巻き込まれた図書委員   作:名前はまだ無い♪

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episode.14「沈黙は肯定なり」

 小泉さん達が図書室を訪れてた翌週。ふと朝早く目が覚めた私はいつもより早く学校に向かっていた。

 

「うわっと!」

「危なっ!」

 

 日課になりつつ神田明神の男坂下を歩いていると、階段から人が凄い勢いで駆け下りてきてぶつかるところだった。時間的に穂乃果達ではないだろうし、一般人?

 服装はコートにマスク、サングラス。コートの下には音ノ木の制服、髪型はツインテール。

 

「もしかして……矢澤さん?」

「ぐ……まさか友実に会うなんて」

「何してたのか知らないけど、階段駆け下りると危ないんだから気を付けてよ?」

「わ、分かってるわよ。それじゃ!」

「ちょい待ち」

「ぐぇ!」

 

 走り去ろうとした矢澤さんの襟を掴んで止める。その際変な声が出た気がしたが、まぁ気にしない。

 

「何するのよ!」

「せっかく会えたんだし、一緒に学校行かない?」

 

 どうせ教室まで一緒なんだし、最近矢澤さんは私を避けてるみたいだからね。

 

「じっくり話そっか」

「今遥の言ってた恐怖がよく分かるわ」

 

 はて何の事やら。さ、お話しましょ。

 

 ☆☆☆

 

「なるほど。つまり穂乃果達に矢澤さんの事知られたくないから、私からも少し距離を置いてたって事ね」

「そうよ。あいつらはアイドルの風上にも置けないからね」

 

 風上にもって、言い過ぎだと思うんだけどなぁ。あ、因みに今はアイドル研究部の部室に矢澤さんと二人きりでの話し合い中です。

 

「別にそんな事しなくても一言「私の事は黙ってて」って言えばそれで済んだのに」

「……それもそうね」

「所でさ、穂乃果達ってもうここに来た?」

「なんでよ」

 

 なんでってそりゃあ穂乃果達のメンバーが六人になったからね、私のいない間に部活申請しに生徒会室に行って、この部活動の事を知る。とかいかにもありそうじゃん?

 

「理由聞く所を見るにまだ来てないんだ」

「……」

 

 沈黙は肯定なり。そぅか、まだ来てないのか。ま、それは置いといて。

 

「それで? にこはなんで階段を駆け下りてたの?」

「そ、それはその……あれよ、ちょっと運動したくなって」

「……ふ〜ん。そうなんだ」

 

 どことなく嘘っぽいけど矢澤さんが言いたくないなら無理して聞き出す事はしない。

 

「さて、じゃあ話しも終わったし教室に戻ろっか」

「そうね。一時間目ってなんだったっけ?」

「えっと、数学じゃなかったっけ」

「げ、宿題終わってない……」

「頑張ってね。私手伝えないから」

「な! 少しくらい手伝ってくれても良いじゃない」

「数学は苦手なんですぅ!」

 

 結果、矢澤さんの宿題は終わらず担当の笹原先生にこってり絞られてたよ。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 放課後、急な豪雨により人足がない図書室でいつもの様にノンビリしてると東條さんに呼び出された。電話口の向こうから穂乃果達の声が聞こえたから多分μ's関連の仕事なんだろうなぁ。

 

「お待たせしました。それで仕事とは?」

「この子らをアイドル研究部の部室まで案内して欲しいんよ」

 

 そう言って東條さんが指した方には嬉しそうに笑う穂乃果達μ's。

 にしてもアイドル研究部、矢澤さんの所か。うわぁ凄いめんどい事になりそう。

 

「ほなよろしくね」

「分かりました。それでは皆さん行きましょう」

 

 さて部室に行くまでに色々と聞いておきたい事がある。けど穂乃果じゃ少し所か多量に不安が残るからなぁ。

 

「園田さん少し」

「は、はい」

 

 横で海未を歩かせ後ろ、主に一年生に聞こえない小声で尋ねる。

 

「ここまでの流れを簡潔に」

「今日のお昼休みに部活動申請の規定人数を越した事が分かり、先程提出をしたら同名の部活動がある為と拒否されました」

「なるほど。それで東條さんにアイドル研究部の事で唆されての現状か」

「はい」

 

 OK現状は理解した。まぁこの際どうして一週間も空いたのかは聞かないでも分かる。後ろで鼻歌を歌ってるサイドテールが忘れてたんでしょ。っと

 

「着きましたよ。ここがアイドル研究部の部室です」

「お姉ちゃんありがとう!」

「では私はこれで……ハァ」

 

 立ち去ろうとして目に入ったのはお馴染みのツインテールクラスメイト、矢澤さんだった。

 

「あー! 今朝の人!」

 

