巻き込まれた図書委員   作:名前はまだ無い♪

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夏休み編? 前話で終わりです。


episode.26「新井式廻轉抽選機」

 長かった夏休みが終わり新学期を迎えたある日の放課後。

 

「東野さん。こっち手伝って貰っても良い?」

「はい。分かりました」

「友実! これってどこに置いておけば良いんだっけ?」

「それは生徒会からの遥さん宛ての資料です。ちゃんと保管しておいて下さい。て言うか遥さんはクラスが違いますよね!?」

 

 私達のクラスはちょっとした混沌と化していた。理由は簡単で夏休みが開けてから一ヵ月もしないで文化祭が行われるのだ。ちなみに私は生徒会として文化祭を取り締まったり、クラスでの出し物、図書委員としての展示などで普通に忙しい。

 て言うかなんで遥さんは隣のこっちの教室に来てるんだよ。

 

「さてと、取り敢えず一段落したので私は生徒会の方へ行って来ますね」

 

 クラスでの私の役割は裏方。周りからは表方をやって欲しいって言われたけど、まぁ文化祭当日は生徒会やら、図書委員やら、友香達のお守やらで忙しいから断り続けた。あ、私のクラスは文化祭では喫茶店をやります。

 

「あー疲れた」

「お疲れさん」

「ゴメンね。私達がいない分まで皆に負担かけちゃって」

 

 生徒会室の机に突っ伏していると書類整理をしながら絵里に謝られる。私は体勢はそのまま手だけ挙げて答える。別に疲れてるのはクラスの出し物のせいだけじゃないからね。

 図書委員の方でも来年以降の入学者を増やす為にって張り切ってるんだよね、主に夏帆さん達下級生。それに便乗するかのように松田先生がノリノリで企画とかを考えるから私達三年生は二年生のバックアップに回っている。しかしやっぱり下級生達が頼るのは私なんだよね。まぁ私がいない時は遥さんが頼られてるみたいだけど……

 おっとそんな話はどうでもよくて。どうして私が生徒会室に来たのかなんだけど、この後文化祭実行委員会と一緒にとある仕事をしなきゃいけないんだよね。

 

「友実っち。そろそろ時間なんやない?」

「え~もうちょっとゆっくり出来ると思ったのになぁ……」

 

 希の言葉に時計を見ると、確かに文化祭実行委員会との待ち合わせの時間が近づいていた。しかも生徒会室から文化祭実行委員会室、通称文実室ってそれなりに離れているからそろそろ出ないと間に合わなくなる。

 

「じゃあ二人とも。分かってると思うけど必ずにこは連れて来てね」

「分かってるわよ」

「任しとき」

 

 二人に念を押すようにそれだけ言うと、私は生徒会室を出て行く。

 そして文実室の前に着くと扉をノック。時間に関しては約束の時間のちょっと前。良かった間に合った。中から返事が聞こえたので入室する。

 

「失礼します」

「お、時間通りに来れるとは思わなかったよ」

「と、言いますと?」

「いや~お聞き苦しいとは思うんだけど、役員や参加団体の人達って結構時間とかにルーズだからね」

 

 入室一番でするような会話じゃないと思うけど、文実長とは偶に図書室に来て立ち話をするくらいの仲だからね。取り敢えず文実長の横にある椅子に座る。

 私がここに来たのは簡単な事で、今日は各部活動の学園祭当日の発表場所の抽選日。そこで不正が無いように毎年この行事は文実長と生徒会長の二人が担当するんだけど、今年は生徒会長の絵里と副会長の希が部活に入っているから、残りの三年生の私にお鉢が回ってきたって訳。

 私は委員会には入ってるけど部活動に入ってないからね。ちょうど良かったって事だ。

 

「それじゃあ始めるよ」

「ええ」

 

 私がやる事は手元にある各部活動の発表希望場所が書かれた用紙を見て、新井式廻轉抽選機(あらいしきかいてんちゅうせんき)を回して貰う事。ちなみに金だったら希望場所を使えて白だったら使えない。大体の部活動が講堂を希望しているから、実質この抽選会は講堂を使えるかどうかの抽選だよね。

 

「入るわよ~」

「どうぞ~」

 

 ノックと共に入って来たのは弓道部の部長さん。部活と部長の顔が一致してるのは生徒会室で資料を見た事と、今年初めの新歓の時に点呼取ってたからね。

 それに見た感じ文実長と弓道部長は知り合いみたい。

 

「それでは回しちゃって~」

「よし。目指すは講堂での遠距離射撃!」

 

 意気込んで回した結果、出て来たのは白玉。つまりは講堂使用不可。項垂れる弓道部長。

 いやまぁ、もし講堂使えても遠距離射撃とか生徒会が許可を出さないよ? 観客に危険が及びかねない事はさすがに許せないでしょ。

 

「まぁドンマイ。遠距離だったら弓道場とかでも出来ると思うし、楽しみにしてるよ」

「うぅ……」

 

 文実長に励まされ部屋から出て行く弓道部長。

 まぁこれで分かる通り、この抽選会は部長が来ないといけないからね。さっき絵里達にしつこくしたのはこれが理由。

 それから色んな部活が文実室に来て落ち込んだり、飛び上がったりして帰るのを眺めながら手元の資料に結果を書き込んでいく。この作業パソコンでやったらダメなのかな?

