巻き込まれた図書委員   作:名前はまだ無い♪

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ラストスパート!

なんですが、ここで一つ報告を兼ねてお礼を。
皆様のおかげで先日、日刊ランキングにランクインする事が出来ました。ありがとうございます!


episode.34「意識が戻るのは難しい」

 上か下かもが分からない暗闇の中、私はふわふわと浮いていた。なんで浮いているのが分かるかと言うと、単に身体が何かで支えられている感触が無かったからで、もしかしたら沈んでるのかもしれない。

 

「おーい、アンタ大丈夫かい?」

 

 不意に声を掛けられそっちを見る。て言うかどっち?

 

「こっちこっち。て言っても見えないのか」

 

 パチン、と指を鳴らした音がしたと思ったら徐々に景色が見えるようになったのと同時に、足が地面に触れる感触。声の主を探して辺りを見渡すと、川のそばの岩に座っている赤髪の女の人が手を振っていた。

 

「これで見えるかい?」

「はい」

「ちょっとこっちにおいで」

 

 手招きされたからそばに行くと、女性の隣に程よい大きさの岩があった。そこに座り、女性にここはどこか聞く。

 

「ここかい? ここは三途の川だよ」

「て事は私は死んだんですか?」

「いんや、まだ死んじゃいない。けどこのまま川を渡ると、もう二度と戻れなくなる」

 

 ? 何を言ってるんだろう? 三途の川に来たって事は、つまり私はもう死んでるって事じゃないの?

 

「ははっ、よく分からないって顔してるね。ほら、耳を澄ませてみな。何か聞こえるだろう?」

「耳を……?」

 

 女性の言う通りに目を瞑り、耳を澄ませる。すると不思議な事に、この場では聞こえないはずの穂乃果、海未、ことり、真姫、凛、花陽、にこ、希、絵里のμ'sの歌声と友香の私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「これって……」

「さっきも言ったが、アンタはまだ死んじゃいない。まだ戻れるよ? どうする?」

「どうするって、決まってるじゃないですか。帰れるなら帰ります。皆の待ってる場所へ」

「そうかいそうかい。道は……言わなくても分かるよね?」

 

 頷いて岩から立ち上がる。多分、いや、きっとこの声が聞こえる方に行けば帰れると思う。

 

「今度はゆっくりおいでよ」

「はい。それじゃあまた」

 

 女性も立ち上がると、どこからともなく鎌を取り出し肩に掛ける。

 

『奇跡それは今さここなんだ』

 

 あぁ穂乃果達の声が聞こえる。そして

 

『お姉ちゃん』

 

 友香の声も……

 

 そして私は自分の意識が浮き上がるのを感じた。

 

「お姉……ちゃん……?」

「ゆ……か……?」

 

 あれ? 声が全然出ない。おかしい。て言うか私の部屋じゃないみたいだけど、ここどこよ?

 それに心なしか友香の身長伸びてない? なんで友香は泣いてるのさ。誰かに虐められたか。よし、私が懲らしめるから名前を言いなさい。

 

「おか、お母さん。起きたよ! お姉ちゃんが起きた!」

 

 起きたって、そりゃあ生きてれば寝て起きてを繰り返すでしょうに……電話?

 

「友実……?」

「お姉ちゃん……?」

 

 む? この声は真姫に穂乃果かな?……て、痛っ! 声の方を向こうとしたらなぜか身体が固まった様に動かしづらいぞ? 寝る前何してたっけ……寝る前? 違う。確か講堂でのライブが終わった日の帰り、友香が車に撥ねられそうになって……思い出した。友香を突き飛ばして、突き飛ばして……どうなったんだ?

