あれから二週間。毎日卒業試験に向けての勉強が行われた。退院自体は目が覚めた週に精密審査をして、特に異常がなかったから翌日、車椅子を使いながらも出来たんだよね。そして退院後の一週間は絵里、希、にこ、遥の受験が終わって暇な三年生四人組で一、二年生の復習と私が入院している間の授業で習ったことを、主に理数を中心に、叩き込まれた。
そして卒業試験当日。車椅子を友香に押してもらいながら、久し振りに音ノ木に登校。友香も私のお古の音ノ木の制服を着ているから二人して学院内を歩き回ってても特に違和感はない、と思う。まだ未配布のリボンは私の昔のを貸してる。制服は新しいのがまだ届いてないんだよね。
「えへへ~♪ お姉ちゃんとお揃いだ~♪」
「そうだね」
私達は三年違いだから、こうしてお揃いの制服を着て校舎内を歩く事なんてないからね。
そして押されること数分。見慣れた扉の前に辿り着く。
「友香はここで待っててね。さすがに入る訳にはいかないでしょ」
「うん……一人で大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。中入って試験受けるだけだから」
友香は頷くと車椅子から手を放す。私は車輪を手で回し、職員室に入る。もちろんノックと同時に久し振りに演技のスイッチも入れる。
「失礼します」
「おお、東野。もう大丈夫なのか?」
職員室に入るや否や、担任の笹原先生が手を振りながら近付いてくる。
「はい。ご心配おかけしました」
「まったくだ。で、話は聞いてるな?」
「はい」
その為の準備もバッチリしてきた。これで大丈夫……のハズ。それから隣の部屋に通され試験を受ける。
試験の内容は絵里達から聞いた通りの内容で、三年間の授業内容とその応用、時間は定期試験と同じ五十分、間に十分間の休憩を五教科分。それが終わり職員室に戻ると、監督として一緒にいた笹原先生に声をかけれられた。
「試験お疲れ様」
「いえ、笹原先生もお疲れ様でした。それに身体を動かさない分疲れはないですよ」
「そっか。なら車椅子から降りたら一緒にランニングでもどうだ? 体力を戻さないとだろ?」
「ありがたい提案ですが、体力はもうほぼ取り戻していますので大丈夫です」
て言うか笹原先生って担当科目数学だよね? なんで体育教師より体育教師してるんだよ……しかも断ったからか凄い残念そうにしてるし。あ、肩落として落ち込むのはいいけど、結果通知とかのこの後の詳細教えてよ!
「あら東野さん」
「あ、深山先生。お久し振りです」
机に伏してる笹原先生をどうするか迷っていると、英語教師の深山先生に声をかけられた。
「もう大丈夫なの?」
「はい。と言ってもまだ車椅子生活ですけれど」
「……そう言えば東野さん、お昼はもう?」
会釈を返したまま動かない私を見て何を思ったのか、深山先生が聞いてくる。実は試験を始めてから科目変えの十分間の休憩時間を除いて休憩は取ってない。よって今空腹状態な私です。
「まだとってないです」
「そう。私もまだだからもし良かったら一緒にどうかしら?」
なんと、お昼に誘われてしまった。でもまだ詳細聞いてないんだけど……と笹原先生をチラッと見ると目が合ってからまた顔を伏せられた。構ってちゃんか!
「あー結果は明日には通知が行くようにしておく」
「あ、ありがとうございます」
顔を伏せたまま言う笹原先生にお礼を言い、深山先生と一緒に職員室を出る……何か忘れてるような……あ、友香! そう言えば今朝家を出る時に試験が終わるまで
「あの、深山先生」
「どうしたの?」
「あの、実は知り合いと言いますか、一緒に来た人がいるのですが、その人も呼んで良いですか?」
多分友香もまだ昼食食べてないだろうし。深山先生に一言断りを入れ友香にメールを送る。
[試験終わったけど、今どこにいるの?]
さて、後は返信待ち……てもう来たし。さては友香、空腹のあまり携帯をずっと睨んでたな?