 今朝のって、何があったんだよ。取り敢えず逃げられても困るし、矢澤さんの襟を掴んで逃げられない様にする。しかし暴れて逃げようとする矢澤さん。

 

「矢澤さん、大人しくして下さい」

「断るって言ったら?」

「聞きたいですか?」

「……遠慮しておきます」

 

 笑顔で聞いた途端大人しくなる。やっぱり笑顔は物事を平和に終わらせる事が出来るって本当だったんだね。

 それから矢澤さんが持っていた鍵で中に入る。なぜか流れで私も。

 そして始まる矢澤さんのアイドル講座。と私に見せたにこにーを披露。アイドル講座はともかくにこにーには小泉さんがメモを取るくらいで他のメンバーの反応はイマイチ。そして追い出される六人。私? 矢澤さんに何もされなかったからいても良いんじゃないかな?

 

「……何も追い返す事ないんじゃない?」

「友実には関係ない事よ」

 

 まぁね。私はアイドル研究部の部員でも、μ'sのメンバーでもない部外者。そんなのは分かってる。でも手伝うくらいなら出来るはず。

 

「私には関係ないけど、友達である矢澤さんが苦しんでるなら手くらいなら差し伸べたいんだよ。それじゃあね」

 

 後ろ手に扉を閉め体を預けてしまう。私にはこういったシリアス似合わないって……

 

「やっぱり友実っちでも無理やった?」

「東條さん。あなたは何がしたいんですか?」

「何って?」

 

 とぼける気か……

 

「μ'sの名付け親になったり、今回みたいに高坂さん達を誘導したり」

「……ウチは表立って誰かを助けたりとかできへんから」

「それは……立場上そうかもしれませんが」

 

 生徒会役員という立場上、どうしても一つの部活動に肩入れする事が出来ないのは同じ役員である私もよく知ってる。でもそれを言い出したらキリがない。逃げてると言えなくもないが、まぁ私も似た様なものか。仮面被ってるしね。

 

「それで、高坂さん達をここに来させた理由はなんですか?」

「穂乃果ちゃんたちならにこっちとと上手く打ち解けてくれるんやないかと思ってね」

「なるほど、それでどうでした?」

「逆に友実っちはどう思った? 近くで見てたんやろ?」

 

 近くっていうかおもっきし渦中にいたけどね! でもあの空気じゃμ'sに矢澤さんが入るのは難しいと思う。けど、穂乃果ならなんとかしそうなんだよね。

 

「ほなウチはもう行くで」

「あ、お疲れ様でした」

 

 東條さんと別れた後、矢澤さんから前に一度だけ話して聞かせて貰った話を思い出す。 

 それは一年生の頃に穂乃果達同様スクールアイドルを結成した事。結局は他のメンバーが矢澤さんの情熱に追い付けなくなり、辞めて行ったらしい。良くある話だ。部活動などの団体で特定の人物のやる気について行けなく辞めて行く。まさか現実であるなんて……ん?

 

「電話。穂乃果から? もしもし」

『あ、お姉ちゃん。ちょっと相談事、と言うか話があるんだけど』

「もしかして矢澤さんの事?」

『流石お姉ちゃん話が早いね!』

「それで、話の内容は?」

『んとね矢澤先輩をμ'sに勧誘するんだけど……』

「……なるほどそれは良い考えだね。上手く行く事を応援してるよ」

『うん!』

 

 さて穂乃果も頑張るみたいだし、私も私で出来る事があったら協力しよう。

 

 ☆ ☆ ☆

 

「あの東野先輩。穂乃果ちゃんが会いたいって」

 

 翌日の昼休み、司書室にて一人で仕事をしていると浅田さんが小窓を開ける。穂乃果が、ね。大方矢澤さんの事かな?

 

「分かりました。すいませんがここまで通して下さい」

「分かりました」

 

 小窓を閉め暫く。扉を開けて穂乃果が入って来る。

 

「へ~司書室ってこうなってるんだね」

「いらっしゃい穂乃果。悪いけど仕事しながらの対応で良い?」

「うん大丈夫だよ。それで矢澤先輩の事で話があるんだけど」

「昨日言ってたやつだね」

 

 確か昔海未と初めて遊ぶ時に使った作戦を使うんだっけ。あの時も穂乃果が考案実行したんだよなぁ。

 

「それで、私に何をお願いしに来たの?」

「うんとね。私達じゃ鍵を持ってないから……」

「部室の開錠を頼みに来たのね」

「あ、あははは」

 

 まぁ出来ない事はないよ? ピッキング。前に家のでやったらめっちゃ叱られたけど。

 

「普通に職員室で借りるっていうのは」

「出来れば隠密に行きたいんだよ」

「……そっか」

 