 

「わ、たし……どう、なった、の?」

 

 まだ上手く出ない声で視界に映る友香に聞く。

 

「お姉ちゃんは、私を庇って……それで、それで……」

 

 その時の事を思い出したのか、友香は涙を浮かべる。

 ヤバい。別に泣かせるつもりじゃなかったのに……

 

「友香。怪我、してない?」

「うん。私は大丈夫だったよ」

 

 そっか。友香に怪我がなくて良かった。だからほら、泣くんじゃないよ。頭を撫でようにも腕が上がらない。こりゃリハビリが大変そうだ。

 そんな事を考えてたら勢いよく扉の開く音が。

 

「お姉ちゃん!」

「「「「友実!」」」」

「「友実ちゃん!」」

「友実っち!」

 

 開いた扉から出入ってきたのは、声を聞く限りだとμ'sの皆と遥かな? さっき穂乃果と真姫の声がしたからそこから情報がいったのか? ま、何にせよ皆の顔が見たいな……あー首が痛い。

 

「よ……元気、だった?」

 

 やっぱりまだ声が出ないな……

 苦労した挙句、何とか視界に皆を収める。皆の目には薄っすらと涙が溜まっていた。

 

「元気だったかなんて、友実に言われたくないわよ」

「でも無事意識が戻って良かったわ」

「?」

 

 何だろう、真姫の言葉にそこはかとなく嫌な予感がする。

 

「パパが意識が戻るのは難しいって……」

 

 ……え"私ってそんなにマズイ状態だったの!?

 確認の為その場にいる全員に目を移すと、目が合った途端に頷かれた。

 

「て言うか……皆、学校は?」

「今はもう夕方よ」

 

 それにしては集まるの早かったじゃん!

 私の心の叫びが聞こえたのか、にこがちょっとドヤ顔で携帯の画面を見せてくる。そこには目の前にいる九人がトロフィーと優勝旗を持っている画像だった。

 

「「ラブライブ!」で優勝したからその報告を兼ねて皆でお見舞いに来てたのよ」

「優……勝……?」

 

 え、でも「ラブライブ!」って結局辞退したんじゃないの? 情報が足りなさ過ぎてよく分からないぞ?

 

「取り敢えず面会時間がそろそろ終わるから続きは明日にしましよ」

「はるっちの言う通りやね。あ、友実っち。ウチらが書いた日記、ここに置いて行くね」

 

 日記って何の日記だろう?

 

「それじゃあ私も帰るね」

 

 皆が帰り、今まで黙ってた友香が立ち上がろうとするのを止める。うん。少しなら動くね。

 

「友香、心配かけて、ゴメンね」

「お姉……ちゃん……」

 

「ほら、泣かないの」

「……っ! うん。うん」

 

 ハァ、本当は抱きしめたかったけど、さすがに今じゃ無理か。せめて今ある少ない体力が持つ間は、安心させる為に友香の頭を撫でよう。

 

「もう、大丈夫?」

「うん。明日は雪穂と亜里沙も連れてくるね。二人とも心配してたし」

「待ってる」

 

 友香が病室から出て行くまで見送ると、ドッと疲れが押し寄せてきた。少し無理し過ぎた、かな……?

 目を閉じるとすぐに私の意識は暗闇へと落ちていった。

 

 

 

 

 コンコン

 

 ……ん?ここは……あ、そっか。入院中だった。

 

 

『お姉ちゃんまだ寝てるのかな』

『勝手に入るのマズイよね?』

『もうちょっとロビーで待ってる?』

 

 むむ。扉の向こうから聞き覚えのある声が

 

「入って、いいよ」

 

 あ、ダメだ。喉が乾燥して碌に出ない。声届いてるよね?

 

『失礼します』

 

 声はちゃんと届いたのか、友香と雪穂、亜里沙が入って来る。

 

「いら、しゃい」

 

 にっこり笑いかけると、雪穂と亜里沙がベッドの側に駆け寄ってくる。目には昨日の穂乃果達同様涙。

 

「友実姉!」

「友実さん!」

「はいはい、二人とも、泣きなさんな」

「お姉ちゃん、はい水」

 

 お、さすが友香。気が効くねぇ。では失礼して早速一口。

 

「プハー。生き返る〜」

「友実姉。それシャレになってないから」

 

 うん。冗談で言ったら雪穂に笑いながら怒られた。

 それから今日が卒業式の三週間前と知ったり、三人が音ノ木坂に合格した事など、色々と話した。お昼の時間になり、三人は帰宅。私は病院食を食べながら昨日希が言っていた日記を読む。

 最初の日付はあの講堂ライブ、つまり私が轢かれてた日から三日後だった。日付の下に書いてある記入者は友香で、そこからμ'sと雪穂、亜里沙ちゃんが交代で書いたらしく、記入者独特の文章が綴られていた。

