スクール・ライフ 作:高天ヶ原
ーー燃え盛る炎。草木は燃え、辺り一面見渡す限り燃えており俺の視界を紅く染める。
楽園だった場所が急変し炎によって地獄に生まれ変わった。
そんな場所にいた俺はーー俺たちはそこから逃げるためにただひたすらと走っていた。
『〇〇!だいしょうぶか!?』
『うん!』
俺の声に反応する〇〇。
俺は〇〇の手を牽いていた手を強く握りしめる。自分の手に感触が有ると同時に〇〇の存在を確認すると心の中で少しだけ安堵した。
……あの時、何が起きたか分からなかった俺は焦り混乱していた。けど〇〇が居たおかげで何とか頭が回転していた。
ーー〇〇だけでもいいから助けたいと。
その気持ちが俺の心を支え頭を働かせ出口へ向かってこうして走ることが出来ていたのかもしれない。
『もうすぐ出口だね』
『……ああ、そうだな』
周りが燃える中、走る先に見えた出口の光に俺たちは笑みをこぼしあう。心の不安が安心へと変わり安心が心を満たしてゆく。警戒、注意、緊張……心に暗示ていたものがこの瞬間全て解け俺の心は無防備になる。
ーーしかし悪魔はこの隙を逃さなかった。
『あぶない!サジ!』
『え……』
〇〇が俺の名前を叫ぶと同時に浮遊感が突然俺を襲う。
「うわっ!?」
そして、よくわからないままそのまま出口の方まで転んでしまった。
『イテテ……何すんだよ』
〇〇の方に振り返ると俺がさっきまでいた場所には炎によって根元から折れてしまった木が倒れていた。
『あっ……』
だが、そこが問題じゃない。気づいてしまった。木が俺と〇〇との壁になって〇〇と離ればなれになってしまったことに。
何よりも燃える炎によって〇〇の姿が見えないことに。
『〇〇!返事をしてくれ〇〇ー!』
声を荒らげ叫ぶが〇〇からの返事は一行に返ってこない。どうすればいいかわからない。焦りから俺の思考は停止し始める。時間もない……ヤバイ。俺がこんな所に連れてこなければこんなことには……。
(チクショウ)
再び、絶望や不安に襲われあきらめかけたそんな時、一瞬だが。
『〇〇!』
〇〇みたいな影が見えたので俺は手を伸ばそうとするがーー
***
……………。
…………。
………。
「乗っかっても起きねーなんておかしいだろ」
……体が重い。目覚めたばかりで意識はあやふやだがまるで重りでも付けられたみたいだ。
あー眠い。
「起きろ起きろ起きろー!朝だぞ~」
何か体が揺らされてる。そのせいで頭が。うえ、ちょっと気持ち悪くなってきた。
寝たいのに。
「ちぇ、これだけやって起きねーのか。なら」
体の揺れがピタッと急に収まった。ふぅ、よくわからないがこれでようやく寝れる。おやすーー
「……いい加減さっさと起きんかっ!」
「ぶへっ!?」
また夢の中戻ろうとした瞬間、突然腹に衝撃が走ったおかげで俺の意識は完全に覚醒する。
痛い腹が。
もう、誰だよ!一体!俺の安眠を妨げる奴は!
俺は目を開けた。
「おー、ようやく起きたか」
……やっぱりな。にひひと笑いながらそこには予想通りというか、いつも通り制服姿のアイツがいた。
「オハヨウゴザイマス双葉さん」
「おう。おはようだ……って双葉さんいうな!歳同じだろうが!?」
さん付けしたことに怒る双葉。大きな声を朝から出すなんて元気だなーコイツは。
「てか、重いどいて」
「うわっ、女子に重いとかいうとかマジで最悪ひくわー……つか、本当に重いの?」
「……すこしな…… 」
「……そっか」
何故か頬を染めながら退く双葉。本当女子ってわかんねー。
「……………」
「……………」
「それにしても…… 今まだ7時だろ」
「そうだな」
気まずい雰囲気を変えるべくベッドの近くに置いてある小型時計をみて俺は呟いた。
学園の予鈴が鳴るのは8時半、そして家から学園までは徒歩10分ほど掛かる。朝飯を食べたり身仕度をするのに約30分くらい。
結論→まだ余裕がある二度寝できる。
「なあ双葉」
「なんだ一矢」
「寝ていいか?」
「寝るなボケ!」
コツンと頭にチョップされる。
さっきより痛くなくないけど痛い。冗談じゃないけど冗談なのに……。
「……毎度起こしにくるのめんどくさくないか?」
「それは……仕方ねえだろ。風紀委員であるこのアタシが不登校問題児であるお前の監視に抜擢されちまったんだ。生活習慣を直すのもアタシの役目……こないで欲しいならちゃんと登校しろよな」
「ムリでーす起きれませーん」
「即答かよ!」
こっちは夜遅くまで寝る間も惜しんでゲームやアニメを消化しなければいけないんだ!双葉たちに起こして貰わなければ起きることなんて……無理です。
「それより、蓮が下で朝食作ってんだ。さっさと行くぞカズマ」
「カズマじゃなくて一矢だ。いい加減覚えてくれ」
「だったらさん付けや姫とか呼ぶのやめろよな!」
「……善処します」
「そこはやめますじゃないのか!?」
だって双葉の反応が面白いもん。やめれない。
「あーもう、さっさと行くぞ一矢」
「うぃ~」
双葉に押されながら俺は自室を出るのだった。
さて、次は登校へん。まだ、先は長い。