巻き込まれた図書委員   作:名前はまだ無い♪

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分かる。言いたい事はよく分かる。番外編書いてる暇あるならさっさと本編あげろ、と。

大丈夫です、近い内に本編あがりますので。
では穂乃果誕生日話前編どうぞ!


穂乃果birthday〜前編〜

「え?サプライズパーティ?」

 

 夏休みに入って少し、私は生徒会業務の為に生徒会室を訪れていた。もちろん絵里や希も来て三人で他愛もない話をしていた時だ。絵里に聞かされたのは明日に迫る穂乃果の誕生日パーティをサプライズで行おうといったものだった。

 

「ええ。明日はμ'sの練習も休みだし、せっかくの誕生日だもの。パーッといきたいじゃない?」

「じゃない?って言われても毎年の様に穂乃果達の誕生日祝ってるし」

「ええやん。今年は皆で楽しもう!」

 

 取り敢えず、と詳しい話を聞いてまず驚いたのはこの企画を絵里が発案した事だった。なんでも一度は友達とやってみたかったとか。子供か! まぁそれは置いといて

 

「まあやるのは良いけど、雪穂ちゃんや裕美香さん、誠さんには許可貰ってるの?」

 

 そう穂乃果の誕生日と言う事は場所は多分穂乃果の家。と言う事はだ、必然的に高坂家の人達の協力が必要不可欠になる。そこはどうなってるのか聞くと、絵里が片目でウィンクしてくる。

 

「そこは大丈夫。亜里沙が雪穂ちゃん経由で許可貰ったから」

「ちょっと待て。この話はいつ頃決まったんだ?」

「ええと…先週の練習時間の時やな」

「なぜもっと早く言わない……」

 

 これが立ち話なら私は今頃地面に四つん這いになってる自信があるぞ? 今は目の前に机があって出来ないが。

 

「もしかして友実っちまだプレゼント買ってなかったん?」

「ま、ままままさか。私が穂乃果の誕生日を忘れるとかある訳ないじゃん! お金がちょっと厳しいからってプレゼントを渋る事はしないわ!」

「お金がないのね…」

 

 やめて! そんな可哀想な人を見る様な眼で見ないで!

 

「まぁ冗談はともかく。穂乃果への誕生日プレゼントかぁ…毎年買ってるから本当にそろそろネタ切れなんだよね〜」

「じゃあこの後一緒に買い物にでも行く?」

「あら、それは良いわね」

「え、でも二人ともこの後練習じゃ…」

 

 いくら何でもそう簡単に練習を休むのはマズいだろ。しかも理由が部員じゃない私とのお出掛け。にこや海未辺りが文句を言っても不思議じゃないぞ?

 

「そうと決まったら早く仕事終わらせちゃいましょ」

「ほなウチは今から屋上行って皆に休む事言ってくるね〜」

「ちょ、希!?」

 

 制止の声が聞こえなかったのか、生徒会室から出て行く希。本当に聞こえてなかったのか? いや、あの出て行った時の顔は聞こえて敢えて無視したな?

 

「あの、友実。迷惑だったかしら?」

 

 正面で絵里が申し訳無さそうに眉を潜めて上目遣いで聞いてくる。

 

「いや、別に迷惑じゃないが、寧ろ迷惑掛けてるのは私じゃないのかと思って」

「ふふ、そんな事無いわよ。実はね、私と希もまだプレゼント決まってなくて、練習の後に買いに行く予定だったのよ」

「そうだったんだ。じゃあお言葉に甘えさせて後一緒しようかな」

 

 絵里に向かってお辞儀をすると、それを見て可笑しそうに笑う絵里。

 

「じゃあ早く終わらせないとね」

「て言ってもそんなに仕事量は無いけどね」

「え、これ結構あると思うんだけど……」

 

 私の言葉に絵里が顔を引き攣らせて書類の山を見る。山と言っても精々がファイル二つ分だ。それくらいならいつも放課後にやってる量と大差ない。なにより今は午前中だ。普段と比べて時間がある分そんなに大変な仕事ではない。証拠に私の前にある山は既に折り返し地点を過ぎている。

 

「友実って実は仕事が出来るの?」

「伊達に遥さんの下で働いてないよ」

「三条さんってそんなに働かないの?」

「寧ろ働いてる方が珍しい」

 

 そう。図書委員長の遥さんは一般業務はそんなにやらない癖に大事な場面だと誰よりも頼りになるから誰も文句を言わないんだよね。たとえ私が委員長の仕事をしていても!

