巻き込まれた図書委員   作:名前はまだ無い♪

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あとがきにて発表がある……かも?

そして前回のあとがきでも言った通り、今回はファーストライブ回です。

どうぞ


episode.10「司会進行お疲れさん」

 時が過ぎるのは早いもので今日は新入生歓迎会の日。つまり、穂乃果達のファーストライブの日でもある。様々な部活動が一人でも多くの新入生を獲得しようとやる気を出している。

 

 そんな中、私はと言うと

 

「茶道部さん」

「はい」

「弓道部さん」

「は、はい!」

「吹奏楽部さん」

「あ、はい」

「そして陸上部さん」

「はい!」

 

 絶賛、新入生歓迎会の始まろうとしてる舞台裏で各部活動の最終点呼を取っていた。これに遅れた場合は如何なる理由でも部活動の発表が取り消される事になっている。

 

「絢瀬さん、東條さん。出演予定の部活動、全て揃いました」

「悪いわね。本当は私がやらないといけないのに」

「いえ、何事にも完璧などないのですから大丈夫ですよ」

「せやで。特に今回の事はえりちは悪くないんやし」

 

 本来ならこの点呼は生徒会長の絢瀬さんがやる予定だったんだけど、音響の方でトラブルがあったらしく、東條さんと二人でそっちにあたっていたのだ。だから点呼は私がやる事に。

 ふと視線を感じ、そちらを横眼で見ると出演予定の部員達がこちらを見てコソコソと何やら話していた。聞き耳をたてると

 

「見て見て音ノ木の三女が揃ってるわよ」

「写真撮っても平気かしら」

「撮ったら襲われるわよ」

「え、なんで? 誰に?」

「あんたもしかして知らないの? 今年の四月に三年の先輩がファンクラブを作ったのよ」

「それでお三方に迷惑をかけた場合は何かされるって噂だよ」

「そ、そんなぁ〜」

 

 …………え? ファンクラブ? 一体誰が……

 

「その先輩ってなんで今になってファンクラブを作ったの?」

「なんでも今年お三方のクラスメイトになれて嬉しさのあまり作ったらしいわよ」

「設立から一ヶ月なのに既に会員は百名超」

「ひゃ…!? 凄いわね」

「ちなみに私達も会員よ。番号は四十八」

「私は三十五よ」

 

 クラスメイトの誰かの仕業か……て待って。百人超えてるって事は在校生の殆どが加入してるの!? しかも本人達の与り知らぬ所での活動だから非公式ファンクラブ?

 

「東野っち、そろそろ時間やで」

「あ、はい。分かりました」

 

 内心で頭を抱えていると、東條さんからマイクを渡される。今回の新歓の司会はなぜか私が受け持つ事に。

 

 カツカツと音を響かせながら講堂のステージを歩く。

 

 あぁライトが眩しい。人は……まぁ三クラス分の空席以外は特に目立つ箇所は無いな。

 

「それではお待たせしました。これより新入生歓迎会を始めます。司会は私、生徒会役員である東野友実が務めさせて頂きます」

 

 軽く自己紹介をしただけで微かに黄色い声が聞こえる。もう良い無視しよう。話しが進まない。

 

「それでは最初に生徒会長挨拶です。生徒会長お願いします」

 

 生徒会長である絢瀬さんを呼び、壇上から降りる。それと入れ替わるように絢瀬さんが壇上に現れ、話し始める。

 絢瀬さんは自己紹介と新歓についての説明を行い、一礼する。絢瀬さんが捌けたタイミングで最初の部活動の名前を呼ぶ。

 そからは各部活動の発表を行い、最後の部活の発表も終わる。私はふたたび壇上に上がる。

 

「これにて新入生歓迎会を終わりにします。各部活とも体験入部を行っていますので、興味がありましたら遠慮する事なく覗いて見て下さい」

 

 にっこり笑い絢瀬さん同様一礼し、捌ける。舞台袖では絢瀬さんと東條さんが待っており、二人とも労いの言葉をくれた。

 

