待って。思穂ちゃん曰く、思穂ちゃんの何倍も凄いんでしょ? その麻歩ちゃんが勝てない……? そうか、考えるのを放棄しよう」

 

 もうヤダ……その麻步ちゃんにも会った事ないけど片桐姉妹怖いよ!

 

「なぜ、音ノ木に来たのかが分からないレベルなんですよ、思穂は……」

 

 海未が心底不思議そうに言うも、その理由は何となく分かる。まぁ思穂ちゃんの家がどこら辺かは分からないから断定は出来ないけどね。

 

「近かったからとかそんな理由じゃない? 実際私もそれが理由の一つだし」

「それもあるけど、やっぱりゲームや漫画買いやすいからかな!」

「思穂ちゃんらしいっちゃらしい答えだね!」

 

 本能に忠実で実に清々しいよ!

 

「むしろそれ以外にないよ! どんなところからお呼びが掛かろうが即刻却下だよ!」

「それはそれで勿体無いような……」

「可能性の獣だから、しょうがないっちゃしょうがないよね! でも私はオタクライフを取るよ!」

「そう。思穂ちゃんは本当にオタクなんだね!」

 

 ここまで胸を張って言えるとは……私も負けてはいられないのか?

 

「あ、ちょっとゴメン。携帯が」

 

 勝手に対抗心を燃やしていると机の上に出してた携帯が震える。ディスプレイには「絵里」と表示されていた。

 

「おおっと……。どうぞどうぞ」

「では失礼して……あ〜もしもし絵里? どうしたの? 片桐さん? それって思穂ちゃんの事?……いや一緒にいるし。うん海未も……いや一応任された分は終わったし、思穂ちゃんと話してただけだよ……え、あ、うん分かった。じゃあね」

 

 取り敢えず用件は分かったので電話を切る。すると通話中静かにしていてくれた思穂ちゃんが聞いてくる。

 

「おやおや、何か用事でも?」

「ふふふ。思穂ちゃんやったね。今から私と中庭に行くよ! もちろん海未も!」

「私もですか!?」

「ん? 何か用事あるのかな? 私もあるから都合いいけど」

 

 あ、そう言えば電話の内容言ってなかったや。簡潔にまとめると

 

「絵里からダンスの最終チェックと第三者視点からの感想が欲しいって言われてね。既に中庭に二人以外のμ'sが揃ってるんだってさ」

「ほっほー。ってあれ、そのダンスたぶん私、知らないや。海未ちゃん、振り付け表ある?」

「ちょっと待ってください……どうぞ」

 

 海未が鞄から振り付けの書かれたプリントを思穂ちゃんに渡す。受け取った思穂ちゃんはプリントを見ると

 

「ありがと! 三十秒頂戴!」

 

 思穂ちゃんが集中してる間に私は荷物を纏める。四十秒で支度してやる!

 

〜三十秒後〜

 

「よぅし、覚えた。じゃあ行こっか! 皆待ってるし!」

「そうだね! 行こう!」

 

 思穂ちゃんはプリントを海未へ返し、私は私で荷物を持つ。そして三人揃って生徒会室を飛び出す。

 

 短い時間だったけど、片桐思穂という後輩と過ごした時間はとても楽しいものだった。

 出来る事なら今度は穂乃果達アイドル研究部のメンバーや友香や噂の麻步ちゃんと一緒に話してみたいものだ。

 

 まぁまずなんにせよ、今は中庭へ行こう! 考えるのはそれからだ!




【作者対談】
!ざっくりとした説明!

以前Twitterで鍵のすけさんと話が盛り上がり「巻き込まれた図書委員」と「ラブライブ!〜オタク女子と九人の女神の奮闘記〜」の女主人公同士のやり取りを見たいとなり始まったのが今回のコラボ回。

