「・・・それから、トルテと母さんには一度もあっていない。ただ、風の噂で母さんが死んだことだけはわかった。……殺されたらしい」
ポルがそう言うと、ガレットがそおっと尋ねてきた。
「じゃあ、妹さんは・・・?」
ポルは悲しそうにうつむき、静かに言った。
「・・分からない。母さんと一緒に殺された。一人だけ逃げられた。そんな噂は聞いたことがある。でも、どの町を探しても、見つからないんだ。。」
ポルの言葉に、ガレット達は黙り込んだ。
まさか、彼が旅をしている理由がここまで重いものだったとは。。
思っても見ないことだった。
聞いてはいけないことを聞いてしまったという罪悪感に苛まれ、ガレット達はしょんぼりと俯く。
それに気づいたポルが、すまなさそうに笑みを浮かべて「悪かった。こんな話、しない方がよかったな。。」と言い頭を撫でてくれた。
が、そんな顔をさせてしまったことに、余計に罪悪感が積もる。
しょんぼりと元気をなくしてしまったガレット達を見て、ポルは少し悲しそうな顔をする。
がその時何かを思い出したようで、ポルは腰につけていた小さめの鞄の中を探り出す。
そんなポルの様子に首をかしげていると、やっと目当てのものを見つけたらしいポルがどこか嬉しそうな顔で、ガレット達にもっと近づくようにと促した。
ガレット達がポルの近くにやって来ると、ポルは「目を瞑って、手を出してくれ」と言ってきた。
言われた通りに目を瞑り、おずおずと手を差し出す。
何かを手のひらの上にのせられ、ビックリして目を開ける。
目を開けて見てみると、そこにあったのは白い紙に包まれた四角いもの。
包みを開けてみれば、中から茶色い物体が出てくる。
ガレット達が顔を見合わせると、ポルが「食べてみろ」と言ってきた。
意を決して、スコーンが四角い物体を口の中に放り込む。
「!甘い!!」
スコーンは驚いたように目をぱちくりさせ、すぐに嬉しそうな笑顔になった。
それを見たガレット達も、それを口に含む。
甘い味が口の中一杯に広がって、ガレット達はみるみるうちに笑顔になった。
「ポル。これ、なぁに・・?」
顔をほころばせながら、レイが不思議そうに尋ねてくる。
「これは、キャラメルというお菓子なんだ。前に立ち寄った街で売っていてな、たまたま買っていたんだ」
もし、トルテに逢うことがあったなら、喜ぶと思ってな。。
そう言い、ポルは笑う。
「え。。じゃあ、私達が食べちゃダメだったんじゃ・・」
ガレットがそう言うと、スコーン達もはっとして落ち込んだ。
そんな彼女達に、ポルは優しい笑顔を浮かべながら言った。
「……いいんだ。きっと、俺はもうあいつには逢えない。。それよりも、お前達が喜んでくれたことの方が、俺は嬉しいんだ」
優しく、言い聞かせるようなその言葉に、ガレット達は少し照れたように笑った。
そんなガレット達の頭をくしゃりと撫で、ポルは立ち上がる。
「さあ、もう行くぞ。・・・早くここからでて、家まで送り帰さないとな」
その言葉に、ガレット達は力強く頷いて立ち上がり、一斉にポルに抱きついた。
「おいおい、歩きづらくないのか?」
困った顔をしつつも、ポルは優しく微笑む。
さあ、皆でここを出よう。
そう思って、一歩足を踏み出そうとした、その時。
「・・・誰」
ガレット達以外の声が、後ろから聞こえてくる。
その声に、ポルは振り返った。
そして・・・
「・・・え?」
五章、おしまいです。
ガレット達との絆もより深まり、いよいよ希望が見えてきました。
しかし、その矢先に現れた謎の人物。。
物語は、終末へ向かいます。