 なんて事を話していると私の山は無くなり、暇になったので希の山を半分頂戴する。

 

「たっだいまー」

 

 頂戴したタイミングで希が元気よく帰って来る。どうやら上で穂乃果や凛に絡まれたのか、ちょっと疲れ気味。

 

「上手く誤魔化せた?」

「もち! ウチに掛かればチョチョイのチョイや!」

「それは良かった。じゃあ仕事(こっち)もチョチョイのチョイとやってちょうだい」

「あ、それはそれ。これはこれや」

 

 なんでだよ! しかも丁寧に左右に分ける仕草も取ってるし、細かいなオイ!

 と一人ツッコミしていると希は自身の席に座り首を傾げる。

 

「なんか、ウチの仕事の量減ってへん?」

「あー私がちょっと貰った」

 

 どうせ早く終わっても手持ち無沙汰だし、μ'sの方に行っても特に何も出来ない。なら彼女らへの負担を減らすべく働くのは当然の事。

 

「大丈夫?」

「問題ない。任せて」

「おおきに」

 

 会話をしながらも仕事を進める私達。静かに集中して仕事をする事一時間…

 

「あ"ー終わっただー」

「なに年寄り臭い声出してるのよ」

「年寄り馬鹿にするなよ? 私達の何倍も生きてるんだ。尊敬に値するよ」

「別に馬鹿にはしてないじゃない」

「まーまーお二人さんケンカしないで、な?」

 

 ケンカ?これがケンカだとしたら私はほぼ毎日の様に誰かしらとケンカしてる気がする。主に友香とだけど。

 ほら絵里もケンカ?って感じで首を捻ってるじゃないか。

 

「希、これはケンカと言うよりもそうだな……茶番やお約束が合ってる気がするぞ?」

「あり? そうなん?」

「ふふ、そうよ」

「そうならそうとはよ言ってよ〜。ウチ恥ずかしい人やん」

 

 おお。あのいつもは余裕がある希が顔を赤らめてる。これは珍しい。

 

「いや別に恥ずかしがる事はないでしょ。希がそれだけ人間関係を大事にしてるって事だし」

「もう、友実っち褒めても何も出んよ?」

「え、本当? 朝の神田明神で巫女服姿で出て来てくれないの?」

「最近は朝練で朝のお手伝い出来ひんからなぁ〜」

 

 希と謎の掛け合いをしていると絵里が鞄に荷物を仕舞い立ち上がる。

 

「ほら、二人ともいつまでも漫才してないで買い物に行くわよ」

「「はーい」」

 

 私達は絵里の後に続いて立ち上がり、三人揃って生徒会室を出る。

 

「それじゃあ先に昇降口で待ってて。鍵返してくるから」

 

 絵里が鍵を職員室に返してくる間、私と希は昇降口で何を買うかの相談をしていた。

 

「穂乃果ちゃんにはクマ耳が似合うと思うんよ」

「いやいや、あれは垂れたイヌ耳だろ」

「因みにウチが友実っちに贈るとしたら…う〜ん」

「いや、獣耳貰っても着けないからね?」

「せやな…ネコ耳とかどうや?」

「ネコ耳は凛の方が似合うだろ」

「そう言えば凛ちゃんって猫キャラなのに魚ダメで猫アレルギーなんやって」

「何そのキャラ崩壊」

「真姫ちゃんは豹?」

「ネコ耳じゃダメなのか?」

「ネコって言うより豹って感じせえへん?」

「何と無く分かるから何も言えない」

「って、貴方達何の話してるのよ!」

 

 何って穂乃果の誕生日プレゼントの話でしょ? あれ、最後の方話脱線してんじゃん。ダメだこりゃ。

 

「エリチはなんやろ?」

「キツネとか良いんじゃない? 試しにコーンって鳴いてみてよ」

「コ、コーン…て何言わせてんのよ!」

 

 絢瀬さんや、顔を赤くして怒鳴っても迫力無いですぜ? ま、これ以上絵里を弄っても怒られるのが関の山なので、さっさと買い物に行っちゃおー!

 

 と言う訳でやって来たのは電車で2.3駅離れた所にある大型デパートの如月デパート。ここは大型デパートと言うだけあって様々なものが揃っている。もちろん私も月に数回買い物目的で訪れる。

 そしてまず最初に訪れた店はと言うと

 

「ねぇ絵里お願い! これつけてさっきの台詞言って!」

「何でそうなるのよ!」

「友実っちに合うのはどれかな〜」

 

 デパートの一角を使って行われていた獣耳コーナーなる所だった。

 私はすぐにキツネ耳を手に絵里に昇降口でのリピートを頼み込む。絵里はよっぽど恥ずかしかったのか、顔を赤くしながら拒否し、希は希で私に合う耳を探している。ておい待て希! 笑顔でネコ耳を近付けるな!