鍵のすけさん(以下:鍵)「友実ちゃん結構好きなんや。いつかやり取りさせたいなぁ」
名前はまだ無い♪(以下:名)「クロス的なやつですか?」
鍵「なりきりチャット的な感じでただキャラ同士でやり取りさせてみたいだけです(笑)」
名「どちらかか、またはどちらの活動報告にも上げてみますか?
ぶっちゃけ本編に出せない長さでやるとしたら、活動報告がベストですよね(笑)」
鍵「まさにその通りですね(笑)」
名「やりましょう!」
鍵「ですね!(笑)友実ちゃんと思穂の環境が上手く噛み合っているという奇跡」
名「学年が違うからそんなに違和感ないですしね」
鍵「ほんとそれですよね(笑)」
名「そして結構話が続くというw」
鍵「いっそのこと、μ'sの誰かを追加して話を発展させるのもありですね」
名「追加させるとしたら……にこか?」
鍵「にこ、海未、希……色々いますね」
名「花陽投下したら大変な事になりますね(笑)」
鍵「あっという間におもちゃに(笑)」
名「友実はその光景を眺めながら仕事してそうです(笑)
思穂ちゃんの遊び方にもよりますが」
鍵「多分脚触ってますよ」
名「それは見て見ぬフリしますわ」
鍵「ついでに友実ちゃんにも仕掛けますわ」
名「その場合は制裁加えるか、ドン引きするかの二択ですね」
鍵「後者がキツそう(笑)」
名「なんか思穂ちゃんの扱いが雑になりつつ申し訳ないです」
鍵「いやぁ、むしろ望んで発言しているので大丈夫です。たまに真面目な扱いをしてくれると嬉しいです(笑)」
名「分かりました。それじゃあ雑成分多めで接しますね(笑)」
鍵「それでお願いします(笑)でも友実ちゃんも思穂もやるときはやる娘だと思ってるので割りと良い付き合いできそうですね(笑)
ふざけあうとこはふざけて、真剣な話題は真剣にという感じで(笑)」
名「こうして見ると二人ともオンとオフがしっかりしてるんですね」
鍵「根っこでは似た者同士ですね」
名「学校では演じてますしね」
鍵「ですね(笑)だから友実ちゃんのことを察する力があったのかなと」
名「友実は今後どう化けるのか、作者ながらも楽しみです」
鍵「いずれは皆にバレる感じですか?(笑)」
名「そこら辺はまだ未定ですね(笑)」
鍵「バレたらバレたで親近感上がりそうですけどね」
名「友実先輩! みたいな感じですね」
鍵「 ですです(笑)思穂が馴れ馴れしい気がしてきた(笑)」
名「逆に友実はまだ一枚の壁がありますけけどね (苦笑)」
鍵「そこが硬いんだよなあ(笑)」
名「完全に壁が無くなったら呼び捨てで呼びますもん」
鍵「な、なるほど……!(笑)頑張ろ!」
名「多分言われれば照れながら呼んでくれると思いますよ」
鍵「なるほど…、タイミングですね。ならば」
名「ですね! それにしても、思穂ちゃんと友実のやりとりは終わりが見えないですね」
鍵「原作キャラを入れたらまだまだ(笑)」
名「問題は誰を入れるかですね……」
鍵「三年生の誰かか海未ですかね?」
名「問題はどちらがやるのか……?」
鍵「えで、ワイやっても!」
名「それじゃあお任せします!」
鍵「海未ちゃんそろそろ出してみます?」
名「鍵のすけさんの好きなタイミングでどうぞ!」
鍵「分かったで。それにしても名無しさんとのミニコラボは多分まだ終わらないwww
海未ちゃん投入してしまったもん」
名「終わりが見えないコラボは珍しいですよねwww」
鍵「ほんとそれですよねwww友実ちゃんとの相性の良さwww」
名「やってみて初めて分かる相性の良さ!www
鍵「すぐに終わると思っていたら想像以上にwww」
名「すぐに終わると思っていたら想像以上にwww」
鍵「実は最初から地の文入れるつもりだったから二倍は想定してましたよ」
名「マジですか!?
自分はそのまんまコピペするという横着を考えてましたよ……」
鍵「あららww友実ちゃん好きだったんで端からそのつもりでしたwww」
名「にしてもヤバいwww思穂友実の組み合わせは海未の頭痛のもとだwww」
鍵「基本、涙が出るような酷い扱いですしねww」
名「可哀想に……←元凶の一人」
鍵「ほんとなぁwww」
名「鍵のすけさんもですけどねwww」
鍵「ワタシもかwwwそれは嘘だ!www」
名「現実は残酷なり……」
鍵「ええっ……!wwでも確かにww」
名「しかし罪悪感があまり湧かない不思議」
鍵「ほんとそれwww」
名「ラブライブ!七不思議にカウントされそうw」
鍵「海未ちゃんは弄ってもいい」
名「最高の人材ですね!」
鍵「にこに勝る点は生真面目さ」
名「だがそれでさえネタにされる」
鍵「ほんとに扱いやすいwww」
名「μ's一不憫な娘や」
鍵「ほんとそれ。ちな、今何か思穂AGEの時間見たいで申し訳ない」
名「大丈夫ですよ。最初の方で友実の事サラッとやって貰えたので」
鍵「サラッとしすぎて申し訳ないレベル」
名「むしろあれくらいサラッとした方が助かったレベルです」
鍵「読込みの浅さが露見する感じていやなんですよね……」
名「まだ深読み出来る程話数だしてないですし仕方ないですよ。所でいつ終わらせます?」
鍵「いい感じに盛り上がってるところで終わったほうが良いですよね(笑)」
名「そうですね(笑)ただ無事に終わるか心配ですけど(苦笑)」

こうして三日にも及ぶコラボは終わりを告げたのだった。
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