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にわかに盛り上がり始める店内と、それに置いてけぼりにされる自分。
高橋くんが大会に出る、それだけでこれほど騒がしくなるものなのだろうか、私と同じように、あまりこの店に慣れていないであろう人達も、周囲の知り合いと顔を見合わせている。
「センパイってばレアキャラなんですよー! 遊戯王の大会なんて、もう何年出てないですかね―」
「半年前に出たわよ。その時には、優勝きっちり持って行かれたわけだけど」
口々にキリカちゃんとアイカさんがそう言い合う。
「そりゃあそうだろう、手加減なんてまったくもってナンセンス、舐めプは失礼ってものだ」
と、高橋くんは行く。それはつまり、高橋くんは遠慮なく全力で、勝利をもぎ取りに行くということ。……高橋くんの、本気。――いつもの高橋くんは、なんというかカジュアルという感じだ、真剣ではあるし手は抜いていないものの――気は抜いている。
あくまで気分転換とか、娯楽としてとか、そういった楽しみをメインにしている面がある。きっと、本気で集中した時はもっとすごいのだろう。
「そういえば……ねぇ、貴方はさ、今発売してるTCGが何個あるか、しってる?」
「たしか……三十個?」
いいながら、チラリと高橋くんを見る、確か彼に教えてもらったのだ。三十個以上、有名どころから中堅、そしてマイナーまで、幾多ある。
視線の端で、アイカさんが頷いた。私の視線を考慮した上で――
「あいつはね」
高橋くんへ意識を向けさせるのだ。
「その全部をプレイしたことがあるの」
――全部、三十のカードゲームを、全部。中には、対戦相手がいないのではないか? というものもあるはずだ。
そもそも、この店で扱ってるカードゲームだって、十は無いはずなのだから。そしてその十全てをプレイするにしても、ルールは煩雑で、ごちゃごちゃしているはずなのに……
「その上で、もう一つ言うことがあるとすれば、――全てにおいて、センパイの実力は、アイカセンパイに勝るとも劣らない、って点ですかね」
あぁ、たしかにそれは納得だ。そんな人が、ほとんど大会に出場しない、レアキャラというのはまったくもってその通り。
だとすれば、どうしたって、“倒したい”と思ってしまう。加えて言えば彼はこのカードショップの店員、どういうふうに周りから見られているかは、高橋くんの性格を考えれば想像がつく。
――気がつけば私は、今この瞬間盛り上がりを増す店内の、一人となっているのであった。
◆
割りと融通が効く個人店ならではというか、こうして俺が穴埋めに参加するというのは、この「ねこのみー」ならではの光景だ。あまりにもレアすぎるからか、随分前から名物化しているが――ともかく。
今回のカードゲームは一年前に始まった、比較的中堅どころのカードゲームだ。とはいえ、それ故に人口は少なく、この辺り一帯でも扱っているのはうちの店だけ。プレイヤーも、いま大会に参加している面々しかいないだろう。
ついでに言えば、その参加者も、ほとんどが別のカードゲームを掛け持ちしている連中だ。
だからこそ、そちらのカードゲームプレイヤーとしての顔を知っている顔見知りが、今回の相手となるわけだが――
「ふふふ、今日は負けねぇ。この日のために必勝のデッキを組んできたのだ」
「いや必勝は無茶だろ」
それこそ、アイカですら最強のデッキなんてものは作れないのだから、勿論、俺にだって無理だ。
「今に見てろよ……」
不吉な言葉を残し、対戦相手はゆっくりとデッキをシャッフルしていく。こちらも手早く準備を済ませる。
……さて、大会に出るのは一ヶ月ぶり、このTCGをプレイするのは実に一年ぶりのこと。はっきりいって、デッキは型落ちもいいところだ。それでも――負けるつもりはない。やりようは幾らでもある、俺は、ゆっくりとデッキからカードをドローして、見る。
