巻き込まれた図書委員   作:名前はまだ無い♪

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今回はにこがかっこいいです?


episode.15「名前で呼ばないとダメ?」

「はい次は友実っちがこれ持って」

「あの、なんで私が?」

「そんなんμ'sの皆だって知らない人より知ってる人の方が緊張も解れるやん?」

 

 解れるやん? って言われても私と東條さんって三大美女の内の二人だよね? 慣れてない人達は余計に緊張すると思うんだけど。

 

「さ、中庭に待たせてるから早く行こっ」

「分かりました。分かりましたので腕を引っ張らないで下さい」

 

 転ぶ転ぶ。バランス崩して転んでカメラ壊すぞ? まったく部活動のビデオなんか撮って何が楽しいんだか……生徒会の仕事だからやってるけど、本読みたい。

 今、私と東條さんは放課後の学校をカメラ片手に練り歩いていた。理由は各部活動の撮影。あとで編集してオーキャンとかで流したり学校のHPに載せるらしい。。さっきまでは文化部系の部活を回っていて、次はμ'sの番。

 

「お姉ちゃ〜ん!」

「あ、東野先輩だにゃ!」

「ど、どうも」

 

 中庭に着いた途端、穂乃果だけでなく星空さんにも抱き着かれた。暑い。

 

 最近星空さん、小泉さん、西木野さんはよくお昼休みに図書室に来てはおしゃべりをする事が増えた。二人で来る事もあれば、三人で来る時や一人で来る時もある。まぁ私も四六時中図書室にいる訳ではないので、その時は遥さんと遊んでるって聞いた。

 

「あの、お二人とも暑いので離れて貰えますか?」

 

 二人に言うも揃って首を振られる。ダメだこりゃ。東條さんヘルプミー。あ、凄い笑ってる。これ助けて貰えないやつだ。

 取り敢えず穂乃果は引き剥がして海未にパス。星空さんは……抱き返すか? あ、良い匂い。

 

「にゃ!?」

「……星空さん。何のシャンプー使ってるんですか?」

「えっと、TUBEKUってシャンプーです」

 

 むむ、私と同じシャンプーなのにこんなに違うものなのか。

 

「東野先輩の髪もサラサラしてると思いますよ?」

「星空さんの方がサラサラしてて気持ち良いですよ」

「友実っち戻って来て」

 

 ハッ、今自分がどっかに行ってた。そうだったそうだった、今は部活動の紹介ビデオを撮りに来たんだった。しかし触り心地良いな。

 

「友実っちがトリップしてるけど説明するね」

 

 なんか東條さんが説明してくれるみたいだからお願いしよう。にしても海未に勝るぞこれ。

 

「と、いう訳でまずは穂乃果ちゃんから。ほら友実っち、カメラカメラ」

「は、はい。少々お待ちを」

 

 仕方ない。星空さんの髪を楽しむ事より仕事が優先だね。ササッと櫛で星空さんの髪を整えたあと、東條さんの隣に立ちカメラを回す。

 

「では高坂さん。ポーズをお願いします」

「こ、こう…….?」

 

 穂乃果にポージングを頼むと戸惑いながらも様々なポーズを取っていく。穂乃果にアイドル研究部らしいポーズを頼んだのが間違いだったのか?

 次に海未にカメラを向けるもこっちはこっちで慌てふためいて映像として使えない。

 カメラを止め東條さんに首を振ってダメな事を伝える。ていうか矢澤さんは? こういうのに一番敏感な矢澤さんはどこにいるの?

 

「あの、矢澤さんはどこに……?」

「そう言えばにこ先輩いないね」

 

 穂乃果よ、部長を忘れてやるなよ。

 

「探してくるにゃ〜!」

「……じゃあ待ってる間部室で撮影しよっか」

 

 東條さんの提案で取り敢えず矢澤さんを待ってる間に部室でも撮ってるか。

 なんかまたアイドルグッズ増えた……?

 

「ちょっと! 取材が来るってホント!?」

「それならちょうど。ホラ」

 

 ことりが私と東條さんを示す。はい、矢澤さんが入って来た時からずっと撮ってましたが、何か?

 

「ぐ……に、にっこにっこにー! あなたのハートに」

「あ、そういうの要らないから」

 

 東條さんがにこにーの途中でバッサリ切り捨てる。でも東條さんの言う通り、この動画のコンセプトは「部活動の生徒の素顔に迫る!」だからねぇ〜。作ったキャラは使えないんだよ。

 

「素顔ね、お、オーケーオーケーそっちね。ちょっと待っててね〜」

 

 東條さんから動画の趣旨を聞いた矢澤さんは、背を向けると髪を結んでいたゴムを取る。

 

「いつも。いつもこんな感じにしているんです。アイドルの時の私はもう一人の私……髪をキュッと止めた時にスイッチが入る感じで。え? あぁそうです。普段は自分の事を」

「矢澤さん。ちょっと良いかな?」

 

 悪いけど遮らせて貰うよ。だって

 

「皆、また中庭に行っちゃったよ」

 

