更新速度は亀です。亀過ぎて軽く引けます。
そしてグロ注意です。
それでも宜しければ見ていって下さい。
突然だが亜人というものをご存じだろうか。
死という概念を一部を除き、超越した存在。
まあ簡単に言ってしまえば、死なない生物だ。
正確にはそれは亜人の本質では無いのだが、概ね彼らを表現するならばその言葉が相応しい。
他にも色々な能力を有している。
黒い幽霊の様なものを出せたり、亜人の声を聴くと動けなくさせたりもできる。
そんな超人的な生物である亜人だが、私は絶対になりたいとは思えない……。
亜人はその姿だけ見れば人間と何一つ変わらない。人から生まれごく普通に人間として暮らす。故に亜人は一度死ぬまで自分が亜人であると分からないのだ。
……想像してみてほしい。
昨日までごく普通に生活していた環境が一変する。家族や親友からは化け物と呼ばれ、国からは追われ、一度捕まってしまえば最期、一生研究対象として体をいじくられる日々。
そんな生物に誰がなりたいと思うのだろうか。
やはりこの世界は人間にのみ優しい。
他の生物は人間に淘汰され続けている。
どれだけ人間より優れていようと数の暴力には逆らえないのだ。
だからこそ切に思う。
この世界は間違っていると。
◆◆◆◆◆
夜の東京、老若男女あらゆる者が街中を絶えず闊歩し、客引きのお兄さんの無駄に響く傍迷惑な呼び込みや、店先から聴こえてくる少し大きめのBGM、酔った客の下品な笑い声などがこの街を賑わせる。
だがそれは飽くまで人の多い大通りくらいのもので、人通りの少ない住宅地や裏路地などはあの賑やかさが嘘のようにうってかわって静寂が支配している。
そんな静かな住宅街を一人の女性がふらふらと覚束ない足取りで歩いていた。
酔っている訳でもなく、はたまた怪我をしている訳でもない。
ただひたすらに何かを求めて彷徨い歩く。
ふらふら、ふらふらと。
彼女は無造作に伸ばされた前髪を鬱陶しそうに払い除けながらその虚ろな目で辺りを散策しながら考える。
私はこんなことを一体いつからやっているのだろうか。
日付が三十を越えた辺りから、もう数えるのをやめた。
喰種として生まれながら、類い希なる圧倒的な身体能力により、なに不自由なく生活してこれた。
襲ってくるものもある程度なら撃退できたし、顔が整っているということもあってか世渡りも難なくできていた。
ただ一つこの欠点さえなければこれからも寿命で死ぬまで暮らせていただろう。
いや彼女自身この欠点を欠点と思っていないのだから仕方のないことだ。
そう、彼女はショタリアンなのだ。
……。
…………。
ベジタリアンではなくショタリアンである。
ショタリアニズム。
一度は聞いたことがあるだろうこの言葉。日本語ではショタ肉主義と呼ばれている。
正確には十四歳以下の少年男児をショタと呼び崇め、それ以上はじじいであり喰らう価値のないカスと定めた最近喰種内で急上昇?している思想の事である。
だがショタリアンが増えることによって問題が発生した。
東京都内で喰種による子供の被害が急上昇したのだ。
これにより政府は慌てて急遽条例を発令した。
"子供の午後三時以降の外出を禁ずる"と。
この条例が発令したとき全ショタリアンは一斉に泣いたという。
そうしてショタリアンどもは絶望的な食料不足に陥ったのだ。
空腹に耐えきれず自分の思想を捨てるものや、思想を守り抜き悔いはないと死んでいくもの(この喰種は後にショタリアンの神と崇められる)など様々な行動をとった。
間違いなく彼女は後者として死んでいくだろう。
なんせ彼女はもう二ヶ月もなにも食べていないのだから。
◆◆◆◆◆
住宅街の奥へ奥へと進んでいく。
一縷の希望を込めて。
ショタリアンの神は信じる者を裏切らない。
この迷える子羊にどうか御慈悲を。
そうして頭のネジが飛びかけていたところ(いやもうすでに飛んでいるかも知れないが)にある匂いが彼女の鼻腔をくすぐった。
