「ふぁ~‥‥‥眠い‥‥」
オッス。転生して14年、前世の年齢と合わせると、何とまぁ、中身は32のおっさんな四ノ宮 鋼だ。
季節は春。
春眠暁を覚えず、という言葉があるが、今の俺にはまさにピッタリと言えよう。
「ね、眠い‥‥‥」
今からこんな状態だと、授業中は確実に寝てるな、俺。
「ちょっと、鋼!?真面目にやりなさいよね!?」
うるさく言ってくるのは幼馴染みの一人、菱川 六花。
真面目にって‥‥あのさぁ、菱川?そんなこと言われても眠いもんは眠いんだからしょーがないじゃんよ。真面目になんざぁやってられっか。
「アンタねぇ~‥‥。それが『生徒会副会長』の言う台詞?」
大貝第一中学生徒会副会長、それが俺の肩書きだ。因みに六花は生徒会の書記な。
春休みが終わり、中学一年だった俺達は今日から二年へと進級。
同時に、先月まで小六だった奴らは今日から中学生。
今日は新一年生の入学式・二年になった俺達と三年の始業式だ。
俺と菱川は今、新入生とその保護者を出迎えるために外へと出てきている。
「ふぁ~‥‥」
「あ~、もう‥‥!シャキッとしなさいよシャキッと!」
バシッ!と菱川が俺の背中を叩くが‥‥駄目だ、眠気が全然取れん。
何かこう‥‥‥眠気が吹き飛ぶような事でも起きれば話は別なんだけど‥‥。
「失礼します。四ノ宮副会長」
「‥‥‥んぁ?」
現れたのは、俺達と同じく生徒会の人間である十条。役職は菱川と同じく書記。
俺としては十条の方が副会長に向いてるんじゃないかと思っていたんだけど、票は何故か俺の方が多く集めてしまったという過去がある。
「生徒会長は今、忙しくて手が離せないそうで。代わりに新任の先生方を迎えに行ってきてほしいと。先生方は職員室にいらっしゃるそうです」
「りょ~か~い~‥‥‥」
職員室へ向かう俺はこのあと、一瞬で眠気が完全に吹き飛んでしまう事態に遭遇する。
○○○
「すんませ~ん、新任の先生方を迎えに来た四ノ宮ッスけど」
声をかけながら職員室へと入る。
「おーい、四ノ宮。こっちだこっち」
城戸先生が相手をしていたらしい。城戸先生の正面に座っている人達がそうなのか?俺からじゃ、まだ後頭部しか見えないけど。
「お二方。彼が今話していた、生徒会メンバーの一人、四ノ宮 鋼です」
俺も先生に続いて自己紹介をしようとした。‥‥‥‥‥が!?!
そこに居た人達があまりにもとんでもなさすぎて、一瞬だけでも心臓が止まるかと思った。‥‥‥いやいや、マジで。
「初めまして、四ノ宮君。今日からこの学校でお世話になる『呉島 光実』です」
く‥‥‥呉島 光実キターーーッ!!
マ、マジかっ!?マジでミッチー?!ヤッベ!テンション上がっちゃったよ!
「半年間だけだけど、俺もここでお世話になる教育実習生の『如月 弦太朗』だ、よろしくな!」
しかも、もう一人は如月 弦太朗だーーー!!!
ヤベェよ!これ超ヤベェ!眠気なんか完全に吹っ飛んだわ!!
だって『仮面ライダー鎧武』の呉島 光実に『仮面ライダーフォーゼ』の如月 弦太朗だぞ?!
ど、どうしよう!?頼めばサイン、貰えるかな!?
「お、おい?四ノ宮、どうした?」
城戸先生の声で我に返る俺。
「‥‥‥んん、失礼。‥‥お二人とも、ようこそ大貝第一中学へ。俺はここの生徒会で副会長を務めている四ノ宮 鋼です」
呉島先生とは普通に握手。
如月先生とは──
「「‥‥‥‥‥」」
お互い、ニィッと笑い、
まずは普通に握手
↓
次に腕相撲的に握手
↓
今度はお互いの拳を合わせ
↓
拳の上下、まずは俺が上・如月先生が下、次にその逆
そう!フォーゼ本編で如月 弦太朗がしていた『友情のシルシ』だ!‥‥‥‥‥くぅあ~~~!感動したぁ~!
