巻き込まれた図書委員   作:名前はまだ無い♪

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episode.3「伝統だけなら」

 廃校のお知らせの翌日の放課後。昨日とは違う二人ーーと言っても昨日は異例なだけで今日来てる二人が正しいーーと昼休みの図書室でノンビリしていると知ってる顔が三つ入り口から入って来た。

 三人の内、二人はよく図書室に来るから不思議ではないが残る一人、穂乃果は滅多な事じゃ図書室に来ない。

 なので気になったので二人にカウンターを任し、私はこっそりと三人に近付き積んである本を見る。

 

「何々?「音ノ木の歴史」に「部活動記録まとめ」って一体何してる?」

「あ!友実お姉ちゃん"!」

「図書室では静かに。それと学校ではお姉ちゃんじゃなくて先輩だよ?」

「はぁい」

 

 昨日も注意したばかりだというのに…全く穂乃果は。

 

「で?何してるの?」

「廃校をどうにかする為に音ノ木坂の良い所を探してるの」

「友実先輩は何か知らないですか?」

「え…と…」

 

 ウチの学校って何か有名な事あったっけ…あ

 

「…伝統だけならあるよね」

「それはさっきも出たよ」

「だけという事は他には知らないんですね…」

 

 おいコラ海未。なんで残念なものを見る目で見るんだ。まぁでも何か有名な事があったらもっと人集まるしなぁ。

 

「あ、そろそろお昼休み終わるから教室に戻りなよ〜」

「あ、はい。それでは行きましょう穂乃果、ことり」

「あ、海未ちゃん待ってよ〜」

「それじゃあ失礼しました」

 

 三人に続く様に他の利用者達も慌てた様子で図書室を出て行く。あ、私もそろそろ行かなかないと。

 

☆☆☆

 

 放課後。授業を話半分に聞いてると時間もあっという間に過ぎて行くものである。え、成績?調子が良くて上の下だけどなにか?

 

「さてと、今日はこれから何を…」

「東野さん。ちょっと良いかしら?」

 

 あれ?なんか既視感(デジャヴ)。声のした方を見ると絢瀬さん。とその後ろに東條さん。

 あ、これ逃げれないヤツですね。仕方ない。多分生徒会の話だろうし、話は聞こう。

 

「はい。なんでしょう?」

「私と希はこれから南理事長の所へ行くの」

「まさか私にもついて来いと?」

 

 それだけは勘弁。私彩さん(南理事長)はちょっと苦手なんだよね。しかも思わず素の口調に近い感じで話しちゃったからフォローが大変そうだ。

 私がそう考えてるのとは裏腹に絢瀬さんは苦笑して首を横に振る。

 

「いえ、貴女には私と希がいない間生徒会室にいて欲しいの。ほら、今の時期って部活設立の申請してくる生徒が来るかもしれないから」

「さすがに二年生だけに任せるのは忍びないやろ?」

 

 私は別に忍びなくないのだが。だがそれを言った所で事態は動かないだろうし、受けるしかない、か。

 

「分かりました。では絢瀬さんと東條さんが戻って来るまで生徒会室で待機しています」

 

 私の言葉に嬉しそうに笑ってお礼を言う絢瀬さんと、なにやら含みがある笑みを見せて絢瀬さんの後を追って教室から出て行く東條さん。

 まぁこんな時期に部活設立申請をしてくる人達はいないだろうから、本でも読んで待っているかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう思ってた時期が私にもありました。

 今頭を抱えている私の周りには他の生徒会の役員ーーと言っても会計の後輩だけだがーーはいない。なにやら職員室に呼び出されたらしい。何をしでかしたんだか…まあそれはいい。正直いずれ帰ってくるし、帰って来てもそこまで話さないからいいんだけど、なんでこんな時に限ってこいつらは来るのかな……

 

「友実お姉ちゃん頭抱えてどうしたの?」

「…だから学校ではって、今は私達しかいないから良いか。で?何しに来たんだっけ?」

「だーかーら!アイドル部設立の申請だって!」

「へー三人とも同じクラスなのか。離れ離れにならなくて良かったな」

「お姉ちゃん聞く気あるの?」

 

 分かってるよ!もう少しだけ現実逃避させてくれよ!まったく、何も私しかいない状況で来るとは思わなかったよ。てか、絢瀬さん達遅いな。

 

「で、アイドル部設立だっけ?なんでまた」

「だって今はスクールアイドルが流行ってるんだよ!それで私とことりちゃん、海未ちゃんでスクールアイドルを結成して生徒を集めるの!」

「ことりはともかく海未もやるの?珍しい」

 

 海未って人前に出るの苦手って言うか得意ではなかったと思うんだけど。

 

「そ、それはその…穂乃果もやる気ですし、誰かが一緒にやらないといけないので」

「海未は相変わらず穂乃果が好きだね〜」

「な、そんな事!?」

 