何とも形容しがたいこの匂い。
ただ唯一わかるのは確実にこの匂いの発信源は美味であるということだけ。
それだけで十分だった。
極限の空腹状態である彼女にとってこの匂いは抗える筈もない。
即座に走り出す。空腹の自分の何処からこんな力が出ているのか不思議なくらいの速さで走った。
何度か路地の角を曲がりたどり着いたそこにはーー
ーー幼い少年がいた。
そこで彼女の頭のストッパーは弾けとんだ。
「幼児幼児幼児幼児幼児幼児ようじようじようじようじようじヨウジヨウキヨウジヨウジッ!!!」
赫子で少年の腹部を貫き、投げ飛ばす。
中の臓器をあちこちに撒き散らしながら少年は絶命した。
「やってしまったわ。久しぶりのご馳走だったからつい勢い余って殺しちゃった」
殺す前に楽しめなかったと頬に掛かった返り血を舐めとりながら言った。
「ああ。美味しい。今まで喰べたなかで一番美味しい。やはりショタリアンの神は私を見捨てなかったわ!!」
危機迫った表情で手を合わせて神へ祈り始めるその姿は正しく狂人であった。
というかショタリアン、マジ怖い。
そうして漸く祈りを終え、メインディッシュにありつこうと思ったその時、奇妙な事が起こった。
ぼとっと何かが落ちる音、それと同時に自分の右腕の感覚が無くなった。
瞬間、激痛がからだ中を走り回り、衝撃と共に壁に打ち付けられる。
何が起こっているのか全く理解できない。
ただ分かっているのは姿の見えない何かに攻撃されているということだけ。
それでも無理矢理理解しようと辺りを入念に見渡した。
そこには信じられないものがあった。
臓器を撒き散らして死んだはずの少年がたっていたのだ。
「いってぇ。もう一生分の痛みを今味わった気がする。だからさ神様、もう俺から痛覚取っ払ってくれても良くない?」
気だるげにそう言った少年。
私が最期に見たのはそんな少年の悲しそうな瞳と包帯で全身を覆った黒い人型のナニカが腕を振り下ろそうとしている光景だった……。
◆◆◆◆◆
乱雑に散らばった
壁にめり込みながら潰れている女性だったもの。
そんな光景を見つめて少年はため息をもらす。
「これどうしよ……」
女性は喰種だからここで死んでいても多分大丈夫として、問題は自分の臓器だ。
こんなところにおいてたらヤバイし、かといって持ち歩くとか俺の精神的に問題がある。
「……はぁ」
再度もれるため息は本日何度目か。
苦労が絶えない自分の人生にまたため息をつきそうになる。
そんな俺に疑問をもったものも多いだろう。
なんでこんなに達観してるの? とか、大人っぽくて素敵!とか。
後者は俺の願望として、今、十歳である俺がこんななのは一重に転生者で実際の精神年齢的にはもう成人してるからということです! はい終わり。
でも二次創作お馴染みの神様が出てきてってやつをやっていない。記憶を消されたのかそれともそのまま転生させられたのかはわからないがまあ一応転生前の記憶が残っていることから消された訳じゃないと思う。
「……いっ……てぇ…………良くない…………?」
「真似すんなクロスケ」
黒い幽霊が何か言ってきたので即座に返す。
この黒い幽霊ーークロスケーーはIBMという名で呼ばれ、亜人にしか見えない不可視の物質で出来ているらしい。
ここでもうお気付きではあると思うのだが、何を隠そう俺は亜人なのだ。
実をいうと俺はクロスケがそんなに好きではない。
寧ろ嫌いなほうだ。
いつからだっただろうか、俺がクロスケを嫌いになったのは。
俺は生まれて直ぐに記憶が戻り、自分が死んで転生したことを理解した。
理解したとき俺に宿った感情は歓喜ではなく悲しみだった。
前の世界で俺は満足だった。
恋人はいなかったけど、心を許せる友達がいた。
あいつらとの日々は楽しくて退屈なんて皆無だった。
死因は単純に交通事故。なんの変鉄もなくこの世を去った。
転生してすぐはこの事実を受け止められずにいた。
それがいけなかった。だってそうだろ?