 

「友実入るよ〜」

 

 突然声がしたと思ったら遥と夏帆さんが入ってきた。せめて返事待とうよ。

 

「おーっす。昨日ぶり」

「えぇ昨日はありがとうございました。夏帆さんもわざわざお見舞いありがとうございます」

「いえいえいえ! 私は図書委員代表で来ましたので! あ、これお花です!」

「これはナデシコですね」

「は、はい! 東野先輩にぴったりだと思って」

 

 相変わらず夏帆さんは固いなぁ。

 

「私はバイカウツギの方が良いって言ったんだけどねぇ」

「でも三条先輩。ナデシコの方が合ってますって」

 

 遥め、あの笑顔はバイカウツギの花言葉知ってるな?

 

「それより東野先輩。聞いて下さいよ! 三条先輩凄いんですよ!」

「落ち着いて下さい。何が凄いんですか?」

「ちょ、浅田!? その話は……」

「東野先輩がいない間、委員長と副委員長の仕事を一人でこなしたんですよ!」

 

 ……はぁ!? いや、遥はやれば出来る所か、やる気になれば出来ない事は無い所かやり過ぎる所まであるけど……うん。やっぱり遥は凄いね。

 

「浅田一等兵、これで何か買ってきんしゃい」

「え、あ、はい。それでは行ってきます」

 

 あ、都合が悪くなったから夏帆さんを追い出したな?

 

「別に照れなくてもいいのに」

「うっさいよ、友実」

 

 ハハハ、そんな顔を赤くしながら言われても怖くないよ。

 

「それで? 調子はどうよ」

「んーと、真姫のお父さん曰く、明日精密検査して特に異常が無かったら少し様子見て、来週には退院だってさ」

「へー意外と早いんだ?」

「その代わり車椅子使わなきゃだし、それからもリハビリをやらないとなんだけどね〜」

 

 まぁ身体の回復は順調らしいし、あとは体力が戻れば前みたいに動けるらしい。回復の早さに脱帽だよね。

 

「そっかぁ。友実は暫く車椅子での生活か。卒業式までに降りれると良いな」

 

 卒業式か……

 

「卒業式、私出られるのかな」

「どうしたよ急に。心配?」

「いや、私って半年近く入院してたんでしょ? その、卒業に必要な出席日数足りてないんじゃないかなぁ〜って」

 

 確か音ノ木って一年の三分の一以上休むとダメなんじゃ無かったっけ? 私、それを優に越してるよね?

 

「あ、その件だったら友実の頑張り次第で回避できるよ」

「え、なぜに?」

「それはその内分かるよ。それにしてもこうやって友実と話すのは初めてだね」

「そうだね。今まで演技して話してたからね」

 

 私にしてみれば遥とあの話をしたのはつい先日でも、遥にとっては半年前の思い出か。

 

「それで?この事を皆に話す気は?」

「ん〜……ない、かな。これから私が全校生徒の前で話す機会もないし、そもそもそんなに学校行かないでしょ」

 

 記憶が合ってれば今は自宅研修期間中のハズ。亜里沙や雪穂、友香達受験生が午前中ここに来てたのもそれが理由だと思う。遥が午後に来たのは多分夏帆さんの関係かな?

 

『入るわよ〜』

 

 また扉の外から聞き慣れた声が聞こえた。

 

「友実〜起きてる〜?」

「お母さん」

 

 扉を開けて入ってきたのはやっぱりと言うか、お母さんだった。

 

「おっと、母娘の空間に私は邪魔だね! それじゃあ友実、また!」

「あ、ちょっと遥!?」

 

 行っちゃった……しかもちょうど帰って来た夏帆さんも半ば引きずられて行ったし。ちなみにお母さんはこの光景を見て笑っていた。え? 笑う所あった?