「はーい、それじゃあ一回戦、始めちゃってくださあい」
間延びする店長の言葉、それで十分に、意識は切り替わった。静まり返ったのは、あくまで俺の意識の中だ。未だ変わらず騒がしい、店の中にあってなお俺は一人の空間をつくり上げる。
「……お願いします」
「お願いします」
互いにそう、言葉を交わし――
勝利のために、采配を振るう。
まぁ、案の定というかなんというか、出てきたデッキは、俺へのメタを意識したデッキであった。明らかに今日のために、というか、俺が参加することになったことを想定してのデッキ。
メインのデッキは別のデッキであったから、わざわざ用意していたということだろう。とはいえ、そもそもこのデッキは一年前の型落ちで、あちらは最新のデッキだ。相性の善し悪し以前に、インフレによるデッキパワーの違いという問題がある。
結果として、バトルは終始あちら有利の展開で進んでいった。完全な防戦一方、耐えていられるのが奇跡的な状況だろう。
どれだけ手を打った所で、物理的にあちらのほうがリソースを上回っているのだ。どのカードゲームでもよくあることだが、インフレが進むと、それまでのアドバンテージの概念が完全に崩れる。
それは一年でも、ギリギリついていけるかどうかという形になるのだ。
とはいえ、それで負けていては俺の名が廃るというもの、勝利の道筋を見る、今はまだ、詰んでいない。
ついでに言えば――
「……っげ、そいつは」
俺のデッキも、マイナーチェンジをしていないわけではない。
カードゲームにおいては、昔からそのデッキを好んで使ってきているという人種はよくいる、俺がそうではないが、キリカなんかはその部類。そういうデッキを強化するパーツは、意外と新規に発売される最新弾に含まれていることもあるのだ。
ゆえにこそ、マイナーチェンジ、なんとか新しい環境でもついていけるようデッキを最適化していく。俺は基本的にデッキにこだわるタイプではないが、予算の都合上、これはそういうデッキになっているのだ。
――勝機が見えた。
これまで好転しなかった状況が、そこでようやく反転する兆しが見えたのだ。確かにこのデッキはそいつと相性が悪いだろう、ただし、それに対する対策を取っていないわけではない。
カードパワーの差にあぐらをかいたな、そのデッキと俺のデッキの相性は、少し悪い程度でしか無いんだよ、デッキの地力が同じなら……!
「……ん? あれ、わざわざなんでそんな方法で突破するんだ? もうちょっとこう、単純な手段もあっただろう」
と、そこで対戦相手がそんなことを問いかけてきた。もっともな疑問、俺の手は、わざわざ迂回路を経て裏取りをして、それでようやく達成されるプレイングだ。通常なら、上から殴ってしまえばそれで終わる。
「……はは、なんでだろうな」
俺は語らない、それ自体が駄目だというのもあるが、まずこいつなら理由にたどり着けるだろうし、――そうすることで、揺さぶりをかけるという意味もある。
「あぁ……そっか、確かにこのルートならアドバンテージが多く得られるわけか」
そういうことだ。
「やっべ、何かこれいつものパターンだぞ、嫌でもマダ……」
ぶつぶつと何事かをつぶやく相手に、俺はターンを渡す。さぁ、正念場だ――ここから一気に、詰めまで持っていくとしよう。
◆
「……この店の遊戯王最強は、間違いなくアイカセンパイです」
隣の席で繰り広げられるバトルを眺めながら、ふとキリカちゃんがそんなことを呟いた。ほとんどキリカちゃんはそのバトルに見入っているみたいで――ルールも知っていて、プレイ自体はできるらしい、カードは持っていないけれど――つぶやく言葉は、どこかぼんやりしたものだ。
この場にいないというか、浮いているというか。
「<MTG>だったらリュンみゃんさん、<デュエマ>だと、実は猫宮店長が一番強かったりします」