[今図書室で遊んでるよ。それよりお腹空いた]
図書室? あそこで遊ぶ物……司書室にはそれなりにあるな。でもさすがに友香一人で司書室に入れ……まさか。取り敢えずこれから食堂に向かう旨を伝える。
「お待たせしました」
「大丈夫よ。それじゃあ行きましょうか」
「はい」
そして深山先生に押してもらいながら食堂に着いた私は、自身の予想が当たってた事に頭に手を当ててしまった。そこにいたのは友香はもちろんの事、なぜか遥に絵里、希ににこの四人がいた。うん、遥は分からなくはないよ? さっき友香が図書室で遊んでたって言ってたからいる事は分かってたけど。
「そんなん友実っちの心配兼応援に決まっとるやん」
「東條さん? ナチュラルに心を読むのは辞めてください」
友香の隣に車椅子を落ち着かせながら、希に注意する。
「大方四人ともお暇だったのでしょう?」
「まぁね。にこ達の今の心配は友実の試験だけなのよ」
「で? 試験はどうだったの? この時間に昼って事はあれをやってんだ」
「えぇ。おかげで何とかなりそうです」
まぁおかげで軽く頭が痛いけどね。とまぁ色々と話しながら私は今朝お母さんに渡された弁当箱を開ける。
「……カツ……」
「私もだ……」
お母さん。確かに「勝つ」とかけるのは良いけど、試験日のお昼にカツって……胃への負担を考えようよ……それから二人分作るのが面倒だからって友香までカツって……友香も呆れるべきか、怒るべきか分からずに項垂れてんじゃん。可愛そうに。
「あの、その子は……?」
「あ、自己紹介が遅れました。私、東野友香です」
「私の自慢の妹です」
「来年からお世話になります。自慢かぁ~えへへ」
はいそこ照れない。て言うか深山先生と友香って面識ないのかな?
「東野さんの妹さん? もしかしてオープンキャンパスに参加してました?」
「はい! 今年も参加させて頂きました」
……ん? 今年"も"? あーそう言えば去年はオーキャン行くから案内してって頼まれたな。断ったけど。運の悪いことに丁度友香の自由時間の時に図書室の案内を頼まれたんだよね。
とまぁそんな感じで談笑をしつつも、お昼を済ませてから職員室に戻る深山先生を見送る。
「それで? 友実はどこの学部に行くつもりなの?」
「遥。まだ結果出てないから。それを考えるのは全教科90点以上取れてからだよ」
深山先生がいなくなったタイミングで遥が聞いてくる、大方相模野大学のどこの学部学科に行くかって事だろうね。
「でも自信あるんでしょ?」
「自信があるのは総合で450点を越してるかどうか。全教科90点以上を取れてるかは分からないよ。それより四人はどこの大学に受かったの?」
さっきのにこの言葉からして全員が受験を終わらせてるみたいだし。どこの大学行くのかな? それとも就職?
「私達は四人揃って相模野よ」
「……は?」
「まぁ皆学部は違うけどね」
「ウチは児童学部、はるっちは経済学部、えりちが国際学部、にこっちは看護学部やで」
「ちょっと待って。処理が追いついてないんだけど! て言うか、相模野って学部いくつあるのさ!」
「そう言うと思って、はい。パンフレット」
遥が鞄から相模野のパンフレットを取り出し、差し出してくる。どれどれ? 学部紹介を見るにさっきの四つに加えて教育学部、経営学部、理工学部、健康科学部などなど……いやいや相模野どんだけだよ。主に後半。
「それで? なんで皆はこんなにもある学部からその学部を選んだの?」
「皆、将来に向けての選択だよ」
「将来?」
遥が机に肘を付きながら答えてくれる。将来。皆は将来何になりたいのだろうか。
「うん。ウチは保母さんになるん」
成程。だから児童学部なのね。それにしても希が保母さんか……違和感がないのが不思議だな。さすが三女の母性担当。
「私は海外に行ってやりたい事があるのよ」
「もしかしてモデル関係?」
「なっ……!」
お、その反応は当たりか。日記にファッションショーでスカウトされた事が書いてあったからね。もしかしたらと思ったら正解だったよ。
「私もちょっとね」
言い淀むにこ。私が一番不思議だったのがにこ。いや、まぁ遥も気になるんだけどね? ただにこはアイドルを目指してた筈なのに何で看護系なのか。
「にこはアイドル目指してたんじゃないの?」
「もちろん。その夢も諦めちゃいないわよ」
「ならなんで……」
相模野にはメディア学部みたいにそっち系の学部もあるのに、にこが選んだのは看護学部。名前の通り看護を主に習う学部。アイドル系とは方向性が違い過ぎる。
