お菓子のお家   作:深緑の古龍

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因みに。
この小説は、終章を入れて全十章となっています。


八章 絶望

「この魔女は・・・俺が殺す」

そう言って、ポルは目の前に立っていた魔女・ザッハトルテに、今まで隠し持っていた短剣を突き立てた。

ザシュッ

ブシャアッ

飛び散る鮮血。

生臭い鉄の香り。

肉を切り裂く確かな手応えが、ポルの手に伝わった。

・・・しかし、魔女はバッと顔をあげ、狂ったように笑い始めた。

「あは。あははhhhhhhhhhははhhh!!!!!」

血走った両目を見開き、魔女は笑う。

「くっ」

魔女の反応にゾッとし、ポルは慌てていったん離れ、距離を取る。

魔女は、まだ笑い続けている。

その笑い声は、壊れたラジオのように地下洞窟に響き渡る。

脇腹を刺されたにも関わらず、魔女が怯む様子はない。

それどころか、魔女は自らの値を傷口に持っていき、その手を傷口に押し付けた。

値に染まったその手を、魔女は自分の口許へと持っていき・・・その血を、美味しそうに舐め始めた。

ペチャペチャ

ピチャピチャ

そんな水音を鳴らしながら、魔女は自らの血をその口へと次々に運んでは飲み干していく。

「っうっぐっ」

魔女の異常な行動を目の当たりにしたポルは、吐きそうになり思わず口元を押さえた。

魔女はポルに見せつけるかのように、自身の血を啜り飲む。

吐きそうになるのをなんとか堪え、ポルは魔女に駆け寄り、心臓辺りを短剣で突き刺す。

けれど、魔女はこれも効かないようで、美味しそうに自分の血を飲み続ける。

ポルはガタガタ震えながら、叫ぶ。

「っっこの、化け物め!!!」

バッと、ポルは走り出す。

首。腹。胸・・・

次々と短剣を魔女に突き刺す。

肉が裂ける柔らかい感触が手に伝わり、短剣を捨てようとする衝動になんとか耐える。

しかし、ポルの攻撃が魔女にダメージを与えることはなかった。

「くそっ、くそっ!」

狂ったように突き刺すが、魔女は以前として笑い続けている。

そうしているうちに、ポルの方が限界を迎えてしまった。

苦しそうに肩で息をし、魔女から離れたところでポルは膝をつく。

魔女に刺された箇所から、また血が涌き出てくる。

なんとか立ち上がろうとするが、体に力が入らない。

ポルは、そのまま地面に倒れ込んでしまった。

(駄目だ。せめて、魔女を……!!)

そう思うのだか、もう指一本動かすことができなくなっていた。

血が足りないせいか、意識がだんだん遠退いていく。

ぼやける視界に映るのは、異様にゆっくり近づいてくる、魔女・ザッハトルテの姿。

どこか嬉しげに近づいてくる魔女を、ポルは次第に暗くなっていく視界で、ぼぉっと見つめる。

・・・すぐ目の前に、魔女がいる。

魔女は真っ赤な口を開き、その口を近づけてくる。

けれど、その様子はほとんどポルには見えていない。

(・・・悪い、トルテ。ガレット。スコーン。レイ。ティラミス。。俺は、もう。。せめて、お前達だけでも・・・)

視界一杯に映る赤。

そして、ポルはそこで意識を手放した・・・




ポルに最大のピンチが!!!
このまま、魔女に食べられてしまうのでしょうか?

次は、子ども達視点です。
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