その正体は・・・
そこに立っていたのは、美しい一人の少女だった。
茶色い髪に、銀色の目。薄い肌に、血のように赤い真紅のドレス。。
だが、少女の髪や肌、服には飛び散ったのだろう、血液が付着している。
あどけない顔立ちをしてはいるが、彼女が何者なのか、一目でわかった。
"魔女・ザッハトルテ・・"
少女の姿に怯えたレイが、「早く逃げようよぉっ」と言ってポルの服を強めに引っ張る。
ガレット達も、ポルがわかってくれると信じていた。
しかし。
「・・・」
ポルは、少女の姿を凝視したまま、動こうとしない。
・・今のポルには、ガレット達の声など届いていなかった。
目の前にいる少女の顔を凝視する。
そして、確信した。
「・・・トルテ」
「え・・・?」
ポルのこぼした言葉にガレットは目を見開いた。
そんなガレット達の様子に気づかず、ポルは一歩少女に近づく。
「トルテ、トルテなのか・・・?俺だ、ポルだ。ポルボロン、お前の兄だ。覚えてるだろ・・?トルテ」
ポルは懐かしそうに目を細め、一歩、また一歩と少女に近づいていく。
「ポル!駄目!!」「いくな!ポル!!」「ポル!?」「やだ、行かないでよぉ!!」
ガレット達の必死の叫びも、今の彼には届かない。
ポルは迷うことなく少女のもとまで歩いていくと、その体を強く抱きしめた。
愛おしげに少女の髪を撫で、ポルは少女に話しかける。
「やっと、やっと見つけた。。俺は、ずっとお前のことを探していたんだ。・・・こんなに近くにいたんだな、トルテ。。逢いたかった・・っっ」
ザッハトルテは何も言わず、ただポルに抱きしめられている。
なんの反応も示さないザッハトルテの手に握られている物に、ポルが気づくことはない。
ザッハトルテの目が、突如赤くなる。
「ポル!離れろぉ!!!!!」
スコーンが叫んだ、次の瞬間。
ザシュッ
「・・と、るて・・・・・?」
鮮血が、ポルの脇腹辺りから飛び散った。
「やあぁぁぁぁぁ!!!」
耳をつんざくようなティラミスの絶叫が、部屋の中にこだました。
ゴポッと、ポルの口から赤い液体が溢れ出てくる。
見開かれた目は、虚ろな光に飲み込まれていく。
「と、て・・。な、で・・・」
ザシュッ ザシュッ
続けざまに、二回。
ポルの体から出た血が、ザッハトルテの体にかかった。
立っていられなくなったのか、ポルの体がずるり、と地面に落ちた。
「ポル!!!」
そう叫んで駆け寄ろうとしたガレットの腕に、レイが必死でしがみつく。
ザッハトルテはガレット達の方には目もくれず、ポルに止めをさそうと、血に濡れた包丁を振り上げた。
ガンッ
ザッハトルテの手に、飴で出来た机の一部が当たった。
ザッハトルテが、飴の飛んできた方向に顔を向ける。
とうとう姿を現わした、魔女・ザッハトルテ。
その正体はなんと、ポルの妹であるザッハトルテでした。
ポルは喜びのあまりザッハトルテを抱き締めましたが、その直後彼女の無慈悲な攻撃により、大きな傷を負うことに。。
これから、どうなっていくのでしょうか?