お菓子のお家   作:深緑の古龍

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前回、妹と感動の再会を果たすことが出来たポル。
しかし、トルテはなぜ檻の中にいたのだろうか。。
その真相が、今回明らかとなります。


七章 ポルの妹

「お兄ちゃん、お兄ちゃん・・・!!ずっと、ずっと逢いたかったよぉ・・・!!!」

そう言って泣きじゃくるトルテを、ポルはもう離さないと言うように、より強く抱き締める。

「・・・トルテ、やっと逢えた。。俺も、ずっとお前を探し続けていた……」

そう言い、ポルはトルテの頭を優しく撫でた・・・。

 

少しして落ち着きを取り戻した二人に、ガレットはおずおずと尋ねた。

「あなたが、ザッハトルテさん……?」

トルテはガレットと視線を会わせるようにしゃがみこみ、優しく微笑みながら頷いた。

「そう。私が、ザッハトルテ。助けてくれて、ありがとう」

ポルそっくりな、優しい笑顔を浮かべているトルテを見て、スコーンが言った。

「てか、確かに似てはいるけど、全然あいつとちげーじゃん。・・・聞いてくれよ。こいつ、あんたと魔女を勘違いしてたんだぜ?始め」

スコーンに自分の失態を暴露され、ポルは「うっ……」と小さく呻いた。

そんなポルに、トルテは口を尖らせる。

「酷い!お兄ちゃん。私とあの魔女を、間違えるなんて!!」

トルテが拗ねたようにそう言うと、ポルは申し訳なさそうに「悪い……」と謝った。

しょんぼりとするポルを見て、トルテは堪えきれずにクスクス笑う。

「というかさ~、トルテさんはどうしてこんなところに?」

ティラミスがトルテに尋ねる。

「確かに。。どうして、お前がここに……?」

ポルが尋ねると、トルテはゆっくりと経緯を話し始めた。。

 

 

あの後。

母親と一緒に連れていかれた先は、魔女・ザッハトルテのいるお菓子のお家だった。

トルテは母親と共にお菓子のお家に閉じ込められ、外に出られなくなってしまった。

『こいつらさえ渡しておけば、魔女も少しの間は大人しくなるだろう』

『魔女は魔女どうし、同じ場所にいるべきだからな』

連れてきた男達は、トルテ達に対して確かにそう言っていた。

家の中に閉じ込められてしまったトルテは、魔女や子ども達に追いかけられた。

けれど、そのたびに母親が機転を利かせて、トルテを救ってくれた。

しかし、トルテと母親はとうとう魔女に捕まってしまった。

母親は、なんとかトルテを逃がそうとした。

けれど、トルテと離ればなれにされ、その後に魔女に食べられてしまった。

一方、トルテは地下洞窟の奥にある、水晶で出来たこの檻の中に閉じ込められた。魔女は、なぜかトルテを殺そうとはせず、食事まで運んできた。

肉に手を出すことはなかったが、お菓子を食べて、トルテは八年もの間 生きのびてきた。

ただひたすらに、兄であるポルが助けに来てくれることを夢見て。。

 

・・・話し終えたトルテは、疲れたように息をついた。

話を聞いたポルは、悔しそうに右手を握り締める。

「そうか。。母さんは、もう・・・。すまなかった、トルテ。八年も待たせて」

ポルがトルテに謝ると、彼女は首を振った。

「ううん、いいの。だって、お兄ちゃんは八年も、私のことを諦めずに探してくれてたんだもん。お兄ちゃん、ありがと」

そう言い、トルテは満面の笑みを浮かべる。

そんな彼女の頭を撫でてやり、ポルは立ち上がる。

「そろそろ行こう。トルテの話の通りなら、いつ魔女が来てもおかしくない」

その言葉に、ガレット達とザッハトルテは頷いた。

薄暗い地下洞窟を歩き続けること、数十分。

そこで、ガレットは奇妙なことに気づく。

「ねえ、ポル。魔女はどうして、トルテさんを閉じ込めたのかしら?普通なら、食べられてしまうはずなのに。。それに、トルテさんと同じ姿なんて、変よ」

ガレットが指摘したことは、今この場にいる全員が考えていたことだった。

確かに、おかしいのだ。

トルテが食べられることなく、八年もの間生き延びられたことも、魔女とトルテが瓜二つの姿をしていることも。

ポルは少しの間考え込んでいたが、やがて首を振った。

「俺にもわからない。。どういうことなんだ」

ポルがそう言うと、ガレット達も諦めたようにため息をついた。

その時だった。

「伏せろ!!!」

ポルはそう叫ぶや否や、ガレット達を素早く地面に伏せさせた。

訳がわからず起き上がろうとしたガレット達を、ポルは必死で押さえつける。

「体を起こすな!!伏せてろ!!!!!」

ポルの声は必死そのもので、ガレット達は大人しく従うしかなかった。

ヒュンッ

自分達のすぐ上をなにかが通りすぎる音が聞こえ、ガレット達は顔を青くする。

ポルは素早く顔をあげ、辺りを見回す。

そのすぐ横を、ナイフが通りすぎていった。

「立て!振り返らずに、走れ!!!!!」

 

ポルの大声を聞き、ガレット達は起き上がって走り出す。

しかし、トルテは行こうとしない。

「お兄ちゃんっ」

トルテがポルを呼ぶと、ポルは大声で言った。

「何してるんだ、トルテ!早く行け!!」

トルテは嫌々というように首を振り、ポルの腕にしがみつく。

いやっお兄ちゃんと一緒にいる!!やっと、やっと逢えたのに・・・!!」

自分の腕にすがりつき、泣き出す妹の腕を、ポルは乱暴に払い除ける。

トルテが驚いたように、目を丸くする。

そんな彼女を、ポルは声を荒げて怒鳴り付けた。

「行けと言ってるのが、分からないのか!?走れ!逃げろ!!!」

「っっっ」

ポルの怒鳴り声に怯え、トルテはたまらず走り出す。

タタタッ

ガレット達の姿が、見えなくなっていく。

そんな妹達の後ろ姿を、ポルは優しい笑顔を浮かべながら見送る。

「ごめんな、ガレット。ティラミス。レイ。スコーン。。お前達を家まで送り届けるって言う約束は、果たせそうにないよ。。・・・トルテ、すまない。折角逢えたのに、もう一緒にはいられないみたいだ。。でも、心配するな。この魔女は・・・」

 

ー俺が

殺すー

 

ポルはそう言い、目の前に立つ魔女・ザッハトルテに今までずっと隠し持っていた短剣を突き立てた・・・。




今までで一番長い文字数w
この章はここまでです。
さあ、ラストスパートだ、僕!!
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