巻き込まれた図書委員   作:名前はまだ無い♪

43 / 53
episode.31「そんなの……ずるいよ」

 音ノ木坂の存続が決まった翌日、昇降口から校門付近で絵里と穂乃果、亜里沙ちゃんから走って離れることりが見えた。今日海未に聞いたんだけど、ことりはまだ話してないらしい。

 

「あ、友実さん!」

「あ、亜里沙ちゃん。こんにちは」

 

 絵里達の元に行くと亜里沙ちゃんが飛び付いてくる。うん友香と違って勢いよく来ないから、受け止めやすいね。取り敢えず、亜里沙ちゃんを離して歩きながら話す。

 

「私、音ノ木坂受験するんです!」

「あ~あ、雪穂も音ノ木受験するって言わないかなぁ」

「そう言えば友香も結局どこ受けるんだろ?」

 

 どこを受けるとか聞いたことないし。う~んあの子は一体どこを受けるんだろう。

 

「あ、この前話してたら迷ってましたよ」

「おぉ」

「やったー!」

 

 亜里沙ちゃんからの思わぬ情報に穂乃果とハイタッチを交わす。

 

「あ……でも次のライブどうしよう」

「そっか。来年も入学募集する事決まったから、急ぐ必要がないのか」

「そうね、いつにしましょうか。っとそうそう友実。ちょっと生徒会の買い物があるから付き合ってくれない?」

 

 分かれ道に差し掛かった時、絵里が突然言ってくる。え? 生徒会の買い物ってなんかあったっけ? 特に買うものなかったはず。コピー用紙は職員室から貰えるし、ペンとかはまだあるし、う~ん、何かあったかな?

 

「良いからほら、行くわよ。悪いけど、亜里沙は先に帰ってて。帰りは遅くならないから」

「うん。それじゃあ穂乃果さん、友実さんさようなら!」

「うんまたね。それじゃあ穂乃果もまた明日」

 

 穂乃果と亜里沙ちゃんと別れ、私は絵里に連れられ公園へ。って買い物じゃないのね。

 

「それで、買い物とまで嘘ついて何の話かな?」

「……ことりの事なんだけど、学園祭前から何かに悩んでいるのか、元気がないの。何か知ってる?」

 

 あーなるほど、それで私に聞いて来てのか。さて困った。ここで本当の事を言っても良いんだけど、絵里の様子だとことりは言ってない。なら私が今言うのはおかしい。よね。

 

「友実……?」

「その事、他の誰かに話した?」

「希が知ってるわ。気付いたのも希だし」

 

 希が気付いたのか。でも今の言い方からすると、元気のない理由までは知らないみたい。

 

「う~ん。私から何とも言えない。こればかりはことりが言うべきだと思うから」

「……そう。あ、そうそう。明日の放課後、学校存続決定パーティをやるんだけど、来ない?」

「明日の放課後? ……ゴメン、明日は図書委員の仕事があっていけそうにないや」

 

 絵里に謝る。パーティかぁ、行きたかったなぁ。さすがに仕事を変わって貰うのは悪いからね。明日は仕事に行かなきゃいけない。

 

 

 

 翌日の放課後。遥さんと揃ってカウンターでボーっとしていると、ことりが駈け込んで来た。

 

「こ……南さんどうしたんですか!? 取り敢えず司書室に」

 

 遥さんに目配せしてカウンターを離れる許可を取ると、泣いていることりを司書室に入れる。

 

「……話したんだね?」

 

 椅子に座って少し落ち着くのを待ってから聞くと、ことりが話してくれた。

 今日のパーティで、留学が決まった事をいつまでも言えないでいることりの代わりに、海未が切り出した。留学の話を聞いた穂乃果は、ずっと一緒だったのに離ればなれになっちゃうのに、どうして言ってくれなかったのか、と。そんな穂乃果にことりはライブ前には言うつもりだったが、穂乃果がライブに夢中で、しかもライブ後に倒れた事で更に言いにくくなった。

 

「それで思わず、部室を飛び出して来ちゃった、と」

「うん……」

「そっか。それはことりが悪い。それは分かってるよね?」

 

 いくら穂乃果がライブに夢中になってるからって言ったって、ライブと今回の件だとことりの方が大事だと私は思ってる。ことりの留学まであと二週間、か。

 

「ちゃんと向こうに行くまでに仲直りするんだよ?」

「うん……」

 

 それならよし。遺恨を残したまま別れると後の関係に響くからね。

 それからことりに落ち着くまで司書室にいて良いと伝えると、司書室を出てカウンターにいる遥さんにお礼を言う。

 

「いや、別に私は良いよ? 多分松本先生も許可してくれるだろうし。それより友実は相変わらずモテモテだね~」

「? どういう事ですか?」

「さっき園田さんが来てね。奥で二人が話してるって言ったらまた来るって言ってたけど」

 

 海未が私に? 今のタイミングで来るとしたらことりの留学の話だろうけど……

 

「あの、いつ頃来たのか教えて貰えますか?」

「なに、ついさっき数分前だよ」

「ありがとうございます。少し出て来て良いですか?」

「良いよ良いよ~。南さんは落ち着いたら帰せばいいのかな?」

「はい、お願いします」

 

 取り敢えずことりは落ち着くのを待つだけだから遥さんにお願いするとして、海未か。探しに行くより来てもらった方が早いな。

 

「もしもし、園田さんですか?」

『はい。友実今大丈夫ですか?』

「取り敢えず私も話があるから生徒会室に来てくれる?」

『分かりました』

 

 短く要件だけ言って電話を切って生徒会室に向かう。ノックも無しに中に入ると、既に海未は中におり椅子に座っていた。

 

