そしてガレット達にすまなそうに謝り、それから少女に優しく尋ねた。
「悪かった。名前が、俺の知り合いと同じだったんだ。。良かったら、外見を教えてくれないか?」
ポルがそう尋ねると、少女はこくりと頷き、また静かに話し出した。
『・・目も肌の色も、あなたと同じ。でも、急に目が赤くなるの。髪色は似ているけど、茶色っぽかった。それから、血みたいに真っ赤なドレスを着てた・・・』
それを聞いたポルは、悲しそうにうつむき、首を振った。
「・・・違う、トルテじゃない。。トルテ、やっぱりお前は、もう……」
そう呟くポルの声は、悲しみに溢れていた。
ガレット達が心配そうにポルを見る。
声をかけたかったが、何を言ったらいいのかが分からなかった。
少女は、静かに言った。
『……早く、行って。ジョンが来る。ジョンは、足を欲しがってるの。・・右足を』
「……右、足?」
その言葉で覚醒したポルは、一瞬自分の足に視線を落とした。
・・・ここに来る前、確かに自分は怪我をしていなかった。
それなのに、さっき見た時には何故か右足に何かが引きちぎろうとして引っ掻いたような傷や、刃物か何かで引き裂こうとしたような傷が出来ていた。
その事を、ポルはずっと疑問に思っていた。
ガレット達には、掠り傷一つついてはいない。
その事事態は良いことだったが、何があってこんな傷ができたのかがわからなかった。
そして、今。
少女の発言で、ポルは自分の怪我の原因を知った。
誰のせいでこうなったのか。
これからガレット達を護る上で、しなければならないかもしれないことも。。
ポルは、少女に尋ねる。
「・・・そいつは、どうして足を狙う。しかも、右足を」
少女は答える。
『食べられたから』
「そうか。だから、右足を狙う。……自分の足にするために」
ポルの言葉に、少女は静かに頷いた。
ガレット達が、恐怖で表情をひきつらせているのがわかった。
ポルはガレット達の頭を軽く撫でてやり、質問を続ける。
「その、ジョン?を倒すすべはあるのか」
『・・・ジョンを、殺すの?』
少女がおずおずと尋ねてくる。
ポルはどこか悲しげに、その問いに答える。
「・・・ああ」
・・・。
冷たい静寂が、その場を包み込んだ。
ガレット達は、ポルのあまりにも無情なその発言に息を飲んだ。
……どうして?ポルは助かるためなら、子どもを殺すの?
だったら、私達も・・・?
先程まで考えもしなかった不安が、胸のなかで渦巻く。
もしかしたら、ポルは自分が助かるためなら、私達のことを平気で差し出すかもしれない。
そんな恐怖が、ガレット達の周りを渦巻く。
その時、ポルが口を開いた。
「・・・こいつらにまで手を出すつもりなら、俺は。。」
そう言って、ポルは苦しげに顔を歪めた。
「出来ることなら、お前達全員助けたい。だか、俺にはそんな力はない。……だから、こいつらだけでも護りたい。その為なら、俺は…」
その言葉を聞いて、ガレット達はパッと顔をあげた。
ポストは自分達を護るために、辛い選択を、その手段を検討している。
それが実行されるかどうかはわからないが、自分達に危険が迫れば、ポルはきっと。。
・・・一瞬でも彼を疑ってしまったことを、ガレット達は後悔した。
『…ジョンは昔、火傷したことがあるから。。火を使えば、逃げるかも』
少女がそう言うと、ポルは頷いた。
そしてふと思い出したように、言った。
「お前の名前をまだ聞いてなかったな。俺はポルボロンだ。お前は?」
『私は、ガナッシュ』
それを聞くとポルは軽く頷き、少女の頭を軽く撫でてやってから、小声で「ありがとう、ガナッシュ」とお礼を言った。
ポルは出口を探すためにガナッシュに別れを告げ、ガレット達とともに歩いていく。
そんなポルの後ろ姿を、ガナッシュはすこしだけ羨ましそうに見送る。
『…もし、あのとき。ポル、あなたがいたら・・・』
ガナッシュの言葉は、問いかけは届かない。
遠ざかる五人の姿を見て、ガナッシュは涙を流す。
ねぇポル、あなたは。
私達のことを、護ってくれた・・・?
ポルのお兄さんメーターがカンストしました。
こいつ、無自覚で子どもの心を掴んでやがる・・・!!