……あの店長さんって<デュエマ>してる人何だ、カードショップを経営しているはずなのに、なかなかカードで遊んでいるイメージが無いのだけれど。
ともあれ、キリカちゃんが何を言いたいかといえば、つまり――
「――でもそれは、アイカセンパイもリュンみゃんさんも、そのゲームを専門にプレイしているから、強いんです」
店長は他のゲームもやってますけど、とキリカちゃんは言うが、あくまでメインは<デュエマ>なのだろう。
アイカさんはつまり、遊戯王でだけ強いのだ。他のゲームはルールをそうしらないはずで、知っていても、大会で連戦連勝とはいかないだろう。
あくまで一つのカードゲームに集中しているから財力もそれに注ぎ込めて、実力だって高められる。それがふつうのコトで、どれだけ掛け持ちしていても、それら全てで強いなんていうことは、普通ならありえない。もしくは、常にどれか一つのメインに据えたTCGがあるはずなのだ。
だから――
「――でも、センパイにはそれがない。ないんですよ」
高橋くんは、全てのゲームにおいて、等しく強い。
それが、キリカちゃんの言いたいことなのだと思う。
「確かに最強はアイカセンパイです。でも、二番手か三番手、常にそこにはセンパイの影がある。<MTG>でも、<デュエマ>でも、今実際にセンパイがプレイしているゲームでも」
いえ、とキリカちゃんは頭を振った。そうして一度だけ間を置いて、神妙な顔で、それを告げる。
「この店で行われているあらゆる大会において、センパイは常に優勝を見れる位置にいる」
さすがに、三十ある全てのカードゲームでそれはできないにしろ、この店で行われている大会は十に近い――それら全てにおいて、高橋くんは、強い。
「……そんなこと、ありえるの? と、言いたいところだけど」
「アレを見ちゃえば……そう思わざるを得ないですよね」
――今、高橋くんのバトルは終局へと突入していた。対戦相手が用意した無数の手数、それら全てが高橋くんに襲いかかり、今にもライフを失おうとしている。それでも高橋くんは動じていない、既に敗北を確信してしまっているというわけではなく。あくまで淡々と、感情薄く。
むしろ、顔を曇らせるのは今も優勢なはずの対戦相手の方。
大量に用意した戦力も、もうすぐ尽きようとしている。そしてここで仕留められなかったら、間違いなく次のターンで高橋くんは勝つ。それがわかっていてもなお、相手に打開策はない、ただ突っ込むほかないのだ。
そして――
「……どうぞ」
苦虫を噛み潰しながら、ジェスチャーでターンを渡すことを宣言し、そうして最後に一つ、大きなため息をした。
耐え切った。
ライフは後一撃でも受ければゼロになる、モンスターだってほとんどいない、ここまで高橋くんは追い詰められていた。
それでも、負ける気がしない。
さっきも行ったけれど、このターンが終わった時点で相手に勝ちの目はなくなる。だがそれは、結局私の――ルールも知らない素人の――勝手な推測でしかない。
だが、その推測を間違いないと確信できるほどに、今の高橋くんは余裕に満ちていた。
「――――ファイナルターン」
ごくごくあっさりと、自然な声で――“ドローを確かめるよりも早く”、高橋くんは勝利を宣言した。
結論からいって、鮮やかとしか言い様がないコンボの連続だった。一応、まだ相手には妨害札もあったのだけれど、それすら読みきった上で、高橋くんはその一歩、いや、二歩先を言っていた。
「……この世にTCGは幾らでもあるけれど――それこそ、もう販売していない終わってしまったゲームもあるけれど。それら全てに、異常なまでに造詣が深い。あいつはそういう手合いなの」
「真性のTCGキチってやつですねー」
――そんな気はしないけれど、でも確かに、高橋くんは普段から何を趣味にしているのかよくわからない。本を読んでいる時もあれば携帯をいじっている時もある。