「司会進行お疲れさん」

「今日はこの後特に何もないから、ここで私達も解散しましょ」

「そうですか。私は図書室に居ますので、何かありましたらご連絡下さい」

 

 今日は特にやる事ないし、家に帰っても未読の本は無い。なら司書室でノンビリと過ごしてよう。多分遥さんも居るだろうし。

 講堂の外で各部活動が新入生を勧誘している人混みの横を素通りして行く。その時チラチラ所じゃないくらいの視線を感じるも、まぁ無視だよね。

 

「お疲れ様です」

「あ、友実ちゃんお疲れ様。生徒会の方はもう良いの?」

 

 司書室に入ると予想通りと言うなんというか、ペットボトルのお茶片手に笑顔で手を振る遥さんがいた。

 

「えぇ。準備と違って片付けは参加しないでいいと言われたので」

「それじゃあ後は夏帆ちゃんが来ればいつメンが揃うね」

「……そうですね」

 

 いつものメンバーって。 確かにいつも司書室で寛いでるのはその三人だけどさ?

 

「おっくれましたー!」

「遅いぞ浅田軍曹! 戦場での遅れは命取りになるのだぞ!」

 

 相変わらずテンション高いなぁ。主に遥さん。取り敢えずテンション高めの二人は無視して鞄から読みかけの本を取り出し、開く。

 

 突然浅田さんに肩を叩かれたのを機に物語りの世界から現実世界に引き戻される。

 はて、どうしたのだろうか?

 

「あの、先程から携帯が鳴っていますよ」

「……ありがとうございます」

 

 浅田さんにお礼を言い電話に出る。ディスプレイには東條さんの名前が表示されていた。講堂で何かあったのかな?

 

「もしもし東野です」

『あ、東野っち? ちょっと講堂に来て欲しいんやけど』

「分かりました。今から向かいますね」

 

 何か仕事でも残ってるのかな。あれ? でも今の時間って確か……

 

「どうした友実? 生徒会の仕事か?」

「えぇ多分。ではお疲れ様でした」

「お疲れさまでーす!」

「仕事頑張ってなー」

 

 一礼し、司書室から出て行く。そして講堂が見えた時に携帯で時間を確認すると先程立ち去ってからそう時間は経っていなかった。

 

「うーむ。集中とは大変な罪だな……」

「何が罪なのよ」

「あ、矢澤さんじゃないか。こんな所で何してるの?」

 

 携帯をしまい声を掛けられた方を見ると、にこにーこと矢澤さんがこちらを見つめていた。

 

「別に、東野には関係ないでしょ」

「いやまぁそうだけど。そう言えばなんでアイドル研究部は新歓でなかったの?」

「なんでも何も新入生要らないからよ」

 

 矢澤さんも講堂内に用事があるのか、一緒になって中に入る。中に入ってからはお互いに何も喋らず歩を進める。

 

「あれ?」

「どうしたのよ」

「いや、ちょっと、ね……」

 

 おかしい。今の時間は新歓の放課後、そう放課後なのだ。この時間は穂乃果達μ'sがライブをしている時間のハズ。だと言うのにだ。

 

 なぜ声が聞こえない?

 

 なぜ誰ともすれ違わない?

 

 なぜこんなに人気(ひとけ)がない?

 

「矢澤さんゴメン。先に行く」

「は? ちょっと東野!?」

 

 矢澤さんには悪いけど、先に行かせて貰う。だってさっきの疑問に気付いてから嫌な予感しかしないから。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…と、東條さん!?」

「あ、東野っち」

 

 ホールに続く最後の角を曲がると東條さんが壁に寄りかかっており、あまりの驚きに演技の仮面を外して呼んでしまった。

 

「あ、あの。穂…高坂さん達のライブは」

「今やってる所や」

 

 息を整え東條さんに聞くと、確かにホールから三人の歌声が聞こえてくる。しかし聞こえてくるのは三人の歌声だけで、観客の声が全く聞こえない。

 不思議に思い中を覗くと、目に入ったのは無人の客席。

 

