家に帰ると三つ下の妹の友香が問題集片手に玄関で待っていた。
「お姉ちゃん!お願いがあるの!!」
「ハァ…また勉強教えてって言うんでしょ?」
「お姉ちゃん文系得意じゃん?」
ね?と可愛らしく首を傾げても無駄無駄。今日は母さんに晩御飯作るの手伝ってって頼まれてるし。
「えー!ちょっとくらい良いじゃ~ん」
「はいはい。駄々を捏ねない」
玄関で駄々を捏ねる友香を放って二階の自室へと荷物を置くと、私服に着替えてからエプロンに着替え台所に立つ。
「そう言えば音ノ木ってなくなるんだっけ?」
「んーこのままだとそうなりそう。穂乃果達や生徒会が頑張ろうとはしてるんだけどね~」
「穂乃果ちゃん達が?」
「うん。なんかスクールアイドル始めるんだってさ」
「スクールアイドル!?」
「あぶなっ!」
驚くのは良い。良いんだが!包丁を持った手を振り回した挙句床に落とすなよ!包丁もビィィィンって鳴ってるし!こっちはスリッパを履いてるからって、その下は素足なんだよ!?
「穂乃果ちゃん達もスクールアイドルやってるの!?」
「やってるけどそれがどうしたっての!」
母さんが肩を掴んで揺さぶるも、私は包丁の危機感がまだ抜けてないから思わず怒鳴り返す。ってちょっと待て?
「穂乃果達もって事はもしかして母さん他にスクールアイドルの知り合いいるの!?」
「ん~他にって言うより私達が高校生だった頃やってたのよ」
「……あ、母さんそろそろハンバーグ焼かないと晩御飯遅れるよ」
今日は友香の希望でハンバーグなんだよね。私も好きだから楽しみだよ、うん。
「ちょっと信じてないでしょ!」
「え、いや……シンジテマストモ」
「信じてないでしょ!」
あははははーだってこの母さんがスクールアイドルだって……
「はぁぁぁぁあ!?母さんがスクールアイドル!?」
「反応遅すぎでしょ!」
「二人とも煩いよ!!」
二人して叫び合ってるとリビングのドアを行き勢いよく開けて入ってきた友香に怒鳴られる。私と母さんは声を揃えて謝る。
今の時期、受験生の友香なのだ。え?あ、私も受験生だったね。忘れていたよ仕方ない笑って誤魔化そう。アッ八ハッハ!受験かぁ……嫌だなぁ受験。
「さっきの話なんだけど、母さんがスクールアイドルやってたって本当?」
「本当の話よ。なんだったら裕美香に聞いてみたら?一緒にやってたんだし」
「って事は高坂家は母娘揃ってスクールアイドルやってるんだ。てそうじゃなくて!はぁ!?」
なんかさっきから驚きで叫んでばかりな気がするも、それは置いておこう。
「一体なんなのよ。さっきから叫んでばかり」
「誰の所為だと思ってるのさ……」
「えっと……私?」
自覚のある様で何よりです。全く今までそんな話しなかったくせになんでこのタイミングで言うんだよ。あ、私がスクールアイドルの話をしたからですねはい。
「で、穂乃果ちゃん達はどう?」
「どうも何も昨日発足したばかりだし、部活申請したけど人数不足で却下したし」
「へぇ~て事はアイドル部はなくなっちゃったんだ」
「今はアイドル研究部に改名されて部員は一人」
「その事穂乃果ちゃん達は?」
「さぁ。知ってるんじゃない?っと上手く焼けたかな?」
取り敢えずその話は後でで良いかな。今は母さんの話より晩御飯だぁ!