でもそれも、全く印象に残らない、明らかにそれが趣味と言えないくらい。だとすれば、どうだろうか。――その全てをTCGにつぎ込んでいるとするならば、全くもってそれは納得がいく。
「TCGのプレイヤーの強さを決めるのは、資産力を除けばデッキ構築能力と、プレイングよ。あいつの場合、前者は並、だけど後者に関しては、この店で並び立てる人間なんてほとんどいない」
アイカさんは、そう言いながら広げていたカードを片付け始めた。見ればそろそろ午後四時を過ぎようかというところで――かれこれ六時間ほど、私達はこの店にいたことになる。アイカさんの場合、これから色々と用事があるそうなのだ。
さすがお嬢様というか、なんというか。
「しかもあらゆるカードゲームにおいて、大体プレイングだけで戦えるレベルともなれば……まぁ、こうなるのも必然よね」
「なんていうか……すごいなぁ」
見れば、高橋くんの顔は凛としていて、今はデッキを片付けながら対戦相手と談笑をしている最中だけれども、それは遠く輝いた物に思えた。
あぁ、なんていうかアレは、手が届かない。
今までの高橋くんは私にも、誰にだって親身になってくれる気さくなカードショップの店員で、それが普段の高橋くんとも合致する。
でもアレは違う、まったくもって、私が学校で見ることのできる高橋くんとは、まるっきり別の顔なのだ。私自身、自分がこういうところでカードゲームをしているというのは意外の一言だけれども、それにしたって、輪をかけて高橋くんのそれは意外も意外。
……それだけ、違う。
あれは、それだけ違うものなのだ。
――結局、大会はそのままトントン拍子で高橋くんが勝ち抜いて、優勝。どうやら最初の一戦でギリギリではあるけれど、勝利をもぎ取れたことが好調につながったようだ。ともあれこれで今日の大会は全部終了――私の初めての大会参加も、これで後の祭りになったといえるのだろう。
◆
「……それで、疑問だったんですけど」
――ふと、大会も終わり、アルバイトとしての業務も全て終了した俺に、キリカが問いかけてきた。
既にアイカは店を出て、今は習い事にでも言っているのだろう。そこにはキリカと遊河峰の姿だけがある。
キリカはぼんやりと先ほど買ってきたばかりのオリパ――制作俺――を剥きながら、何気ない様子で続けてきた。
「一体どの辺りから、あの状況が想定できてたんです?」
それはつまり先程の大会の話だろうか。
「どの試合だよ、それともお前の試合を後ろから眺めてた時か?」
「さっき、センパイが大会に出ていた時の、緒戦です。アレが一番センパイらしかったですから」
「俺らしかった、ね」
……アレは、かなり試合展開がうまく言ったほうだといえるだろう。向こうが、こちらの予測を越えることをしてこなかった。それが大きい。
というのも単純な話、あいつは別のTCGと掛け持ちであのTCGをやっている。つまり、サブのTCGの、それも本命でないデッキだ。デッキの調整は、はっきり言ってテンプレもいいところだっただろう。とはいえ、調整が甘いということがない辺り、あいつがデッキビルドの能力が高いことを表しているのだが。
「端から見てて、アレほど鮮やかな試合展開も無いと思うんです。何ですかファイナルターンって! カイくん似合いますよねセンパイ!」
「それは褒めてるのか貶してるのかどっちだ」
「んもう、私がセンパイを悪くいうことなんてあるわけないじゃないですかー!」
くねくねっと、わざとらしいシナを作ってみせるキリカは、まぁいつものように冗談めかしている。
「……ま、あそこでうまく切り返せた時点で、だな」
「ヒュー! 絶体絶命の状況から切り抜けて、更にその先まで、あいっかわらずセンパイのデュエルって綱渡りですよね」
「計算しつくされているといってもらおうか」
囃し立てるキリカをぐいぐいと押し返し、ついでにその表紙にパックから漏れだした<剛健>にキリカが目を輝かせたところで――