「東野っち。よう見てみ」

「……?」

 

 東條さんに促され目を凝らして見てみる。

 

「……あ」

 

 よく見ると席の後ろの方に眼鏡をかけた女生徒とショートカットの女生徒、二人の観客がいた。リボンの色からして一年生みたい。あ、反対側の扉が細く開けて、さっき置いていった矢澤さんが入ってきた。

 

「これで三人やね」

「いえ、五……いや、六人ですね」

「え? ……ふふ。そやね」

 

 さっき曲がって来た角から紅い髪がチラリと見え隠れしていた。多分西木野さんだろう。大方気になって見に来たものの、私と東條さんがここで話していて先に進めないって所かな?

 

 それから曲が終わるまでの数分間、私達は一言も話さずに聞き入っていた。

 さて、そろそろ行きますかな。

 

「では私はこれで失礼しますね」

「エリチ……」

「……え?」

 

 東條さんの呟きに気になってホール内を覗くと、絢瀬さんがホールの階段を下りて壇上の穂乃果達に歩み寄っていた。

 

「それで、どうするつもり?」

「続けます!」

 

 絢瀬さんの問いに穂乃果は迷いなく答え、「なぜ?」と質問を重ねる絢瀬さんに答える。

 

「やりたいからです! 私今もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってるんです。それはきっと海未ちゃんやことりちゃんも…。こんな気持ち始めてなんです。やって良かったって本気で思ったんです! 今は誰も見向きもしてくれない、応援なんて誰もしてくれないかもしれない。でも私達が頑張って、一生懸命頑張って届けたい、今の私達のこの思いを!」

 

 穂乃果らしいよ。さて、この穂乃果の心象表明で動く人は一体何人いるのかな?

 

 そんな期待と楽しみを胸に私は図書室に戻った。




【音ノ木チャンネル】
友「やっほー。皆さんこんにちはー! 友香でーす! 今回はお姉ちゃんの代わりに私が来ちゃいました。え、理由? そんなの作者さんがキャラを掴む為……え? 良いから進めて? はーい。では今回一緒に話してくれるのはこの人!」
友「ねぇ、私達が並んでるとまぎらわしくない?」
友「そう! 私のお姉ちゃんこと、友実お姉ちゃんです!」
友「なんか友香テンション高いね」
友「そりゃあね! 今水面下で行われてるプロジェクトに私も参加出来るって聞いたらアホでテンション上がるよ!」
友「それを言うなら"嫌でもテンション上がる"ね」
友「そんな事はどうでも良いの。それより皆さんそのプロジェクト、気になりますよね?」
友「いや、私はもう内容知ってるから気にはならないよ」
友「お姉ちゃんじゃなくてこの「巻き込まれた図書委員」を読んでくれてる読者さん達に言ってるの!」
友「あーはいはい。それは悪かったわね。それで内容は何なの?」
友「えっと、ちょっと待ってね。それが書かれた台本どこだっけなー」
友「そのくらい覚えなさいよ。友香受験生でしょ?」
友「いくら受験生でも出来る事と出来ない事があるんだよ!」
友「そのくらい知ってる。で、見つかった?」
友「ふぇ? あ、あぁうん。今探してる所だよ」
友「あのさ、面と向かって話してた人によくそう言った事言えるよね。今完全に手が止まってたじゃ」
友「あったー!!!」
友「うるさい!」
友「お姉ちゃんあったよ!」
友「あのね友香。私も友香もヘッドホンしてるでしょ? そのせいでさっきの大声がダイレクトに、しかもマイクを通して大きくなって鼓膜を震わせるの」
友「そんな事より発表行くよー! なんと前回好評だっt」
友「あ、もう時間みたいなのでこれで。気になる発表は次回に持ち越しかな?」
友「そんな!?」
友「元はと言えば台本を失くしてた友香が悪いんでしょ。ほら、挨拶するよ」
友「はーい」

『またね!』
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