 

「ええやん。意外に似合うかもよ?」

「やめて下さい。これ以上やると怒りますよ?」

「思わず敬語になるくらい怒ってるやん!」

「おやこりゃ失敬」

「じゃあ機嫌も直った所でこのネコ耳を……」

「つけません! それをつけるなら絵里にキツネ耳つけるのが先!」

 

 絵里をビシッと指すと、希のターゲットが絵里に移行する。

 

「な? エリチ。ウチからもお願い」

「…い、いくら希のお願いだからってこれだけは嫌よ!」

 

 お? 今一瞬悩んだ? 悩んだよね?

 希に目で問うと希も黙って頷き返して来る。これは押し切ればつけて貰える!!

 そうと分かったら私と希の行動は早かった。絵里に獣耳の素晴らしさの有る事無い事、無い事無い事(つまり七割嘘)の演説をした結果、ついに絵里がキツネ耳をつけてくれた。

 え? 撮影禁止? そりゃないぜとっつぁん。まぁ関係なしに撮るけどね!

 

「さて、エリチもつけた事やし。次は友実っちの番やで?」

「だいぶ時間使っちゃったから早く穂乃果の誕プレ買いに行かないとね!」

「友実?」

「………はい」

 

 くっ…誤魔化し切れなかった云々より、笑顔で肩を掴む絵理が怖い。どれくらいかって言うと寝てる所を邪魔された海未と同等かそれ以上。え、例が具体的過ぎる? 分かりやすいでしょ?

 

「ほな友実っちにはこれ!」

 

 希が笑顔で差し出したのは黒いネコ耳…こ、これを

 

「これを私につけろと…?」

「もちろんや! ついでに髪型をツインテールにしてるれるとなお良しや」

「ツインテールとかにことキャラ被るじゃん!」

 

 それにツインテールにネコ耳とか軽音部の後輩になった覚えはございません! でもまぁ

 

「つける約束はしちゃったからね。つけるよ」

「お、案外潔が良いやん」

「まぁそこら辺の線引きはしっかりしてるつもりだしね」

 

 変にゴネてもその場の空気を悪くするだけだし、それに希からは逃げられないと思うしね。

 

「それじゃあ希はこれをつけて」

 

 私がネコ耳を手に覚悟を決めていると、絵里がクマ耳を希に渡す。絵里の突然の無茶振りに狼狽えながらもクマ耳を受け取った希。

 

「希、覚悟を決めよう?」

「うぅ…なんでウチまで…」

 

 完全に私のトバッチリだね。まぁつけない事には終わりは来ないから二人してせーのでつけた。もちろん、どちらかがつけない、なんて裏切りはなかった。

 

「なんか、思いの外全員似合ってるね」

「ホンマやね」

「生徒会長が獣耳……認められないわぁ…」

「とか言いつつわ顔がニヤけてますよ。会長」

 

 ちょっと嬉しそうに笑っている絵里をパシャリと携帯で撮影しながら指摘する。すぐに絵里から消すよう言われるが、押すボタンは「消去」ではなくもちろん「保存」。ついでとばかりに希も一枚。あ、ブレた。

 

「じゃあついでにこれも買っておこうか」

 

 私が手に持ったものそれは……

 

「ウサ耳?」

「誰用?まさか穂乃果ちゃんに…?」

「まっさかー! これはにこ用だよ」

 

 私達が揃って獣耳付けてると絶対ににこはむくれる。むくれた後多分

 

「なんでにこのはないのー!」

 

 とか

 

「ま、まぁ? にこくらい可愛いのがウサ耳なんて付けたらもっと可愛くなっちゃってファンの皆を魅了しちゃうんだけどね!」

 

 とか言ってチラチラと私達の獣耳を見るんだろうなぁ。

 

「友実、顔がニヤけてるわよ?」

「ちがっ! 私にはそんな趣味はない!」

「どんな趣味よ…」

 

 そう、私は普通に男子が好き。まだ好きな人は居ないけど男子は好きだし、女子は恋愛対象外。

 

「さて、買うもの買って次行こうか」

「買うものってなんなん…?」

「ん」

 

 希の問いに黙って私含め三人の頭上を指す。その先にはキツネ耳とタヌキ耳、そしてネコ耳。

 実は今までのやり取り中全員が耳をつけたまま話していたのだ。話に夢中になってる時は気にしてないが、私の指摘によって二人はまた顔を赤くする。

 