「これでお前とも友達(ダチ)だな!‥‥‥けど、どうして知ってたんだ?友情のシルシのこと」
うぐっ‥‥!そ、それは‥‥。
「‥‥‥そ、それよりも!これからお二人を体育館までご案内します。そこに我が校の生徒会長が居るはずですから、軽く打ち合わせを」
本当のことを言うわけにもいかないからな、ここは誤魔化すしかない。
職員室を出て体育館までの道すがら、俺はあることを呉島先生に訊いてみた。
「‥‥あの、呉島先生?幾つか聞きたいことがあるんですけど良いッスか‥‥?」
「ん?別に構わないけど、何だい?」
「さっきから凄く気になってたんですけど、その腰に付けてるものは‥‥‥」
どう見ても『ブドウロックシード』にしか見えないんですけどねっ!?
「ああ、これ?ん~‥‥‥お守り、みたいな物かな?知り合いの科学者が作ったんだけどね」
知り合いの‥‥科学者‥‥。つまり‥‥戦極さんか!?戦極さんも居るのか!?じゃあ普通の物なわけないな!!
(そうだ‥‥)
い、一応‥‥‥『アレ』のことについても訊いてみるか‥‥。
「‥‥‥え、えっと呉島先生?『ヘルヘイム』って名前、知ってたり‥‥します‥‥?」
「ヘル‥‥ヘイム‥‥?ん~‥‥‥‥‥‥ごめん、聞いたことないな。何の名前なんだい?その、ヘルヘイム?って」
「いえいえ、何でもないです!知らないならそれで良いんです、知らないなら」
あっ、知らないんだ‥‥。ってことはヘルヘイムの脅威もないわけで‥‥。ん~‥‥ライダーファンとしては、安心したようなちょっと寂しいような‥‥‥って、ここはプリキュアの世界なんだから無くて当然なんだっつーの。
「え~っと‥‥‥」
体育館に着き、辺りを見回してみる。
皆が慌ただしく動いている中でアイツの姿を探すが、見えんなぁ~‥‥。
「おーーーい!生徒会長殿ーーーー!!」
体育館全体に響くよう叫んでみると、
「はいはーい!」
おー、居た居た。
呉島先生と如月先生のことは生徒会長に任せ、俺は皆の手伝いにまわった。
その後、入学式は滞りなく始まりを迎え、
「それでは次に、生徒会長からご挨拶を。相田生徒会長、お願いします」
進行を務めていた十条が場所を譲り、我らが生徒会長殿がその場所に立つ。
「新入生の皆さん、そして保護者の皆様、初めまして。私は大貝第一中学生徒会会長、相田 マナです!」
相田 マナ。某ワンサマー風に言うのであれば俺のファースト幼馴染みであり、本人も名乗ったとおりに大貝第一中学生徒会会長を務めている。
さて、新入生の入学式・二年三年の始業式‥‥は特に問題なく進んだので飛ばそう。‥‥‥ぶっちゃけ、そこまで語るの面倒だし。
んん‥‥!で、今は教室だ。
「それじゃあ改めて‥‥。このクラスの副担任を務めることになった呉島 光実です。皆、まずは一年間よろしく」
おぉー‥‥!ミッチー副担任‥‥!
呉島先生に如月先生‥‥、これで俺の周りに居るライダーキャラは実際に確認できているだけで三人か‥‥。‥‥‥何でプリキュアの世界で?って疑問は残るけど‥‥‥まっ、良いか!?
