お菓子のお家   作:深緑の古龍

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ハイスペック?十一歳スコーン君まだまだ出番ですよ!


三章 ジョン

ガレット達はほっとしたが、スコーンだけはまだ顔色がはれない。

「足、診せて。手当てとかしたことあるし、こんなとこじゃ化膿とかしそう」

スコーンはそう言って、背負っていたリュックサックを下ろし、その中から救急箱を取り出した。

その様子を見たポルは「仕方ない」というように苦笑し、大人しくズボンの裾をあげた。

「!!」

ポルの足を見て、ガレット達は手で口を覆った。

スコーンは少しだけ目を見開き、すぐに手当てを始める。

「・・・あんたさ、そのうち絶対早死にするよな。人助けとかで」

「・・はは。ああ、そうだな。昔から、よく言われてる。人に構って、損するタイプだとな。。まあ、俺はそれでも構わないが」

苦笑するポルに、スコーンは少し頬を膨らませた。

「・・・ん。出来た」

そう言われ、ポルは一度立ち上がってみる。

先程まであった痛みが、嘘のようにましになっていた。

ポルはスコーンの頭を撫で、言った。

「……凄いな、痛みが軽くなった。ありがとう、スコーン」

「別に」

プイッとそっぽを向くスコーン。

それを見たティラミスとレイが、くすくすと笑う。

「あのね、スコーンはお医者さんの息子なの。だから、手当てとか得意なのよ?」

ガレットがそう説明し、ポルはなるほどと納得する。

手当てのしかたといい観察力といい、スコーンは十一歳とは思えないほど賢いし、腕もいい。

医者の息子であるというのなら、それにも納得がいった。

と、ティラミスが急にポルの服の裾を、軽く引っ張ってきた。

「どうした、ティラミス」

ポルが優しく尋ねかけると、ティラミスは何故か不安げな表情を浮かべて、蚊の泣くような声で言った。

「・・・ポル、何か。引きずっているような音、聞こえない・・?」

そう言われて、ポルは即座に耳を澄ませる。

ーりっ ズリ ズズ

何かが、迫ってきている。

その正体がなんなのか、考えなくてもわかった。

音はガレット達にも聞こえたらしく、彼女達は怯えた目でポルを見る。

ポルは素早く立ち上がり、ガレット達に言った。

「逃げろ、ジョンだ!!」

ポルが早く逃げるように諭すが、ガレット達は恐怖で動けない。

その間にも、引きずるような音は近づいてくる。

ーちょーだい。。足、ちょーだい・・ー

声まではっきり聞こえてきて、ポルは慌てたようにガレット達を怒鳴りつけた。

「逃げろ!走れ!!!!!!」

「っ」

その怒声に背を押され、ガレット達はバッと走り出す。

その後ろから、ジョンと思われる少年があり得ない勢いで迫ってくる。

ー足。アシィッッ 僕の右足、返せぇぇ!!!!!!」

ズリズリという音をたてて、ジョンは雄叫びをあげる。

その時だった。

「きゃあっっ」

足をもつれさせてしまったティラミスが、その場で勢いよくこけてしまった。

膝から血が流れ、ティラミスは痛みと恐怖で立ち上がることができない。

ポルはすぐに振り返り、ティラミスのもとへと駆け寄る。

そしてティラミスを助け起こし、背中におぶって立ち上がった。

・・否。立ち上がろうとした。

「っくっっ」

右足に激痛が走り、ポルはティラミスをおぶったままその場に崩れ落ちる。

・・・強がっていたものの、彼の足は限界を越えてしまっていた。

スコーンの手当てのお陰でましになっていたとはいえ、走れるほど回復はしていなかったのだ。

ましてや、子ども一人を抱えて走れるほどの力など、すでになかった。




スコーンヤバい。。
どうしてこうなった?
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