 

「友実の友達は面白いわね」

「そうかな? 割といつも通りっちゃ~いつも通りな気がするけど」

 

 あれ……? 感覚麻痺ってないか? ま、いいや。

 

「でも友実が目を覚ましてくれて良かったわ」

「うん、心配かけちゃったね。ごめんなさい」

「良いのよ。ちゃんと起きてくれたしね。それより友実、汗をかいてない?」

 

 言われてみれば。昨夜ちょっと無理した時と、今も少し無理して身体起こしてるから確かに汗はかいてる。

 

「まぁ多少なりともかいてはいるけど」

「じゃあ拭くから洋服脱ぎなさい」

「え……いいよ。自分で出来るし」

 

 この年になってまで拭いてもらうのはちょっと抵抗ある。そんな所を誰かに見られたらと思うと、ね?

 

「ふ~ん。じゃあ見ててあげるから自分で拭いてみなさい」

 

 お母さんから絞られたタオルを受け取り、背中を拭こうとする。

 

「……いっ!」

 

 途端に腕に痛みが走り、タオルを落としてしまう。

 

「ほら、まだ身体が上手く動かないんだから大人しくしなさい」

「……はーい」

 

 お母さんにタオルを返し、言われた通りに病院服を脱ぐ。

 

「お母さんまるで出来ないの解ってたみたいだった」

「お母さんもね、昔に入院した事があるから知ってたのよ」

「……イジワル」

「病み上がりが無茶言ったからよ」

 

 昔って、何時の事だろう。スクールアイドルやってた頃かな? それともそのあと?

 

「それいつの事?」

「大学生の時よ。その時はお父さんがすごく心配してくれてたわね~」

「惚気おつ」

「なによ、偶にはいいじゃない」

 

 偶になら良いけど、違う話をそれなりの頻度でするから正直飽きてる。

 

「そう言えば友実の初恋ってお父さんだっけ?」

「……そうだけど、さすがに今は違うよ?」

「へぇ~好きな人出来たんだ?」

「違う違う。お父さんに恋はしてないだけ」

 

 高校生にもなって「お父さんと結婚する~」ってのはさすがにないでしょ。

 

「お父さんが聞くと泣きそうね」

「別に。私もいつまでも子供じゃないって話だよ」

「ふ~ん。どれどれ」

「ひゃっ! ちょ、どこ触ってんの!」

「本当だ、前より少し大きくなってる」

 

 無視か! 人の胸勝手に揉んどいて無視か!

 

「まぁまぁ。落ち着かないと傷口が開くわよ。ま、それだけ声が出せれば大丈夫そうかな?」

「傷口が広がったらお母さんのせいじゃ……」

 

 そこまで話した所で拭く手が止まった。不思議に思い振り返るとお母さんにギュッと抱きしめられる。その時のお母さんは少し震えていた。

 

「お母さん……?」

「本当に生きてて良かった」

「……うん」

 

 μ'sの皆に遥、友香に雪穂、亜里沙ちゃん、図書委員の皆、そしてお母さんにお父さん。私は色んな人に心配かけちゃったなぁ。

 反省の意を込めてお母さんをギュッと抱き返す。

 一体どのくらいそうしていたのか、肌寒さを感じたのでお母さんを離し、病院服を着る。

 

「あ、そうそう。どうせ暇すると思ったからあなたのノートパソコン持って来たわよ」

「ありがとう。助かるよ」

 

 よかった。これで暇潰しが出来る。日記は友香達と遥の訪問の間に読み終わってたんだよね。日記の日付も飛び飛びで、半年間のダイジェストだったし。さてと、まずはいつものラノベ販売サイトに行ってと。

 

「あなた、親がお見舞いに来てるのによくそういう事堂々と出来るね」

「だってこの半年でどれだけの新刊が出ているのか、退院後の楽しみじゃん?」

「そう言えば友実が読んでた本の続き、友香が買っていたわよ」

 

 おぉ! 友香でかした。退院したらお金はちゃんと返すよ。

 

「失礼しまーす」

「待ちなさい!」

「穂乃果ちゃん、こういう時はノックしてから入るんだよ」

「あ、友子さんこんにちは!」

 

 ノックも無しに入って来たのは二年生三人の内の一人、穂乃果だった。その後ろから注意しながら入って来たのは海未とことりだった。二人とも相変わらず苦労してるね~。て言うか穂乃果、お母さんに挨拶する前に後ろの二人の言葉に耳を傾けようよ。

 