「では最初に。二年生の皆は来週に────ってか、城戸先生?」
「ん?」
「こういうのって、普通は担任の先生が進めることなんじゃあ‥‥‥」
「いや~。呉島先生、頼りになりそうだからこのまま進めてもらえば俺は楽できるかなぁ~と」
うわっ‥‥‥教師にあるまじき人任せな発言だ‥‥。
結局、呉島先生が進めることになった、来週のある行事についての連絡事項。
俺達は来週、社会科見学で東京にある『クローバータワー』に行くことが決まっている。
高さ999mと、前世の世界にあった東京スカイツリーよりも300m近くも高い。というか、この世界に東京スカイツリーは存在しないのだ。
因みに、クローバータワーを建設したのは俺の幼馴染みの一人である四葉 ありすの家、四葉財閥だ。
呉島先生が話を進めていくのを、俺は別のことを考えながら聞いていた。
(社会科見学‥‥‥クローバータワー‥‥‥)
何か‥‥心の奥で引っ掛かりを感じるんだよな‥‥。
予感、って言ったら良いのかな?何か、社会科見学の日に何かが起こりそう、な気がするんだよ‥‥。
(‥‥‥あ~、分かんねぇ!)
いくら考えても分からないから、分からないことは考えるの止めた!
(まっ、当日になりゃ分かるか‥‥)
一応、『アレ』も持っていくか。
☆おまけ☆
始業式も無事に終わり、教室へ戻るまでにの間にこんな一幕があった。
○○○
「あっ、鋼くんお疲れ~♪!」
保健室を通り過ぎようとしたところ、白衣を着た女性が俺に声をかけてくる。
「おう、りん姉──」
───って、ちょっと待てやコラッ。何ぞ、ここに居るはずのない人が居るんだけどよ?
「‥‥‥何でアンタがここに居んだよ、りん姉」
俺が『りん姉』と呼ぶ女性、名を沢神 りんな。
そう。『仮面ライダードライブ』に出てくる、メカニック担当のあの沢神 りんなさんだ。
何とりんなさん、この世界では俺の母方の従姉にあたる。母さんの旧姓が『沢神』だと知ったときは『‥‥まさか』と思ったけど、そのまさかだった。前に身内の集まりでりんなさんを紹介されたときは、今日の呉島先生と如月先生を見たときと同じくらいの驚きだったのを覚えている。ただこの人、ドライブ本編とは若干性格に違いがあるのかその‥‥‥たまに面倒くさいときがある。
あともう一つ。
どういうわけなのか、りんなさんは俺が転生者であることを知っている。
『あのさぁ、鋼くん鋼くん』
『ん~‥‥?何、りん姉~‥‥?』
俺がお菓子を食べながら漫画を見ていると、りん姉が一言。
『鋼くんが転生者ってのは本当のなの?』
『ぶふっ!?!』
あの時は驚きのあまり、芸人のコント並に口の中のものを吹き出しちまったぜ。
「りんなさん、うまくいきましたね♪」と菱川が言う。
「うんうん。マナちゃんと六花ちゃんのお陰よ♪」
「私は鋼くんにバレないかとビクビクだったよ~」と相田。
‥‥‥‥ん?何か、三人の会話おかしくない?何の話をしてるのか、俺には理解できないんだけど?
まさか‥‥‥いや、そんな‥‥‥でも‥‥‥‥。
「えっと‥‥‥相田に菱川?まさか二人とも‥‥‥。りん姉がここに居るって‥‥‥‥‥知ってたのか!?」
「当然♪」と、菱川ドヤ顔。
「‥‥‥‥‥」、相田は無言の苦笑い。
‥‥‥‥‥‥マジか∑( ̄Д ̄Ⅲ)
菱川はともかく、昔から嘘のが下手なはずの相田を見抜けなかったのが何気にショックなんだけど‥‥( ̄Д ̄Ⅲ)
「今日から私、大貝第一中学の保健の先生としてお世話になります☆」
俺、生徒会の副会長なのに何も聞いてねぇ~‥‥。
「そんなの当たり前じゃない。鋼へのドッキリなんだから、鋼に言うわけないでしょ?」
それはごもっとも‥‥。
「まぁ、そんなわけで鋼くん」
「‥‥ん?」
「これからよろしくね♪」
──────
追記
ドキプリの世界を舞台にしたこのお話、ドキプリ本編とは設定を異ならせている部分を作ってます。なので、この世界では鋼少年が副会長してます!