泣きも笑いもしない赤ん坊を普通だと言える筈がない。
当然のごとく気味悪がられ、次第にその感情は狂気へと変わっていった。
慌てて俺も取り繕ったがときすでに遅し両親は虐待し始めた。
最初は放置だった。でも次第にエスカレートしていき、俺が五歳の頃には暴力の毎日になっていた。
そんなある日、ついに母さんは勢い余って俺を殺した。
それがあんな無惨なことになるとも知らずに……。
目が覚めるとそこは地獄だった。
母さんは腹部を一薙ぎに裂かれ、中から臓器が大量の血と一緒に流れ出ていた。そして少し離れた場所で首だけがない父さんの死体も発見され、一度は怪事件としてニュースで放映去れたりもした。
その日、俺は自分が亜人であることを知った。
亜人、一度漫画で読んだことがあった程度のものだが何故かその時は即座にそう思ったんだ。
それから俺はある小さな孤児院に預けられる。
俺を親戚の誰もが預かりたがらなかったという。
孤児院での同じような境遇の子供たちとの生活は少しずつ俺の深く傷ついた心を癒していった。
だけどやはり不幸というものは続いて起きるらしい。
その孤児院を喰種が襲った。
子供を守ろうとした園長先生達が次々に殺されていき、その喰種は俺を指差してこう言ったんだ。
そうか。この美味そうな匂いはお前だったのかと。
その時、俺は頭が真っ白になり、全身の血の気がひいていくのを感じた。この事態を、いやこの喰種を呼び寄せたのは俺? 俺がこんな所にいなければこんなことにはならなかった?
そこまで考えて俺は意識を手放した。
次に目を覚ましたときもやはりそこは地獄だった。
あるものは無惨に引き裂かれ、そしてあるものは顔が潰れていた。
そしてただ一人立ち尽くす俺と黒い幽霊。
今度ははっきり見えた。
お前だったんだな。母さんや父さんを殺して、そして今、俺に優しくしてくれた仲間を殺した。
ああ。多分その日からだったな。その黒い幽霊を嫌いになったのは……。
俺は誰にも関わらないよう逃げた。
そうして今に至る。
「ああーーーーーー」
◆◆◆◆◆
真夜中、大体のものは眠りにつき明日の英気を養っている時間。
そんな中、一人の少女が静寂の満ちた空間を歩く。
時に楽しげにリズムをとり、そして時には立ち止まって空を仰ぐ。
はっきり言って異常だ。
その要因はこんな時間に出歩いているのもそうだが、それよりも彼女の容姿にある。
身体全身を包帯で覆い、大きめのフードを目深に被っている。
そんな彼女はそれでも楽しそうに夜の街を歩く。
彼女の最初の記憶は自分と全く似ていない両親との生活だった。
彼女は聡明で五歳の時にはもうその原因も分かっていた。それでも今の幸せな家庭が続けばいいと思い、何も口にしなかった。
例え両親が喰種で私が半喰種であったとしても。
でも終わりは唐突にやって来た。
それは八歳の誕生日の日、私は母と一緒にケーキを作りながら父の帰りを待っていた。
確かにケーキは食べれないがそれは気持ちの問題だと思う。
玄関が開く音がして父が慌てて入ってきた。
私と母は何事かと父に尋ねた。
父は脇腹に血をためながら、もうだめだ、見つかった。速くここから逃げよう。と言い出したのだ。
私に別段驚きはなく、ああ、とうとう見つかったのねくらいの面持ちだった。まあ父の怪我は心配だったが……。
逃げようとしたときドアを破る音がした。
その時、ことの重大さが見に染みた。
どうやら父はつけられていたようで、父と母は私を屋根裏に閉じ込め、こう笑いかけてきた。
"絶対に外に出ちゃダメよ"と。
私は屋根裏で声を押し殺しながら泣いた。
そうして一通り泣いたあと、屋根裏にある一つの手帳を発見した。
それを見て私は全てを理解した。そのあとのことはよく覚えていない。
少しだけ覚えているのは二人の男が白いスーツを赤く濡らしていたことくらい。
私は今日も夜の街を歩きながら思う。
"全てが憎い"と……。
「ああーーーーーー」
◆◆◆◆◆
東京のある区には一人の隻眼と一人の亜人がいたという。
二人の化物は奇しくも同時に空を見上げ呟いた。
「ーーーーーーはやく」
「ーーーーーーはやく」
「
「
キャラ崩壊?なにそれ美味しいの?という感じで始めましたこの作品。
大丈夫! タグで保険はかけてる!(おい)