「私がこの学部を選んだのはね、友実。あなたの入院が切っ掛けなのよ」
「私の?」
「そ。友実が入院した時にお見舞い以外に他に出来る事はないかって考えてね。友実みたいな人をどうにかしたいて考えたらここがピッタリだったのよ」
「にこ……」
にこの言葉に背中がむず痒くなる。なんでだろう? まぁにこが私の事を心配してたのはよく分かったからなんか嬉しい。きっと本人は認めないだろうけどね。私もそれを言わないし。
「お姉ちゃん顔赤いよ~」
「うっさい。それで遥はどうして経済学部?」
「う~ん私は別にどこでも良かったんだけどね~。だから特に勉強をしなくて済む所にしただけ」
おい、さっき「将来のため」を言った人とは同じとは思えない発言だな。まぁ遥らしいっちゃー遥らしいけど。でも行く先かぁ……
「この中だと……教育学部かなぁ」
「ほぅ、その心は?」
「先生になりたいから。てのじゃダメかな?」
「良いんじゃないかしら。私は良いと思うわよ?」
まぁ、まだ漠然と先生になりたいとしか思ってないけど。
「さてボチボチ帰りますか」
「そうね。いつまでもここで話しているわけにもいかないものね」
遥と絵里の言葉を皮切りに皆が帰り支度をする。と言ってもコート着て鞄持つだけだけどね。
それから友香に押されながら家路についた。
翌日の放課後。再び友香に押されて放課後の音ノ木に来る。目的地に着くまでにすれ違う後輩達に挨拶されたり、心配され、声をかけられた。そして着いた先はアイドル研究部の部室。そこにはμ'sの九人と遥の十人が座って私達を待っていた。
「皆お待たせ」
「それで友実。結果はどうだったのよ」
挨拶もそこそこに真姫が聞いてくる。実はお昼頃に結果がウチに届いたんだよね。で、その、皆が結果を聞きたそうにしてる所言い難いんだけど……まだ私自身結果を知らないんだよね。
「それじゃあ見て行こっか。まずは社会から!」
「なんでそこからなのよ! ていうか、まだ結果見てないってどういう事よ」
「だって、せっかく皆が協力してくれたのに私だけ先に見るなんて、そんな事……そんな事出来る訳ないじゃない!」
「友実……」
「はいはい。青春ドラマしてないで話し進めて~」
ちっ、遥に止められるとは。まぁふざけるのは大概にしてテスト結果でも見ていきますか。
「じゃあさっき言った通り社会から」
「理由は?」
「今手に取ったのが偶々社会だったから」
絵里にそう答えると、なぜか額に手を当てた。どうしたんだろ。風邪かな? まぁ良いや。
「社会の点数はっと……おぉ? 92点?」
私の不思議そうな声に一瞬ざわつくも、その点数に喜びの声を上げる。しかし92点か……不味いな。
「お姉ちゃんどうしたの?」
「ん? いやね、得意でも苦手でもない社会で92点だと、理数系が怖いなってね」
「あ……確かに」
私の言葉に再び静かになる部室。そんな中、穂乃果がパンと手を一つ叩く。
「でもさ、92点って事は一先ず安心できるね」
「まぁね。さてお次はっと……げ、数学」
さて二番目にして早速一つ目の関門が来ましたよ。普通に点数見るのが怖いんだけど……
「……ダメ! 誰か代わりに見て!」
「なんでそうなるのよ!」
「早く見なさいよね! こっちもドキドキしてるんだから!」
誰かに見る役を押し付けようとしたら、にこと真姫に怒られた。だって見るの怖いんだよ!? こんなの高校受験の時もこんな経験してないって!
「もう! 焦れったいですね!」
『あ!』
いつまでも見ない事に苛ついたのか、海未がパッとテスト用紙を引っ手繰る。それに思わず声を揃えて叫ぶ私達。それを無視して海未は
え……そんなに悪いの……?
「……友実、自分の目で確かめて下さい」
海未がテスト用紙を渡してくる。正直受け取りたくないし、見たくない。だって海未が怖い顔してるもん。
「嫌だぁ……」
「友実っちが珍しく駄々を捏ねてる!?」
「こんなお姉ちゃん初めて見た……」
嫌だぁ。見たくないよぉ! だから海未、
「良いから見なさい!」
「絶対に嫌だ!」
「なんでですか!」
「だって海未凄い怖い顔してんだもん!」
具体的にはあの夏休みの時、夜中に起こされた時の様に。
「あのですね。私が怖い顔をしているのはですね、点数が低いからではなくてですね」
目の前に持って来られた用紙がバッと開かれる。そして見せられた点数は96点……へ?