 これは矢澤さんが合い鍵を持ってる事は伏せた方がいいのか? ま、いいか

 

「分かった。私の方でどうにかしとくよ」

「ありがとうお姉ちゃん!」

 

 お礼を言ったと思ったらサッサと司書室から出て行った。その際何枚かのプリントが床に落ちる。

 

「まったく、穂乃果はもう少し落ち着いて行動するとかしないのかね」

 

 あ、これ必要な資料だ。探してたんだけど、どこにあったんだろ? 穂乃果が落としたプリントのおかげで見つかったのか……穂乃果、恐ろしい子。

 さて、放課後。帰りのホームルームが終わるとまず職員室に鍵借りに行って、中にμ'sを入れて鍵を閉める。そして鍵の返却。私の仕事はここまで、あとは穂乃果達が頑張るだけ。

 

「そいじゃ穂乃果。頑張るんだよ」

「あ、友実こんな所にいた」

「あ、遥さん」

 

 鍵を返しアイドル研究部の部室の扉を廊下から眺めていると、遥さんに声を掛けられた。

 

「遥さんが私を探すのは珍しいですね。どうしたんですか?」

「希が探してたところにバッタリ出くわしてね。頼まれたんだよ」

 

 さすがの遥さんでも東條さんには勝てなかったか……

 

「東條さんと言うと生徒会絡みですね」

「多分ね。だったら生徒会室に急いだ方が良いんじゃないか?」

「そうですね。ありがとうございます」

 

 別に電話してくれても良かったのに……あ、昨夜充電し忘れて今バッテリーが切れてたんだった。てへ。

 

「すいませんお手数おかけしました」

「東野さん。これ、どういう事か分かりますか?」

 

 入室一発目、絢瀬さんから渡された紙には穂乃果、海未、ことりの他に星空さん、小泉さん、西木野さん、そして矢澤さんの名前の書かれた部活動申請書があった。

 

「どういう事も何も、矢澤さんが高坂さん達の入部、ないし部活動の合併を許可したという事ではないかと」

「せやね。見てみ、二人とも」

 

 ずっと窓際にいたのだろうか、東條さんが私と絢瀬さんに窓の外を見る様促す。おぉ

 

「雨、止んでる」

「見事に晴れましたね」

「そうね」

 

 閉めた窓の向こうからはμ'sの楽しそうに練習してる声が聞こえた。もちろんその中には矢澤さんの声も。

 良かったね矢澤さん。穂乃果達は何があっても矢澤さんを見捨てたりなんかしない、一緒に夢を見れる仲間だよ。

 

「にこっち」

 

 東條さんも同じ事を思ったのか、とても優しい声音だった。

 




【妹ラジオ】
友「遂に始まった【妹ラジオ】。楽しみだね!」
亜「イエーイ!」
雪「前回もやってたけどね」
友「このコーナーは千文字以下の文字数でお送りします」
雪「ご覧のスポンサー風に言わなくていいから。それよりほら、今回の話について色々話そう?」
亜「今回でにこさんがμ'sに加入したね!」
友「それにしても穂乃果さんが使った作戦って何?」
雪「えとね、アニメと同じだよ」
友「丸投げしちゃったよ! ちゃんと説明しよ?」
亜「拒否します」
友「そんな体の前でバッテン作って笑顔で言わないでよ」
雪「次回の図書委員!」
友「なんで急に次回予告!?」
雪「友香、今の文字数いくつか知ってる?」
友「え、でもまだ千文字いってないよね?」
亜「今の友香の台詞でちょうど300字だよ」
雪「あ、まだ余裕あったね」
友「知らずに言ったんかい!」
雪「ま、そんな冗談は置いといて。ほら友香。作者から預かったメモあるんでしょ?」
友「メモ……?」
亜「ほ、ほらこの紙だよ」
雪「まったく、しっかりしてよね」
友「ごめんごめん。え〜っと? 「次回から雪穂にやって貰いたい事大募集! 詳しくは活動報告で!」」
亜「ハラショー! 雪穂、頑張ってね!」
雪「ちょ、なにそれ聞いてないんだけど!? ていうか読む紙違うし!」
友「あ、こっちだったね。「十月は忙しくなる為、投稿が遅れるか、出来なくなります。すいません」だってさ」
亜「じゃあお姉ちゃんの誕生日は?」
雪「あ、それは執筆してるってさ」
亜「良かった〜」
友「投稿できて一話じゃないかって本人も言ってたよね」
雪「そうだね、じゃあそろそろ締めよっか」
友「さっきよりも唐突な締めだね!」
亜「でも文字数も良い感じだよ?」
雪「それじゃあまた次回をお楽しみに」

『またね!』
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