「あら、三人ともお見舞いありがとうね」

「いえ、幼馴染ですし、それにこれからまだ来ますので」

 

 お母さんがお礼を言うと海未は照れたように返す。穂乃果はベッドの傍の椅子に座ってこちらを見ていた。

 

「ねぇ穂乃果。まだってことはもしかして……」

「じゃあ友実、私はもう帰るけど無茶はしないようにね。じゃあまた明日」

「あ、うん。今日はありがとうね。また明日」

 

 手を振って病室から出て行くお母さん。入れ違いで入って来るμ'sの残りの六人。

 

「友実っち昨日より元気そうやね」

「そうね。顔色も昨日より良くなってるわ」

「元気になって良かったにゃ~」

「ちょ、凛。ストッ痛ってぇ!」

「にゃっ!?」

「り、凛ちゃん、いきなり飛び付いたらダメだよ」

 

 まったく、花陽の言う通りだよ。こっちはベッドの上でしかも激しい運動が出来ないんだ。そんな所へ凛のダイブ。避けられる訳ないじゃん! まぁ運良く鳩尾への直撃は避けられたけど……反撃としてデコピンを一発返した事は誰も咎められない筈。

 

「それにしても賑やかになったと言うか、喧しくなったと言うか」

「なんでまだ何も言ってない私を見ながら言うのかしら?」

「いや~別に? 深い意味はないよ」

 

 うん。なんかにこがそわそわしてるから目に入ったとか、そんなんじゃないよ?

 

「……ねぇにこ。何かあったの?」

「え、えぇちょっとね」

 

 え、何その含みのある言い方。怖いんだけど。

 

「友実、衝撃かもしれないけど、ちゃんと聞くのよ」

「え、う、うん」

「友実、このままじゃあんた、卒業できないわよ」

「……うん。知ってた」

「ほらねにこちゃん。だから言ったじゃない」

 

 一体何を言われるのかドキドキしたけど、それならさっきもその話をしたしね。にこも意外だったのか、ポカーンとしている。真姫が知ってたようににこに言う。

 

「さっきお母さんともその話をしてね。私が望むならもう一年いさせてくれるってさ」

「そうはさせないわよ」

「……へ~面白い事を言うね、絵里」

「絵里だけではありません。私達も友実に留年させる気はありませんよ」

 

 なるほど。つまりはμ'sの九人対私一人って事か。あれ? 不利じゃん。

 

「あの、出来れば退院するまで待ってもらえないかな?」

「ダメよ。入院中の方が集中できるでしょ」

 

 つまりあれですか絵里さん。私が入院中の方が身動き取れないから集中して攻撃出来る、と。意外とエグイっすよ。

 

「……ねぇ友実。もしかして何か勘違いしてない?」

「勘違い?」

「まさか遥から何も聞いてないの?」

 

 真姫とにこの言葉に首を捻る。遥からは何も聞いてないぞ? ……そう言えば、卒業の話をした時に何か言ってたな。その後のお母さんとのやり取りに衝撃を持ってかれたけど……何て言ったっけ?

 

「友実。再来週友実には卒業試験を受けてもらうわ」

「……は? 卒業試験?」

「そ。内容は高校三年間で習った事。科目は基礎科目の五教科。合計450点以上で合格よ」

「450点以上……」

 

 絵里から伝えられた卒業試験の内容に驚きながらも、過去の試験結果を思い出す。過去最高点数は450点手前。しかも偶然で取れた点数……合格無理じゃね? 普段は400越せば良い方だし。

 

「でもでも! 全教科が90点を越えたら相模野大学に特待生として入学できるんだって!」

「誰の差し金だ!」

 

 そんな好待遇、誰が裏で手を引いてるんだよ!