「……ふふ」
遊河峰が、そうやって笑みをこぼした。
「なんだ、ようやっと笑ったのか」
「今まで緊張しきりだったから……やっと落ち着いたのかな」
ケラケラと、実に楽しそうに遊河峰は笑った。おとなしい奴だが、笑う顔は随分と明朗で、快活だ。こいつはTCGなんていうボードゲームに興味を持つ辺り、他人より少し気性がおとなしいだけなのだろう。
「うん……楽しかった」
その証拠に、こいつは隣で<剛健>を嬉しそうに掲げるキリカと同じように瞳を輝かせている。ちなみにキリカ、その<剛健>は真ん中が真っ二つに折れているぞ。
「……じゃあ、そろそろ次のステップに移ってもいい頃合いだな」
「ステップ……?」
俺の言葉に、遊河峰はことりと首を傾げてみせた。よくわからないという様子だが……まぁその通りだろう。
「俺が勝手に思っているだけだがな。親しいTCGプレイヤーには必ず聞くことにしている。そのために、俺はTCGをやっていると言ってもいい」
「……高橋くんが、TCGをする理由?」
「あぁ、そうだ」
別に神妙に、というわけではないけれど、頷く。
「なぁ、遊河峰」
俺は真正面に座る遊河峰の瞳を見る。覗きこんで、その奥へと入り込むように。――ぽかんとした顔と、けれども次の言葉を待つ瞳の感情。
――俺は、続けて。
「…………なぁ、お前は一体、どんなプレイヤーになりたい?」
その言葉に、嘘などない真の瞳に、一つの迷いが生まれたのを、俺は感じた。いきなりのことに対する困惑が、遊河峰の表情から見て取れる。
「どんな、プレイヤーに?」
「プレイヤーにも、種類がある」
俺はそう言って――今はここにいないアイカの姿を思い浮かべる。
三枝藍華、生粋のお嬢様で、完璧主義者。とにかく人見知りで自分の中での完璧を常に模索する――お陰で、周りからいらぬ勘違いも受けてしまう、そんな少女だ。どこまでも、自分に諦めを許さない――だからこそ、あいつは最強のデッキをビルドしようとしている。
いわゆるトップメタのデッキにこだわったプレイヤーであり、同時にデッキの調整へ情熱を傾ける。
そしてもう一人、花咲里桐花はドラゴンにこだわっている。何か一つの世界観、流儀にこだわるデュエリスト、こいつはいわゆるオタクで、凝り性だ。好きなモノをとことん好きになることが得意――デュエルにしても、それ以外にしても、だ。
ついでに言えば、とにかく人懐っこくて図々しい。案外その姿勢は、キリカのプレイスタイルにも現れたりする。具体的に言えば、敗北を後に引きずらない、文句をたれても、結局はそれ自体が楽しくてしかたがないのだ。好きなことを好きなだけできているのだから、怒りも恨みも、ほどほどで済ませてしまえるだろう。
――であれば、遊河峰歩はどうだろう。
このおとなしい、言ってしまえば普通の少女は。
一体、どんなプレイヤーになりたいと思うのだろう。
「…………」
やがて、遊河峰は沈黙してしまう。さもありなん、一瞬で答えが出るほど遊河峰はTCGをプレイしていない、この問は、言ってしまえば“自分とは何か”という問にイコールになるのだ。
長所と短所はなにかと聞かれて、すんなり応えられる人間はそういない。
短所は短気なところと、それはつまり短所が思い浮かばなかったというのとイコールだ。趣味は音楽鑑賞と同じだぞ。
「……ちょっと、考えてみる」
やがて、歩の答えがそれだった。当然といえば当然の答え、だが、それで十分だ。――その方が楽しみである。
こいつが答えを出した時、果たしてどんな顔をしているだろう。
……俺は、TCGで結果を出すプレイヤーが好きだ、その顔はまったくもって晴れやかで、誇らしい。この問い掛けも、それを引き出すためのものだから――
――かくして、その日は幕を閉じる。
遊河峰歩の最初の一歩が終わりを告げて、“その先”が、始まるのだ。