 

「次、あれ? もしかしてアイドル研究部?」

「あ、皆さんいらっしゃい」

 

 そうこうしているとにこを先頭にアイドル研究部の九人が揃っていた。まぁ文実室は広いから入りきるけどさ。

 

「それでは回して下さい」

 

 にこに回すように促すと、にこと穂乃果がズンズンと寄って来る。何あれ怖いんだけど。

 

「そ、それじゃあお願いします」

 

 私が抽選機をにこに差し出すと、気合を入れて回し始める。別にそんな気合入れなくても確率は二分の一なのになぁ。

 それから穂乃果とにこの二人が、抽選機にぶつかるんじゃないかってくらい近付きながら回した結果、コロンと出て来た玉の色は無情にも白、つまりは講堂の使用不可だった。

 

「アイドル研究部、残念ながら講堂の使用は不可です」

「そ、そんな……」

 

 私の言葉に全員が一斉に落ち込む。しかし九人いればまだ可能性に縋る者もいるようで、一番近くにいた穂乃果とにこが起き上がり寄って来る。間に机を挟んではいるものの、その光景は中々に怖かった。

 

「ゆ、友実。あんたの力を使えば講堂の使用許可を得る事くらい簡単よね」

「お姉ちゃん。可愛い後輩達からのお願いだよ」

「いえ、規則ですから」

 

 確かにまだどの部活動が講堂を使うか分からない以上、そこに捻じ込む事は出来なくはない。けどそんな身内贔屓をしない為の生徒会と文化祭実行委員会の長が抽選を見るのだ。まぁ今年は違うけど。

 それに、アイドル研究部にそんな事したら抽選の意味がなくなる。だから断る。

 

「なによ友実の石頭!」

「お姉ちゃんの鬼! 悪魔! お姉ちゃん!」

 

 こら穂乃果。「お姉ちゃん」って単語をまるで悪口かのように言わないの。それにしても鬼に悪魔と来ましたか。

 

「分かりました。ではアイドル研究部は今年の文化祭には参加しない、という事でよろしいですね?」

 

 私が笑顔で二人に聞くと、焦った様に首を横に振る。さっきも言ったけど、確かに私の一声で講堂の使用不使用は弄れる。これは有名だから、とか三女だから、ではなく手元の資料を弄れば済む話だから。だけど言い換えれば、文化祭への参加不参加も私の手元にある資料を弄れば変えられる。

 え? それはやり過ぎだって? 仕方ないじゃん、私鬼で悪魔らしいから。

 私の笑顔で本気と分かった二人は頭を下げて部屋から出て行く。そのやり取りを見て海未達が不安そうにこちらを見て来たから「別に本当に不参加にさせたい訳じゃないからエントリーを消したりはしない。けど、公演場所は自分達で確保しなよ」と意を込めて手を振る。ちゃんと伝わったのか、海未達はそれ以上長居する事無く退室する。

 

「東野さんにも怖い一面ってあるんだね」

「もちろんですよ。私だって人間ですし、八方美人ではありませんからね」

 

 文実長の意外そうな声に微笑んで返す。

 それに穂乃果は甘やかすとどこまでもダメになっていくからね。偶には厳しくしないと。それに私は鬼でも悪魔でもないしね。

 

 それから少しの部活動が抽選に来て今年の抽選会は幕を閉じる。

 

「東野さんお疲れ~」

「そちらこそお疲れさまでした」

 

 文実長にお辞儀をしてから、穂乃果達が気になったからアイドル研究部の部室に向かう。

 

「あれ? 電気が点いてない。って事は屋上か?」

 

 降りて来た階段を上り、屋上へ向かう。扉を開けて屋上へ出て行こうとした時、外から穂乃果の声が聞こえた。

 

「ここに簡易ステージを作れば良いんだよ! お客さんもたくさん入るし!」

 

 なるほど。屋上なら確かに人が多く入るし、他の部活動と場所の取り合いになる心配もない。安全面も高いフェンスがあるから落ちる事はない。

 ただ問題が二つあるんだよな。

 一つ目は天候。最近は雨が降ったり止んだりしてるから本番当日に降られたら最悪中止になるかもしれない。

 二つ目は客が来るのか。屋上でやるなら偶々通りかかる事もない。その為、客足が伸びるかどうかは怪しい。

 

「じゃあ大きな声で歌おうよ!」

 

 屋上にいた皆からも客の事に突っ込まれたか、元気よく返す。

 

「校舎の中や、外を歩いているお客さんにも聞こえるような声で歌おう! そしたらきっと皆興味を持って見に来てくれるよ!」

 

 穂乃果らしい考えだね。まぁこの調子なら問題なさそうだ。今回は私は私の事に集中できそうだ。さて、そうと分かったら早く図書室に戻って、文化祭に向けての後輩たちのサポートを徹底しますか。

 




【妹ラジオ】
友「話いきなり飛んだね〜」
雪「そうだね。前回まで夏休みでしょ? 今回は新学期だもんね」
亜「二人とも夏休みの宿題は終わったの?」
雪「私は始まった頃に終わらせたけど、友香は終わったの?」
友「え、あ、うん?」
亜「終わってないんだね、友香」
雪「言っとくけど、手伝ったりしないからね?」
友「そ、そんなぁー! お願い! あと読書感想文だけなんだよ〜」
雪「読書感想文をどう手伝えばいいの……」
亜「でもそれだったら、友実さんに手伝って貰った方が早くない?」
友「最近のお姉ちゃんは忙しいから。昨日も帰ってきたらご飯食べてすぐ寝ちゃったし」
亜「友実さんも大変なんだね」
雪「……仕方ないから、本を選ぶのは手伝ってあげる」
友「雪穂ー! 大好き〜!」
雪「ちょ、抱き着かないでよ。その代わり、感想文は自分で書きなさいよ」
友「はーい」
亜「じゃあ今から買いに行こっか」
雪「だね。それじゃあ今回はここまで!」
友「誤字脱字、感想、批判、アドバイス等をお待ちしております!」
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