 にこが驚きで目を広げこちらを見る。私は二人きりの部室を示しにこに現実を教える。そうでなくても、私が仮面を外して話してる所で察して欲しい。

 

「……なんで友実は残ったのよ」

「いや〜髪を下ろした矢澤さんってのも中々レアだからね。キャラ作りの参考にもなったし、ありがとね」

「礼を言われるのはなんか不本意なんだけど。あと、友実いつまで私の事を「矢澤さん」って呼ぶのよ」

「それが?」

 

 何か問題でもあったのだろうか? だったら謝らないといけないね。

 

「それがって、そろそろ下の名前で呼んでも良いんじゃない?」

「……さぁ矢澤さん。私達も早く中庭に行かなぐぇ!」

 

 中庭に行く為、矢澤さんの横を通り過ぎようとしたら襟首を掴まれ、変な声が出た。ちくしょう、この前の仕返しかよ。

 

「逃げるんじゃないわよ」

「……別に逃げてはないよ」

「逃げてるじゃない」

「だから逃げてなんか」

「じゃあ私の事、名前で呼んでみなさいよ」

 

 腕を掴まれたから振り解こうとするも、振り解く事が出来ない。私が非力なのか、矢澤さんが強いのか。なにしろ矢澤さんが本気なのはよく分かった。

 

「分かったから、腕を離して」

「……本当に?」

「うん」

「なら良いわ」

 

 ふぅ、やっと離してくれた。あ、掴まれてた所が軽く赤くなってる。振り解けないわけだ。

 

「つかどんだけの強さで握ったんだか」

「友実が逃げようとしたからでしょ」

 

 ごもっともで。はっきり言って矢澤さんを名前で呼ぶのはすこし躊躇いがある。別に嫌ってる訳じゃない。ただ今まで仮面を外した状態で矢澤さんって呼んでたから、今更下の名前で呼ぶのもあれなんだよなぁ。

 

「どうしても名前で呼ばないとダメ?」

「……」

 

 ダメなんですね。無言が怖いですぜお嬢。はい冗談です、だからそんなに見ないで下さい。

 

「……に……」

「に?」

「……に…………こ……」

「はい、よく出来ました」

「そ、その代わり仮面被ってる時は矢澤さんって呼ぶからね! これは穂乃果達と同じだから文句は言わせない!」

 

 これはさすがに譲れない。なんせ二年間演じてきたキャラなのだ。そう簡単に壊してなるものか。大分早い段階でバラしてた? バレたんだからしゃーないよ。

 

「別にそれくらい良いわよ。友実が何かしらの理由があってそうしてるなら、私はそこまで文句を言える程じゃないし、知られたくない事なんて人間誰にでもあるものだしね」

「にこって……」

「ん? どうかした?」

「ううん、何でもない。それより早く行かないと撮影終わっちゃうよ。カメラは東條さんが持ってるんだから」

 

 私の言葉に慌てた様に外に向かうにこ。やっぱりにこって凄いよね。あそこまでの割り切り私が同じ立場だったら果たして出来ただろうか。

 一人部室で考えているとにこが扉を勢い良く開けて戻って来た。忘れ物でもしたのかな?

 

「友実! あんたが来ないと撮影できないって希が」

「そういえばμ's相手のカメラマンを頼まれてたんだった」

 

 忘れてた忘れてた。なら私も行かないとね。

 

「よし、じゃあ行こっか」

「まったく。しっかりしなさいよね」

「にこに言われたくはないよ」

「それはどういう意味よ!」

 

 どういう意味もなにもそういう意味だよ〜っと。

 

「言い忘れてた。にこって髪下ろしても可愛いんだね」

「な……そんなの当たり前でしょ! にこを誰だと思ってるのよ」

「アイドル好きの私の友達だよ」

「は、早く行くわよ!」

 

 にっこり笑ってそう言うと、にこは照れた様に顔を背けて扉から出て行っちゃった。今度は怒られない様にそろそろ私も行かなきゃね。中庭へレッツゴー!




【妹ラジオ】
雪「友実姉が珍しく照れてたね」
友「そうだね。番外編の方でも似た様な葛藤叫んでたし、このままじゃ凛さん達を呼び捨てにする時はどうなるのやら」
亜「それだったら問題ないんじゃない?」
雪「そうだね。仮面が外れた状態で長い時間接してなければ大丈夫なら特に問題はないね」
友「それはそうと、お姉ちゃんってなんで仮面被ってるの?」
雪「そんなの妹の友香が一番知ってるんじゃないの?」
亜「逆に友香は知らないの?」
友「う〜ん、知らないって言うより、ね?」
雪「最後の「ね?」ってなによ」
亜「ねぇもしかしてだけど、決まってないとかーー」
友「滅多な事言うもんじゃないよ亜里沙!」
雪「そ、そうだよ! たとえそうだとしてもちゃんと理由を考えるから!」
亜「なら良かった♪」
友「なんか、ドッと疲れが来た……」
雪「うん、私も」
亜「じゃあ今日は終わりにして帰ろう!」
友「次の更新をお待ち下さい」

『またね!』
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