「友実が得意でもないと言っていた割に、高得点を取れた。つまり今までもやろうと思えば取れたと言う事にです」
「えっと……これは夢、じゃないよね?」
「抓ってみる?」
絵里の提案に頷き、右頬を抓られる。……痛い。って事は
「現実……!?」
「やったねお姉ちゃん!」
「96点って凄いよ!」
「さすが友実お姉ちゃん!」
友香と穂乃果、ことりが声をかけてくるも、私自身あまりの高得点に驚いてるから、何も返す事が出来ない。よし、現実から逃げよう。
「さ、次の結果に行こうか~」
「友実、現実から逃げたわね」
にこ、思考を読むんじゃない。
「え~と、次は国語か。よし満点。さ、お次はっと」
『ちょっと待ったぁ!!』
うお! まさかの全員からの待ったコール。なに!? 何かおかしい事あった!?
「今サラッと言ったけど、満点って事どういう事!?」
「そうよ! 満点って満点の事よね!?」
「真姫ちゃん落ち着いて。同じ事言ってるよ!?」
あれ何でだろう。少し混乱が起きてる……もしかしなくても私のせい?
「と、とにかく友実。見せて貰っても良い?」
「え? あ、うん」
取り敢えず絵里にテスト用紙を渡す。それから絵里は皆に回していく。
「ハラショー……」
「スピリチュアルやね……」
「本当に満点だにゃ~」
そんなに驚く事……かぁ。そうだよね。さてトリップしている絵里と希は放って置いて、次行こうかな。
「次は理科……」
さぁやって来ました第二関門。でもここまで来たらお腹括るよ。紐無しバンジーする覚悟で見ていくよ!
「せーので見るからね」
誰にともなく呟くとゴクリと唾を飲み込む。あ、ヤバい緊張してきた。
「い、行くよ。せーのっ!」
思い切り引っ張って取り出したから、思わず目も瞑っちゃった。えーと点数はっと……
「き、91!?」
ギリギリ合格点を越える事が出来た……さてあと残るは英語か……ん? 次の英語で終わりだよね? なんでもう一枚入ってんだろ……? ま、いいや。
「さてじゃあ最後の英語行くよ~」
「あんたね、さっきまでの緊張した空気はどこへ行ったのよ」
「だって英語はそこまで心配してないからね。気楽に行けるよ」
そして最後の一枚の英語を取り出す。にこじゃないけど、ほんとにさっきまでの緊張はどこに行ったのさ……
「えと、点数は93点って事は合計え~っと……」
「472点ね」
さすが絵里、計算早いね。一応封筒に残っている紙を見たらそこにも総合書いてあったや。あと小さく「あとでお話しね」と彩さんの文字が書いてあった。車椅子で理事長室まで行くのって大変じゃない?
『やったー!!』
あ、皆の叫びで気付いたけど今って結果発表の最中だった。最初に動いたのは友香。椅子から勢い良く立ち上がると、その勢いのまま飛び付いて来る。あれ? 既視感が凄いあるんだけど!? 車椅子では碌に動けず、鳩尾の少し下で受け止める。あ、これ目覚めた時の凛だの行動だ……
それからが大変だった。何でかって言うと、友香に続いて穂乃果やら凛やら、部室にいる全員が私に抱き着いてきた。もう誰が誰だか分からないくらいにワチャワチャし始めた。
唯一同じなのは私へのお祝いの言葉とボディタッチ。髪をクシャクシャされたり、わしわしされたり、頬擦りされたり。取り敢えずあとで希と穂乃果、凛にはお話しかな?
「それじゃあ私は
そう言い部室を出て行く遥。それに倣って少し時間を置いて落ち着きを取り戻した皆も、この後どこに寄っていくかの話をしながら帰り支度をしている。
「あ、私はこの後彩さんの所に行かなきゃいけないから」
「その必要はないわよ」
総合点の下に後で来るようにと一文認めてあったからね。理事長室ってなんで上にあるんだろう。車椅子で上に行くの大変なんだから。
などと考えてると、後ろから聞き覚えのある声がした。車椅子ごと振り返るとそこには彩さんが扉の前に立っていた。
「声が廊下まで漏れていたわよ」
「あ、すいません」
確かに少し騒ぎ過ぎたかもしれない。なんせ十人が大声で騒いでいたからなぁ。
「さて、これでめでたく友実ちゃんも卒業できるし、改めて言わせて貰うわね。友実ちゃんおめでとう」
「ありがとうございます」
頭を下げてお礼を言う。別に祝福に対してだけではない。この卒業試験を受けれるように計らってくれた事も含めてもお礼だ。
「それじゃあ気を付けて帰るのよ。あ、そうそう友香ちゃん」
「は、はい!」
いきなり彩さんに名前を呼ばれて背筋を伸ばす友香。そう言えば友香って不法侵入扱いになるのか。もしかしなくても怒られるよね?