『いただきまーす』
☆☆☆
「お姉ちゃん!」
「朝から煩いわよ、穂乃果」
「そんな事より!うちのお母さんとお姉ちゃんのお母さんと西木野さんのお母さんが揃ってスクールアイドルやってたって知ってた!?」
そんな事って、今の時間は朝早いほうだから大声出すと近所迷惑になるでしょうが!まぁ今は私一人早朝の生徒会室で作業してるから良いんだけど。
「あ~お母さんが裕美香さんとやってたのは知ってるけど、西木野さんって誰?」
「えー!お姉ちゃん西木野さん知らないの!?」
「私がなんでも知ってると思ったら大間違いよ」
私だって知らない事はたくさんある。例えば中間考査の問題とか、廃校になる事だったり。
「昨日話したピアノが上手い一年生だよ!」
「あーそう言えばそんな事言ってたね。で、返事は?」
「あ、あははは」
良い返事が貰えてないんですねわかります。
「そう言えばグループ名決まったの?」
「はぅっ……!」
あ、この反応まだ決まってないのか。でも心なしか余裕を感じるのはなぜだろうか?
「フッフッフ。実はねお姉ちゃん、昨日あれから良い案が出てね。廊下にグループ名を皆に募集しているのです!」
「あーあの箱ね。早く回収しないと生徒会に無許可で設置したとして撤去されるかもよ」
「えぇ!?それは困るよ~」
「だったら早い所申請する事ね。それくらいだったら書記の私でも許可は出せるだろうし」
「分かった!じゃあ今すぐ申請するよ!」
「はいはい。じゃあこの紙に必要事項を記入して」
全く世話の掛かる
「はい確かに受理しました。じゃあ早速その箱に生徒会印を押しにいかないとね」
「分かった!じゃあ早速行こう!」
そして生徒会室の鍵を閉めて箱が置かれている場所に行き、箱を持ち上げ印を押そうとすると
「あれ?中に紙入ってるわよ?」
「嘘!?」
「嘘ついてどうすんのよ。ほら」
箱から紙を取り出し穂乃果に渡す。穂乃果は嬉しそうに紙を受け取ると私の腕を掴み走り出す。……ん?私の腕を掴んで?
「ちょっと穂乃果!?なんで私の腕を掴むのよ!」
「お姉ちゃんも一緒に見ようよ!」
あ、これ離して貰えないパターンですね。ハァ、行き先は二年生の教室か……
「海未ちゃん!ことりちゃん!紙、入ってたよ!」
「本当ですか!」
「なんて書いてあったの?」
「まだ見てないんだ~。皆で一緒に見ようかな~って思って」
その皆の中になぜ私が入っているのか、私は不思議で堪らない。ほら回りを見てみてよ。どうして三年生の私がここにいるんだ?って視線が……ってあれ?
「あの、どうしたんですか?友実先輩」
「いえ。少しばかり視線に違和感がありまして」
「視線、ですか?」
海未がキョロキョロと回りを見回していると、ことりが何か知ってるかの様な顔で頷く。
「それはね、友実先輩。実は生徒会長さんと副会長さん、友実先輩って校内で、主に一二年生に大人気なんだよ~♪生徒会の三大美女とか言われたり、なかったり」
「び、美女……」
なぜだ……私は絢瀬さんみたいにスタイル良くないし、東条さんみたいに包容力はない。なのになぜだ!?
「あ、分かりました」
「なぜなんでしょうか園田様」
「ほら友実先輩って……学校では少しばかり演技してるじゃないですか」
「ま、まぁ多少は……」
うん
「黒髪を伸ばしてますし、口調も相まって大和撫子に見えるのでしょう」
「大和……撫子……?」
私が?海未ではなく?
「確かに髪は長いし、口調も海未のを真似てるから大和撫子っぽいだろうけど……」
「私の真似をしていたのですか」
私の項垂れた状態での呟きに海未も隣で項垂れる。
こうして二年一組には一人の
「もうそろそろグループ名見ても良いかな……」
その傍らでは穂乃果が投稿された紙を手に苦笑いしていた。
因みに友実のイメージとしては、スクフェスの桜坂しずくと綾小路姫乃を足して二で割った感じです。
では誤字脱字・感想・アドバイス諸々お待ちしております。