 

「卒業試験は絵里ちゃんと穂乃果ちゃんがお母さんに直談判して」

「大学の方は遥ちゃんが取り付けたのよ」

 

 成る程。新旧生徒会長が彩さんに直談判したのか。直談判する二人も二人だけど、それを受けちゃう彩さんも彩さんだな……え? 花陽の発言? 「さすが遥」としか言えないよね。でも

 

「全教科90点以上でしょ? 普通に考えたら無理でしょ」

 

 私は試験の順位は中の上から上の下まで取れるけど、科目ごとで見たら点数の振れ幅凄いよ? 高くて現代文と英語は90点以上が常だけど、理数系は平均前後。社会は良くて80点台、悪かったら理数並みにまで落ちる。

 

「だから入院中の今からやるんでしょ」

「あ、やるって勉強か。説得に肉体言語を使うのかと思ってた」

「一体どんな事を考えてたのよ!」

 

 思った事をそのまま言ったらにこにツッコまれた。いや、だってねぇ? 何をするか言われてなかったし。

 

「それじゃあそろそろ出ましょ。時間も時間だし」

 

 絵里の言葉に窓を見ると真っ暗だった。

 

「別にここに宿泊施設あるから泊って行く事も出来るんだけど……」

 

 真姫の提案に皆、暗い中帰るのは危険と判断し、乗ることにした。

 

「それじゃあパパに言って来るからちょっと待ってて」

 

 それだけ言って真姫は病室を出て行った。……ふむ

 

「それが彼女を見た最後の姿だった……」

「ちょ、友実! なんで怪談風に言うのよ!」

 

 悪戯半分で言ってみたら絵里から涙目で反響を受けた。だって定番じゃん?

 

 それから無事に帰って来た真姫によって、八人は別室へと移動したのだった。




【図書委員だより】
友「あ、今回は私達なんだ」
遥「まぁね。今回は結構補足箇所があるから」
友「例えば?」
遥「簡単に挙げられるものを言えば、友実が目覚めるまでの空白期、友実が聞いた歌からμ'sが駆け付けるまでの時間、バイカウツギの花言葉、そして卒業試験の四つかな?」
友「て事は今回はその四つについて話すんだよね?」
遥「ん? 関係ない話したいならそっちを話すけど?」
友「えーと、まず空白期、つまりアニメで言う二期に辺る部分だね」
遥「スルーされた……」
友「これ、本編では遥考案の日記に記されてるらしいけど、どうなの?」
遥「どうなのってまた大雑把な質問だね。まぁ答えると、μ'sの皆と友香ちゃん、雪穂ちゃん、亜里沙ちゃんの妹達(シスターズ)が二期の内容をダイジェストで日記風に書いていく、って内容だったんだけど」
友「なんで変なルビ振るのかな〜」
遥「書いてたデータが消えたらしくてね、もう諦めたらしいよ」
友「データが消えたならしょうがないね。復旧とか面倒だし」
遥「次は友実が目覚めるまでの時間か」
友「あぁこれはあれでしょ? 私が歌を聴いてから目が覚めるまでそれなりの時間が経ってたとか、そんなのでしょ?」
遥「そうそう。前回の最後で指が動いてたけど、それから暫く何も変化がなくてね。穂乃果ちゃん達が病院に着いた頃に目が覚めたんだよ」
友「とんだ御都合主義ね」
遥「まぁそんな事言ったらこの作品の殆どが御都合主義だからね。仕方ないよ」
友「次はバイカウツギの花言葉か。遥さ、意味知っててこれ選ぼうとしたよね?」
遥「えー私花言葉なんて詳しくないから知らないよー? たとえバイカウツギの花言葉が「仮面」だとしても、そんな事私が知るはずないしさー」
友「遥ギルティ」
遥「私は悪くねぇ!」
友「髪切って出直して来て」
遥「この流れ、既視感があるね」
友「まぁ前々回のあとがきでも同じ事やったからね。私と遥で」
遥「じゃあ最後行こっか。卒業試験」
友「これは約半年も入院してた私への救済措置だよね」
遥「まぁその分合格ラインが高いけどね」
友「この合格ライン、結構悩んだらしくて。最初は400点越えだったんだけど、過去の私の成績を思い出してこの点数に落ち着いたらしいね」
遥「あぁ確か最高点数は450点手前だったね」
友「それも調子が良くてその点数だから、卒業試験は結構難しかったりするんだよね〜」
遥「ま、なんとかなるっしょ。友実だし。それににこはともかく、絵里と希に教えて貰えば点数取れるだろうしね」
友「次回は飛んで、卒業試験当日の話になるね。じゃあ今回はここまで」
友遥「「バイバーイ」」
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