 海未が顔を真っ赤にしながら抗議するも、私はそれを右から左へ受け流す。そして手元にある紙をチラリと見てから生徒手帳を開く。私の不可解な行動に穂乃果達は首を傾げるも、私には関係無い。

 そして手帳のとある一文を見つけると私は穂乃果達に紙を返しながら伝える。

 

「残念だけど穂乃果、これは受け取れない」

「なんで!?」

 

 穂乃果はともかく、ことりや海未まで意外そうな顔するのはちょっと私としても納得がいかない。特にことり。

 

「良い?部活を作るには最低でも五人いないといけないの。貴女達は三人でしょ」

「だったら友実お姉ちゃんも入ってよ!そうしたらあと一人だし、それくらいだったら友実お姉ちゃんオマケしてくれない?」

「穂乃果、それは両方とも悪いけど出来ないわ」

 

 なんか図々しいお願いな気がしないでもないけど、まぁそこは昔からの付き合いって事だし穂乃果は意外と計算なしでやってるから怒るに怒れない。

 

「出来ない理由は、私は既に図書委員と生徒会を兼任していて忙しいのと、生徒会として仕事を受けている以上いくら幼馴染みでも容赦しないのが主な所」

「しかし!」

「しかしも何もないよ、海未。さっきも言ったけど、私は今生徒会役員として言ってるの。幼馴染みとしてアドバイスするなら、あと二人集めれば正式に申請を受けるよ」

 

 ちょっと言い過ぎたかな?まぁこのくらい言わないとこの場では引かないだろうし、仕方ないと割り切ろう。

 

「あら、貴女達は」

「あ、生徒会長さん」

「その紙は?」

 

 穂乃果達が帰ろうとしたタイミングで絢瀬さん達と扉の前で鉢合わせし、絢瀬さんが目聡く穂乃果の持ってる紙を見る。

 

「貴女達それは?」

「えっと、その、部活の申請用紙なんですけど…」

「そのお話は私の方でお断りさせて頂きました。部活動申請の規定数に達していなかったので」

「そう。取り敢えずその紙を見せて貰っても良いかしら」

「あ、はい。どうぞ」

 

 穂乃果が絢瀬さんに申請用紙を渡すと、一番上に書かれている部活動名の所で視線が止まる。

 そう言えば部活を作るって聞いたけど、何の部活なんだろう?スクールアイドル部?ダンス部?

 気になり絢瀬さんの隣から覗き込むとそこには「アイドル研究部」と書かれていた。はてアイドル研究部?それってどこかで見た様な……

絢瀬さんと穂乃果達が何か話してるも、私はその光景に一切目をくれずに受理されている申請用紙を漁り始める。

 

「東野さん何してるん?」

「あ、いえ。ちょっと気になった事がありまして…あった」

 

 私が一枚の用紙を手に取ると、東條さんが後ろから覗き込んで来る。私はそれも無視して絢瀬さん達の方を向くも、そこには絢瀬さんしかいなかった。

 

「あの、高坂さん達はどこへ…?」

「穂乃果ちゃん達ならもう教室に戻ったで?」

「……そ、そうですか。所でお二人はこの生徒をご存知ですか?」

 

 私が差し出した用紙に書かれたとある生徒の名前を見せる。すると不思議な事に二人ともなにやら渋い顔をする。

 この生徒の事は知っている。けど話したくないって感じの顔だな。

 

「あの、東野さん。とても言いにくいのだけれど」

「?」

「その子、ウチらと同じクラスやで?」

 

 ……昔から記憶力と観察眼には無縁でね。それに今年同じクラスだからって私達の学年は3クラスあるのだ。

 まして今のクラスになってから月日はそう経ってない。ぶっちゃけ隣の席(東條さんほ反対側)の人よりも浅野さんのほうが親しいと言えよう。クラス内で一番話してるのも多分この二人だろうし。

 遥さん?遥さんとは三年間同じ委員会だけど、毎年クラスは違うから例外だ。

 

「全く。大方自己紹介の時に本でも読んでたんでしょう」

「な、違います。流石の私でも自己紹介中にまで読書はしませんよ!」

「そうやでエリチ。東野さんは目を瞑って夢の世界へ行ってたんやで!」

「なおさら悪いじゃない!」

 

 東條さん絶対に面白がってるな。その証拠にさっきからずっとニヤニヤしてるし。それにしても長い…助けてよ東條さん。

 

「東野さんはもう少しキチンとした態度で…」

「まぁまぁエリチ。そろそろええやん?東野さんも困ってるみたいやし」

「…そうね」

 

 おぉ東條さんが助けてくれたよ。助かった、ありがとう東條さ……ちょっと待てよ私。確かこの状況に陥ったのも彼女のせいじゃ……

 私の中で一度上がった彼女の評価が元の位置に戻る。

 

「では私はこれで失礼します。また明日」

「ほな明日〜」

「さようなら」

 

 さて、今日は少し書店に寄り道して新刊のチェックしてから帰るか。




言わせて頂きますと、友実は穂乃果達の味方ではあります。生徒会として対応をしているだけなんです(多分)
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