「待たせてゴメンね。さっきも図書室まで来て貰ったのに」

「いえ、私の方こそ急に訪れてしまい申し訳ありませんでした」

 

 取り敢えず私も椅子に座り、話を聞く。ことりが出て行った後、穂乃果は一人屋上へ。少し時間を置いて追い掛け話をすると、穂乃果は廃校が免れたからスクールアイドルを辞める。と言い海未は穂乃果を叩いた理由を話してくれた。

 

「成るほど。別に海未がこれまでの穂乃果の我が儘が積み重なって、今回の事で堪忍袋の緒が切れた。って訳じゃなくて良かったよ」

「そんな事はありません。穂乃果の我が儘はいつもの事ですから」

 

 確かに海未の言う通り、穂乃果の我が儘は昔からだもんね。遊ぶ時だって四人で遊ぶ時は大体私と海未がストッパーになってたからねぇ。その時の苦労は二人でよく分かち合っていたな。

 

「分かった。取り敢えず海未は穂乃果と仲直りしないとね」

「はい。穂乃果が自分の気持ちに正直になった時に、改めて謝罪するつもりです」

「そっか。分かった」

 

 こうなると海未も中々考え変えないからね。私が今何を言っても海未は穂乃果が自分の気持ちに正直になるまで謝らないと思うから、これ以上は何も言うまい。

 それから海未と別れて自宅に向かい、「穂むら」の二階、電気が点いている穂乃果の部屋を見上げる。

 

 

 

 それから二週間。にこ達から聞いた所によると、μ's、と言うよりアイドル研究部自体が活動を休止したみたい。でもにこと凛、花陽は今もまだ神田明神での練習をしてるみたい。

 

『友実お姉ちゃん、入って良い?』

「どうぞ~」

 

 夕暮れが沈みかけた私の部屋に入って来たのはことり。明日ことりは朝早くから空港に行くらしいからね、今くらいしか挨拶に来れないんでしょう。

 

「それで、穂乃果と仲直りは?」

「……まだ」

「う~ん。出来ればこの後行って欲しいんだけど……穂乃果もまだ起きてるみたいだし」

 

 部屋の窓から見ると穂乃果の部屋はまだ明るい。今からならまだ話しに行ける。けどことりは首を振る。

 

「ことり。分かってると思うけど、今の状態で向こうに行くとなると」

「うん、分かってる。今のままじゃダメなのは分かってるけど……」

 

 分かってても会いに行くのは難しい。って事か。う~ん、喧嘩してから一言も話してないから会いにくいんだろうけど……

 

「ことり……ことりはもし、私が今、引き止めたらどうする?」

「そんなの……ずるいよ」

「だよね。ゴメンね」

 

 そう、もし今じゃなくてもっと前に聞いたとしたら、きっとことりは留学の話を断っていたと思う。けど今聞いても、ことりは私のせいで誰かがドタキャンする事を私が嫌がるって知ってるから、ことりは断れない、はず。まぁそれが「私に言われたから」じゃなくて「ことりが決めた事」なら私も文句は言うまい。その場の流れに身を任せたとしても、それがことり自身が決めた事なら私は何も言わない。

 

「それじゃあことり、気を付けて帰るんだよ」

「うん。こんな時間までゴメンね」

「いやいや。私が話を伸ばしちゃった感あるし、こっちこそゴメンね」

 

 明日の見送りは朝早いから行けそうにないから、今日別れたら暫くことりと会えないのか。それは悲しいな……国際電話っていくらだっけ? 月一くらいなら電話しても大丈夫か?

 

「それじゃ、元気でね。ことり」

「うん。友実お姉ちゃんもね」

 

 少し寂しそうなことりを見送って部屋に戻ると、タイミング良く携帯が鳴る。メールか、何々? へぇ、面白そうじゃん。

 

 

 

 

 




【妹ラジオ】
友「雪穂って音ノ木受けるの?」
雪「う~んどうしようかな~って悩んでる」
亜「えー! 二人とも受けようよ~!」
友「はい、てな訳で始まりました【妹ラジオ】。略してイモラジ!」
雪「露骨に話逸らしたね」
亜「それにしても今回急展開が目立ったね」
友「その分進みはサクサクだから作者的には助かるんだろうけどね」
雪「ちなみに裏ではアニメ通り海未さんが「あなたは最低です!」って言ってお姉ちゃんを叩いてるよ」
友「自分の姉が叩かれたのに落ち着いてる雪穂が怖いよ!」
亜「まぁこれからはそういったシーンないし」
雪「あれ、でも確かこの作品って」
友「あ~確か言ってなかってけ?」
亜「多分言ってないと思うよ?」
雪「Twitterとかで結構言ってるから知ってる人は知ってると思うけど」
友「雪穂ストーップ! そういう情報は小出ししていった方が良いんじゃないかな! ほら、書き溜めしてある小説と同じ様にさ!」
亜「そ、そうだよ雪穂! せっかくなんだからゆっくりして行こ!」
雪「えー。別にいつまでも隠し通せるものじゃないし、今行っても変わらないと思うんだけど」
友「そんな事より! 次回は【妹ラジオ】はお休みします! 理由? 次回をお楽しみに!」
亜「でも本編の内容的にはそれどこじゃないような……」
友「え、まさか次回お休みなのって、それが理由なの?」
雪「おいこら当事者」
亜「まぁまぁ。でも本当に次回どうするのかな? 本当にお休み?」
雪「まぁお兄ちゃんの時はお休みだったよね」
友「とまぁ、珍しく雪穂が関係ない話をし始めたから今回はここまで!」
亜「バイバーイ」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。