「さて、お会計も済ませてさっさと次行こう!」

「「お、おぅ…」」

 

 ノリノリの私がおかしいのか、今までノリノリだったのに急に冷めた二人がおかしいのか。それは神のみぞ知る。

 

「次はどこに行こうかなぁ〜」

「ウチは普通のお店に行きたい」

「じゃあ次はアクセサリーショップに行きましょ」

 

 と、言う訳で絵里の提案で次はアクセサリーショップへ! でも穂乃果ってあんまりアクセ付けたりするイメージがないんだけど。

 

「ま、ウィンドウショッピングも偶には良いかな」

「お、このハートのネックレスとかええんやない?」

「あら良いじゃない」

 

 結局その場でも私は買い物はせず、絵里だけが買い物を済ませた。私はともかく、希は何を買うつもりなのだろうか?

 

「ねぇ希は何買うの?」

「ん〜とね、穂乃果ちゃんにはテディベアとかにしよかな〜って思ってん」

「テディベア…」

 

 確かに穂乃果の部屋にはそういったものが少ないから本人も喜ぶだろう。あれ? 真剣に何買おう。

 

「そんなに深く考える必要ないんじゃない? 誕生日プレゼントなんだし、穂乃果が貰って喜ぶもので良いんじゃない?」

「穂乃果が……悦ぶ?」

「友実っち、漢字が違うよ」

「って言ってもねぇ」

 

 穂乃果が喜ぶもの、か……穂乃果は何を貰ったら喜ぶのか。あー! なんで私が穂乃果への誕生日プレゼントを買うのにこんな恋する男子みたいな事を考えにゃいかんのだ! ちょっと抗議に行ってくる!

 

「友実っちどこ行くん? そっちは相談窓口やで?」

 

 なんでデパートに相談窓口があるのか、とかツッコミたいけど今は我慢。立ち止まり振り返ると絵理と希が不思議そうにこちらを見る。

 そりゃそうか、友達がいきなり相談窓口に向かって歩き出したら同じような顔をするだろう。

 

「いやぁちょっと相談窓口に抗議をね」

「抗議? なんでそんな事をしに行くの?」

 

 おう。絵理さんの純粋な疑問で胸が痛いよ。取り敢えず二人に相談しよう。

 

「穂乃果へのプレゼント何が良いか、ねぇ」

「う〜ん、さっきも言ったけど、穂乃果ちゃんが喜ぶものでええんとちゃう? 長年の付き合いなんやし、穂乃果ちゃんが欲しいもの知らんの?」

 

 むしろ長年の付き合いだからこそ迷うんだよね。生徒会室で言った「ネタ切れ」は実は本当なんだよね。昔から色々上げてるから今年は何を上げるか、本気で迷っているのだ。

 去年は今練習着として使われている「ほ」の字がプリントされたシャツを上げた。もちろん私のハンドメイド。作るのに意外と時間が掛かったのは言うまでもない事。

 今年も手作りにしようと思ったんだけど、図書委員の方で忙しく時間がうまく取れなかったのだ。まったく、遥さんもあの差し入れが無かったら海未までとはいかないけど、説教する所だったよ。それかボイコット。

 さて、話が逸れたが、とにかく今年は時間が無かった。仕方ない。ウィンドウショッピングでもしてるか。

 

「あとは友実だけね」

「ゴメンね。練習まで休ませちゃって」

「大丈夫やって。それよりまだ決まってへんならまたウィンドウショッピングしよ」

 

 本来なら練習に出ないとなのに、こうして買い物に付き合ってくれた二人は本当に優しい。

 

「ありがとう」

「ふふ、お礼を言うのはまだ早いわ」

「せやで。まだ終わってないんやから」

「そうだね。じゃあ買い物さいか〜……」

 

 い! と言おうとしてふと動きが止まる。体の動きだけでなく視線もとある一点から動かなくなる。

 

「どうしたの? 友実?」

「テンション上げ過ぎてメーターでも振り切ったん?」

 

 絵理と希が心配そうな顔をしてこちらに来るも、今はそれどころじゃない。二人を無視して目的の店に駆け込み、レジに立っている店員(なぜか驚いている)に展示されていた商品について聞く。

 

「あ、あの! あれって売り物ですかっ?」

「は、はい。本日個数限定で販売している物です。あそこに展示されているのが最後の一品でしt」

「あれ下さい!」

 

 店員が何か言っていたが、正直どうでも良い。必要な情報はあれが売り物か、否かなのだ。そしてあれは売り物、しかもラス一ときた。もうこれは買うしかないだろ。

 

「ちょっと友実。いきなり走り出してどうしたのよ」

「ウチらを無視して行くなんて、後でわしわしかな?」

 

 レジで包装されたものを受け取りお金を払っていると、絵理と希がこちらに来ながら言う。

 あの、希さん? 謝るのでわしわしだけは勘弁してもらえませんかね?