続く彩さんの言葉に姉妹揃って緊張していると、彩さんが口を開く。
「その制服、似合ってるわよ」
「あ、ありがとうございます!」
彩さんに言われて満面の笑みで答える友香。その顔はどこか今までの友香と違って見えた。
「それじゃあ帰りましょうか」
絵里の一言で私達は学校から出る。なぜか家の方向が同じの穂乃果まで別れ、今は友香と二人きり。
「ねぇお姉ちゃん」
「ん?」
「相模野って確か家から遠いよね?」
「そうだね。もしかしたら一人暮らしするかもね」
資料を見た感じだと寮とかあったし、お母さん達に相談したら寮で暮らしても良いって言ってた。
「……そっか。お姉ちゃんいなくなっちゃうのか」
「いやいや。いなくなるって言っても電車で乗り継いで少しすれば会える距離だから」
「そう、だよね。うん。じゃあ毎週末遊びに行っちゃおうかな!」
いや、さすがに毎週末は勘弁してくれませんかね?
「ねえお姉ちゃん。来年から私、上手くできるかな?」
「それはスクールアイドルの事? それとも高校生活?」
「両方、かな」
「友香なら大丈夫だよ。だって私の妹だよ?」
それに雪穂に亜里沙ちゃんもいるし、何なら穂乃果達もいる。友香が孤立することはまずないと思ってる。だから私は安心して独り暮らしが出来るんだと思う。
こうして、私の残す学校行事は卒業式だけとなった。
【妹ラジオ】
友「お姉ちゃんが無事に卒業出来るみたいで良かったよ」
亜「でもそれと同時にこの作品も完結しちゃうんだよね……」
雪「うん……」
友「じゃあ少し真面目にあとがきやろうか」
雪「それだと今までが不真面目だったみたいに聞こえるんだけど」
亜「実際真面目だった回って少ないもんね」
友「無事に卒業試験に合格し、卒業する事が出来る東野友実。彼女の卒業を持ってこの物語は終わりを告げる。次回、巻き込まれた図書委員最終話。「さようなら。図書委員」」
雪「慣れない真面目風な次回予告するからよく分からないんだけど」
亜「次で最終話って事は、この【妹ラジオ】も次回が最後?」
雪「あ、確かに。友香はそこら辺どうなのか聞いてないの?」
友「え? あーうん、そうだね」
雪「なんか歯切れが悪い……何かあったの?」
友「別に? 特に何も」
亜「もしかして……今回でこのコーナーも終わり……?」
友「まったく……君のように勘のいい子供は嫌いだよ」
雪「友香、ネタに走らないで答えて。今回で終わりなの?」
友「……はぁ、そうだよ。次回は【妹ラジオ】も【図書委員だより】もない。正真正銘、「巻き込まれた図書委員」のあとがき茶番【妹ラジオ】は今回のこれで最後だよ」
亜「そんな……」
雪「そっか。だからさっき真面目にやろうって」
友「ごめん。最後まで何も知らないで、いつも通りに終わればって思ったんだけど」
亜「友香、謝らなくて大丈夫だよ。私達だって終わりの時が来る事くらい分かってたから」
雪「だね。それじゃあいつもみたく、バカみたいな茶番やってこのコーナーらしく終わろっか!」
友「だね! って賛同したいんだけど、すごく言いにくい事が……」
雪「まだ何かあったっけ?」
亜「ないと思うよ?」
友「いや〜実はね。さっきのやり取りが思いの外長くて。もう時間だってさ」
雪「え?」
亜「ん?」
友「だ、だから。もう今回のあとがき終了……」
亜「ええぇぇぇ!!」
雪「……でもまぁ、この終わり方も【妹ラジオ】っぽい、よね」
友「だね。それじゃあ最後は皆で言おっか。せーの」
『バイバーイ!』