そう首を振るポルに、スコーンは一枚の紙を手渡した。
大人しく紙を受け取ったポルは、目を見開いた。
・・・それは、ポルの母親が彼に宛てて書いた手紙だった。
『ポル。何時もひもじい思いをさせて、ごめんなさい。。
あなたは優しい子だから何も言ってこなかったけれど、本当はあなたの方がお腹を空かせていたはず。
・・・きっと、あなたがこの手紙を読む頃、私はこの世にはいないでしょう。
私は、けして犯してはならない罪を犯してしまったの。
今年の誕生日に出す御馳走は、あなたと一緒に過ごす最期の誕生日の御馳走になるわ。
・・・私は、薬草を煎じて薬を作り、それを売ってお金をもらったの。
薬を作るのは、魔女の証としてみられる。。
でも、後悔はしていないわ。
だって、最後の最期に、あなたとトルテにとびっきり上等な猪肉を食べさせてあげることができたんですもの。
・・・ポルボロン、ザッハトルテ。
私は、あなた達のことを、天国からずっと見守っているわ。。
さようなら、私の可愛い、愛しい子ども達……
母より』
ぽたぽたと、ポルの目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
その場にしゃがみこんだポルの口から、嗚咽が漏れる。
ガレット達がいるにも関わらず、ポルは小さい子どものように泣きじゃくり始めた。
「ごめっ母さ……っ俺、なで……っ勝手に勘違いして、食べなかったっっ薬なんかつくったら、殺されるに決まってるだろ・・・!!俺の、ために。。母さん、ごめん。ごめんなさ……っっ!!」
「違うわ、ポル。ポルのお母さんはきっと、ポルとトルテさんの笑顔がみたかったの。だから、ポルのお母さんは幸せだったはず」
ガレットが、ポルを勇気づけるように声をかける。
「私も、そう思う。。ポルのお母さんは、幸せだったんじゃないかなぁ……?」
レイがそう言うと、ティラミスがその通り!!というように大きく頷いた。
「僕がもしポルのお母さんと同じ立場だったら、嬉しいもん!だって、子どもにお腹一杯食べさせてあげられたんだよ?嬉しくないわけないよ!!!」
「あんたの母さんも妹も、あんたのことを恨んでなんかいないし、あんたのせいだとも思ってない。・・・もう一度、あんたに聞く。あいつは、あの女は本当にあんたの妹なのか?あんたの妹は、あんなやつなのか?」
スコーンが、ポルに向かって訊ねかける。
ポルは少し黙ってから、首を横に振った。
「・・・違う、あいつはトルテじゃない。トルテは、あんなやつじゃない……っ」
ポルが、声を振り絞るようにしてそう叫ぶ。
それを聞いたガレット達は、ほっとして息を吐いた。
今だ泣き続けているポルの背を、スコーンが優しくさする。
ガレット達はポルをスコーンに任せて、特に意味のない雑談を話し始める。
「だから、イチゴは上をかじった後に、下から食べるんだよ・・・」
「違う違う!イチゴはこう、一気にパクンって食べるんだってば!!」
「もう、どっちでもいいんじゃないの?食べ方は、人それぞれじゃない」
「「良くない!!」」
そんなしょうもない、他愛のない雑談を聞いているうち、ポルはだんだん落ち着きを取り戻していった・・・。
子ども達最強!!
いやー、まさかまさかの子ども達のターン来ましたよ。。
意外にも役に立った子ども達。という感じですかね。
護られてばかりいるのが子どもじゃない!
時として、子どもは大人に勝らずとも劣らないようは大人びた思考を持っているんです!
偉い方の言葉で、『子どもは小さい人だ』という言葉があるのですが、僕この言葉大好きなんですよね。
子どもというのは不思議なもので、時々大人を救う一言をいってくれたりするものなんですよね。
今回は、そんな回にしてみました。
さて、物語は、いよいよ終盤へと進んでいきます。
ポル達は、無事に生きてお菓子のお家から出ることができるのでしょうか?
次回からは、第七章に入っていきます。。