 

「その様子だと買いたい物は買えたみたいね」

「ええ。穂乃果にピッタリの物が買えたわ」

「へぇ〜友実っちは何買ったん?」

「A secret makes a woman woman.でしょ? 希」

「それの使い所今やないんやけど〜」

 

 ふふ、さてと買いたい物は買えたし次は予定通りのあれの買い物かな?パーティは明日だし。そう言えば明日の詳細は聞いてないな。

 

「ねぇ明日ってどんな段取りなの?」

 

 地下にあるスーパーに向かうエスカレーターで二人に聞くと、絵理が顎に手を当てて返してくれる。

 

「えっとね、海未とことりが一緒に水族館行くって言ってたわよ」

「て事は夕方くらいからパーティ?」

「そうね。何かマズかった?」

「いんや。夕方なら間に合うから大丈夫。これがお昼ごろって言われるとちょっと厳しかったかもしれない」

「何か用事でもあるん?」

「んー用事って程でもないかな」

 

 誤魔化すように言うと、二人とも首を傾げる。そんな二人を無視して籠に必要なものを入れていく。

 一日の猶予があるならあれを作れる。人数は多分アイドル研究部九人と私、亜里沙ちゃん、雪穂、友香、誠さんと裕美香さんくらいだろう。十五人か、多いが一日あれば間に合うはず。否、間に合わせて見せよう!

 

「友実っち、材料から作る大体のものは分かるけど、なんでこれ?」

 

 希が籠の中のとある一品を手に聞いてくる。

 

「あーそれは私個人的な買い物だよ」

 

 そう個人的な、ね。

 それから会計を済ませてから帰宅する時、私の買い物に付き合ってくれた二人にお礼も兼ねて家に招待する。

 

「ここが私の部屋よ」

 

 通したのはリビングではなく自室。正直言おう。私はあまり人に部屋を見せないタイプの人間だ。いや、ちょっと語弊があるかな。"見せない"ではなく"見せたくない"が正確だ。なぜなら

 

「凄い量の本ね」

「ホンマや。あ、これって数量限定で発売から一週間でプレミアの付いた幻の「瞳の中で」やん!」

 

 と言う訳です。私の部屋はそれなりの広さを持つものの、壁際にあるのはすべて本棚。四方の壁は扉の場所以外はすべて本棚によって埋め尽くされている。さらに言うなれば、本棚の中にはギッシリと様々な本が収納してある。種類としては純文学、ライトノベル、哲学書、歴史書、レシピ本などがある。漫画? それは別室(友香の部屋)にあるよ。

 

「あ、こっちには占い関連の本とかもあるわよ」

「ホンマや。ウチ今度手相始めよう思ってるんやけど、この本は参考になりそうや」

「二人とも引かないの?」

 

 そんな「なんで?」って顔でこっちを見るなよ。だってそうだろう? 普通の女子校生がこんな量の本を持っているんだぞ。普通引かないか?

 

「別に引かないわよ。普段のあなたを見てたら本が好きって事がよく分かるし」

「逆にあの知識の元が分かって納得したくらいや」

 

 ニッコリと笑って言う二人に何も言い返す事が出来ずに顔を背けてしまう。だって今の私の顔は絶対に赤くなっているから。

 

 それから数時間、三人で色々な話をした。明日の穂乃果のパーティの事、μ'sの練習具合の事、私の持っている本の事、遥さんの事、そしてこれからの事。

 気付けば外は暗くなっており、二人は家に帰って行った。

 

「それじゃあ明日、午後5時に穂むら集合だからね」

「ケーキ楽しみにしてるで」

「うん。じゃあまた明日。気を付けて」

 

 お互いに手を振り合って別れる。それにしても希の別れ際の言葉、やっぱり作るものはバレていたか。もしかするとあの事もバレてる? 希だしな、その可能性は捨てきれないのが怖い。

 

「お姉ちゃん。ご飯だってお母さんが」

「はいはーい。今行くね〜」

 

 後ろから聞こえた友香の声に玄関の鍵を閉めながら返事をする。さて、明日は朝から大忙しだ。

 

お試し





はいそこタイトル詐欺言わない!
穂乃果の誕生日回なのに本人出てきてないじゃん! とか突っ込んだら負けだよ!

明日後編多分あがるので大丈夫です!
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