けれど、彼の精神状態は限界寸前となってしまいました。
ガレット達は、どうやってポルを元気づけるのでしょうか?
どれ程歩いただろうか。
ポル達は一言も発しないまま、家の中を歩き続けた。
丁度、大きな礼拝堂らしき部屋に辿り着いたとき、ポルがぼそりと呟いた。
「・・・疲れたな。少し休むか」
ガレット達はこくりと頷いて、ポルの近くに座った。
「・・・」
ガレット達は、何も言わずにそっとポルの顔を覗き見る。
ポルの表情は暗く、その顔にはあまり生気が感じられない。
そんなポルを心配し、ガレットがおずおずと声をかける。
「……ねえ、ポル。ポルは今まで、どんなところを旅してきたの?」
ガレットの言葉にポルは顔を上げ、彼女を見つめる。
「・・・気になるのか?」
そう尋ねてきたポルの顔に、ほんの少しではあるが光が戻ってきた。
それが嬉しくて、ガレットは「うん!!」と力強く頷いた。
ティラミス達もポルの言葉に頷き、先程までよりもポルに近い位置に座り直した。
そんな子ども達の姿を見て、小さく微笑んだポルは、「そうだな・・・」と切り出して旅の話を始める。
大きな海を渡るため、何日も航海をしたこと。
様々な大陸を回り、たくさんの獣を倒したこと。
気球と呼ばれる不思議な乗り物に乗って、大空を旅したこと。。
ポルの話はなんとも魅力的で、ガレット達はキラキラと目を輝かせ、話を聞いていた。
ポルが立ち寄った国のお姫様を助けたときの話をすれば、「どうして付き合わなかった」と茶々を入れ、ポルに少し怒られた。
見ず知らずの村人達を盗賊から護った時の話をすれば、気が気でないというように、ぎゅうっと拳を握りしめた。
ポルの話には臨場感があり、自分自身がその場にいるような気さえした。
けれど、よくよく話を聞いてみれば、ポルが危険な目に遭っているのは、必ずといっていいほど他人のためだった。
話を聞いているうちに、彼女達はどんどんポルの人柄に惹かれていった。
一通り話を聞き終えたところを見計らって、ガレットは前々から疑問に思っていたことを、思いきってポルに尋ねてみた。
「ポルは、どうして旅をしているの?いろんなところを旅していたのは分かったけど、旅ってすごく危険でしょう?危ない目にだって遭ってきているのに、どうして旅を続けられるの?」
ポルの顔から、さっと光が引いていくのがわかった。
「ポ、ポル……?私、悪いこと聞いた?話したくないことだった?ごめんなさい……」
ガレットはポルの顔を覗き込み、申し訳なさそうに謝る。
しょんぼりとするガレットの頭を優しく撫で、ポルは静かに話し始める。
「俺は、地図にも載っていないような、小さな村で生まれたんだ……」
次回、ポルの旅の理由が明らかとなります。