スクール・ライフ 作:高天ヶ原
「おーい蓮、一矢起こしてきたぞ」
「ありがとうございますお嬢様」
階段を降り居間にたどり着くと蓮が朝食の準備をしていた。
いい香りがする。
家に着いて間もないはずなのに流石は西園寺家に仕える双葉専属のメイド伊達じゃない。
半年前、コイツらが来た当初は他所の家で何やってちゃってるの?と当たり前のように思っていた。あの時は、キれたなー本当に。俺の家で何しとるんだ?って聞いたら「料理を作っているんですが、何か?」って言われたもんなー。
がしかし、今となっては俺の作る手間が省けて無駄な体力を使わなくなり楽になったと思っている。
……それに俺よりも旨いからな蓮が作る料理は。……俺の作るカップ麺より遥かに。
「おーい蓮お腹すいた~、朝食まだー?」
「!すみませんお嬢様。もうしばらくお待ちください」
近くの椅子に座りジタバタとガキのように駄々をこね出す双葉。
俺には関係ないのでそれをスルーし双葉が座っている隣の空いている椅子に座りゲーム機を取り出す。どうせコイツらによって学園に連れていかされるんだ、暇な時間は見逃さない。
「あっ、朝からゲームなんていけないんだー。アタシにもやらせろよ!」
俺がゲームをしていると興味津々に見てくる双葉。……注意しておいてやらせろって。
「お前言っとること無茶苦茶だな……」
「細かいことなんて別にいいじゃんかよ~。なっ、一緒に協力プレイしようぜ?」
「すみませんがこれは一人用です。ハードもこれしかありません」
「……そうか。だったらアタシに貸せー!」
「ちょっ!?」
同じハードがないと分かった途端俺に抱きついてゲームを取り上げようとする双葉。胸があまりないくせに少しだけある胸の感触とかで色々な意味で俺のアレがやばい。
「離れろ。てか、離れてくれー!」
必死に体をばたつかせると双葉が離れた。
「呆気ねぇな。もう、降参するのか?」
「……するわけないだろ」
降参という言葉に反応してしまった。
「なら続行だなっ!」
再び俺に抱きついてくる双葉。もうやめて欲しいと思っているそんな中。
「お嬢様、大樹字(だいじゅうじ)様」
突然背筋を凍らすような声が耳に響く。俺たちは振り返る。そこには満面の笑みを浮かべた蓮がいた。まあ、正確にはどす黒オーラも発している……俺に向けて。
『すみませんでした!』
すぐさま二人して謝る。するとオーラも少しずつ治まり。
「朝食が出来ましたので今からお持ちしますね」
そう言ってキッチンに戻っていく蓮。そしてしばらくすると。
「お待たせいたしましたお嬢様」
「おーキタキタキター!」
朝食を持ってきた。双葉のを見る限りだと洋食か。
さて俺のはなにかな。
「大樹字(だいじゅうじ)様のはこちらになります」
「おお、ありがとな」
蓮が俺の前に一つの皿を運んでくる。……いつ見ても装飾の施されていない普通の白い皿。俺は料理よりも先に皿の方に目が行ってしまった。
それも仕方ない。なぜなら昨日、双葉の家に行ったときに出された高級品を思い出してしまうと……俺の家の生活用品は全てBest priceーーその逆の安さを追い求めたものばかりを使用している。そのせいか俺の家の皿がみすぼらしく見えてしまった。
……いかんいかん。皿よりも中身(料理)が重要だ。
俺は料理を確認する。皿に載せられていたのは一匹の魚だ。……ふむ。
小魚。身は何かに使用された後のせいでボロボロ。食べられる部分がなく、とても食べられそうなものではない。
そう、まるでーー
「ただの煮干しじゃねえか!」
俺は盛大に叫んだ。出されたのは料理ですらなかった。
「おい!蓮これってどういうことだよ!?」
「すみません大樹寺様、出すのを間違えてしまいました(にやり)」
笑みを浮かべながら逃げるようにキッチンへ戻って行き双葉と同じものを持っていく蓮。ちっ、わざとか。まあいつものことだけど。
「これで全部、蓮?」
「はい」
「お前のは分はーーありそうだな」
いつの間にか座っておりそこには蓮の朝食があったのには驚いた。
「よし、食べようぜ!」
「待て」
双葉が食べようとしたので止めた。
「……分かってるよ。一矢は変なところで真面目だからな」
「うるせえ。早く手を合わせろ」
「はいはい」
そう言いつつ、双葉は手を合わせる。よし二人とも手を合わせているな。
「いただきます」
『いただきます』
そう言って俺たちは食べ始めた。
「うめー!」
「旨いな」
「お褒めの言葉ありがとうございます」
ふむ。やはりうまいな。
***
『ごちそうさまでした』
食べ終え時刻は7時半。まだ時間はある。
「双葉」
「ん?何だ?」
「寝てきていい?」
「そのふざけた根性叩きなおそっか?」
ーー数分後
「すいふぁせんでひた。ろうだんです(すいませんでした冗談です)」
頭をグリグリとされたせいで呂律が上手く回らない。
「……はぁ。……あっ、もうこんな時間だアタシら外で待ってるからはよ制服に着替えてこい!」
「イエス、マム!」
***
「はぁ~めんどくせ~」
自室に戻り、部屋独特の空気によって睡魔に襲われるもベッドに寝間着を脱ぎ捨て、ハンガーに掛けてある自分で洗った(ここ重要)カッターシャツを着ネクタイを付け学生服を羽織る。部屋に有る窓から外を見ると二人が玄関先で待っている。
余談だが睡魔に負けて寝てしまったら蓮に扉orテレビ諸々を破損され涙目になった記憶はそう古くない思い出だ。
「はぁ」
日が眩しい。今日も長くなりそうだ。